TS美少女魔王さま、オタクが再発する   作:波土よるり

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第30話 かがりんとお食事回 3

「ナヴィ、珊瑚(さんご)さんとの会話は楽しかった?」

 

「はい、とても」

 

「そっか。それは良かった」

 

 戻ってきたナヴィはワタシの右肩らへんでいつものようにふわふわ浮いている。

 うんうん、やっぱりナヴィがこの位置に居るとしっくりくるね。

 

「珊瑚、それじゃあ撮影用の機材をここまで持ってきてくれるかしら?」

 

「かしこまりました、お嬢様」

 

 恭しくお辞儀をして、珊瑚さんがテラスから離れる。

 

 デザートを食べながらの会話の流れでかがりんの配信に出させてもらえることになったわけだが、いつやろっかと聞いたら、じゃあ今日やりましょうとなった。「思い立ったが吉日ですわ!」とはかがりんの言だ。即断即決でかがりんらしい。

 

「撮影はこのままここ(テラス)でやる感じ?」

 

「そうですわね、今日は天気もいいですしこのままテラスで撮影しましょう。

 パラソルが陽の光もほどよく抑えてくれますし、パソコンの画面をちゃんと確認しながらできますわよ」

 

「おっけ。了解」

 

「あ、そうですわ。レインさん、珊瑚が来るまでにお化粧直しをなさいますか?

 日本中にレインさんのお顔が写りますもの。急に撮影をすることになりましたし、お化粧直しの時間くらい取りますわよ? もしよろしければメイクアップアーティストもしていた当家の使用人にやらせることも可能ですわ」

 

「あー、いや。ワタシは化粧とかしないし大丈夫。というか生まれてこの方したことないからよく分からん。

 魔法で日焼け対策はしてるけど」

 

「ええ!?」

 

 ワタシが化粧は別に大丈夫と言った途端、かがりんが勢いよく立ち上がってズンズンとワタシの方に迫ってきた。

 

「レインさん、貴女一度もお化粧したことありませんの?! というよりも今現在、何も化粧していませんの!? 薄化粧やナチュラルメイクという意味合いでもなく!?」

 

「う、うん。

 えなになに怖い」

 

「ナヴィさん、本当ですの!?」

 

「はい。マスターは嘘を言っていません、Ms.かがりん。マスターは天然でこの美しくきれいなお顔立ちなのです」

 

「ちょっとレインさん、よくお顔を見せてくださいませ!」

 

 鬼気迫る表情でかがりんがワタシの顔を両手でむぎゅっと挟むと、ぐいっと食い入るように覗き込んできた。

 近い近い近い。

 

「化粧を一つも使っていないなんて…… 確かに雪のようにきれいなお肌ですわ……」

 

「くぁ、かがりん…… ちょ…… 喋りにくい」

 

「見た目だけではありませんわ…… 赤ちゃんのようにすべすべもちもちなお肌…… ずっと触っていたくなる不思議な魅力……」

 

 かがりんはなおもずっと、ワタシの頬をむぎゅ~っと挟んでまじまじと見ている。

 

「ちょ… ふぁ、ふぁい! はい、終了!」

 

「あ…… もうちょっと触りたかったですわ…」

 

 ワタシがかがりんの両手を振り解くと、まるで飼い猫に避けられた飼い主のようにかがりんは少し寂しそうな顔をする。

 

 そんな顔されても、もう終了!

 

 かがりんの顔が近くて無駄にドキドキしちゃうし。

 ワタシ、前々世が男だからだと思うんだけど、未だに女性の顔が近くに来たりするとちょっとドキッとしてしまうし、心臓に悪いんだよ。

 

 まだ触りたりなさそうなかがりんを尻目に、紅茶を飲み直そうと手を伸ばす。

 

 ふぅ~、紅茶うま。

 

「あらあら~」

 

「ん? あ、珊瑚さんおかえり」

 

「只今戻りました。ふふっ。すみません、黙って遠くから見るようなことをして」

 

 後ろを向くと、何やらニコニコとして楽しそうな珊瑚さんがいた。

 戻ってくるの意外と早いね。

 

 珊瑚さんの両手にはアタッシュケースが二つ。

 どうやらそのケースに撮影用の道具が入っているらしい。

 

「お嬢様、カメラとノートパソコンをお持ちしました。セッティングもこのまま私がいたしましょうか?」

 

「ありがとう珊瑚。でも後のことは大丈夫よ。自分で設定をしたりするのも楽しいもの」

 

「かしこまりました」

 

 珊瑚さんはかがりんにアタッシュケースを渡すとそのまま下がり、かがりんは珊瑚さんから受け取ったアタッシュケースを机の上で開ける。

 ケースの一つには思ったとおりノートパソコンが入っており、もう一つのケースには卓上に設置できるコンパクトな三脚と、高そうなカメラ、それにいろいろなケーブル類が入っていた。

 

 かがりんは慣れた手付きでパソコンと撮影・配信用のアプリケーションを立ち上げ、カメラの設置もテキパキと行う。

 

「設定からかがりんがやるんだ。正直その辺りの面倒なことは全部使用人に任せるのかと思ってた」

 

「忙しいときは珊瑚たちにもお願いしますが、基本的には自分でやりますわ。こういった地味な作業、わたくし嫌いではありませんもの。

 一応撮影から編集まで一通り自分でできますわ。といっても、今日は(ライブ)配信なので編集はありませんけど」

 

 さすがプロ配信者。ちゃんと全部自分でできるんだ。

 

 いやね、ワタシも本当は自分で軽く動画撮って「事件を解決した謎の美少女はワタシですよ~」って動画をアップしてみたかったけど、意外と面倒なんだよね。

 

 今どきスマホで撮影ができるし、アプリも入れれば編集もできそうな感じはあったけど、Yootubeに最適なビットレートの値が~、エンコードの方式は~、画質は~、とか…… 挫折してしまった……

 ちゃんと探せばもっと簡単なアプリとかあったかな?

 

「あれ、そういえばこの前のアレは使わないの? ほら、ダンジョンのときに勝手に撮影してくれたやつ。なんだっけ…… 自動撮影ドローンだっけ?」

 

「自動追尾型魔導カメラですわね? もちろんアレでもできますが、わたくしのアレはダンジョン用に特別にカスタマイズしていますの。今日はもっとお手軽に撮影できるようにしますわ。

 ……はい、これでいつでも配信可能ですわ!」

 

 試しに机の上に設置されたカメラに向かって手を振ってみると、その映像が横においてあるノートパソコンのプレビュー画面にちゃんと表示される。

 

 おぉ~。

 

「Yootubeで配信を開始しますと、リスナーのみなさんがきっと沢山コメントしてくださいますわ。

 今日の配信は、そのコメントを見ながらレインさんが色々と質問に応えていく感じにしましょう」

 

「了解。初めてだからちょっと緊張するけど、かがりんいるし大丈夫かな。

 頼りにしてるね?」

 

「もちろんですわ! この超々人気配信者のかがりんがいれば恐れることなど何一つありませんもの!」





あけましておめでとうございます。
今年も引き続きどうぞよろしくおねがいします。(*´ω`*)
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