ノーゲーム・ノーライフ ―神様転生した一般人は気づかぬ間に神話の一部になるそうです―   作:七海香波

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 数多くの感想、評価、お気に入りの登録、本当にありがとうございました。
 二十日ではないんですが、書き上がったんで載せました。
 先に書いておきますが、十六日に前話を修正・後書きにネタ(?)追加したのでそちらを見てからこの話を読んで下さい。

 では、どうぞ。――ツッコミどころ満載ですが。


第七手 新たな神話の始まり

 ――……。

 

 ゲームを始めて三十分ほどがたったろうか。

 『銀箔(ぎんぱく)』に続いての『空撃(くうげき)』が黒とジブリールの周囲一体を破壊し尽くしたことにより、今彼らがゲームを繰り広げる場所は廃墟へと変貌していた。二人仲良く円卓を囲んで言葉の応酬を繰り広げる。

 と、黒が何かを思いついたように頷く。

 

「ずっと図書館跡地の中ってのもなんかもの寂しいな――『グレート・バリア・リーフ』」

 

 いい加減その殺風景に嫌気が差してきたのか、黒。

 灰色の大地を自身のお気に入りの風景へと変化させる。

 一言で、崩壊した大地が一転、澄んだ青空の下のビーチへと移り変わる。

 真夏の太陽が明るく輝き、日本の面積に等しい珊瑚礁と、澄んだ海が地平線にまで広がる――まさに絶景とでも言うべき景色の世界へと移動した。

 

「これはまた……中々に絶景で御座いますね」

 

 戦闘種族であるジブリールも、黒のお勧めの景色と言うことも有ってか、自然の美しさに魅入っているようだ。

 暖かな微風が彼女の額を撫で、前髪が僅かに揺れる……綺麗だ。

 ――おおっと。どうやら自分は景色よりも彼女に魅入ってしまっていたらしい。

 何はともあれ、素直に気に入ってくれたのは嬉しかった。

 

「ここは、俺の知っている中での絶景ベスト3に入るからな。さすがに感動されなきゃショックだよ」

 

 椅子から立ち上がり、膝を突いて足下の白く輝く粒を掬ってみる。

 ちょっと手を傾けただけで流れ落ちてしまう、全てが星のように角張った小さな粒だ。

 

「ここまで綺麗な所になると、そうですね……『()』はどうでしょう?」

 

 ……ん?

 天使の如く柔らかなジブリールの笑みが何故か一瞬、邪悪なものへと変貌したかのように見えた。こちらの気のせいだろうか?――嫌な予感がする。

 ふふふっ、と彼女は笑いながらこちらを見つめている。

 

 ――黒の直感は正しかった。

 

 次の瞬間、世界が変わる。

 

 『()』、意味するところは織物――絹。

 それが消えると言うことはすなわち、――ジブリールの着ていた服が全て消滅するということに他ならない。

 

 ジブリールの服が白い粒子となって崩れ、宙に舞って消える。

 

「んなっ!?な、なんで着てるものを自分から剥がす!?」

 

 咄嗟に目を瞑って彼女の裸体を視界から外す。

 それでも、一瞬だけ黒の瞳に映った彼女の美は彼の記憶にしっかりと焼き付けられる。

 ……一糸纏わぬ彼女は実に美しかった。均整の取れたライン、絹のように滑らかな肌……そして、豊かに実ったむ――ゴホンゴホン。落ち着け、俺。

 両手を机の上に置き、俺は頭を大きく振りかぶる。

 それから、思いっきり振り抜き――ゴンッ!

 机に頭を強く打ち付けることで、暗闇に映る彼女の姿を強制的に忘れさせる。

 

「『ふ』、から上手く水着関係に繋げられなかったものですから、つい」

 

 その声から、舌をチョロッと出して笑う彼女の笑顔が自然と浮かぶ。

 純情な男子の心を弄ばないで欲しいと黒は願った。

 とりあえず、このままでは目にやり場に困る。そう思った黒は瞬時に頭を切り換え、彼女の裸体を隠せる単語を検索。

 

「ふ、『(ふく)』!」

 

 慌ててひねり出したその言葉によって、一応彼女に服が着せられた……ハズだ。

 

 ――だが、黒の健全な男子としての本能がイメージを揺らがせたのか。

 

 落ち着いて、深呼吸しながらゆっくりと目を開いた黒にさらなる悲劇(?)が襲いかかる。

 

「――っ!?」

 

 確かに彼女は着ていた。

 

 だが、“服”というところで黒の“イメージ”に引っ張られでもしたのか――ジブリールは、水着状態(・・・・)となっていた。

 

 上手く服を着せられただろうかとゆっくり目を開いてみれば、黒の目に――淡い桜色のビキニを着たジブリールが映る。

 

