魔術師という職業   作:雨本咲

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 一日に一万字書ける人は一体何者なんだろうかと考えて、赤の他人だと結論づけた今日この頃。


第9話 祭宴と騒動

 深夜0時のスリザリン女子寮、オリヴィエは通信用霊装を起動した。今日は数日に一度の報告の日だからだ。魔力を通した羊皮紙に、オリヴィエの思った通りの言葉が浮かび上がる。

 

最大主教(アークビショップ)様、潜入捜査―――もとい学園生活は、恙無く進行しております。最大主教(アークビショップ)様が画策なさった通り、私は無事魔法の技術を魔術に転用する研究をしています。無論、魔法の熟練度も上げています。―――何か私に指示が有れば、回りくどい事をせず直接おっしゃればもっと早くやりましたけれど』

 

『報告ご苦労よオリヴィエ。11歳にしては中々の観察眼を養ったようね。嬉しい成長だわ。でも、ちょっと遠回りをした方がいい理由が私にはあるのよ、オリヴィエ。詳しくは言えないけどね。―――それと、ローラで構わないと何度も言っているでしょう? 私とあなたは上司と部下であり、義理の親子でもあるのだから。何か奇妙な事や変わった事があれば、「クリスマスにでも言おう」ではなくて()()()()()私に伝えなさい』

 

 通信用霊装に文字が浮かび上がった。心の内で考えていた事を言い当てられ、オリヴィエは再三、ローラには敵わないと感じる。我ながら恐ろしい上司を持ったものだ。オリヴィエは深く息を吸い込み、霊装を操作した。

 

『―――では、ローラ様。いくつかお言葉を賜りたいのですが』

 

『ええ、言ってご覧なさい』

 

『1つ目ですが、同級生に敵魔術師が紛れ込んでいる可能性が高いという事について、今後の私の動きを変える必要があるのかという事。2つ目は、賢者の石の今後の扱いに関する事について。―――そして3つ目は、ローラ様が私を魔法学校に入れた()()()意図について、です』

 

 羊皮紙には『―――』という間が表示された。オリヴィエがじっと眺めていると、ぽつりぽつりと字が浮かんできた。

 

『成る程ね。オリヴィエ、あなたは本当に素敵な観察眼を持っているものだわ。よく成長した。

 では、順を追って答えましょう。

 1つ目だけれど、特に動きは変えなくていいわ。敵魔術師が居るのは大した緊急事態ではないし、そこであなたが動く必要はない。危害を加えられそうだったら迎撃する、くらいのスタンスで行けばいいんじゃないかしら。

 2つ目はあなたがダンブルドアに答えたようにすればいいわ。あの爺の事だから、どうせ賢者の石を壊す根性があるかとでも聞いたんでしょう? あなたが扱いたい様に扱って、用がなくなれば壊してしまって構わない。元々壊す予定だったみたいだしね。

 最後は3つ目についてね。あなたは今、もしかして私の陰謀の駒にされていると考えているのかもしれないけれど―――それは全く的外れよ』

 

 オリヴィエは息を呑んだ。

 

『私があなたを魔法学校に入れた理由は単純、あなたに学園生活を送らせたかったから。

 必要悪の教会(ネセサリウス)の狭い女子寮の中で、偏った価値観に基づいた凝り固まった人生を送らせるのは、忍びないと思ったのよ。勿論、「魔法と魔術の架け橋」の役割を与えるのも目的の1つだったけどね。―――だからオリヴィエ、ホグワーツであなたはイギリス清教の事情を考えなくていいのよ。普通の人間として、一人の魔法使いの卵として、あなたがしたいように動きなさい。「魔術と魔法を融合させる」なんてあなたの知的好奇心次第で構わないわ。「魔術師としての正しさ」よりも、「人間としての正しさ」を考えなさい。私が言うのは、それだけ』

 

 そう言って、ローラは通信を切った。オリヴィエは、文字越しながらもローラがウィンクしたように思った。オリヴィエの脳内では、ローラの悪戯っぽい笑みが再生されていたのだった。

 ―――『人間としての正しさ』、か。

 ぼんやりと考えながら、オリヴィエは通信用霊装をトランクの中に戻し、絹の掛け布の中に潜り込んだ。オリヴィエの意識は、微睡みの中に溶けていった。

 

 

 

 無機質なようで柔らかい、最早慣れ親しんだ光で目を覚ました。

 

 スリザリン寮は地下にあり、日の光はさして入らない。まぶた越しに眠りかけの脳を刺激するのは、天井から吊るされた銀のランタンだけだ。

 ―――新聞は?

