機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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お待たせしました、第14話です!

ついにありふれ作品の運命が動く瞬間となります。


感想、評価をいつでもお待ちしています!


イメージED あんなに一緒だったのに


第14話 死闘と裏切り

トリケラトプスのような魔物、ベヒモスと無数の骸骨のような魔物、トラウムソルジャーとの戦闘が始まって数分。戦場は泥沼の様相を作り出していた。

 

 

「く、来るなあああ!!」

 

生徒の一人が我武者羅に剣を振るい、剣はトラウムソルジャーではなく生徒を援護しようとしていた騎士の体に傷を付ける。

 

ただでさえ不気味な姿のトラウムソルジャーは、実力的にはまだ下とはいえ先程まで戦っていたロックマウントよりは格上だ。

その上、ベヒモスが大暴れする度に橋が大きく揺さぶられ、転倒する生徒も出てパニックが広がっていく。

 

宗一が率先してトラウムソルジャーを倒しながら落ち着くよう叫ぶも、ほとんどの生徒の耳には入らない。

 

そのうち、優花が後ろから突き飛ばされて転倒。

優翔が慌てて駆け寄るが、二人の前に剣を振りかぶったトラウムソルジャーがいた。

 

 

「あ………」

 

優花は弟を庇おうと動くが…

 

 

 

 

ドパンッ!

 

発砲音が聞こえ、トラウムソルジャーの頭が砕ける。

 

2人が後ろを振り向くと、そこには拳銃を構えたハジメが立っていた。

 

「南雲…!」

「ハジメ兄ちゃん!」

 

続けてハジメは両手に錬成の魔法陣が刻まれた手袋を着けて、橋の淵にいたトラウムソルジャーの足元を錬成。

その意図を瞬時に理解した騎士の1人がトラウムソルジャーに体当たりをすると、その1体を中心に複数のトラウムソルジャーが巻き込まれ、奈落の底へと消えていく。

 

「園部さん、君は遠藤君や清水君と協力してみんなを逃がして欲しい」

「南雲は、どうするつもりなの?」

 

 

ハジメの視線の先にはベヒモスのそばにいる香織と雫、大翔、そして光輝達がいた。

 

 

「突破口をこじ開けてくる…!」

 

そう言うと、ハジメはクロスボウと拳銃を両手に持ちながら光輝達のところへと走り出した…

 

 

――――――――――

 

ベヒモスはメルド達の張っていた障壁、最高クラスの防御魔法『聖絶』に体当たりを繰り返していた。

 

いくら最強クラスの防御魔法とはいえ、使える時間も限りがある。

その上、橋がベヒモスの攻撃によって亀裂が入っており、そう遠くないうちにこの橋が崩落する危険も出てきていた。

 

 

「ええい、くそ!もうもたん、光輝!早く撤退しろ!」

「嫌です!メルドさん達を置いていくわけには行きません!絶対…絶対みんなで生き残るんです!」

「こんな時にワガママを…!」

 

光輝の言葉にメルドが苦々しい顔になる。

この限定された空間で一直線に体当たりしてくるベヒモスの攻撃を避けることは不可能に近い。それ故、逃げるためには障壁を張って被害を抑え、押し出されるように撤退するのがベストだ。

 

だがその技術は幾度の戦闘経験を重ねたベテランにしかできない技であり、まだ魔法に触れて2週間しか経っていない上に防御魔法などを殆どが習得していない光輝達にその技を求めるのは余りにも酷な話だった。

 

無論その事情もかい摘んで話すレイやメルドだが、光輝にとっては彼らを『置いていく』ことが納得できないらしく、さらに異世界から来た自分達ならどうにかできると思っているのか明らかに攻撃的な顔だ。

 

まずは褒めて伸ばす教え方が裏目に出たかと内心思っていたメルド。

 

 

 

「光輝!団長さんの言うとおり撤退しなさい!そうすれば皆も逃げられるの!」

「こればっかりはそう簡単に倒せる相手じゃねえ!お前だってわかってんだろ!」

 

雫と大翔が光輝を諌めようとする。

 

「へっ!光輝の無茶は今に始まったことじゃねえ…とことん付き合ってやるよ!」

「龍太郎…助かる」

 

 

「状況に酔ってんじゃないわよ、この脳筋馬鹿ども!」

 

声を荒げる雫に不安そうな顔になる香織。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、ベヒモスの右目が破裂して血が流れ、続けて矢がベヒモスの体に浅く刺さる。

 

「な、何だ!?」

「天之河君!」

 

走ってきたのは、硝煙が出ている拳銃を握っていたハジメ。

 

「ハジメ君!?」

「南雲!なぜ君がこんな―――!」

 

光輝がハジメに何か言おうとしたが、ハジメは彼の胸ぐらをつかむ。

 

「いつまで自分に酔ってるんだよ!天之河君がやるべきことはあの魔物を倒すことなの!?」

 

ハジメの強気な口調に光輝だけでなくいつも一緒にいた香織までもがギョッとする。

 

