我が神の転生はアフターサービス付きっ!   作:0%0%0%

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これが私(流)の仕事です

 「……そろそろでしょうかね」

 「そーっぽいねー……」

 

 私は神様の家の壁に掛けられてある時計を見てそう呟きます。神様はソファーの上で横になって雑誌を読んでいますが取り合えず起きてもらいましょう。雑誌のタイトルに『モテるテク! ~あなたもこれでハーレムに!?~』だなんて目を覆いたくなる文字がピンク色で書かれているのはスルーしましょう。と言うか、異世界に行った人のハーレム環境を作るのは貴方の仕事でしょーが。

 

 

 「……よし、それじゃあこれが君の初仕事だね」

 「はい。初とは言ってもイメージトレーニングはしてきました。巴投げはパーフェクトです」

 「ちょ、一体何をイメージしてるの!? 人間を投げ飛ばすつもりなの!?」

 「あのですね、人を投げ飛ばすから『巴“投げ”』なんですよ。知ってます?」

 「知ってるよ!! いや、そんな話は知らないよ!!」

 

 

 ソファーから起きた神様がそんな事をギャーギャー言っているので、いい加減に本題に入る事にしましょう。神様だろうと転生した人も皆忙しいのです。転生者は主にフラグ的な意味で。

 

 

 「それでは、ふざけてないで仕事に取りかかりますのでお願いします」

 「……ふざけてたのかい。まあ良いか、それじゃあ早速移動するか」

 「はい、お願いします」

 

 

 私は神様の後ろに続いて『転生の間』と書かれた部屋に入ります。何度見ても名前が痛いです。痛さが致命傷です。

 

 

 「……それじゃあ、今回の仕事場は……」

 「異世界の名前は『スピカ』です。ラテン語で『とげとげした穀物の穂』の意味の通り、穀物の栽培が盛んな豊作の大陸の様ですね」

 「うん、そして対象は『金道かなみち 猛たける』、異世界名は『タケル』だね。職業はメインが剣士、サブが魔術射撃手。転生して早速持っていたお金で武器を買った所、防具を買うお金が無くなってしまいゴブリン相手にボロ負けしてしまい詰んでいる……だってさ」

 「なんと言うか、現代では極めて希少な脳筋タイプですね。どうせ威力を重視して武器の重さがハンパじゃない代物を選んだんでしょうね。これじゃあ良く鳴きうめく肉の的ですよ」

 「う、うん。厳しい評価どうも……」

 「いえ」

 

 

 私がそう言ってる間に神様は資料の中から紙を探し出して読み上げます。

 

 

 「それで、君に頼みたいのは……『転生者が一人前の実力を身に付け、自分一人でもやっていける様になるまで同行してサポートする事』だってさ」

 「はい、わかりました」

 「うん、それじゃあ今から異世界に送るから、準備は良い?」

 

 

 そう言って神様は部屋の隅に垂れている紐を握ります。と言うか、なんで異世界に送る方法がそんなアナログなんでしょうか。せめてスイッチの方が近代的だと言うのに。

 

 「はい、何時でも良いです」

 「よーし、それじゃあ……鳥になってこいっ!」

 

 そう言って神様は紐を強く引っ張りました……が、何も起きません。

 

 

 「……あれ、おっかしーな……あれれ、壊れた?」

 「……神様、紐は真下に引かないと駄目です。そして紐は下に引きながら手を離すんですよ」

 「えっ、そんな仕組みだっけ……ああ! そうか、この前ロープの修理を頼んだ時に変わったのかも!」

 

 

 ……自分の家を把握していない転生の神様ってどうなのでしょうか。なんか一寸先は闇って言うより、一寸先はダークマターに思えて来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……神様、ただいま異世界に到着しました」

 

 私はアンテナ付きの携帯電話を耳につけてそう言います。常に持ち歩いているこの携帯電話は何処でも神様と電話できる代物です。しかし、逆に神様としか電話出来ないと言う極めて残念な性能を持っています。……神様のアドレスを拒否してやったらどうなるんでしょうか。

 

 『……うん、成功したね。それじゃあ、今君が居る所を教えてくれない?』

 「ああ、でしたら少々お待ちを」

 

 そう言って私は携帯電話を下ろして代わりに片足を勢い良く蹴り上げて辺りの闇の一ヶ所に叩き込みます。するとその闇はヒビが入っていき、遂には正面の闇が砕けて眩しい光が現れます。

 

 光を目指して少し歩くとたくさんの木が立ち並ぶ森。そして後ろには大きな岩。その大きな岩にはついさっき、自分が蹴りで吹き飛ばした穴が空いています。

 

