引退してお先真っ暗のライスシャワーを買った。 作:エタノールの神様
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私はライスシャワーを推している一人のウマ娘オタクだ。
芙蓉ステークスでの走りに完全に魅了され、その後ずっと追いかけてきた。部屋はぬいぐるみだらけだし、RRI(ロボ・バラ・委員長)のライブ&握手会にも行った。勝ちウマ娘投票券もたくさん買った(おかげで握手会優先券を複数枚手に入れた)
しかし推しウマ娘、ライスシャワーも宝塚記念2着を最後にドリームトロフィーリーグへ移籍し、ついには卒業してしまった。オータムドリームトロフィーでは15バ身先を超ハイペースで逃げるツインターボとメジロパーマーをただ一人向こう正面から追走、見事にツインターボを4コーナー入り口で、メジロパーマーを残り230メートルで捕らえ、3バ身ちぎって勝利したのを最後に勝ち星がなくなった。(この時メジロマックイーンは年齢的な厳しさと体重増で二周目の3コーナーでバ群にしずんだ)
卒業後のライスシャワーはどうしているのだろうか。彼女が望むのならばうちで雇いたいな、そう思いつつ荒れ地を開拓していく子ブタどもをながめていた。…ほんとこいつら何でも食うな。
そうして豚を眺めていると電話がかかってきた。
「はい、大川牧場です」
『オジサン?元気してる?』
「なんだボーガンか。何かあったのか」
『えっとね、オジサンうちに求人のチラシ持ってきたでしy 』
「まさか従業員見つけてくれたのかああああ」
『オジサン!声がでかいよ!』
「オジサンじゃない!まだお兄さんだ!で、いつ来る?その従業員!」
「お仕事…どうしようかな。」
ライスシャワーは困っていた。
彼女はトレセン学園を卒業した。本来なら就職か進学しなければならない。しかし。
大学の試験には解答欄に一つずらして記入してしまい、驚異のセンター試験合計25点であった。さらに就職に切り替えて就職活動をするもたまたま行ったところ全部「ヒールのライスシャワー」として彼女を見ている職場であったため辞退。(ちなみにその年はたまたまトレセン学園に求人をだしていた職場がすべてメジロマックイーン推しorミホノブルボン推しorおのれライスシャワー派であった。)なんという不幸…
しかし冷静に考えて欲しい。ライスシャワーはG1を3勝している名ウマ娘である。働かなくても生きていけるほど賞金があるのではないか?
答え:ある。なんならトレーナー配当分を除いても5億円ある。
レースで得た賞金は家族にも分配されるのだが、母に「あなたが稼いだお金なんだからあなたが自由に使っていいのよ。」といわれ、父には「娘に養われるほど年取ってない!」と言われ、姉には「私はバラエティー番組で稼いでるからいらない」と言われ、家族分配分が彼女に返ってきてしまった。
あれ?彼女働かなくていいんじゃね?
一般堕落人間ならそう考えるだろう。実際にそれをやったウマ娘もいた。(数年後にそれをやって見事に一年で使い尽くすウマ娘が出る。名をキンイロリョテイという)
しかしライスシャワーはお利口さんである。ちゃんと働いてゆくゆくは信頼できるかっこいいお兄様の家庭に入りたいのである。よって就職したいのだ。
しかし、そんなライスシャワーに追い討ちをかけるようなニュースがやってくる…
ぴろぴろりん!
