引退してお先真っ暗のライスシャワーを買った。 作:エタノールの神様
『ライスシャワーは惜しい二着、やはりこの馬に2200メートルは短かったか!』
杉元の実況(興奮気味)が耳にはいる。私の推し馬は今、ダンツシアトルに一馬身届かぬままラストランを終えた。
健闘した方ではないだろうか。彼は3000メートル以上では負けなしのステイヤー、実況の言う通り2200メートルは彼には短いはずだ。
しかしこれが最後のレースとなると問題はこれからだ。ライスシャワーは牡馬だ。G1を3勝している名馬なのだから種牡馬になるのが定石だ。
そのG1が中距離や短距離なら。
日本競馬は年々高速化している上に、競馬番組の中心は距離の短い短距離が放送の主となりつつある。よって生産牧場はより短距離を走れる馬を求めるだろう。
つまりライスシャワーは種牡馬になれないかも知れないのだ。そして種牡馬になれたとしても食いぶちを稼ぐのは厳しいだろう。(その辺ユートピア牧場がどうなっていたのかは知らない)
どちらにせよファンの一人である私にはどうしようもない…そう思っていた、メジロパーマーが1992年の有馬記念を勝つまでは。
競馬場にいったら友人にたまたま出会い、ライスシャワーの単勝用のウン万円を横取りされて追い回していたらよく知らないメジロの馬とよく知らないセン馬の馬連になって帰ってきたと言ったら信じて貰えるだろうか。いや信じて貰えまい。
それを元手にサラリーマンをする傍らチキン投資(ビビリだからちょっと値段が上がったらすぐ売る)をちょいちょい繰り返した結果、馬主資格の条件となる資産を手に入れた。
しかし私にはライスシャワーしかいない。推せる馬がライスシャワーしかいないのだ。
ライスシャワーが引退したらライスシャワーを買おう。私はそう決心した。
思いの外交渉はうまく行った。実はJ○A主導でライスシャワーの種牡馬入りを斡旋していたらしいが、その相手が渋々受け入れていただけらしく、するっとライスシャワーを手に入れることができた。しかしライスシャワーは怪我の予兆がみられるらしく、しばらくは美浦トレセンで半年ほど休養し、その後にうちに来ることとなった。
その間私は家に繋げた長屋と裏の畑の整備に勤しんだ。
長屋の中は祖父が農家を止めて牛を売ってから使っていないのでライスシャワーのため総力を挙げて掃除した。裏の畑はライスシャワーが安全に通行できるように道になるところを整備した。ライスシャワーが心置きなく運動できるよう裏の畑のさらに奥にある田んぼを買い取って運動場を整備した。さらにライスシャワーが車の音にびっくりしないよう、近所の人が勝手に使っている父の私有道路を無許可で移設した(土地は私が買ったので移設した部分は私の道になるやったね!)
そうこうしていると父親が「お前はもう28だからさっさと嫁をとれ孫の顔をみせろ」とお見合いを持ってきて大慌て。最初はライスシャワーのため蹴るつもりであったが零細の競走馬生産牧場の娘で獣医資格と実務経験ありと聞いてライスシャワーのためなにがなんでもこの女を嫁にとると決め、相手の外堀を埋め内堀を埋めありとあらゆる手を尽くした。結果相手には「結婚してください」への返答が「はい」か「YES」か「喜んでお受けいたします」の三択になってしまったのが申し訳ない。…年上彼女だよ悪いか。
そうこうしているうちに種牡馬登録と検疫を済ませたライスシャワーが我が家にやって来た。ついでにライスシャワーのお気に入りの猫もやって来た。
ライスシャワーがのんびり余生を過ごせるよう、また一家七人(私の祖父母が未だに健在&祖父の弟が居候)一頭(ライスシャワー)一匹(ライスシャワーのトモダチの猫)を養う一家の大黒柱となれるよう、全力で働こうとおもう。…でもちょっとお金が足りなくなりそうだから助けてライスシャワー。
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