 当然それは黒のイメージを反映したもの。

 どこか力強く、清く、そして何より美しく咲き誇る桜の色は、ジブリールには似合っていた。

 だがそれは、黒に取っては不幸だとしか言えない。

 ゴンッ――再度机に額をぶつける。

 連続して奇妙な行動を取る黒に、ジブリールが不思議そうに尋ねる。

 

「またまた、急にどうしたのでございますか?」

 

 狙っているのか、彼女は胸を支えるように腕を組んでこちらに顔を寄せながら問う。唯でさえ大きい胸の部分がより強調され、黒はまたまたテーブルに頭を打ちつけた。

 

「(煩悩退散煩悩退散数多の煩悩よ我が心から消滅し給えーっ!)」

 

 さらに、自らに言い聞かせるように言葉を叫ぶ。

 その理由はただ一つ。

 面積の少ないビキニで隠し着れていないジブリールの柔肌に、男としての部分がまたまた反応したからだ。

 狂ったように顔を赤く染めて頭を打ち付けた黒の様子に、ようやく黒の反応を理解したのか、ジブリールは呟く。

 

「……天翼種(フリューゲル)相手に性的興奮出来る人類なんて初めて見ました」

 

 だが、その呟きは、驚き半分呆れ半分といったモノだった。

 ――それも当然、序列の桁が違う種族相手に平気で性的興奮を覚える相手自体がジブリールには初めての体験だったのだから。未知への興味が半分、その実体の残念さへの呆れが半分、ジブリールの思考を満たす。

 彼女の声を聞いて、汗を流しながら理性を抑えて顔を上げる黒が言う。

 

「ふっ、甘いなジブリール。誰かが言った――“可愛い”は絶対不変の正義だ、と。可愛いの前に種族の壁など無い。例え神さえ殺す相手だとしても、それが美少女であれば俺には問題無い」

 

 ――今まで見た女性の中で黒が最も美しいと感じていることもある。

 リアルの美少女天使、しかも頭脳明晰&天然キャラ。この世のものとは思えない、どこか神々しさすら覚える美しさを持ったジブリールの水着姿は、黒にとって相当刺激の強いものだったのは間違いない。

 

 また、それからしばらく、黒は真正面からジブリールを見ることが出来なかったことを書き加えておこう。

 

 

 ――……

 

 

 さらに六時間後。

 楽園のような雰囲気の海辺はまたもや一変していた。

 一面に新雪が降り積もった大雪原の背景には何故か、真っ赤な血を浴びた墓標と逆さのミロのヴ○ーナスが至る所に乱立し。

 その中央で、寒そうにコートを羽織ってホットココアを啜る黒と。

 その対面で、水着の上に純白の巫女服を着て口元に手を当て笑うジブリール。

 何とも言えない奇妙な空間で、二人は言葉の遣り取りを続けていた。

 

「ふふっ、そろそろ降参なさってはいかがでしょう?『吹雪』」

 

 突如、視界一杯を埋め尽くす銀色の風が吹き荒れる。

 飛来する雪が冷たく黒の身体を打つ。黒の体温によって溶け、水となったソレは黒の身体をぬらし徐々に体温を奪っていく。

 

「いやだね。『気流』」

 

 黒のイメージ通り、二人を囲うように廻る気流が発生し、ドームのようになって二人を護る。

 

「ずずーっ。あー、ココア美味いぜー。ジブリールはなんか飲まないのか?寒くない?」

「ご安心を、我々は体温を自在に調節できますから」

「でも、いい加減眠いだろ。ぶっつけ七時間近く頭を稼働させてしりとりやってるんだし。ふぁぁーあ」

天翼種(フリューゲル)は睡眠すら必要としませんので♪」

 

 大きく欠伸をしながらジブリールに降参を薦める黒へ、

 

「――まだまだ、こちらには言葉のストックが無限に存在します。今の内に出来る限りの知識を引き出すため、これから何時間、何日、何ヶ月――いえ、何年でもお付き合い致しますよ」

 

 そちらこそ降参なさってはいかがですか、とジブリールは笑わない目でそう冷たく告げた。

 彼女の顔を見れば誰だって分かる、彼女は本気だと。

 だが黒は、平気な顔で続けて言う。

 

「二人っきりで何年も居て良いなんて、もっと別のところで聞きたかったもんだよ」

「告白にはまだまだ好感度が足りませんよ?まあ、か弱い人類の身でここまでやってこれたことは賞賛しますが」

「か弱い、ねぇ……ふふふっ、くくくっ――はーっはっはっはっは!!」

 

 突然大声で笑い出した黒に、ジブリールが顔をかしげる。

 ――この人類は、一体何を可笑しいと思っているのだろうか?