「ひゃっ!」
ライスシャワーのスマホが鳴った。何かのニュース速報だろうか。
するとビルのテレビが速報を伝えだした。
『速報です。あけぼの銀行が今日午前11時、倒産しました。』
ライスシャワー絶句である。あけぼの銀行はライスシャワーが獲得賞金を預けていた銀行である。メジロマックイーンに言われて賞金を預ける銀行を分散させ始めてはいたがまだよその銀行に移したのは7000万円である。ライスシャワーは今日1日で4億円余りを失った。
泣きながらメジロマックイーンに相談するとどうやら紙にいろいろ書いて送りつけると1000万円は返ってくるらしい。とりあえずその辺にあった弁護士事務所に駆け込んでなんとか1000万円回収した。しかしその弁護士が悪徳弁護士で依頼料として300万円を持っていかれてしまった…
なんたる不幸。あゝなんたる不幸。
とぼとぼ帰宅すると冷蔵庫の中身がない。冷凍庫を開けた。マチカネタンホイザさんからもらった山菜の残りがあるだけ。タンスの上を見る。いつもならそこには春の盾が二つと菊花賞のトロフィーが飾ってある。だが今はない。なくなっていた。
泥棒に入られた。ようやく気づいて、ライスシャワーは涙を堪えて警察に電話した。葛飾警察署からサクラバクシンオー巡査御一行が来てくれた。一気に気持ちが込み上げてきてサクラバクシンオーの胸で泣いた。
バクシンオーからおにぎりをもらった。三つ食べるとある程度お腹がよくなってきて気持ちも落ち着いてきた。
犯人は過激なメジロマックイーン推し軍団であった。
翌日。
冷蔵庫の中身を補填するためスーパーに来た。今日もまた何かが起こるのではないかとビクビクしながらカートに食品を載せていく。特売の卵をとろうとしたとき、誰かの手が重なった。
「ひゃっ!ごめんなさい!」
びっくりして飛び退いた。相手を見ると、菊花賞で逃げていたキョウエイボーガンではないか。
「ライスのせいで…ライスのせいで…っ!」
またライスシャワーの不幸節が始まった。これが始まると長いので買い物を済ませてライスシャワーの家で話すことにした。
キョウエイボーガンは昨日までのライスシャワーのとんでもない不幸節を聞いて驚いた。銀行倒産と獲得賞金喪失には絶句した。
これは早急に仕事を紹介してやらねばならない。かつてのライバルが貧困の末不幸重なって死ぬなんてことはあってはならない。
キョウエイボーガンはある仕事をライスシャワーに紹介した。
「青い空…」
都会では見ることのできなかったはずの建物に阻害されることもないきれいで雄大な大空がそこには広がっていた。
「かろうじて繋がってくれてるスマホさん…」
キョウエイボーガンに紹介された職場に近づくにつれてスマホの電波状態はわるくなっていき、ついには圏内になったり圏外になったりを繰り返していた。
「脱走してきた豚さん…」
なぜかまるまる太った豚一匹がライスシャワーに寄り付き指をペロペロなめている。
「ここ…どこ??わたしボーガンさんに騙されたの??」
知らない大地である。彼女はキョウエイボーガンから紹介された職場への就職(住み込み)が決定したため、荷物を持って来たのだが
「はうう。車はスタックしちゃうし、エアコンは壊れちゃうし、ジャッキは折れちゃうし、こんなんじゃお仕事にいけないよぅ」
不幸である。
本来なら今日は大安吉日である。いいことづくめのはずである。しかしライスシャワーにはフクキタランかった…
誰か来ないだろうか。そう思っていると青い作業服のオジサンがやって来た。胸ポケットには大川牧場と書いてあった。彼女の就職先だ。おそらくあまりにも遅いので迎えに来たのだろう。
しかし彼はライスシャワーを見るなり目を丸くして走ってきた。
そして開口一番、
「もしかして…菊花賞ウマ娘のライスシャワーさんですか?」
である。
「ひゃい!そのライスシャワーです!」
その後10分少々神か何かのように崇め奉られた。スポーツドリンクを渡されたのを皮切りにスタックした車を救出してもらい、壊れたエアコンを直してもらった(操作盤のある半導体が熱で殺られただけだった)。なぜか交通安全のお守りをもらった。
なんかじれったかったので彼女は友人に紹介された職場に行く途中だと伝えた。
オジサンは驚いていた。まさか自分がかけた求人にかかったのがライスシャワーだったなんて思いもしなかったからだ。
(はうぅ。ライスこれからどうなっちゃうんだろ)
ライスシャワーはものすごい不安を感じながら自分のファンと職場に向かった。
誤字脱字あったらご報告お願いいたします。あと感想を書いていただけると私のモチベーションが激しくヘドバンします。よろしくお願いいたします。
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