 「……神様、私はついさっき上から落ちましたよね?」

 『え? うん。そうだけど』

 「……なんで私のリスポーン地点が石の中なのでしょうか。上から落ちて何故石の中にイントゥしてるのでしょうか。空中に『*おおっと*』ってなる様なテレポーターでも配置されてたのですか?」

 『いや、まぁうん。転生による事故は通過儀礼って? ほら、転生先が空なんて人がいたでしょ?」

 「だからってよりにもよって空中転生より質の悪い転生はあり得ませんよと言うか何で過去の自分のミスを一例に挙げるんですか」

 

 その後も耳元で機械越しに色々と言い訳を言われましたが携帯電話から耳を離して辺りを見回していたので一切聞いてませんでした。辺りも確認して電話からする声が収まってから私は電話に戻りました。

 

 「……さて、神様。現在地点は森の中、北の大森林です」

 『うん、大体その辺りにタケルくんが居るね』

 「……ここ、低確率でかなり強いモンスターが出ますよ? 脳筋戦法で倒せるとは到底思えませんが。と言うかその相手も脳筋ですが」

 『いや、まあ……確かにオークは彼には無理だと思うけどさ』

 

 そんな会話をグダクダとしていると、遠くから男の声が聞こえました。まるで剣道の掛け声の様な声です。

 

 「……見つけました。それでは神様、また後で」

 『えっ!? いや君!? ちょ___』

 

 

 ……ツー、ツー。

 

 

 「……ここより深くない所に居る様ですね」

 

 そう呟きながら私は声のした方角へと進みます。草を掻き分けて進んでいると拓けた場所に出ました。

 

 

 「___うらーっ! せいっ! どりゃっ!」

 

 

 その拓けた場所に一人の男の子と兎の様なモンスター。その中に居る男の子が今回のサポート対象、タケルさんです。

 

 ……何故、直ぐに見知らぬ男の子がタケルだとだとわかったんだ? と言われそうなので解説します。

 

 

 「うっ……動けない……振り回した反動で……駄目だっ」

 

 

 はい、これです。使用武器の重量が自分のステータス以上だと確率で一時的に『行動不能(疲労)』状態になります。それがコレ。神様連合の報告通りでした。

 そして完全にこの世界の平民の普段着を着ている時点で特定可能でした。普通、冒険者は誰でも防具を着てますし。

 

 

 「……仕方ありませんね」

 

 

 草むらから出て私は兎に踏み寄ります。さっきから兎に寄ってたかられてる転成者の図が腹筋に来たり顔を崩して来ますが、何とかポーカーフェイスを保ちます。

 

 

 「セイッ!」

 『キュ!?』

 

 まず一匹目の兎をサッカーボールの様にインサイドで軽く蹴ります。この兎は天敵から逃げる為に丸っこい体格をしているのでこんな感じに転がりやすいのです。兎を相手のゴールにシュート、そんでもって草むらにゴール。みたいな感じで兎をフェードアウトさせていきます。

 

 

 一分もかからないうちに周りの兎は強制退出して残りの一匹、転生者さんの頭部で足踏みして攻撃する兎の背中ををヒョイと摘まみあげます。

 

 

 「……た、助かった……ありがとう、君は___ヴィッ!?」

 

 

 『一体?』か、もしくは『いくつ?』と聞こうとしたのでしょうが今はそんな事はどうでも良いのです。私は未だに硬直状態のタケルさんの服の襟の後ろを掴んで引きずります。

 此処はモンスターがボウフラの様にウジャウジャ居る森です。自分を女性と見るのは大変遺憾ですが、転生名物、『ダンジョン等でのヒロインとの出会い』なんて展開の中、ヒーロー番組の敵の様に待ってくれるモンスターは居ないのです。つまり、挨拶代わりに即死攻撃されて死んでも文句を言えないのです。物理的にも。

 

 「取り合えず今この状態じゃ危険です、とっとと離脱しますよ~」

 「ぐぇへっ!? ち、ちょっと待て! お前は誰___グバハァ!? く、首がっ、頸動脈がっ!」

 「は~い、目の前を転生者が通りますよ~、避けて下さいね~」

 「うぎゃああぁぁぁあああ!? お、おおお、オークだあぁぁぁああ!?」

 

 

 

 中々騒がしくなりましたが、結局数時間かけて私は対象の転生者を道路まで引きずる事に成功しました。

 

 

 

 初仕事一日目、これより始まり始まり、です。

 





 これにて、本編スタート!
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