 ジブリールには分からない。

 その彼女に説明するように、黒は笑いがこらえきれないのか口元を振るわせつつ語り始める。

 

「ここまでしばらく付き合ってきて分かったが――冗談はよせよジブリール、か弱いのはどっちだ?」

 

 目尻に笑い涙を浮かべながら本気でそう問いかける黒に、ジブリールはなおも顔をかしげる。

 黒は続ける。

 

「――頑丈で、」

 

 “『続行不能』にさせること自体が不可能”で。

 

「――不死に近い寿命で」

 

 “時間さえ立てばいつかは勝利”で。

 

「――そんなモンで(クロ)に勝てると、本気でそう思ってるなんてな?」

 

 ――ゾクッ。

 今の(クロ)の目に、ジブリールは心臓を掴まれたかのような錯覚を覚える。

 天翼種(フリューゲル)である自分が、神霊種(オールドデウス)ですら亡き者に出来る力を持つ自分が――

 

「(――目の前に座る人類に、恐怖している?)」

「単なる身体的特性だけで勝てると思っているんなら、俺の見間違いだったのかも知れないな。ジブリールなら、分かってくれていると思ったんだが――まあいいよ。うん、別に、コレで図書館は手に入るからな」

 

 満足したように黒は笑う。

 だが、ジブリールはその言葉に憤りを覚える。聡い彼女だからこそ分かる、その言葉が言外に意味するところに。

 

 その言葉に含まれているのは、“ジブリールは必要ない”という意識。

 

 図書館さえ、知識さえ手に入れば天翼種(フリューゲル)である自分は要らないという。

 ただの、精霊を持たないだけの人類種(イマニティ)如きが。

 

「随分と、舐めた口を聞いてくれますね……そんなに終わらせたいのなら、そろそろ終わらせてさしあげましょうか?――『腕』」

 

 ジブリールと黒の両腕が、一瞬で消滅する。

 “相手を戦闘不能に追い込む直接的干渉は禁止”――『両腕』はしりとりの進行に何の関係もない。

 

 だが、五肢の内二つを失うことで精神に負うダメージは意外と大きい。

 

 天翼種(フリューゲル)である自分は、嘗ての戦争で腕を失ったことがある。

 普段なんでもないような腕だが、だからこそ失って初めてその重要性が理解出来る。

 魔法のベクトル制御が上手くいかない。飛行時の肉体バランスが保てない。

 その経験が在るからこそジブリールは平気だが、腕を失ったことのない人類種(イマニティ)なら、初めての経験に戸惑いが大きいだろう。

 

 だが、黒は何も変化を見せない(・・・・・・・・・・・)

 それどころか、現状を平気な顔で受け入れ、笑う。

 

「いいねぇ……ようやくゲームらしくなってきたじゃないか。まずは腕から削っていこうって戦法か?ならこっちも遠慮しないぜ――」

 

 突然黒は、席から立ち上がって後方へと走り出す。

 両腕を失ったにもかかわらず、様々な障害物が乱立する中、三十秒という限られた制限時間の中で全力疾走し駆け抜ける。

 

 体感で二キロほど走った先で、転ばないように足の指先で地面を掴み立ち止まる。

 ゲームのルール上、ジブリールに伝わらなければしりとりは成立しない。

 だから、黒は、あらん限りの声量を振り絞って叫ぶ。

 

 

「さあ、ゲームも佳境だぜ――『電磁投射砲(でんじとうしゃほう)』!」

 

 

 突然、巨大な白い塔が横倒しとなって生成、ジブリールに向けて据えられる。その至る所には訳の分からない植物が絡み、まるでしばらくの間放置されていたかのようなものだ。

 

 黒が召喚したその正体は『電磁投射砲』、通称――『レールガン』。

 

 電磁力で弾丸を撃ち出す機械。

 当然それは実在し、米軍によって兵器として開発されている。よって、ルールには抵触しない。実際に、ゲーム機は言葉を認め黒のイメージを映し出している。

 

 ちなみに、黒が生み出したものは米軍で作成されている規模のものではない。

 対人類目的で創られた兵器では殺せないのは百も承知。天翼種(フリューゲル)相手に、唯の兵器が功を奏すわけがないのだから。

 

 

 この“しりとり”、具象化されるものはイメージに引っ張られる。

 “実在せず、イメージが無い言葉は使用不可、召喚できない”――裏を返せば、“実在していることが分かっていればイメージは自由に変えられる”。

 その事は、先ほど(・・・)すでに確認済みだ。

 

 黒自身、『グレートバリアリーフ』など見たことはないが、それらしい“巨大な珊瑚礁”と“透き通った青い海”との想像を組み合わせた光景が実体化した。

 

 

 ……さて、本物の電磁投射砲(レールガン)を見たことのない黒。

 それは当然だ、米軍で開発途中の兵器など元の世界では分類上一般人の黒が目にする機会など在るわけが無い。

 

