「ふむ…『愛してるゲーム』か。」
暇を持て余しているようだったルドルフに持ちかけてみたのは、所謂リア充専用のクソゲーと名高い物だ。
「そう、ルールは簡単で互いに愛していると言い合って先に照れた方が負け、っていう…まぁ、下らないゲームだけどさ。」
傍から見ればバカップル…いや、正真正銘の阿呆に見えなくもないこのゲームだが、正直付き合ってもいない2人がやった所で何が楽しいのか分からない
どうせ断られるだろうと思いながらも、「やるか?」なんて軽く笑って相手の返答を待つ。
つもりだった。
「わかった、してみよう。」
…ノリノリであった。なんなら少し悪戯を仕掛けようとする子供のような笑みが混じって見える。その直後、こんなルールを付け加えてきたのだ。
「負けた方は勝った方の言うことをひとつ聞く、というのはどうだ?」
…どうせ九分九厘ダジャレを考えてくれとか、そういうものだろうな、などと思いつつも「分かった、それで行こう。」と言葉を返し、ゲームは開始された。
――――――
3本先取ということで始まったのだが恐ろしい事に互いに1歩も譲らず…と言えば聞こえはいい。
結果は互いに秒殺。
互いにあと1回で勝ちというところに来て、少し勝負に出る事にした。
「ルドルフ、ちょっとそこ立ってくれるか?」
そう言いながらも壁際の方に彼女を立たせては、そのまま壁に手をドン、とついて。
……さすがにここまで貧弱だった相手だ。トドメを…と思っていたのだがどうやら耐性がついていたのか、あまり似合っていなかったのか。
どちらにせよ彼女が照れるようなことは無かった。尻尾は、と確認するものの、大して反応を見せていない。
「…次、いいぞ?」
反応が無かったことに少し寂しさを覚えながらも、おそらく芸も何もなしに同じことをしてくるだろう、と思いつつ大人しくルドルフに出番を渡す。
すると突然
「…あぁ、すまない。少しそこに立ってくれてもいいかい?」
どうやら彼女も同じように壁ドンをして来るつもりのようだ。
意趣返しのつもりだろうか。だがやり方もよく分からないのにやった所で効果は半減するというのがこの手の悲しいところだ。
どうせ彼女も同じようになるだろう、と思いながらも、言われた通りに壁に背をつけて立つ。
そして彼女は壁に手を付き、そのまま一気に肘まで壁に当てて距離を詰めながら耳元で
「愛しているよ。私の大切なトレーナー君。
これからも、ずっとよろしく頼むよ。」
…さすがにこれには、誰にも勝てないだろう。