我が神の転生はアフターサービス付きっ!   作:0%0%0%

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転生神の補佐の仕事です

 

 「……おはようございます」

 

 

 扉を開きながらあくびをして私がそう挨拶すると部屋に居たソファーに座っている後ろ姿の白髭ハゲ___神様がこちらを振り向きました。ソファーからはみ出ている頭部が日の出の様に見えます。

 

 

 「おお、起きたか。おはよう」

 

 

 牛乳を入れたシリアルをカツカツと食べてる神様の向かいのソファーに腰かけてこちらもガラスの器にシリアルを適当に入れて牛乳を適当に注ぎます。毎朝これを食うだけで普通に生きていける神様がにわかに信じられません。

 

 

 「……ん? どうかしたのかい?」

 「いや、ただ単に神様のエンゲル係数が気になっただけです」

 「まあ、普通の人からしたらえらく低燃費なのはわかるけどさ……」

 

 

 ザクザク、ガリガリとシリアルを咀嚼しながらそんな会話をしていると神様は先に食べ終わったらしく容器をテーブルに置いてソファーの背もたれに寄りかかりました。なんかこう言ったところが人間臭いんですよね。

 

 

 「……でも、君は女の子なんだしもうちょっと栄養取った方が良いかもね」

 

 

 軽い会話のつもりでしょうか、笑いながらそう言ってくる神様に私は無言で湿度85%の視線を目から射出してやりました。ちぇっ、ちぇっ、神様なんてカビちまえ。

 

 

 今言われた様に、私の体は一般よりやや低めの身長の少女で顔も我ながら結構可愛らしく、私が残念な趣味の持ち主でしたらナルシスト不回避でしたでしょう。そのおかげでむさ苦しい酒場などを歩くと森を歩いていたらモンスターに出会う並みのエンカウント率で変な男に絡まれます。正直言って、絡んでくるあいつらはモンスターです。みぞに拳を叩き込んでもしばらくすると甦ります、モンスターってかゾンビです。

 

 ……話が脱線しました。まあ、そんなナンパホイホイな姿してますが、実は男です。いえ、男でした。いえ、今も男でありたいです。

 

 生前は友人のゴルフに付き合っていたのですが、ドライバーを振り上げた直後、コメディ漫画の様に雷が直撃して言うまでもなくポックリ死んでしまいました。900GWを甘く見てましたよ。

 

 

 そんな避雷針仕事しろな死に方をしたと思うと真っ白な世界、そして態度がやたら高圧的なハゲジジイ。これだったら『友人のゴルフに付き合っていたら転生しました』……ってなっていた事でしょう。訳がかわりませんよ。

 

 そして適当にパパッと手続きを済ませて転生。ところが、異世界に行ったと思ったらまた真っ白な世界。まさか異世界にダイナミック返品されるとは夢にも思いませんでしたとも。

 

 そして転生を司るらしい神様が『お主は選ばれた』的な高圧的な発言をして色々とあったものの結局聞き出した結果、最近は転生者関係の仕事が多くなり、一人だと対処しきれる気がしない。とか、転生者のアフターサービスを実装するのでやってほしい、なのだとか。そしてこの女の子の姿になった理由が『可愛らしい女の子なら転生者も心を開くし、色々とやりやすいだろ?』なのだとか。

 

 

 ……勿論、その後はちゃんと話し合いをしましたとも、拳で。こちらの一方的なマシンガントークでしたけどね、拳の。

 

 

 そして、なんやかんやあって現在、転生テンプレ作業の補佐として居候してます。説明が長かったと思いますが、個人的に1ヵ月の出来事をこんなにコンパクトに出来てしまう事に腹がたちますとも畜生め。

 

 

 「……ごちそうさまでした。神様、今日はどの様なお仕事ですか?」

 「ん、えーっと……今日は予定された転生者が一人。その後に臨時転生者が来なければ……ね?」

 「そんな事をわざわざ濁さないで下さい。大体把握してますが」

 

 

 台所に空の器を置いて歯を磨きに洗面台に向かいながら私がそう言うと神様は笑いながらリビングの扉へ向かって行きます。

 

 

 「それじゃあ、先に行ってるよ」

 「……」

 

 

 ワッシワッシと歯ブラシを動かしながら神様が出ていくのを眺めて私は一息します。

 

 そして鏡を見るとつい最近見る様になりこれから一生付き合っていく自分の顔が映し出されて今度は別の意味で一息つきます。自分の顔が辛うじて俗に言うロリじゃないのが救いです。まあ、人によってはロリに分類するんでしょうけど。不名誉なっ。

 

 

 「……さて、そろそろ行きますか」

 

 

 歯ブラシを濯ぎ、自分の口内もしっかりと濯いで私はリビングを出て廊下を歩いて行きます。廊下の突き当たりの左、この部屋が仕事部屋で、左上に『転生の間』と書かれています。痛たたたた、こりゃ痛いです。辛うじて致命傷です。

 

 

 「失礼します……って、もう来てたんですか」

 

 

 その痛々しい部屋の戸を開けると真っ白な空間。転生時の詳細を決める空間になっています。そして今回の転生者、資料によりますと、新木あらき 煉太郎れんたろうとの事。粗っぽい性格、問題児として取り上げられています。

 

 