 

 ――だがイメージならばある。

 “イメージ”、意味は心の底にもつその姿。

 

 黒は前世の記憶から、そのイメージを呼び起こす。

 某ビリビリ娘の存在する『とある魔術の禁書目録(インデックス)』ではない。

 黒は生憎興味が無くて読んでいないため、イメージを持っていないから。それに、たかが人の出せる電気量で彼女を討ち滅ぼせるだけの威力を出せるとは思っていない。

 

 だから、彼がイメージを明確に抱いていたのは、『(あま)梯子(はしご)』と呼ばれるレールガン。

 

 知っている人は知っているだろう――それが登場するのは、『最強の近未来ヒロイックアクション』と謳われるライトノベル。

 

 そう、『ブラック・ブレット―黒の銃弾―』に登場するレールガンモジュールである。

 

 全長1.5キロメートル、砲弾を亜光速にまで対象に放つ決戦兵器。

 

 世界を滅ぼしかけた十一体の化物(ガストレア)の内一体を、“超バラニウム”という特殊金属を使ったこともあるだろうが、たった一撃で滅ぼす威力を持つ。

 

「その、零距離での全力砲撃、耐えられるものなら耐えてみな――っ!」

 

 かつて画面で見た光景と全く同じ光景が視界一杯に広がる。

 蓮太郎が座っていた座席に座ると、自動的にベルトが射出され身体を固定する。

 画面に映ったジブリールに、二つの揺れ動く照準が重なり――ロックオン。

 足で引き金を引き――発射。

 

 巨大な爆音と光が周囲一体を満たし、限界まで加速された砲弾がジブリールを貫こうと迫る。

 

 だが、それを黙って受け取るジブリールでもない。

 砲弾が発射されるまでの刹那に等しい時間に、対抗魔法を編み上げ迎え撃つ。

 天翼種(フリューゲル)としての直感が、彼女に教えていた。

 ――龍精種(ドラゴニア)ですら一撃で打ち倒しうるだろうエネルギーの攻撃が我が身に襲いかかると。

 

 彼女はすでに使えない精霊回廊接続神経に舌打ちしつつ、消滅の加護を創り上げた。

 

「『刹那第三加護(ウーゼ・ラ・アンセ)』!」

 

 瞬間、彼女の身体を包み込むように丸い精霊で構築された壁が出現し、黒の放った一撃と正面から迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 周囲が余波で吹き飛んで、モニターに映る画像は一面が白くなっている。おそらく雪が蒸発したことで水蒸気が視界を塞いでいるのだろう。

 しかし、その事実だけですでに結果は分かっているようなモノだ。

 ゲームが終わったのならすでに黒は元の場所へと戻っているはず。しかし、戻らない。未だ黒は操縦席へと座っているままだ。

 固定していたベルトが解除され、黒はゆっくりと立ち上がる。

 余熱を持った砲身の上を駆けてくる存在のかすかな足音を、黒がすぐれた聴覚で捉える。響く音の大きさから、人型の生物で大きさは小学生ほどなのが分かる。

 

 ――恐らく、いや、確実にジブリールだ。

 

 この状況でこちらへ向かってくる判断を取るのはただ一人、あの攻撃をどうにかして生き残ったジブリールに違いない。

 

 しかし、一体何故――?

 

 そう。ジブリールは魔法の源たる精霊回廊に接続できないため魔法は使えないハズなのだ。超人的な身体能力も失われているはずだからそのまま耐えきったというのも納得は出来ない。

 足音が徐々にここへと近づいてくる。黒は自ら外へ出て、ジブリールを迎える選択を取った。

 『天の梯子』の上へと登ると、むわっとした熱気が一瞬身体を襲う。

 改めて自分で見てみれば、いくらかは水蒸気も収まったようで――衝撃の光景が目に映った。

 出現した大雪原を一直線に抉り、ジブリールとゲーム機本体があった場所は跡形もなく消滅している。

 また、それと同じで、

 

「――これで納得いただけましたか?私を殺すのは、不可能だと」

 

 やはり生き残っていたジブリールが黒に話しかける。

 

 ジブリールの編み上げた魔法、『刹那第三加護(ウーゼ・ラ・アンセ)』――森精種(エルフ)が創り出した最上位対抗魔法。神霊種(オールドデウス)の一撃すら“無効化”する“消滅”の盾だが、その強力な性質上、展開時間は一秒弱と限られている。

 ジブリールはその盾をタイミング良く発動させ……無傷だった。

 魔法を発動するのに必要なハズの精霊回廊がないのにどう魔法を構成したのか――それは、現在のジブリールの身体を見れば分かる。

 あの魅力的だったプロポーションは消失し、幼女へと変貌を遂げていた。

 新たに手に入れた精霊を使うのではなく、自身の身体を構成する精霊を用いての防御。

 

