引退してお先真っ暗のライスシャワーを買った。   作:エタノールの神様

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芝の選抜レースでは惜しくも半バ身差敗れたセイウンシャワー。しかし彼女が目指すのは三刀流、7R、ダート1200メートル。彼女はトレーナーを獲得することができるのか。


砂の舞台、ペリーは来る。

『3番マキバシンカリオン、落ち着いていますが尻尾を回しています。』

 

『すでにちょっとかかっているのかもしれません。スタートまでに調子を取り戻せるといいですね。』

 

『4番、セイウンシャワー、ちょっとゼッケンが乱れていますね。』

 

『彼女は本日3Rで激走していますから息を整えるのに時間がかかったのかもしれません。しかしやはり尻尾が荒ぶっていますね。』

 

細江さんだけでなく武さんまで!これは治せなかったんだ!あんまり指摘しないでくれ!

 

 

 

オグリキャップは山盛りの焼きそばを食べながら考えていた。異常に狭いトレーナーへの道を必死の試験勉強でくぐり抜け、チームシリウスのサブトレーナーになることはできた。しかしいざ新入生のなかから誰かお眼鏡にかなうウマ娘をスカウトしてこい、と言われると難しい。前情報から考えるとブラックシップという新入生だろうか。バ場適性の情報からグッと来たが、まだ走りを見ていない。目星をつけたブラックシップがどのような走りをするのか楽しみだ、そう心の中で一言、オグリキャップはまた焼きそばを一口食べた。…ブラックシップがゴールドシップに絡まれている。助けてこよう。

 

 

「セイウンシャワーさん、ゼッケンが上下逆ですよ!」

 

「うえ!?ほんとだ」

 

危ない危ない、レースで恥をさらすところだった…

 

「ありがとう、タマモワクチンさん、お陰でレースで恥をさらさずにすんだよ」

 

「もうパドックで晒してるよ?」

 

「ゑ?」

 

私は絶句するしかなかった…

 

 

『7Rはダート1200メートル、7人立てになりました。実況は青鷺アナウンサーが食あたりを起こしまして、交代して杉元がお送りいたします。』

 

オグリキャップは困っていた。ブラックシップをゴールドシップから助けたまではよかった。しかし本来ならトレーニングに行くべきゴールドシップに絡まれている。しかしゴールドシップは焼きそばを持ち合わせており、それを交渉材料に沖野トレーナーから匿ってくれと言われた。なんと「沖野トレーナーがサイレンススズカに蹴られているところ」を撮影したのがフラッシュの光でバレたそうだ。食料には変えられない。オグリキャップはおとなしくすることと焼きそばを条件に匿うことにした。

 

 

 

 

 

『セイウンシャワーがかーなりゲートインを嫌っていますね、武さんこれはどういうことでしょうか』

 

『3Rであと一歩負けていますからね、ここで負けてしまったらもうトレーナーはつかないと思い込んでしまっているのかもしれません。だいぶ深呼吸をしていますからもう少ししたら落ち着くでしょう。』

 

『そのセイウンシャワー、今ゲートインしまして、』

 

 

 

 

『スタートしました、各ウマ娘まずまずのスタート、セイウンシャワーどうするんだ、セイウンどうするんだ、行った行った、セイウンシャワーはロングスパートではなく逃げ、ロングスパートではなく逃げを選択しました。』

 

オグリキャップの視線に映っているのは逃げるセイウンシャワーでもなく、中団の白いウマ娘、ブラックシップでもない。

 

『各ウマ娘の流れを確認しましょう、セイウンシャワーが一番手、二バ身のリードであります、続いてズイウンミラクル、内マキバシンカリオン尻尾が回っております、その後ろタマモワクチン、斜め後ろ、外側にブラックシップがいて、内並んでシライサイキョウ、最後方差がなくヤマモトソブリンとまとまった状態でレースが進んでおります。』

 

オグリキャップの視線の先のウマ娘が気になったゴールドシップはどこからともなくオグリキャップの予備の双眼鏡を勝手に取り出して確認する。

 

『ブラックシップが上がっていく、ヤマモトソブリン、シライサイキョウもつられて上がっていく、先頭セイウンシャワーのリードはまだ一バ身ある、タマモワクチンは後退、ズイウンミラクル、マキバシンカリオンはセイウンシャワーをとらえに行く!』

 

(マキバシンカリオンってやつ、かなり小柄なのにでっけえストライドではしるなー、まるでキツツキみたいだ…よし!頭陀袋に入れてスピカに…)

 

ゴールドシップは頭陀袋を手に動き出した…はずだった。

 

「ゴールドシップ、」

 

「なんだよオグリちゃーん」

 

「あの娘は私がスカウトする。だからその頭陀袋はしまっておいてくれ」

 

「きゃは!スカウトは早いもん勝ちだZE♡」

 

「そうか、それならこうだ」

 

そういうとオグリキャップはその頭陀袋をゴールドシップに被せて目のところできつく縛り、いち早くスカウトするためにゴール板へ急いだ。

 

「目がああああああああああ」

 

 

 

『セイウンシャワーまだ粘る、セイウンシャワーまだ粘る、マキバシンカリオン懸命に追う、ブラックシップは伸びが甘い、セイウンシャワーです、セイウンシャワー1着!』

 

コースから出たウマ娘たちにトレーナーが群がる。その中には小柄なマキバシンカリオンに熱烈に声をかけるオグリキャップの姿もあった。

 

 

「セイウンシャワー!君の脚は素晴らしい!芝、ダートを両方、ダービーとダートダービーをとりに行かないか?」

 

「すみません。私はクラシック競走は菊花賞しか興味ないんです。ごめんなさい。」

 

 

 

破局するトレーナーと新入生もまた一組…

 

 

 

 

 

 




最後のレース、12R、障害2800メートル。そもそも障害の選抜レースは別会場での開催だ。平地選抜レースの会場からそちらに歩くウマ娘が一人、それを追う変人がひとり。彼らにはどのような運命が待ち受けているのか。それはまだ、神さえも知らない。

今後のパートについて

  • ライスシャワー(馬)パート
  • ライスシャワー(ウマ娘)パート
  • セイウンシャワー(ウマ娘)パート
  • ヒトシオー(馬)パート
  • 他の産駒書け
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