 オリヴィエは寝ぼけながらも手を伸ばした。だが、極度の近視であるオリヴィエは無論空振り。仕方ないので、手探りで探し出した使い古しの銀の丸眼鏡をかけ、窓辺に落ちている紙束を探した。眼鏡によって急にクリアになるオリヴィエの視界は、視界の端に新聞を見つける。夕べにあらかじめ置いておいたクヌート銅貨の代わりに、分厚い新聞がそこに置いてあった。魔法界の新聞―――不思議な事に写真が動く―――といったら、やはりこれだ。―――日刊予言者新聞。

 オリヴィエは何かを確かめる様に、新聞の右上へ目線を移した。書かれていたのは日付で、西暦1991年10月31日、ハロウィーンと書いてある。

 

「―――そうか、11日前か」

 

 オリヴィエは確かめるように口にした。あの禁じられた廊下の先に広がっていた、オリヴィエを試す為の試験場の事を。賢者の石を守護する様々な罠を攻略し、手にした賢者の石。あの血のように真っ赤な石は今も必要悪の教会(ネセサリウス)女子寮の一室に転がっている事だろう。オリヴィエ自ら手がけた一種の―――ともすればウィンザー城や処刑(ロンドン)塔とも張り合える程に強固な守備の―――魔術要塞の中で。

 本日は西暦1991年10月31日。世間的な観点から見れば、ハロウィーンの日だ。

 ハロウィーンとは、秋の収穫を祝い悪霊を追い出す古代ケルト人の祭りが起源だ。米国ではジャック・オー・ランタンなどを飾り、仮装した子供たちが近所の家々からお菓子をもらう催しになっているが、窓際部署とはいえイギリス清教所属―――すなわち十字教徒のオリヴィエにしてみれば聖徒日(オール・セインツ・デイ)の前日という認識に他ならない。しかしながら、ジャック・オー・ランタンとは即ち『彷徨える魂(居るべきでない存在)』である。十字教の『死者は天国・地獄・煉獄のどこかに行き、現世をふらふらする幽霊は偽物かそこさえも締め出された悪人とされる』という教義によって()認定される悲しき存在だ。そういうのは基本的に幽霊狩り特化のロシア成教では重要な日の筈で、殲滅白書(Annihilatus)とかは大忙しなんだろう。イギリス清教の仕事は魔女狩り―――そんなオリヴィエが魔法学校に通っているのだ―――なので、オリヴィエには1ミクロンたりとも関係ないが。

 元々はケルト人のお盆に近いサウィン祭が、十字教の聖人の祝日である聖徒日(オール・セインツ・デイ)と混ざったものらしく、それが現代風に軟化した結果が現在のハロウィーンなんだとか。イギリス清教が支配するこの英国の地においても宗教的意味合いは薄れ、お菓子を貰える日くらいの認識となっている。そして辺境とはいえ英国領土に存在するホグワーツ魔法魔術学校であっても、ハロウィーンの馬鹿騒ぎの波は押し寄せていた。なにせ朝から校舎中に美味しそうなお菓子の匂いが漂っていて、誰も正気を保てなかったのだ。オリヴィエでさえ若干浮かれたのだから、他の生徒は尚更だ。―――30年後くらいになって、極東の首都で起こる大騒ぎに比べれば大人しいが。

 

 回想しながら紅茶を啜り、小さく息を吐く。トーストの最後の一欠片を口の中に放り込み、授業終わりで上機嫌なオリヴィエは食堂を出た。出てすぐ、夜まで待ち切れないように漂う、パンプキンパイの香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。存在するだけで気分が良くなるいい匂いが、そこらじゅうに漂っていた。

 

「こんなにいい匂いがしているのに、お菓子は夜までお預けなんて残念ね。オリヴィエもそう思わない?」

 

 大きく息を吸ってから、ダフネ・グリーングラスが言った。ドラコ・マルフォイ率いる一団の末端らしいオリヴィエは、同じくドラコと付かず離れずの距離を保っているダフネと親しい。お菓子が楽しみで若干浮かれていた事を見透かされていたようで、オリヴィエは一瞬言葉に詰まった。オリヴィエは咳払いをして、

 

「まあ……今日1日のやる気になったんだしいいんじゃないの? 今日の授業は終わったし、午後いっぱいを適当に過ごせば夕食の時間はすぐでしょう。今だろうが夜だろうが結局は食べられるしね。それに、ハロウィーンの本分はそこじゃないんじゃなかったっけ?」

 

 と、さりげなく話題をずらした。ダフネは不服そうな顔をして言った。

 

「そんなの分かってるわよ。詳しい事は知らないけど、元々は脅してお菓子を貰う行事じゃないんでしょう? オリヴィエ、あなたマグルみたいな事言うのね」

「脅して、って。それとマグルは関係ないでしょう……」

 

 オリヴィエがやれやれと言った風に首を横に振った。「相変わらずのマグル贔屓。そういうところが嫌われるのよ」と、ダフネはにやっと笑った。ダフネのみならずスリザリン生は―――純血の生徒が多いからか―――純血主義者が多いが、今の言葉が冗談半分なのは明白なので、オリヴィエもくすくすと笑う。