 それをジブリールの口から説明された黒は、それでも諦めない表情で勝利を得ようともがく。ギリッ、と歯ぎしりの音を立てながら、

 

「畜生……『生命(せいめい)』」

 

 この一言で、今度は黒とジブリール以外の全ての生命存在が死に絶える。

 それは、黒自身には全く問題のないものだった……が。

 

「ぐっ……これはまた」

 

 ジブリールには大きなダメージを与えていた。

 『盤上の世界(ディスボード)』に漂う精霊全てが、この世界の生物全てに対して猛毒となる『霊骸』へと変化したのだから。世界自体が猛毒と化してジブリールを襲う。このまま勝負を長引かせることが出来れば、勝てるかもしれない――それまで待っていてくれるとは到底思えないが。

 これ以上ゲームを続けるのはそろそろ拙いと判断したのか、ジブリールは言葉で黒を殺しにかかる。彼女が『腕』の次に口にした手段は、

 

「『隕石(いんせき)』!」

 

 二人の頭上に、一つの巨大な岩が出現する。

 イメージ通りのものが反映される今、隕石の大きさはジブリールが自由に決めるコトが出来る。実際に存在しない大きさであっても。

 それを頭上に眺め、黒は呟く。

 

「『危機(きき)』」

 

 恐ろしい速度で大気中を進み来るその星の欠片を、一言で消し去る。

 だが、ここで大概の攻撃に反撃できる万能な『危機』を失うのは黒にも大きな痛手だった。

 それに続いて、ジブリール。

 

「『気体(きたい)』」

 

 存在する気体が消滅し、黒は真空中へと放り出される。

 ジブリールが口にした瞬間、直感的に体内の気体を一気に吐き出していたため、気圧の変化による破裂はしない。だが、着実に近づく死へのカウントダウンへの恐怖が僅かに黒の瞳を揺らした。

 

 話せないため、代わりにポケットからメモ帳を取り出してその一ページにシャーペンを走らせる。足だけでその動きをなんなくこなせているのは流石と言った所か。

 書いた文字は――「『引火(いんか)』」。

 気体、すなわち大気圏が消滅した今、黒の視界に入る最も大きな炎――太陽の周囲を這う『紅炎(プロミネンス)』が一際大きく発生し、ジブリールの身体にまとわりつこうと急激に迫る。

 だが、それで易々と倒されはしない。『か』に続く言葉で文字通り、

 

「『回避(かいひ)』」

 

 宇宙空間で舞うように弧を描いてジブリールの身体が機動し、迫り来た炎を回避する。

 もう魔法は使えない代わりに、精霊を指に宿して宙に光で文字を描いたことで彼女は言葉を伝える。その文字が効果を発揮し、迫り来た紅炎を回避させた。特に追尾機能があるわけでもないので炎は自然と消滅してしまった。

 

「(そろそろ、おしまいでございますかね……)」

 

 ようやく黒を殺せたと確信するジブリール。

 呼吸は関係無い天翼種(フリューゲル)である自分とは違い、苦しみにもがく彼の最後をせめて看取ってやろうと目をこらして黒を探したのだが――

 

 

 

 

 

 

 ――その黒は、一切の違和感なく笑い、数ページ捲ったメモ帳をジブリールに向け突きだした。

 

 

 

 そこに書いてあったのは、ただ一言、天翼種(フリューゲル)語で『これで終わりだ(チェックメイト)』。

 

 

 

 そして、機凱種(エクスマキナ)語で――『偽典・天撃(ヒーメアポクリフェン)』。

 

 

 

 突如、誰もが精霊を使えない状況で、黒の手元に精霊の固まりが生まれる。

 それは、全てを塗りつぶす、精霊の見えないはずの黒でさえ目視できるほどの強力無比なエネルギーの固まり。

 

 “ん”で終わる単語は、昨日の本で読んで、この世界には少ないモノの確かに存在していることが分かっている。よって、日本での“ん”で負けにはなるというルールは今回は適用されていない。だから黒は迷わずこのページを開いた。

 

 

 このゲームのルールで無効回答と判断されるのは、空想及び実現しない、イメージのないもの。

 ――だが、一体それをどうやってチェックするのか。

 目?声?……どのような方法かは分からない。

 だが、黒は、この一撃が、確かに存在するものだと予想を付けている。

 つまり、俺自身はそれを空想としか思っていない――だが、甘い(・・)

 自分の思考を殴りつけるように――否、蹴りつけるようにとでも言うべきか――新たにページを開き、ペンを走らせる。

 

