しなの
「ここは..何処...なんだ...」
目が覚め、最初に思った事がそれだった。
俺は周りを見渡すが見えるのは辺り一面に広がる青い海と青い空だけだ。
しなの
「マジで何処だ...ここは...」
しなの
「俺は...確か、南西諸島沖で...中国海軍の艦載機からのミサイル攻撃で被弾して...それから━━いや、止めとこう、嫌な事は思い出すもんじゃないな」
しなのは沈んだ時の事を一旦忘れる事にした。
しなの
「...てか、今更だが、何で俺は人間になってるんだ?何故海の上に立っているのかは、なんとなく想像できるが...」
しなの
「...考えても無駄か、今はこれからの事について考えないとな」
俺は悩んだ、これから先、どのように行動し、そして、何処に向かうべきなのか。
しなの
「現在地が分かればいいんだが...あ...!」
その時俺は閃いた、GPS見ればいいじゃん!と、しかし...現実は残酷だった...。
[GPS受信不能]
俺の艤装?にアームで固定されたタブレット型端末にはGPSに受信できないと告げる文字が表示された。
しなの
「終わった...」
しなの
「救難信号でも出してみるか...?」
救難信号を出すと言う手もあるが、この状態で救助された時、どう説明すれば良いのだろうか...。
第一、ここは俺が知っている世界なのか?まず艦が人間になる時点でおかしい、それに、何だろう...空気がとても新鮮な感じがする。
しなの
「...偵察機を出してみるか?」
俺の脳裏に、偵察機によるこの海域一帯の情報収集、及び現在位置の特定を閃いた。
しなの
「よし、偵察の為にF35を数機上げるか」
しなのがそう判断して艦載機を発艦させようとした時だった。
ポンーポンー
突然、ソナーが何かを探知した時の様な音が耳元から聞こえた。
しなの
「今のは...ソナーの探知音か?って、ヘッドフォンしてたのか...全く気づかなかった...」
そして、ふと艤装を見ると、艤装にアームで固定されている大型のタブレット端末にソナーと書かれた画面が写し出された。そこには、丸形の表示が黄色でされ、隣には小さな文字でUNKNOWNと書かれていた。
しなの
「成る程...つまりこのタブレットはレーダーになったりソナーにもなったり、はたまた火器管制まで出来るのか...凄いな」
しなの
「って、感心してる場合じゃないな」
しなのはもう一度耳元のヘッドフォンに耳を傾け、同時にタブレットの画面を見る。
しなの
「潜水艦か...?」
しかのは直ぐに音紋の解析を行った。
しなの
「データにナシ...か...」
解析の結果、しなののデータベースには登録されていない音紋だった。ここで、しなのは少し不安になっていた。所属不明の潜水艦がこちらに向かってきている上、データにも無いのだから無理もない。しかし、しなのの姿は人間ではあるが、それと同時に海上自衛隊の護衛艦でもあるのだ、こんなことで不安になってはダメだと、しなのは自分に言い聞かせ、一旦落ち着く。
しなの
「ふぅ...よし、さてと、どうするかな」
しなのはひとまず現在の状況をまとめてみる。
現在の自分の状況は一言で言えば最悪だ。GPSが使えない今、現在どこに居るのか分からず、また所属不明の潜水艦がこちらに向かってきている。
しなの
「あの潜水艦に接触するか...気づかれる前にこの海域を離脱するか...さて、どうするかな...」
しなのは数秒考えた末、所属不明の潜水艦に接触することにした。現在位置が分からず、また情報も不足している今の現状を考えれば、こう判断するしかなかった。
その時、流石にいきなり撃って来る何て事は無いとしなのは思っていた。
しかし、その考えは甘かった。
ヘッドフォンからは先ほどとは違う音が聞こえてきた。
しなの
「ん?何だ?この音...って、まさか!」
ピコンッ!
そう、ヘッドフォンから聞こえた音...それは...魚雷発射管の注水音だったのだ。そして数秒後、タブレットの画面上には、魚雷と思われる物が2本、右舷からこちらに向かってきていることを示すマーカーが写し出されていた。
しなの
「くそ!いきなり撃って来るかよ!普通!」
しなのは焦りきった声でそう叫んだ。
しなの
「機関 最大船速!」
しなのがそう号令すると、機関部からは、甲高い機械音と同時に、しなのは徐々に前に進んで行く。
しなの
「っ!潜水艦を見失ったか...まぁ、当たり前か」
機関の速力を上げると、機関部から発生する騒音のせいでソナー感度も低下してしまう為、一時的に潜水艦を見失ってしまったのだ。
こんな時は曳航式ソナー等を用いるのだが、あいにくしなのには装備されていない。しかし、今の状況的に潜水艦に構っている暇も無く、しなのは魚雷の回避に精一杯だった。
1本...2本...と魚雷を躱して行き、最後の2本目を回避すると、しなのはすぐさま対潜戦闘に入った。
しなの
「対潜戦闘用意!」
しなのがそう号令すると、艤装からは戦闘を知らせるアラームが鳴り響く。
しなの
「航空機 緊急発進!対潜警戒を厳となせ!」
しなのの飛行甲板からはSH-60k対潜哨戒ヘリコプターが発艦した。
その数分後、敵潜水艦から第2射の魚雷が発射された。
次は4発、また、必ず当たる放射線状に発射されていた。
しなの
「ちっ!対潜戦闘!右舷 22式ATT一番から四番っ
撃て!」
しなのの艤装に装備している、22式ATT 対魚雷用魚雷4連装発射機から迎撃用の魚雷が4発、右舷から発射され敵潜水艦が発射した魚雷へと向かう。
そしてその数秒後、双方が発射した魚雷が衝突し、大爆発が起こる。
そして、先ほど発艦したSH-60kが敵の潜水艦を捕捉した。
しなの
「対潜爆弾を敵潜の新路上に投下!」
しなのの号令の後、SH-60kは1発の対潜爆弾を敵の潜水艦の進路上に投下した。
投下後、直ぐに水しぶきが上がり「ズドーン」と言う爆発音が周りに響いた。
敵の潜水艦は一時的に機関を停止した。
この隙をしなのは逃すはずもなく、全速力でこの海域を離脱した。
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しなのがこの海域を去ってから数分後、水面から一人の少女が顔を出した。先ほどしなのを攻撃したアズールレーン ユニオン所属の潜水艦 デイスだ。
デイス
「私の魚雷を全部避けるなんて...何なのあのKAN-SENは...見たこともない航空機に、魚雷を魚雷で迎撃するし...重桜の新型のKAN-SEN...?取りあえず、早く基地の皆に知らせないと!」
デイスはそう言うと、アズールレーン基地に向けて進路を取った。
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某海域の上空
そこには近未来的な艤装を持ち、タコのような触手をもつ女が二人、空中からしなのの様子を伺っていた。
???
「へぇ~面白い子が来たわね」
???
「あのKAN-SENをどうする気だ?」
???
「そうね、暫くは様子見かしら」
???
「彼の持っている力にても興味があるわ」
???
「はぁ~まぁ良い、我々の計画に支障がきたさなければな」
???
「ふふ、さぁ 見せて頂戴、あなたの力を」
如何だったでしょうか?
久しぶりの投稿になるので可笑しな点があるかもしれません。ご了承下さい。
皆様からのコメント アドバイスお待ちしております。
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(KAN-SEN一人しか出せなかったけど、次回は沢山出す
予定です。)