 オリヴィエはダフネと並んで歩きながら、図書館へと向かった。オリヴィエのここ最近の趣味の為で、一日一冊、図書館の本を片っ端から覚えるのだ。ホグワーツの図書館には『閲覧禁止』書棚でなくても興味深い本が―――稀に下らない(ロックハートとかいう作者の)本も見かけるが―――大量に並んでいる。それを放置するのは、魔導書図書館の異名をとるオリヴィエとしては看過できない。ホグワーツは何万冊という蔵書数を誇り、7年間毎日通っても飽きない程―――蔵書数を5万冊として、一年に9ヶ月図書館通いを7年間続けると、2〜3日に一冊で大体ぴったり読み終わる―――豊富な種類の書物が存在するのだ。卒業するまでに図書館の本全てを記憶していくというのが、オリヴィエの目標になっていた。

 

「―――えっと、私は図書館に行こうと思うんだけど、ダフネはどう?」

「私はいいわ。今日はそういう気分じゃないし……あのガリ勉マグルとばったり会ったら気分が悪いじゃないの」

 

 オリヴィエは真鍮のプレートを指差しながら、ダフネも図書館に誘ったが、あっさりと断られてしまった。―――ガリ勉マグル、とはハーマイオニー・グレンジャーの意だ。スリザリン生らしいダフネの物言いに苦笑いし、オリヴィエは「じゃあ、夕食の時に」と言ってダフネと別れ、一人で図書館に入った。

 ホグワーツの図書館はいつも静謐な雰囲気だ。オリヴィエはその雰囲気が好きだったが、息苦しさを感じる人間も少なくないだろう。分厚い本が見上げるほど高く積まれている圧迫感なのか、それとも司書のマダム・ピンスがいつもむすっとした表情でカウンターから睨んでいるからなのか、それは推し量りようもない事だ。だがホグワーツの図書館は常に高度な知識を与えてくれる。それだけは確かだ。

 オリヴィエは洒落た本屋のような木製の書架の前に立った。ずらりと並ぶ革の背表紙を辿り、今日記憶する一冊を探す。未だ『a』の目次から抜け出せない事には蔵書数の多さを感じるが、それでこそ覚え甲斐はあるというものだ。

 背表紙を指でなぞりながら、題名の頭文字を小声で読み上げた。『al』……『am』……『an』……あった。昨日覚えた本の次にある分厚い本だ。

 今日の一冊―――『ヨーロッパにおける魔法教育の一考察(An Appraisal of European Magical Education)』。

 開いて読んでみれば、題名の通り魔法学校について書いたものだった。図書館で特に記憶したのが閲覧禁止の書棚だったせいで、図書館の蔵書は危険な魔法の本なのかと勘違いしていたが、案外普通の本も多いのだ。

 この本は、ホグワーツ以外の魔法学校についても記述されている。魔法の教育機関は世界各国に数あれど、国際魔法使い連盟に認められた魔法学校はたったの11校しか存在せず、その内の一校はホグワーツだ。ホグワーツ以外にも、世界には、フランス語圏のボーバトン魔法アカデミーや北欧の最北にあるらしいダームストラング専門学校、アメリカのイルヴァーモーニー魔法魔術学校などがあり、他にも極東やブラジル、アフリカ、オセアニアなどに存在するようだ。特にボーバトンとダームストラングはホグワーツと並ぶ由緒ある魔法学校で、かつてホグワーツと三校共同で三大魔法学校対抗試合(トライウィザードトーナメント)という催しを行なっていたらしい。各校の代表者が三つの危険な試練に挑む事で優劣を競っていたが、負傷者が出すぎた為、最後の開催から今に至るまで約200年間開催されていないようだ。禁止される程苛烈な試練、一度くらいは見てみたいとオリヴィエは思った。

 『ヨーロッパにおける魔法教育の一考察』を一通り読んで、オリヴィエはふと気付いた。というのも―――『ヨーロッパにおける魔法教育の一考察』とは全く関係がないのだが―――、毎日蔵書を記憶しに来ているオリヴィエと肩を並べられるくらい高頻度でハーマイオニーが居るのだが、今日はどこにも見当たらないのだ。この広い図書館の中で特定の人物を探すのは至難の業だが、オリヴィエとハーマイオニーは興味の方向性が似ているのか、一日に一回は手に取る本が被るのである。なので否が応でも顔を付き合わせるのだ。少女漫画あるあるで『本を取る時に手が重なる』というものがあるが、それが毎日起きる訳だ。―――無論、そこにロマンスはない。

