魔法少女じゃなくて魔獣少女です   作:ちゅぴま

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文章力が低い作品ですが暖かい目で見守って下さい


食われたと思ったら生きてた

暗雲が空を覆い、人の悲鳴が鼓膜を揺らす。街の至る所で上がる火の手は、降りしきる雨をものともせずに轟々と燃え続けていた。崩れた建物、転がる死体。そこはまさに地獄といって相応しい場所だ。街に溢れた魔獣は手当たり次第に人々をその牙で、その爪で殺めていく。転がる死体から流れる鮮血は、雨に打たれた大地を紅く染め上げていった。

 

逃げ遅れた男は独り、瓦礫の隙間で息を殺して隠れていた。彼以外はみんな死んでしまった。道端に転がる人間だったモノがそれを証明している。そんな絶望の中でも男は、嗚咽を押し殺して助けを待っていた。

 

そんな中、隙間から僅かに差し込んでいた光が消える。

 

「誰か来、た…?」

 

もしかして、と顔をあげるとソイツは居た。禍々しい黒い鱗が全身を覆い、紫色の眼が怪しく輝いている。次瞬、隠れていた瓦礫が吹き飛んだ。男を食べるために場を整えたのだろう。開けた視界にはヤツの全身が映った。空を覆う暗雲の様な翼、どんな物でも容易く裂けるであろう鋭利な爪。まさしく神話の邪龍のようだ。

 

そしてその黒龍は、その口をゆっくりと開いて…

そこで彼の意識は途切れた。

 

ーーー

 

再び目を開けると、そこは海岸だった。目に見えた建造物は軒並みボロボロで人の気配は、いや虫の気配すらも感じない。けれども先程と違って炎はなく、魔獣の遠吠えも血の匂いもしない。

 

「どこ、だよ…?」

 

重たい体を起こしながら疑問を口にした時、違和感を憶える。自身の声が自分の声で無いように感じる。それはまるで他人が、しかも女性が発音したかのような音域の高さ。

 

更に体も小さくなっている気がする。起こしたはずの身体の視界は普段よりも低く感じられた。

 

「お、おい…嘘だろ?」

 

そして最後の違和感。視線を自身の身体に向けて降ろすとそれは分かった。いや、分かってしまった。少し膨らんだ胸部に大事なものを失ってしまった自分の股。

 

そして気にしないようにしていたが先ほどから少し見えていた黒く艶やかな長髪。これらのことを認識してしまった彼、いや彼女は自身が男としての性を失ったと理解してしまいしばらくの間放心状態となってしまった。

 

「にしてもここ…」

 

と、現実から目を逸らそうとして顔を上げ、眼前にひろがる廃墟を眺める。今の日本にこんな景色があるとすれば旧東京ぐらいだろう。旧東京は、半世紀前に現れた魔獣によって壊滅させられた日本の元首都。政府は過去に何度か東京を奪還しようと策を弄したがいずれも失敗し、魔獣が蔓延るその地域は特殊災害区域として硬いコンクリートの壁で封鎖されている。

 

「なんでこんなことになったんだろうな」

 

気がつけば、日がそろそろ沈みそうになっていた。

 

「兎に角、何か羽織るものでも探して住処を決めよう」

 

そう決心した彼女は廃墟の街へと歩を進める。道中、視界に映る停止した信号機、ひび割れたアスファルトなどが長年人の手が行き届いていないことを示していた。

そんな中、ひとつの施設を見つけた。

 

「あそこならちょうど良さそうだな。」

 

そう呟いた彼女の視線の先にあるのは一昔前のショッピングモール。他の建物に比べたら損壊も少ないし、服も見つかるだろう。こうしてしばらく中を散策すること十数分、無事服を見つけることが出来た。見つけた衣服は無地のワンピースで、それに素人目でも似合うような女性物のサンダルも見つかった。下着?想像にお任せしとく。

 

「そういえば今まで裸足だったんだな…」

 

思い出したかのようにサンダルを脱いで足の裏を見てみるが、傷は何処にも見当たらない。道中も特に気にならなかったあたり、野生に帰りかけてしまっている気がする。ま、そんな事は気のせいだと散策中に見つけた保存食にかぶりつく。

 

「長持ちする食べ物あって助かったわ…」

 

口の中がパサパサしてくるが気にしない。食べれるだけマシだと思いながら食べていく。もし仮に食べ物がなかったら近いうちに死んでしまうだろう。。既に外は暗くなっていて、僅かばかりの光源も目の前にあるロウソクの火だけだ,。

 

「とりあえず、今日は寝よう。」

 

既に住処としてある程度整えてある。ロウソクの火を息で吹き消してから、目立たない場所に敷いたシートの上で横になり布を被る。

 

(本当にここが旧東京なら、魔獣が居てもおかしくない筈なんだけどな…)

 

そう考えるが辺りは目が覚めた時同様虫の鳴き声すら聞こえない。到底魔獣が闊歩するような危険区域には思えないが…

 

(寝てる途中に死ぬのは御免だ、せっかく拾った命なんだし)

 

そんなことを思いながら目を瞑り、ゆっくりと深い眠りに落ちていくのだった。

 

 

翌朝、彼女の仮の住処は紅く染まっていた。




魔獣
半世紀前に現れた太平洋からやってくる怪物。再生能力が非常に高く、粉々にしないとまた動き出す。そのため通常兵器では高い威力で爆破しないと殺すことは不可能。

旧東京
半世紀前に失われた日本の元首都。今は魔獣が住んでいる危険地帯としてコンクリートの壁で厳重に囲まれている。過去に数回、奪還作戦行われたがいずれも失敗に終わっている。

今まで魔法少女要素ゼロ
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