「(《十六種族(イクシード)位階序列第十位、機凱種(エクスマキナ)。多種族の攻撃を『偽典:~』と名付け模倣・再成・無効化でき、大戦時天翼種(フリューゲル)と並んで“神殺し”を行うことが出来た種族》――当然彼らなら天翼種(フリューゲル)最大最高の切り札に等しい一撃、『天撃』を模倣していても何ら可笑しくはない。そして、それを恐らく天翼種(フリューゲル)に撃つことも予測できる。だから、予測した。この一撃を打ち込むなら天翼種(フリューゲル)が密集している場所だろう、と)」

 

 ――そして、そこにジブリールが居ればそのイメージを身を以て体験しているだろう。

 そこに居なくとも、生き残っていた天翼種(フリューゲル)達がイメージを伝えているだろう。

 

 “言った本人のイメージがなければ無効回答”――ではない。“イメージが無ければ無効回答”なのだ。

 つまり、黒のイメージが無くても、ジブリールに在ればそれは有効回答となるという意味にも取れる。そして、機凱種(エクスマキナ)が手に入れた神殺しの種族の最大の一撃、天翼種(フリューゲル)に使用している確率は極めて高い。

 

 ――そう考える黒の計算にも、実は一つ誤算が生じていた。

 

 それは、ジブリールのイメージが、単なる『偽典:天撃(ヒーメアポクリフェン)』には過ぎなかったと言うこと。

 大戦時――彼女の創造主アルトシュが機凱種(エクスマキナ)の手で不活性化した大戦末期に、幻想種アヴァント・ヘイム後方から放たれた、『偽典:天撃(ヒーメアポクリフェン)』。

 

 それは、ジブリールが、機凱種(エクスマキナ)シュヴィに対して放った全身全霊の一撃の模倣。天翼種(フリューゲル)が自身の身体の全てを精霊回廊接続神経に変質させ、精霊回廊の源流を枯渇させかけるまでに吸い上げ、濃縮して放つ一撃。完全な再現ではないとは言え、自身の全身全霊の攻撃の模倣、それが千二百発超(・・・・・)幻想種(ファンタズマ)アヴァント・ヘイムを揺るがしたその攻撃を受けて、先ほどの『電磁投射砲』の遣り取りで生存限界まで力を使っていた彼女に――勝利への道はなかった。

 

 本来精霊を操ることの出来ない黒の手が在るはずの位置、またその背後に、荒れ狂うように精霊が集い光を放つ。余りに強力なエネルギーの集約に周囲の空間が歪むのが分かる。

 ジブリールのイメージは、“自らに打ち込まれるイメージ”。則ち、黒がそれをコントロールして自分に打ち込む予想であり、そのイメージの補助も手伝ってか、黒は自身の頭で自身の指揮下に一時的に収まっている精霊達を完全に支配下に置くことに成功する。

 全ての天撃がただ一点、ジブリールに集束するように見えない砲台を動かす。

 

 息の出来ない苦しみに汗を浮かべながら、黒は種族の壁を嘲笑うかのようにジブリールを見据える。

 

 そして、全砲撃が放たれるよう指示を出した。

 その瞳に映るのは、裸体を見たときの羞恥の心でもなく、気体を消滅させたときの恐怖の心でもない。それら全てが嘘であると感じられるほど、無機質な黒く透き通った瞳。それが本来の黒の瞳なのか――情けなど微塵も感じられない、何も無い空間を見つめるような眼が、迫り来る精霊の奔流より一瞬早くジブリールの心を射貫いた。

 

 メモを閉じ、音の伝わるはずのない空間で、黒が最後に何かを小さく呟いた。

 当然ジブリールには何も聞こえない。だが、かすかに、薄れゆく意識の底で、ハッキリと感じた。

 

 ――これで何も思うことがないのなら、俺に取って価値はない。

 

 死が迫った直前で、もう何も出来ることはない――分かっていても、その一言で、ジブリールは黒を強くにらみ返した。最後まで勝利を諦めなかった証として。

 

 その表情に黒がどのような表情を浮かべたのが分からないまま、かつて自らが生み出した破壊の光に、ジブリールの視界は塗りつぶされた。

 

 

 

 

「……完敗、で御座います」

 

 元の空間に戻るなり、ジブリールは黒の目前にまで来て丁寧に頭を下げた。

 

人類種(イマニティ)を脆弱な種族だと見限り、見下した発言を多々致しましたところを謝罪致します」

「……発想が極端だなジブリール」

 

 とりあえず頭を上げてくれ、美少女に頭を下げられているのは余り良い気分ではないと伝え再度自分の椅子に戻って貰う。

 

「別に、人類種(イマニティ)を見下すのは止めろとは言わない」

「――は?」

 

 予想外の言葉に、気が抜けた返事しかできないジブリール。

 