 真面目で勉強熱心なハーマイオニーはとにかく本を読み込んでいる。一年生ながら既に才女として名を馳せた要因は十中八九、いや100%本のおかげだろう。そんなこんなでオリヴィエとハーマイオニーはよく会うのだが、グリフィンドール生とスリザリン生という関係性のせいか、図書館の中でそこまで会話は発展しない。まあ静かな図書館の中では流石のハーマイオニーもあのアナウンサー並みの饒舌っぷりが鳴りを潜め、ただでさえ口下手なオリヴィエが相手なのだから、当然といえば当然だ。オリヴィエは特にハーマイオニーと話す理由もない訳だし。

 まあ、そんな事は些事だ。今日は気が向かなかっただけかもしれない。そこはオリヴィエの推し量りようもない事だが―――気が向いたらグリフィンドール生に聞いてみよう。

 そう思いながらオリヴィエは、『ヨーロッパにおける魔法教育の一考察』を閉じた。そして書架の空白にそれを戻し、図書館から退室した。

 

 本能的に寮に帰ろうと歩き始めたオリヴィエはふと思い立って、校内徘徊を始めた。いつもの事であり、教授の誰かに見つかって咎められるところまでがワンセットだ。―――スリザリン生だから避けられているのか、他寮の監督生にはとやかく言われないのだが。

 ―――ああ、今日はハロウィーンだな。

 今日は何処へ行ってもそう感じる雰囲気だった。一部の元気なグリフィンドール生は『フィリバスターの長々花火』なんかを爆発させかねない勢いだったそうだし、オリヴィエはより夕食時が楽しみになった。

 ふらふらと廊下を歩いていると、何処ぞから話し声が聞こえてきた。記憶と照会してみると、グリフィンドール生のラベンダー・ブラウンと、噂をすればハーマイオニーのようだ。さりげなく近付くと、結構鮮明に聞こえる。聞くに、こんな会話だった。

 

「ハーマイオニー、あんまり、その……気にしない方がいいわよ。ロンだってそんな、悪気があった訳じゃないと思うし……ねえ、今日はハロウィーンよ。夕食の時にきっと素敵な食事があるわ。トイレの中で過ごしてちゃ勿体ないわよ」

「―――悪気が無くて、あんな事は言わないわ……なによ、あんな風に言う事ないじゃない。『スリザリン生の方がましだ』なんて……ううっ」

 

 オリヴィエは、ハーマイオニーが図書館に居なかった理由に丁度いい説明がついたと思った。大方、ブラウンが言う『ロン』―――記憶と照会するに、赤毛のウィーズリー―――が、ハーマイオニーの悪口を言ったのだ。ハーマイオニーの性質や伝聞、今の発言から推測するに、「知ったかぶり」―――ハーマイオニーが授業内で豊富な知識を披露するのは有名な話だ―――だの「偉そう」だのと言い、「それならスリザリン生の方がまだましだ」とでも付け足したのだろう。ウィーズリーの中でそれがただの軽口だったのか本気の罵倒だったのかは推し量りようもないが、ハーマイオニーの心には深く突き刺さったのだろう。そして今、トイレの中に籠っている、と。ハーマイオニーは実に豊かな感受性を持っているようだ。

 壁に寄っ掛かりながら二人の会話を聞いていると、会話が途切れ、女子トイレから俯いたブラウンが出てきた。ハーマイオニーは側に居ない。ブラウンの説得は失敗したようだった。

 ―――立ち直れるといいけど。

 まあ、人間そこまで軟弱ではない。晩餐の甘美な匂いを嗅ぎつければひょっこり出てくるだろう。ついでにウィーズリーと和解すると良い。ハーマイオニーは特に放っておいて損は無いが、夕食時になっても全く姿を見せないようなら様子くらい見に行ってもよかろう。オリヴィエはそう思い、トイレの側から離れた。

 

 

 

 校内を一通りぶらぶらした後、寮に戻ったオリヴィエが次に寮を出たのは、夕食を取るためだった。無論他の寮生も一緒だ。全員―――かはわからないが、キッチンに待機していた美味しいお菓子を朝から待っていたのである。それはオリヴィエも同じで、誰にも気付かれないようにスキップしながら大広間―――ハロウィーンの装飾がされていて、とても煌びやからしい―――に向かっていたのだった。

 大広間に入ってみると、本当に素晴らしい装飾がなされていた。見上げる程に高い天井には大きなかぼちゃがくり抜かれた、ジャック・オー・ランタンがふわふわ浮いていた。天井近くでは蝋燭が揺らめいて、空には生きた蝙蝠が黒い大きな塊となって飛び交っている。そして入学式の様に4つの長テーブルと金の大皿が用意されていて、蝋燭の暖かな光を反射して照っていた。

 ダンブルドアが手を叩くと、テーブルの上に現れたのは山の様に用意された豪勢な料理だ。入学式の時と同じく、イギリスの伝統を引き継ぐじゃがいも料理も目についたが、ハロウィーンらしくかぼちゃ料理が多い。かぼちゃパイやかぼちゃケーキの様なお菓子は勿論、主食になる様なアレンジもされている。

