佑くんは15さい!   作:浪人生の米

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今更かよって感じですが、共通テストに2次試験とまとまった時間が取れませんでしたすいません。


佑くんとお正月(前編)

元旦。それは一年の始まり。

 

一年の計は元旦にありと言われるほど大事な日だ。

 

そんな日に僕は何をしているのかと言うと。

 

なにもしていない。

 

当たり前だろ。なんでこんなくそ寒い日になにかしなきゃいけないんだ。

 

僕がクマならとっくに冬眠している。

 

両親も旅行に行ってるし、今日は絶対にここから動かないぞ。

 

炬燵の上にうずたかく積まれた少女漫画を今日は消化すると決めているのだ。

 

そう決心を固めた時に限って、玄関のチャイムが鳴る。

 

だぁめんどくさいなぁ。

 

僕はコタツの上に頬をぺたりとくっつけて居留守を決め込む。

 

すまないな名も知らぬ訪問者よ。今日の僕は玄関まで行く気力がないんだ。

 

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

 

「........」

 

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

 

「うるっせぇ」

 

全然引下がる気ないじゃないかこいつ。

 

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

 

「はいはい、どなたですか!?」

 

僕がキレ気味にドアを開けると、出たよやっぱりお前か。

 

181cm 無表情の乙女がそこにはたっていた。

 

乙女と言っても一応男なのだが。

 

「君さぁ、そんなにチャイムを鳴らしてもし僕の両親がいたらどうするつもりだったんだ?」

 

「ははっ、そんなの確認済みに決まってるじゃないですか」

 

「君それストーカーっていうんだぞ知ってたか?」

 

「え? でも愛佳さん俺のこと好きですよね。だから合法ですよ」

 

トゥルルルルル。

 

「新年早々何の用だクソ女」

 

「なぁ、奏ちゃんの家ではどういう教育してるんだ。倫理観ってないのか?ないか」

 

「しらん」

 

一瞬で切られた。携帯を自分の顎に当てながらこいつをどう処理したものかと思案する。

 

絶対帰る気ないもんな。

 

「どうしたんですか?」

 

なぜそんな心底不思議ですみたいな顔できるんだ君は。

 

「僕は君のこと好きじゃないからな、まぁ嫌いでもないけどな」

 

「つまり結婚ですね」

 

「どうしてそうなる」

 

「とりあえず上げて貰えませんか。外寒いので」

 

「いやダメだぞ帰れ」

 

「おせち作ってきましたよ」

 

おせちかたまには食べたい気もする。

 

それに最近佑くんの料理たべてないからな......

 

ん?

 

いやまてまてまて!

 

これじゃあ僕が胃袋を掴まれてるみたいじゃないか!

 

「くっ、卑怯な......」

 

「まだ僕何もしてませんけど」

 

困惑顔で佑くんが首を傾げる。

 

「あ、あと愛佳さんが読みたがってた新刊も持って来ましたよ」

 

それどこに行っても手に入らなかったやつじゃないか!

 

いやいや、気を確かに持つんだ僕!この男を家にあげたら何をされるかわかったもんじゃないぞ。

 

「それに、卯ノ木さんと姐さんの着物姿です。僕が着付けしました。上げてくれたらLINEに送っときますよ」

 

「僕の負けだ。上がりたまえ」

 

僅かにニヤついているのが癪に触るがしょうがない。

 

ここまでされたら僕の負けだ。

 

潔く認めよう。

 

僕らは二人でコタツに入っておせちを食べ始める。

 

伊達巻、栗きんとん、黒豆。

 

全体的に甘めの味付けで僕好みだ。

 

悔しいが箸が止まらない。自炊もしないし、店も空いてないからここのところあんまりまともな飯を食べてなかったからだろう。

 

断じて胃袋を掴まれている訳では無い。そこだけは念を押しておく。

 

「どうですか、口にあいましたか?」

 

「まぁまぁだな」

 

「それなら良かったです」

 

黙々と食べ進めて、小一時間くらいすると僕らは寝っ転がって漫画を読み始める。

 

ちょうど、悪役令嬢が主人公クッキーを踏み潰したところだった。

 

頑張れ令嬢。負けるな令嬢。

 

そんな手に汗握る展開を佑くんお手製クッキーをポリポリとつまみながら読み進める。

 

ふと目を上げるて、対面にいる佑くんを見ると、彼もまた夢中で漫画を読んでいる。

 

鉄面皮な彼が真面目に少女漫画を読んでるこの図、よく考えたら面白いな。

 

ふっと口許を緩めてまた、漫画に目を落とす。

 

なにかしてくるかと思ったが、案外そんなこともないな。

 

まぁ、佑くんといるといつも騒がしいし、たまにはこういう日があってもいいのかもしれない。

 

パラパラとページをめくる音だけが響く。

 

暫くして、どちらともなく本を閉じて大きく息をつく。

 

「んー結構読んだな。もう夕方か」

 