 「んだとォ!? テメーが勝手に殺しておいて何偉そうにっ!」

 「いたっ! 痛い! ごめん! 偉そうだったのは謝るから___グボッ!? こ、こめかみ狙うのはやめてっ! 吐き気を催すナントカが___がはぃ!?」

 

 

 ……なんか、部屋に半分程足を入れておいてアレですが、めっさ入りたくないです。明らかにマシンガントークされてますよ、拳で。と言うかローキックが時折入っているので正確には拳じゃないですね。

 

 

 「! た、助けて! ちょっと、早く!」

 

 

 こちらに気が付いた神様が必死に助けを求めています。個人的にはこの神様は一回滅びてお得意の転生した方が良いと思いますが、仕事の関係でとっとと解決しないといけなさそうです。

 

 そうです、穏便に、平和に。心を開いて異世界へ旅だってもらうのです。

 

 

 

 

 「あ? ……へぇ、随分と可愛らしい子じゃねーか。___まあ、色々とちっこいのが残念だがな、色々と」

 「……頭蓋骨しゃらこうべごと眼球潰して二度と光を拝めなくしますよ」

 「ちょ___落ち着いて! 目がヤバイよ!?」

 

 

 

 

 ……そうです、冷酷に、残忍に、トラウマで心を閉ざさせてあの世へ旅だってもらうのです。既にあの世ですけどここ。

 

 

 「へぇ……? やってみろよガキめ。今俺はコイツのミスか何かで殺されて腹が立ってるんだ、お前の事も殺してしまうかもしれんなぁ……?」

 「こちらも、貴方に暴れられるのは困るのでちょっと、落ち着いてもらいます」

 

 

 神様がパニックになっていますが構わずそう言うとその男は下品に笑います。トラウマで心を閉ざさせる、とは言った物の、その後の処理がめんどっちーので加減はします。

 

 

 「俺は胸のねーチビガキには興味ねーからな。女だろうとぶっ潰すからな」

 

 

 はい、嘘です。手加減をするだなんて相手の礼儀を裏切ると同じことです。決闘を侮辱するな、と風に還った戦士も言ってましたしね。相手の礼儀に従ってこちらも手加減無しにSAN値直葬させてやりますとも畜生め来世まで地獄を見せてやりますよ。

 

 

 「……では、こちらの最終奥義を」

 

 

 そう言って私は資料の束からある紙を二枚抜き取りました。そして咳払いして紙を見ながら言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……○■小学校、タイトルは『将来頑張る自分へ』。___3年1組、新木 煉太郎」

 

 

 ピシリ、とそんなガラスにヒビの入る様な音がして煉太郎さんの動きが完全に止まりましたが構いません、抹殺___ゴホン。失礼、間違えました。構わず続けます。

 

 

 「___大人の僕はお仕事を頑張ってますか? 今日もお嫁さんと仲良く暮らしていますか? 将来の夢の宇宙飛行士として毎日頑張ってますか?」

 「ぁ……ぐぁ……」

 「お嫁さんに料理を作って貰い、ロケットで火星へ行って仕事してお家に帰ってお嫁さんと仲良くしていますか? ___って、随分と物理的な物を無視した日帰り旅行ですね。超スピードとかそんなチャチなもんじゃなさそうです」

 「ぐわあぁぁああああああ!!!」

 

 

 遂に発狂した煉太郎さん。私はそんな彼にゆっくりと近付いてにっこり微笑みながら次の紙を見ます。夢がお腹いっぱいになる程書かれた紙の裏には現実たっぷりな生前の履歴について書かれている神様連合が発行した資料。それを音読します、せーのっ。

 

 

 「___新木 煉太郎、34歳。20代で結婚するも、金使いの荒さから離婚されて独身に。独身ですって独身。神様連合からは問題児であるためチートは付けず、異世界の何処かに飛ばすようとの事。……神様連合を敵に回す様な事って貴方一体何をしたのでしょうかね?」

 「ぐがあああぁぁぁぁぁあああああああ!!」

 

 

 そこまで言うと練太郎さんは耳を塞いで地面に頭を付けて土下座の様な体勢で喚き始めました。轟沈、もとい、任務ミッション達成(ミッションコンプリート)

 

 

 「……ほら、神様。あいつを光を拝めなくしましたよ。どうぞ」

 「い、いや。彼からは転生先の希望とか聞き出せなさそうだし、君に任せるよ。……なんか、涙出てきた」

 

 

 神様まであんな調子ですので私から転生させる事にします。部屋の隅にある紐を引っ張って、はいボッシュート。

 

 

 「……君、思ったより鬼だね」

 「何を言うんですか神様、私は優しいですよ? 実は彼にこっそりチートスキルを身に付けさせておきましたから」

 「えっ、そうなの? でもチートって一体……?」

 「秘密(な・い・しょ)、ですがただ、二つ程。優しい私がヒントを言うとすれば……生まれた場所にピッタリなスキルだと言う事。そして彼の生まれる場所は農家の家だと言う事です」

 「……ああ」

 

 

 神様はそう言うと黙って両手を合わせました。私もそれを習って手を合わせて彼が落ちた穴に祈ります。

 

 

 

 

 ……現世で役立てなかった分、農家そこで頑張って下さいね。

 

 

 






 次回からちゃんとした仕事を始めて行きます。
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