 ―――そういえば、ハーマイオニーが居ない。

 グリフィンドールのテーブルを眺め、オリヴィエは思った。精神的に重傷だったのだろうか。気が向いたら見に行こう、とオリヴィエは考えつつ、ご馳走にまた目を向けた。

 オリヴィエは元ネタに倣って自然の恵みに大いに感謝し、皿に料理を取り始めた。いずれも入学式と変わらず絶品であり、オリヴィエはささやかな幸せを全身で味わう。オリヴィエがかぼちゃパイに齧り付こうとすると、突然響き渡ったドアの開閉音によってそれは妨げられた。

 現れたのはクィレル教授だった。教授は全速力で大広間を駆け抜け、ダンブルドアの席へ一直線に向かった。全員の視線が教授に向かって降り注いだ。テーブルに縋りながら、消え入るような声で、教授は言った。

 

「トロールが……地下室に……お知らせしなくてはと思って」

 

 言ったきり、教授は気を失って倒れた。最前列にいた生徒からざわめきが起こり、それはあっという間に伝播した。嘘を疑う猜疑心とトロールが侵入したかもしれないという動揺が生徒の脳内を一斉に走り抜け、大混乱になった。

 スリザリン・テーブルでも混乱の渦が起こった。ドラコ・マルフォイなんぞは、いつもの尊大な態度は何処へやら顔面蒼白だった。やっつけようと言う者が居たり真っ先に逃げようとする者がいたり、寮が地下であるだけに他寮よりも混乱は大きかった。

 ダンブルドアが杖から紫色の火花を出し、やっと騒ぎは落ち着いた。しかし動揺の波は未だ引かなかった。

 

「監督生よ―――すぐさま自分の寮の生徒を引率して帰るように」

 

 ダンブルドアが重々しい声で言った。一拍置いて、スリザリンの監督生・ジェマが声を張り上げた。各テーブルから監督生の声が上がる。ジェマは大声で指示を出し、付いてくるように言った。

 オリヴィエは席を立ちながら、万が一にもあり得ない状況だと思った。ホグワーツは曲がりなりにも世界随一の魔法学校であり、警備は並大抵のものではない。トロールのような力任せの馬鹿が侵入できる訳がないのだ。だが、オリヴィエの魔術師としての感覚は、トロールの気配を感じ取っていた。一度やりあったのだから間違いない筈だ。本当にトロールが侵入したのだ。

 しかし、クィレル教授の言った場所と気配の座標が違う。トロールは地下ではなく、もっと上層階に居た。2階をうろうろしており、3階へ上がるかどうかという動きだ。クィレル教授の情報が不正確だったのはさておき、そうなると一つ困った事があった。

 ―――ハーマイオニーが近い。

 ハーマイオニーが居るのは3階女子トイレの中だ。そして彼女は、トロール侵入騒ぎを知らない。オリヴィエがやりあったトロールと同程度の強さであれば、優等生のハーマイオニーとはいえ手も足も出ないかもしれない。オリヴィエが異常なだけで、同級生は皆ただの11歳なのだ。恐怖で体が動かず―――などという展開は想像する事など容易い。

 ―――でも、これは私が動く時じゃ……

 『「魔術師としての正しさ」よりも、「人間としての正しさ」を考えなさい』

 二の足を踏んだオリヴィエに、ローラの言葉が頭をよぎった。

 魔術師として正しい()()()()判断は真っ直ぐスリザリン寮に帰る事だった。ここはオリヴィエの出る幕ではなく、悪目立ちは逆効果だからだ。しかし、人間としての正しい判断はそうではないのではないだろうか。ここでオリヴィエがするべき『人間として正しい判断』は、監督生に従って寮に帰る事ではないのではないのだろうか。

 そう考えていると、体が勝手にスリザリン生の集団から離れていた。

 

 

 

 耳を澄ませば、しくしくと啜り泣く声が耳に届いた。場所は3階廊下、女子トイレの入口付近だ。近くには見当たらないが、トロールはじわじわと近付いてきているという実感がオリヴィエにはあった。

 オリヴィエは、ゆっくりと一歩踏み入れた。中には、木製の個室と洗面台がいくつか行儀良く並んでいる。個室の中の1つには鍵がかかっていて、泣き声はその中から聞こえていた。オリヴィエは革靴(ローファ)を鳴らしながら近づき、3回ノックをした。こんこんこん、という小さな音が、狭い部屋の中で反響した。

 

「―――誰?」

 

「オリヴィエ・コニアテス」

 

 ハーマイオニーがしゃくりあげながら涙声で聞いたので、オリヴィエは短く答えた。ハーマイオニーは一拍置いてから、ぐずぐずの声で言った。

 

「なんで……こんな所にいるのよ。あなた、スリザリン生じゃない」

 

「―――寮なんて関係ないでしょう」

 

