TS美少女魔王さま、オタクが再発する   作:波土よるり

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第41話 研究所

「ようこそレインさんにナヴィちゃん。日本魔物研究機構へ。

 それに青やm……っと、本名じゃなくて冒険者ネームで活動してるんだったね。ブルーもブラックも久しぶり」

 

 白い大きな建物の日本魔物研究機構へ入って受付で手続きをして待っていると、白衣を来た優男がやってきた。

 あまり寝ていないのか目の辺りにすこしクマがあるし、髪もすこしハネている。やはり研究職は忙しいのだろうか。勝手なイメージだけどモンエナドリンクとか飲んで徹夜してそうなイメージある。

 

「よっ! 面と向かって会うのは同窓会以来だな!」

 

「よろしく頼むよ、羽希(はねき)室長」

 

「ふふふ。ブルーから室長って呼ばれるのはなんだか違和感があるね。

 それにしても……」

 

 羽希さんはクスクスとすこし照れくさそうに笑うと、視線をこちらに移した。

 

「噂には聞いてたけど、レインさんの使い魔のナヴィちゃん…… やっぱりすごく珍しい魔物だよね? 一応、私は魔物の専門家を名乗ってるんだけど初めて見る種類だ。

 うーん…… すごいなぁ。一見すると金属のような質感で、まるで機械みたいな身体だ。それでいて生物感もある。ナヴィちゃんはどうやって浮かんでるんだろう…… 側面についている耳のような羽根では浮かぶだけの揚力を得られないのは明白だからやはり魔力回路を通して浮力を得ているのかな……」

 

 顎に手を当ててまじまじとナヴィの身体をいろいろな角度から観察し始める。

 やっぱり研究員なだけはあってナヴィのことが気になるらしい。職業病ってやつかな。

 

 いきなりジロジロ見られてナヴィは不快そうだ。

 スイーっとワタシにくっついて避難する。

 

「なにナヴィ? 照れてるの?」

 

「そんな訳ありませんマスター。人間にジロジロと見られるのはあまり気持ちの良いものではありませんから避けただけです」

 

「ああ! ごめんねナヴィちゃん! 珍しい生き物を見るとつい……」

 

 ナヴィのジト目に羽希さんはショボンとする。

 基本的に人間に見られたり触られたりするの好きじゃないしねナヴィ。使い魔登録のときに色々とナヴィの身体の計測やら測定やらさせられたけど、そのときも至極不愉快な顔をしてたな。

 

「レインさんのお噂も色々とお聞きしてますよ。

 何でもサンダーコボルトの群れを一薙で倒したとか。動画も拝見しましたが素晴らしいものでした。

 私は魔法学を専攻しているわけではないのでそちらの方面は詳しくないですが、サンダーコボルトについてはよく知っています。コボルト種の中でも上位の種です。群れると仲間と連携して攻撃してくるAランクにもなるモンスターですが、あの華麗な捌きようは素晴らしかったです」

 

「いやぁ、それほどでも~」

 

「ふふふ。ご謙遜なさらないでください。

 レインさんが撮影されたキメラの討伐映像。あれ、私の研究でもとても役立っていますよ」

 

「いやぁ。それほどでもあるな~」

 

 手放しに褒められると気分がいい。

 そうそう。こうやってワタシを褒め称えるのだ。

 

「さて、ここでもっとお話もしたいところですが、本日の目的は捕獲されているキメラを見ることですよね。ご案内しますので着いてきてください」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「そうだ羽希。レイン達、あんまこの研究所のこと知らねェみたいだから、軽く教えてあげてくんね?」

 

「ああ、そうなんだね。

 そうですね、ではレインさんたちに簡単にご説明します」

 

 日本魔物研究機構。

 正式な略称名はないが、よく“マモ研”やら“日物(にもの)研”あるいは“日物(ひもの)研”というふうに略されるらしい。

 

 その名前のとおり魔物のことについて研究する政府設置の機関で、魔物の生態や魔物のドロップするアイテムの研究、あるいは魔物が繰り出してくる攻撃についての研究を行っているとのこと。

 

「この研究所にはテーマによって研究室がいくつかありまして、私が任されている研究室では主に魔物の生態について研究しているんですよ」

 

「へ~」

 

「ではここで問題ですレインさん。魔物は何を食事にしていると思いますか?」

 

 突然クイズがはじまった。

 羽希さん、すごいニコニコしてて楽しそう。

 

 魔物の食事か……

 異世界(むこう)で魔王をやってたから異世界(むこう)の魔物のことは割と分かるけど、こっちだとどうだろう?

 

 異世界(むこう)ではワタシも含めて魔族や魔物は大気中のマナからも栄養を得ていた。人間みたいに料理を作って食べることもあるけど、大気中のマナから十分な栄養を得られれば別に必須ではない。マナが薄い場所では食べ物を食べてそこから栄養を得るけど。

 こっちも一緒なのかな?

 

「うーん…… 大気中に漂ってるマナ、というか魔力とか?」

 

「お、正解です。流石ですね。

 レインさんの仰る通り、魔物は大気中のマナを摂取して生きています。もちろん、他の魔物あるいは人間を含む動物を捕食することでも栄養を摂取できますが、基本的には大気中のマナで生きています」

 

 ほうほう。

 こちらの魔物も割と一緒っぽいな。

 

「つまり、大気中のマナ濃度がダンジョンに比して極端に低い地上では、魔物は何もしなければ数日で死んでしまいます。

 そこで私達の研究所では区切られた空間の大気中のマナ濃度を人工的に上げ、モンスターが生存できる空間を作って、そこでモンスターを研究しているのです。まあ、有り体に言えば飼育場所みたいなものですね。

 今向かっている場所がそこ、ということです」

 

「へ~、すごいね。めっちゃ維持費とか掛かりそうだけど」

 

「そうですね、実際かなり維持費用はかかります。そもそもそういったスペースが数えるほどしか無いので苦労していますね。スペースがあまりないので研究する対象をある程度絞る必要があります」

 

「ワタシが倒したキメラってかなり大きかったけど、キメラを入れてる研究スペースは大きめなの?」

 

「キメラが捕獲されている場所は研究所でも一番大きなスペースになりますね。

 まあ、キメラは少々というかだいぶ他のモンスターとは性質が違うようなので別にあそこでなくても良かったのですが、まあそれは良いでしょう」

 




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前作も不定期で更新してるのでもし良かったらそちらもよろしくおねがいします。
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