「前王の敗北に愚痴をこぼすだけで自分たちからは何もしない人類種(イマニティ)を同列に見る必要が何処にあるんだよ?」

「あ、え……?」

「所詮、自分から敗者のぬるま湯に浸かって傷の舐め合いをしているだけの連中だ。俺が言いたいのは、ジブリール。例え相手が弱くても、しっかりとした意志を持った奴ならそれ相応の覚悟を持ってこちらも望むべきだと言うことだ。今回のジブリールの敗因は、俺を所詮人類種(イマニティ)だと僅かでも心の底で侮っていたことだぜ」

「――っ」

 

 容赦なく敗因を指摘してくる黒に、ジブリールは顔を歪める。

 だが、すぐさまその感情を飲み込み、先ほどから考えていた疑問を素直に告げた。

 

「……一つだけ、質問してよろしいでしょうか?」

「ああ、構わないけど?」

「最後のメモでの遣り取り――、貴方はこの結末を予測していたというのですか?」

 

 黒は最後に一言を、その場で書くのではなく予め書いてあったページを開くことで伝えた。恥ずかしそうに頭を掻きながら黒は理由を告げる。

 

「まあね」

 

 そう言って、黒は笑ってページを見せる。

 そこには、最初の『精霊回廊』から、最後の『偽典:天撃(ヒーメアポリクフェン)』までのほぼ全てが書かれていた。

 驚きに顔を染めるジブリールに、黒はニヤニヤと笑う。

 どうやら彼はこの遣り取りすらも予測していたらしく、ジブリールを見る顔もよくよく見れば悪戯が成功した子供の様な顔になっている。

 

「“未来という束ねられた無数の白い糸には、ただ一本“勝利”という名の糸が混ざっている。それを知恵という指で解きほぐし、その手で探り掴み取る――それが人生という名のゲームだ。”」

 

 くすくすっ、と笑う。

 

「何が言いたいかと言えばだな――どれだけ絶望的な状況であっても、絶対に勝利する可能性はある。その、大海に沈む宝石を探すような確率の勝利への道筋、を俺はゲーム前から掴んでいたって事だよ」

 

 まあ、所々は予測できなかったから分かっている糸をつなぎ合わせて勝利と成したって感じだけどな――そう締めくくった。

 最初から最後まで笑って居る黒だが、ジブリールは内心目の前の彼を信じることが出来ないでいた。

 彼の言うとおりなら、彼は昨日と今日の、たった数時間の遣り取りだけでジブリールの性格を掴み、自身の全てを賭けたゲームの最中でも一瞬もこちらを疑わせるような動作をしないまま計算に修正を加え続けていたと言うことになる。しりとりのルールに置いては、ジブリールの発言以外は昨日の本に書いてある軽い説明文しか知り得ていない。

 

 敵の渡した疑わしい情報が嘘だという可能性を織り込んで尚、一つ手を間違えるだけで勝利を失うような命を賭けた遣り取りに正気で挑む。

 そんな彼に、ジブリールは、“敬意”を払うしかなかった。

 分かっていても、言わずにはいられない。

 

「――正気ではありませんね」

「知ってる。それは俺自身がよく分かってる」

 

 ジブリールの眼に苦笑する黒の姿が映る。

 ドクンッ――この、彼を目前にして高鳴る胸の鼓動は一体何なのだろう。

 

「どうだジブリール。一緒にその手で、“神への勝利”を掴んでみる気はあるか?」

 

 自身へと手を差し伸べる黒をジブリールは見る。

 

「俺が目指す未来は、“神様(テト)に勝利する未来”」

 

 明らかに正気ではない。神に挑むなど。

 

 それでも。

 

 この世に生を受けて六千余年――彼女が待っていたのは、彼だ。

 

「(ジブリール、知ってるか?糸を紡ぐってのは、意外と大変なモンなんだぜ?蚕っつー虫から採る作業なんだけどよ、途中で手をミスるは足りなくなるはで途中で切れてしまう。だが、其処に繋げてまた新たに紡ぎ出すことも出来る。つまりだな、俺は今から創造主(アルトシュ)に刃を向ける。全身全霊、命を賭けて奴に挑むが、俺は欠陥品だ。確実に負ける。俺が手にかけた“未来”はそこで一旦途切れるだろうが、いずれ再度紡ぎ出す奴が現れるハズだ。だから、そいつが、俺が切らした“未来”と言う名の糸を手に取るまで――待っていてやってくれ)」

 

 天翼種(フリューゲル)の彼が、笑顔と共に遺した最後の言葉。

 

 その、何千年もの昔の記憶と今が合致する。

 あの時はさっぱり意味が掴めなかった彼の言葉。積み重ねた知識ではさっぱり理解出来なかった言葉が今、ようやく理解出来た気がする。

 

「(――そうなのでしょうか?この人が、貴方の意志を継ぐ者――)」

 

 気付けばジブリールは、差し出された黒の手をしっかりと握っていた。

 