 オリヴィエは静かに言った。ハーマイオニーはまたしゃくりあげ、「冷やかしに来たのね」と、敵意を孕んだ声で返した。オリヴィエは眉を下げ、溜息を吐いた。そして、また個室の戸をノックした。

 

「冷やかしに来た訳じゃないの。―――とりあえず、個室から出てくれない? ちょっとしたトラブルがあって、危険が近づいてる」

 

「嫌よ。だって、私―――」

 

 ハーマイオニーが言いかけて、被せるようにブァーブァーというあの不快な声が聞こえた。無論ハーマイオニーも聞いていて、何かに気づいてぴたりと言葉を止め、個室の戸を少し開けて外を覗き見た。

 

「―――ッチ、来たね。手間が省けたよハーマイオニー、これがトラブルなんだよ」

 

 オリヴィエは、入口に現れた大きな影を睨みながら言った。鈍色のずんぐりとした巨体に反比例して小さな頭、つんと鼻をつく悪臭、原始人のような簡素な服装―――トロールがそこに居た。愚鈍なトロールはよたよたと部屋の中に入り、そのひょろ長い腕で棍棒を振り回した。個室を構成する木が崩れる音と、ハーマイオニーが叫ぶ声が重なった。結局の所戦うのか、とオリヴィエは溜息を吐いた。ハーマイオニーが見ているし、魔術は得策ではない。ここは身体強化魔術と魔法で応戦し、ハーマイオニーを逃がすことを優先しよう。オリヴィエは即座に杖を引き抜き、トロールの反対方向に杖先を向けた。

 ―――トロールよ動け(ロコモーター・トロール)

 トロールは杖の向いた方向に吹き飛んだ。移動するだけの呪文でも、魔力の練度さえ弄ればこうなる。壁に蜘蛛の巣状のひび割れを入れたトロールを尻目に、オリヴィエはハーマイオニーの手を掴んで、個室から強引に引っ張り出した。

 

「ハーマイオニー、逃げて! ここは私に任せて、早く!」

 

 オリヴィエが叫ぶと同時に、トロールが起き上がった。トロールは鈍い動きで棍棒を手に取り、オリヴィエとハーマイオニーに照準を合わせた。ハーマイオニーは引っ張られた勢いで転びそうになっていた。片足立ちでバランスを崩したハーマイオニーのその隙はトロールに見つかり、トロールはなんとかオリヴィエを迂回して、ハーマイオニーを殴ろうと棍棒を振り上げた。

 

「走って!」

 

 ―――退け(デパルソ)

 叫ぶと同時、オリヴィエは魔法を撃ち込んだ。トロールはまたも吹っ飛び、壁に衝突。宣告入れた亀裂を更に深めるように、トロールは壁にめり込んだ。

 

「なんで―――ッ!」

 

 ハーマイオニーが絶望に染まった叫び声を上げた。オリヴィエが急いで振り向くと、ハーマイオニーがドアノブをガチャガチャしながらドアを叩いている。驚いた事に、鍵がかけられているのだ。がたがたの足でドアノブに縋っていたハーマイオニーだったが、ドアノブを掴む手から力が抜けて、その場にへたり込んだ。

 その内、トロールは再び起き上がった。トロールは何度も壁に打ち付けられて満身創痍だったが、気力だけは未だ元気らしい。叫びと反響はトロールを挑発してしまったらしく、トロールは鼻息を荒げて立ち上がった。

 ―――トロール相手に、動けないハーマイオニーを守りながらはきつい。トロールは殆ど満身創痍だけど、自殺覚悟で殴られたらハーマイオニーの方に被害が出るかもしれない。ここはハーマイオニーだけでも逃さねば。応援も呼べない状況でどうすればいいんだ……

 

「ハーマイオニー!」

 

 オリヴィエの思考を分断するように、鍵の開く軽い音と大声が響いた。見れば、焦ったポッターとウィーズリーが女子トイレに駆け込んできている。

 ―――馬鹿じゃないの! 自殺行為だ。

 オリヴィエは信じられないという目で、ポッターとウィーズリーを見た。いくらハーマイオニーが心配だからって、一年生がたった二人でトロール退治に来たなんて無謀にも程がある。

 

「ハーマイオニー……?」

 

 ポッターはドアの傍にへたり込んでいたハーマイオニーを見て、思わず声をあげた。ポッターはハーマイオニーに手を差し伸べながら、庇うように前に立ち、トロールに視線を送っていた。

 

「そうか。さては、トロールを入れたのはスリザリン生だな。どうせスネイプの指示なんだろう」

 

「そんな訳ないでしょう。教授をなんだと―――ッ、危ない!」

 