「そうですね。そろそろ晩御飯の買い出し行きましょうか」

 

「なんで当然のように作る前提なんだ」

 

「え、じゃあいらないんですか」

 

「いやそれは.....そうだな」

 

佑くんの飯はうまい。これは事実だ。

 

だが、彼に飯を作らせると泊まっていくとか言い出しかねないからな。

 

悩みどころだ。

 

「わかった。じゃあ飯は食べていってもいいが、すぐに帰るんだぞ?」

 

「わかってますよ。中学生なんで補導されちゃいますしね」

 

そういえば中学生だったな。すっかり忘れてた。

 

僕らは上着を羽織って外に出る。

 

流石に一月、めちゃくちゃに寒い。

 

佑くんが手でも繋ぎます?という笑えない提案をしてきたが丁重にお断りした。

 

こんな近所で男と手を繋いで歩いてたら、両親が僕が真人間になったかと勘違いしてしまうからな。

 

口から吐く息が白くなって、消えていった。

 

「あいかさん食べたいものとかあります?」

 

「んー寒いしなー。温かいものがいいな」

 

「じゃあ豚汁とかにしましょうか」

 

「人参と大根、豚バラならあったぞ」

 

「なるほどじゃあそんなに買う物ないですね」

 

他愛もない話をしている間に最寄りのスーパーに到着した。

 

こんな日までお仕事とはご苦労なこった。

 

暖かい店内に入って、手の体温が一度に戻ってきて少し痺れる。

 

というか、この取り合わせってなかなか奇妙じゃないか?

 

だってこの時間に二人で買い物してる学生の男女なんてそうそういないだろう。それってむしろ.....

 

「なんだか同棲してるみたいですね」

 

「ウキウキするな。謀ったな」

 

「なんのことだかわからないですね」

 

僕としたことが......

 

今日一日手を出してこなかったからつい油断してしまった。

 

そうだこいつはこういう時ほどやってくるんだ。

 

羊堂愛佳、一生の不覚である。

 

思わず顔に手を当てて、自分の馬鹿さ加減に呆れてしまう。

 

「どうしたんですか?」

 

「君のせいだぞ」

 

佑くんは首を傾げると、食材を次々とカートに入れていく。

 

目利きする顔は真剣そのものだ。

 

食事を作ってくれるそうだしたまにはサービスしといてやるか。

 

観念した僕は佑くんの後ろをついてまわって、途中でアイスを買った以外は買い物にはノータッチ。

 

僕来る意味あったかこれ。

 

ただ、佑くんはなぜだか満足そうだ。

 

やっぱりこいつ謀っただろ。

 

そんなことなどいざ知らず、買うものを買った佑くんはレジで会計を済ませる。

 

「以上でお会計1080円です。あ、ご家族なら共有ポイントカード作れますがいかがしますか?」

 

「作ります」

 

「おい即答するんじゃない。すいません僕ら夫婦じゃないので」

 

「でも結局結婚するから一緒ですよ」

 

「一緒じゃない。そもそも僕は君とは結婚しない。ふざけるな」

 

「ふざけてませんよ真面目です」

 

「そういうことじゃないだろ!」

 

店員さんが困った顔をして、こちらを見ている。

 

すまない店員さん、悪いのはこの男なんだ。僕じゃない。

 

結局、ポイントカードは作らせず、佑くんは渋々会計を済ませた。

 

なにが渋々なのかは1ミリもわからん。

 

外に出るとさらに冷え込んでチラホラと雪が待っていた。

 

「これはやばいな。僕死ぬかもな」

 

そうつぶやくと、肩に少し大きめのコートが掛けられる。

 

「俺の使っていいですよ。あ、心配しなくても鍛えてるんで大丈夫です」

 

「別に君のことは心配してない。だから、ありがたく借りておくよ」

 

って佑くんのコートめちゃくちゃいい匂いするな。

 

何使ってんだこれ。

 

「気になるんですか?」

 

「は?なんのことだ」

 

「いや、コートの匂いずっと嗅いでたので、気になるのかなって」

 

「してないぞそんなこと」

 

「してましたよ」

 

「してない!」

 

「全く、これがツンデレってやつですね」

 

やれやれと言った様子で佑くんが首を振る。

 

やっぱりこの上着は返すか、と思ったがあまりに寒いのでやめた。

 

なんかさっきからまんまとこの男の術中にハマってる気がするな不本意極まりない。

 

取り敢えず腹いせに方の当たりを殴っておいたが聞いてないらしく相変わらず腹立つ顔だ。

 

長い長い雪降る夜道をぬけてようやく家に着いた!