「嗚呼、我が片割れよ。命を賭して未来へと命を捧げた、今は亡き○○よ。貴方が遺した意志を紡ぐに相応しき魂を、私はようやく見つけることができました」

 

 彼女は光輪を後頭部へと移動し、黒の面前で頭を垂れる。

 それは、天翼種(フリューゲル)における最高位の礼。

 

十六種族(イクシード)位階序列第六位天翼種(フリューゲル)、十八翼議会が一対、ジブリール。我が全てを貴方に捧げます」

 

 心の底から、この人に仕えよう――素直な思いが込められた言葉に、面食らったような顔をする黒。思えば、今回の人生でこんな素直な言葉を受け取ったのは何時以来だろうか――そう考えてしまうほど純粋な彼女の言葉に、黒の心が涙を流す。人の悪意すら含まれない言葉を向けられて色を失っていた心に、僅かながら光が戻ったような感触がした。

 

「――ああ。頼りにしてるぞ(・・・・・・・)、ジブリール」

 

 生まれてこの方、一度も他人を心から頼りにした事のない自分だが、今は自然とその言葉を口にする事が出来た。

 

 

 ここから二人の始まりを告げるかのように、図書館の中の光が暖かい光で二人を満たした――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――これは、新たな神話の一部として描かれる一人のゲーマーの物語。

 

「『彼は今まで一人で、天涯孤独の身で世界を相手に闘ってきた。だが、ついに彼の理解者が現れた――』とまあ、こんなところかな」

 

 地平線に浮かぶ一つの空間、対面に誰も座らないそのゲーム盤で一人の少年がペンを片手に物語を楽しそうに綴っていた。

 

「さあ、これからも僕を楽しませてね♪」

 

 そう言って少年――テトはペンを置き、ゲーム盤の対面に置かれた一つの物体を見据える。

 

 本来この世界に存在しないが、ここが出来たときからそこに置かれていた()の置き土産。金属の質感を持ち、複雑な魔術の文字が身に刻まれたソレは――まぎれもなく、拳銃(・・)

 

「――待ってるよ」

 

 

 




 ――
 安心院かなみVerの『具象化しりとり』、お気に召したでしょうか?
 きっと、『天の梯子』の辺りの遣り取りで「んな馬鹿な」と思った方が一番多いでしょう。次に『偽典:天撃(ヒーメアポクリフェン)』ですかね。

 ですが、ゲーム前のやりとりを思い出して下さい。

「架空――すなわち実在しない言葉、イメージの無い言葉は無効回答と見なされますのでご注意を」

 そう、電磁投射砲(レールガン)自体は実在する言葉なので問題はありません。
 “イメージ”も、『心に思い浮かべる像や情景』を意味する言葉なので問題は無い……ハズ。
 せっかくなので、同時期放送の『ブラック・ブレット』の要素を取り込むのも面白いかと思いまして。
 ここだけ原作とは微妙に違うルールだったのですが、気付いた人はいたのでしょうか。
 そういう風に読み飛ばすと、作者のようにテストで酷い点数をとりますよ(笑)。

 この話を書く最中、いずれ『ブラック・ブレット』も書いてみたいと思いました。
 せっかくなので、適当に思いついたあらすじも載せておきます。

 ――西暦2021年、人類はガストレアと呼ばれる未知の生物との戦いに敗北。
 多数の感染者を出した人類は、モノリスと呼ばれる防壁に囲まれた限られた地域で暮らすようになる。
 だが、人類は“バラニウム”と呼ばれる、ガストレアに対する有効手段によってやがて戦闘を有利に進めることが出来るように成った。
 その社会の中で、突如ゾディアックガストレア『金牛宮』討伐のニュースが世界を駆け巡った。
 彼らを倒したのは、ガストレア討伐を専門とする民間警備、通称『民警』。
 第一位から十二万近くまで存在すると言われるその中で、かの化け物を討伐したのはたった一つのペアである。
 青白い髪をもつ少女プロモーターと、呪われた赤い瞳を持つ世界唯一の少年イニシエーター。二人はその顔を隠すように目深にお揃いの黒いフードを被っていた。ペアに冠せられた名は、『星堕とし(スターブレイカー)』。たった二人で金牛宮の軍隊を壊滅に追い込んだ子供たちの民警序列は“第零位”――だが、その存在は嘘か誠か、いまではその序列は空位となっている。
 それから数年後。
 『天地民間警備会社』に所属し、ただ一人でガストレア狩りを続ける男性プロモーターがいた。その名は黒地(クロジ)(カナデ)(仮)。
 これは、様々な原作との差異が生じる中、彼から始まる戦いの物語である。

 ※あくまで嘘予告です。
 が、書くとしたらこんな話ですかね。
 どーせ書く暇ないから良いんですけど。

 それでは、最後になりましたが、これからもこの作品をどうぞよろしく。



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