 ウィーズリーに反論しようとしたオリヴィエの言葉は、途中で遮られた。視界の端に、棍棒を振り上げるトロールの姿があったのだ。オリヴィエが集中を欠いていた隙に、トロールはハーマイオニーとポッターに忍び寄っていた。棍棒が二人の頭上に迫る。ポッターはハーマイオニーを庇うべく立ちはだかり、棍棒の一撃に備えて目を固く瞑っていた。無論それをオリヴィエが見逃すはずもなく、オリヴィエは流れるような動作で、右手に持っていた杖を振り上げた。

 ―――まずは守るのが優先だ! (プロテ)

 

「―――ゴ……ッ!?」

 

「ヴィンガーディアム・レヴィオーサ!」

 

 瞬間、オリヴィエの魔法に被せて別の魔法が発動された。ポッターのものかウィーズリーのものか、あるいはハーマイオニーのものか。オリヴィエの魔法は未発動のまま瓦解し、杖は半端な位置で静止した。

 トロールは白目を剥いて、膝から崩れ落ちた。床に倒れこんだ衝撃で発生した風が、砂塵を巻き上げる。眼鏡には堪える砂吹雪だった。それを目の当たりにしたオリヴィエは、ぽかんと口を開けたまま固まっていた。オリヴィエの代わりにトロールにとどめを刺したのは、他でもない()()()()()()()だった。

 

「ねえ、ロン……?」

 

 ハーマイオニーが呆然と言った。それを時間差で聞き取ったウィーズリーが、高々と掲げたままだった杖をゆっくりと下ろした。ウィーズリーの放った浮遊魔法はトロールの棍棒を天井高く浮遊させ、落下の衝撃でトロールびとどめを刺していたのだった。

 

「ウン、あの、―――これ、死んだのかな」

 

 ウィーズリーもぼんやりと言った感じだった。オリヴィエも自我を取り戻しながら、

 

「―――いや、多分、ノックアウトされただけじゃないかな。でも……」

 

 被せて、集団の足音が聞こえた。そっちを見遣ると、マクゴナガル教授とスネイプ教授、クィレル教授が順番に駆け込んできていた。マクゴナガル教授は唇を真一文字に引き締めていて、顔面蒼白だった。予想されていた事態だったが、マクゴナガル教授の雷が今にも落ちそうなのは火を見るよりも明らかだった。

 スネイプ教授がトロールを覗き込んだが、クィレル教授はそれどころではなさそうだった。発作を起こしたように崩れ落ち、胸を押さえながら浅く呼吸を繰り返していた。

 

「一体全体、あなた方はどういうつもりなんですか」

 

 マクゴナガル教授が張り詰めた声で言った。場の空気が、ぴりりと張り詰めた。

 

「殺されなかったのは運が良かった。ですが、寮に居るべきあなた方がどうしてここに居るんですか?」

 

 教授がひんやりと目を細める。スネイプ教授が、裁縫針の先のような鋭い視線を向けた。部屋はしんと静まり返っていた。オリヴィエは口を開こうとして、小さな声に遮られた。

 

「マクゴナガル教授、聞いてください。―――三人は、私を助けに来てくれたんです」

 

 「ミス・グレンジャー!」と、マクゴナガル教授が声をあげた。ハーマイオニーは震え声で、淡々と言った。

 

「私がトロールを探しに来たんです。私……私、一人でやっつけられると思いました。―――トロールについては、本でたくさん読んで知っていたので」

 

 からんからんと音がした。ウィーズリーが取り落とした杖の音だった。何ということだろう。あのハーマイオニーが、しかも先生に対して、真っ赤な嘘を吐いている。一体どんな心境の変化が起きたというのだ。

 

「もし三人が私を見つけてくれなかったら、私、今頃死んでいました。ハリーは私を庇ってくれ、ロンは棍棒でトロールをノックアウトしてくれました。オリヴィエは真っ先に駆けつけてくれ、私を守りながら戦ってくれました。三人は誰かを呼びに行く暇もなかったんです。私は殺される寸前でしたし、真っ先に来たオリヴィエもトロールを遠ざけるので一杯一杯で……」

 

 言って、ハーマイオニーは黙りこくる。事実を巧妙に混ぜた虚偽だった。だが、オリヴィエもポッターもウィーズリーも、これをぶち壊してまで事実にこだわる性分ではない。三人は揃って、「その通りです」という風を装った。

 

「まあ、そういう事でしたらとやかくは言いませんが……。―――ですがミス・グレンジャー、何と愚かしいことを。たった一人で野生のトロールを捕まえようなんて、そんなことをどうして考えたのですか?」

 

 至極当然な疑問だった。ハーマイオニーは誰が見ても品行方正な優等生だ。それがどうして、こんなことを考えたのかは、誰もが疑問に思うはずだ。それを一番分かっているのだろう本人、ハーマイオニーは下を向いてうなだれた。マクゴナガル教授は小さく息を吐いて、その続きを告げた。

 

「ミス・グレンジャー、グリフィンドールから五点減点です。あなたには失望しました。怪我がないならグリフィンドール塔に帰った方がよいでしょう。生徒達が、さっき中断したパーティーの続きを寮でやっています」