 

「うーやっぱり室内だよ人間はこんな時期に外に出るなんてまともじゃないな」

 

「僕はデートできて楽しかったですけどね」

 

「戯言か?」

 

「本気です」

 

「まぁ今回はこたつに免じて許してやるよ」

 

テレビを見ていると台所からシュンシュンとヤカンの沸く音や小気味いい包丁の音が聞こえてくる。

 

なんとなく安心するな。最後にこんな時間を過ごしたのはいつだったか、記憶をたどってみるがどうにも覚えがない。

 

じんわりとしたこたつ特有の温かさに頭がどうかなっているのかもな。自嘲的な笑みを浮かべてチャンネルを変える。

 

「ろくな番組がやってないな」

 

「愛佳さーん、ご飯出来ましたよ」

 

「お、すまない、気づかなかったよ。言ってもらえれば食器くらい運んだのに」

 

「いえ気にしないでください」

 

目の前には熱々の豚汁にご飯、あとはひじきの煮物に白菜の漬物と卵焼きが並んでいる。

 

どれも美味そうだし、良くもまぁ手際よくここまでできるものだ。

 

「じゃあ食べましょうか」

 

「それもそうだな。いただきます」

 

手を合わせて真っ先に豚汁をすする。

 

美味い。豚の油の甘みと野菜の出汁がしっかりと出ている。

 

体の奥からあったまる温かさまでご馳走だな。

 

ひじきもちょうどいい味付けでうまいし、卵焼きは下手したら母親のより食べなれた味だ。

 

「どうです、お口にあいましたか?」

 

「相変わらず、君の料理の腕だけは買ってるよ僕は」

 

「料理以外もハイスペックですよ俺は」

 

「そういうのは自分で言うもんじゃないからな君」

 

軽口を叩きながらの食卓、これもまた久しぶりだな。

 

孤食なんて慣れっこでなんとも思っていなかったが、たまにはこういうのも悪くない。

 

「佑くん!豚汁おかわり!」

 

「気に入ってくれたようで何よりです」

 

「あぁ、この味噌汁なら毎日でも飲みたいな」

 

「え?」

 

「ん?」

 

自分の過ちに気づいた時には時すでに遅く、佑くんは捕食者の目になっていた。

 

「それはプロポーズですよね」

 

がっしりと僕の手をホールドして、目をキラキラさせた佑くんが僕に問う。

 

「ち、違うぞ!そういうつもりじゃ.....」

 

「わかってます。俺は愛佳さんが望むなら毎日だって作りますよ」

 

「そういうことじゃないんだ!待ってくれ近い近い!」

 

「夫婦なんだから気にすることないですよ」

 

「夫婦じゃない!気にしろ!」

 

半ば押し倒された格好の僕は必死に佑くんを押し返そうとする。

 

無駄に力強いな君!

 

これはもしかして貞操の危機ってやつなのか!?

 

いや僕の貞操なんてなんの価値があるんだ?当然冷静になると力がふっと抜けしまう。

 

押しあっていたバランスが崩れて、二人とも床に倒れる。

 

拍子に口に何かが当たる感覚、異物感。

 

なんだこれ。

 

顔を上げると少し赤らんだ、佑くんの顔がすぐそこにあった。

 

「愛佳さん.....ごめんなさい」

 

「い...いや、気にするなよ。なんもなかったんだ、なあそうだろ?」

 

「いえ、キスをしてしまいました」

 

「なんで言うかな!?」

 

認めたくなかった現実がおしよせてくる。

 

ファーストキスだぞ?価値がないとはいえ、この男としてしまうとはなんというか屈辱。

 

手篭めにされてしまった感覚だ。

 

「ま、まぁもうお互いのために帰ろう。今日のことは事故だから、な?」

 

「少女漫画にありがちな事故でしたね」

 

「反省してんのか君」

 

なんか思ったより、普段通りで少し安堵というか、拍子抜けだな。

 

別に、特段反応して欲しかったわけではないけどな。

 

「まぁもう今日のとこは帰れ、もう遅いからな」

 

「それもそうですね。今日はすいませんでした」

 

「ん」

 

佑くんが着替え始め、帰り支度を始める。

 

それを横目にテレビをつける。

 

ちょうどニュースをやっている時間だ。

 

「続いてのニュースです。東京は歴史的大雪に見舞われ全ての公共交通機関が運転を見合わせています。外出はできるだけ控えてください。繰り返します。東京では......」

 

時間が止まる。

 

僕と佑くんが顔を見合わせる。

 

「聞い,...たか?」

 

「えぇ」

 

もしかして今日僕はこの男と一晩この家で過ごすのか?

 

大丈夫なのか?これはそういうことなのか?

 

頭の中をいくつもの可能性がぐるぐると回っている。

 

いやでも佑くんもさっきので反省しただろうし、強引には来ないだろう。

 

そう楽観視していた僕の近くで佑くんがこう呟く。

 

「ラブコメの神よ......」

 

やっぱり反省してないかも。

 

果たして僕はこの男から身を守りきれるのだろうか…

 

まだ雪はやまないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今日原作者様の文章を読んで自分の稚拙な文章にのたうち回っておる次第です。自己満小説ですんで暖かい目で見ていただけると嬉しいです。
コメントでリクエストや評価ブクマしていただけると筆者がめちゃくちゃ喜びますよろしくお願いします。
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