TS美少女魔王さま、オタクが再発する   作:波土よるり

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第1章 再発
第9話 ぐーたら姫


「マスター、いい加減働きましょう」

 

 ナヴィがやれやれと、幾度となく聞いた言葉をワタシにかける。

 

「え~、いやもうマジでぐーたら生活が楽しすぎるンゴよねぇ~…… ほら、ワタシってば魔王として休み無しで何十年も働いていたじゃん? ちょっとぐらいぐーたらしててもバチは当たらないって。常識的に考えて~」

 

「ちょっとぐらいはぐーたらしてもいいですが、もう2ヶ月もぐーたらしています。それは『ちょっと』ではありません」

 

 ナヴィが顔の前までズイッと寄ってきて、まるでワタシの母親かなにかのように言う。

 いやもうホント最近、ナヴィのおかん化がやばい。

 

「良いですか?

 我々がこちらの世界に飛ばされて、はや2ヶ月が経とうとしています。最初の意気込みはどうしたのですか。冒険者になるのではなかったのですか?」

 

「いやだって、ロスト保護プログラムで3ヶ月は何もしなくても生活できるじゃんアゼルバイジャン。

 あぁ^~、ニート生活最高なのじゃ~」

 

インターネットの俗語(ネットスラング)を使って会話をするのはやめてください。恥ずかしいです。元の気品や威厳のある言動に戻ってください。

 はぁ…… 違う環境に2ヶ月間身を置くだけで、人はこうも変わり果ててしまうのですね……」

 

 まあ、ナヴィの言うことも一理はある。

 

 ワタシ達がこちらの世界に来てからもう2ヶ月が経とうとしている。ロスト保護プログラムによる資金提供と住居の無料貸与は3ヶ月間なので、そろそろ動かなくてはいけないというのも分かる。

 

 しかし、ワタシはアニメで忙しいのです。

 ついでにゲームも忙しい。ソシャゲの周回とかね。

 

 つまりあれだ。日本のサブカルコンテンツが面白すぎるのがいけないとも言えるのです。

 いやもう、マジで異世界では娯楽に飢えていたからね。

 日本のネットコンテンツ最高や。口調が多少ネットに毒されていたとしても大目に見てクレメンス。

 

「別に24時間働けとは言いませんから、働きましょう。適度な労働は健全な肉体や精神を育みます」

 

「労働は悪ってそれ一番言われているし~? 明日から本気出すから~」

 

「それ昨日も一昨日も、それより前の日も言っていましたからね」

 

「ふ~ふん♪ さてと、『イブキ』の更新でもみるか~」

 

「最近ご執心のブログサイトですか。ブログなんかの更新を見るよりも預金通帳の残高を見ることをおすすめいたします。

 マスターがラノベやアニメのグッズ、ゲームなんかを買い漁るので保護プログラムによる資金提供の甲斐虚しく、我が家の家計は火の車ですよ? 食費を削るのはやりすぎかと。一日三食が人間の基本だと聞いています。

 私はマスターからの魔力供給があれば大丈夫ですが、マスターのお体が心配です」

 

「いいのいいの~」

 

 ゴロンと寝転がり、スマホをポチポチといじる。

 

 これぞ至高のひと時。

 もっと生産性のある行動をしろ? いやいや、これほど生産的な行動などないのだよ。偉い人はそんなことも分からんとですよ。

 

 気を取り直し、ブックマークしているサブカル系のブログの更新を確認する。

 

 『オタクnoイブキ』という名前のこのブログは、ワタシが一押ししているブログだ。

 とってつけたかのような薄い内容しかないまとめサイトなどとは一線を画す、素晴らしいサイトだ。いろんなジャンルの情報をいち早く、そして正確に記事にすることで界隈では結構有名だったりする。

 

「ふーん、レーペックスレジェンズのアプデか~… ああ、やっぱあのLMG(ライトマシンガン)は下方修正か。まあ、DPS(1秒あたりのダメージ)おかしかったし、残念でもないし当然だな」

 

 ちなみに、レーペックスレジェンズというのはシューティングゲームのことだ。いわゆるFPS。

 

 ダンジョンがこの世界に出現した『災厄の日』に多くのものが一時的に失われたが、現在はほとんどサルベージされて、ゲームやアニメ、その他もろもろのサブカル文化は変わらずに存続している。

 

 今、ワタシがこうしてアニメを見たり、ゲームを楽しんだりすることができるのは、復興を支えた数多くの先輩オタク達のおかげだ。尊敬の念を抱かざるを得ない。

 ありがとう、名も知らぬオタク達よ。

 

「ふんふん~♪

 ……ん? 魔法少女ナナニカ・ニカナの数量限定8分の1プレミアムフィギュアが電撃発売?! 予約は来週から?!?!?!

 みーちゃんにも教えないと!!」

 

 な、なんだと……!?

 

 こんなの魔法少女ファンとしては買うしかないじゃない!

 

「本当ですね。

 まあただ、マスターが怠惰な生活をしているせいで、お金が完膚なきまでに足りないですね。マスターが働かない限り、今回のフィギュアは諦めるしかありません」

 

 …………。

 

 そうだった。

 ワタシ、イマ、オカネ、ナイ。

 

「――ダンジョン行って働くか」

 

 ワタシは意を決してミョルニル(神トールの槌)よりも重い腰を上げた。





やっと小説のタイトル回収が出来た(感無量)

今回はネットスラング多用していますが、次話以降はノイズにならない程度の控えめで行こうかなと思ってます。

【挿絵表示】

というわけで主人公ちゃんドーン
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