 

 ハーマイオニーは俯きながら帰っていく。マクゴナガル教授はハーマイオニーから目を離すと、オリヴィエ達の顔を見ながら続けた。

 

「先程も言いましたが、あなた達は運が良かった。ですが、大人の野生トロールと対決できる一年生はそうざらには居ません。一人五点ずつあげましょう。ダンブルドア先生にはご報告しておきますから、帰ってよろしい」

 

 オリヴィエは小さく頭を下げ、女子トイレを出た。ポッターとウィーズリーも、オリヴィエの後ろについてくる。長い廊下を黙って突き進み、オリヴィエが階段を下ろうとした時、ウィーズリーが登り階段の一段目に足を乗せながら、独り言のように言った。

 

「二人で十点は少ないよな」

 

 いかにも不満そうな声色だった。ハーマイオニーの減点も引けば五点になる、とポッターが訂正する。完全に蚊帳の外なのは承知の上で、オリヴィエはぽつりと思った事を、迷わず口にした。

 

「私は申し訳ない事をした。私だけスリザリン生で、ハーマイオニーの減点お構いなしに一人で勝手に五点を持っていった訳だし。とどめを刺したのはウィーズリー、あなたな訳だから、私はゼロで、グリフィンドールがもう五点くらい貰えれば良かった。まあ、あなたの行動が無くても私はトロールをやっつけていたけど、するべきだったかしないべきだったかは分からないよね。でも感謝はしているよ。―――ありがとう、ウィーズリーにポッター。トロールを倒せたのは、あなた達のお陰だよ」

 

 思った事をそのまま出した結果、存外支離滅裂な文章になった。オリヴィエの発言がでしゃばりなのは火を見るよりも明らかだったが、だとしても口に出さずにはいられない。ポッターもウィーズリーも、オリヴィエの方を見ていた。ポッターは小さく息を吸って、吐くと同時に言葉も出した。

 

「感謝するのは僕こそだよ。―――ありがとう、オリヴィエ。それと、僕はハリーだ。『ポッター』って呼ばれるのは、先生かマルフォイだけで十分だよ」

 

 耳に飛び込んだ音声は衛星放送の如く遅延しながら脳に到達する。言葉の意味を理解したオリヴィエは、階段を一段下ったまま静止した。

 ―――感謝、された?

 オリヴィエは仕事上、感謝されることが滅多に無かった。必要悪の教会(ネセサリウス)は血で血を洗うような残酷な仕事や非人道的な仕事が多い。魔導書図書館など尚の事だ。故に、慣れないで反応が一瞬遅れた。ポッターが仄かに笑った。ローラの言う、『人間としての正しさ』の結果がやっとついてきた気がした。

 

「―――そう。ありがたく受け取って置くね。ええと、ハリー?」

 

 オリヴィエが、独り言じみた小声で言った。ポッターとウィーズリーは何も言わなかったが、きちんと伝わったのは不思議と分かった。場の空気がそれを如実に物語っていた。

 

 オリヴィエは黙々と階段を降り、大理石で出来た地下へと降りていく。石戸の向こうの談話室で上級生達がパーティーの続きをしていたが、オリヴィエは無視して、一目散にベッドに入った。どうにも今日は、オリヴィエにとって何か決定的な記念日のような気がしたのだ。

 

 

 

 人間関係とは不思議なもので、その後オリヴィエはポッター、ウィーズリー、ハーマイオニーと親しくなる。ポッターとウィーズリーはハーマイオニーと和解して仲良し三人組となり、オリヴィエは気がつくと、その三人組を四人組にしていた。寮を超えた友好関係、それは以前であれば寮内での孤立を恐れて避けていたかもしれない事だった。だが今となっては、オリヴィエはそれを恐れない。オリヴィエはイギリス清教の都合は考えない。オリヴィエは新しく、『魔術師としてではなく、普通の魔法使いとして学園生活をエンジョイする』という仕事を賜ったのだから。




 ハロウィンイベント終了! オリヴィエちゃんが仲良し三人組を四人組に拡張しましたね!
 そして謝罪しなければなりません。なんと一月も投稿していなかったのです。誠に申し訳ない。
 実の所、近頃は学校が始まった上、人類最後のマスターになった(FGOを始めた)影響で人理修復に忙しくしていた(小説そっちのけでゲームしていた)のです。しかも人理修復すら停滞中。
 いやはや申し訳ない。
 次はchristmasになります。万歳! 詳しい内容はまだ全くのノープランなのですが、遅筆は遅筆なりに頑張るので何卒お待ち下さいお願いします焼き土下座するので。
 では、この辺りで目を離して頂いて、
 次話に進んで頂ける事を祈りつつ、
 今話はこの辺りで筆を置かせて頂きます。(鎌池和馬先生風)

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