「あれを見てよ!まだロックオン先生や騎士の人達が戦ってるから死人は出てないけど、みんなリーダーがいなくてパニックになってるんだ!」

 

 

「みんなが君のレベルの規格外な強さを持ってるわけじゃない!みんなを戦争に巻き込んで、守るって言うなら前の敵だけじゃなく後ろの味方もちゃんと見てよ!それができるのはリーダーの役目を持った君なんだ!」

 

 

 

ハジメの言葉にようやく自分のやるべきことを思い出した光輝だが、次の瞬間障壁が砕ける。

 

「っ、香織さん!」

「うん!守護の光は重なりて、意思ある限り蘇る!〝天絶〟!」

「〝錬成〟っ!!」

 

香織が創った5枚ほどの光のシールドと、その前にハジメが錬成した石の壁がベヒモスの突進を受ける。

石の壁で多少なりとも威力は軽減され、シールドで止められたもののその衝撃から香織は吹き飛ばされ、ハジメが彼女を庇う形で倒れる。

 

 

 

「………これじゃ、皆が逃げるだけの時間も稼げない」

 

大翔は自分たちの危機に焦りを募らせるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………メルドさん、レイさん。少なくとも前衛組と騎士の皆さんを確実に逃せる方法があります」

 

ハジメは思いついた作戦を話す。

 

それは、あまりにも無謀すぎる計画だった。

これを行えば確かに光輝達は救えるだろう。

 

だが、そのリスクを背負うのはたった一人だけ。

 

 

 

「…いいのか?」

「はい。僕に命を預けるのは不安かもしれませんが…」

 

 

だが、確かな勝算があると語るハジメの目をメルドは信じることにした。

 

「まさかお前に命を預けることになるとはな………必ず助ける。だから…任せるぞ!」

「はい!」

 

ハジメは持っていた弾丸を詰められる限り拳銃に装填し、動き出す。

 

 

―――――この時、ハジメのステータスプレートに表示された技能の一つが増えていたことを彼は知る由もない。

 

 

 

技能:Xラウンダー

 

 

 

――――――――――

 

 

ベヒモスが再び角を赤熱化させて突撃し、メルドはギリギリまで引きつけながら呪文を詠唱。

 

「吹き散らせ―――〝風壁〟」

 

風の初級防御魔法を唱えながらバックステップし、ベヒモスの攻撃が空振りに終わるとその巨体が橋に激突。

 

すかさずハジメは魔法イメージを固めるべく両手を強く叩くように合わせると、足元に手を触れ、自身の唯一使える魔法を唱える。

 

 

「錬成っ!!」

 

ベヒモスの前足から頭部の接している空間を錬成し、石造りの橋をまるで泥のように錬成することで相手の動きを封じる。

 

想定以上にベヒモスは力があり、少しでも他のことに気を取られてしまうとすぐにでも抜け出されそうなパワーにハジメは全神経を集中させながら錬成を行っていた。

 

 

 

(残りの薬はあと5本…弾丸はあと4発。一つたりとも無駄にできない!)

 

足を抜けられたら再び足元を。

頭部を赤熱化させようとしたら頭付近を錬成してベヒモスの動きを封じていくハジメ。

その上、橋の崩落を防ぐために慎重に行わなければならないため想定以上の精神的負荷が彼にかかっていた。

 

 

その瞬間、ハジメは『本能的に』背後から迫るトラウムソルジャーを感知して拳銃を向け、そのトリガーを引いて撃退。

 

だが、これが大きな隙となってしまった。

 

「っ、まずい!」

 

一瞬だがトラウムソルジャーに向けてしまった集中。その隙を突いてベヒモスが錬成による拘束から脱出。

飛んできた瓦礫がハジメの左肩を掠めてしまう。

 

 

 

「そんな…これじゃあ…!」

 

恐らく、数秒もしないうちにベヒモスはハジメを蹴散らして、香織達にその破壊の角を向けるだろう。

 

 

 

(そんな…こと…)

「させない…香織さん達は、傷つけさせやしない!」

 

 

ハジメが再び立ち上がる瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の頭の中で『種』が弾けた―――――

 

 

 

 

――――――――――

 

 

光輝の圧倒的な力もあってトラウムソルジャーの方位を突破した生徒達。

だがメルドの指示により出口の直前で止められる。

 

 

「待って皆!まだハジメ君が一人でベヒモスを抑えてるの!」

 

香織の言葉に疑問符を浮かべる生徒達。

彼らの中でハジメは唯一戦闘に適さず魔法適性もない『無能』という存在になっていたため、そんな彼が光輝ですら倒せなかったベヒモスを足止めなど出来るわけがないと思っていた。

 

だが…

 

 

 

「あれ…ベヒモスを橋に埋めてる?」

 

誰かの言葉通り、ハジメの錬成によってベヒモスの上半身はほぼ橋に埋まっていた。

 

「そうだ!坊主が一人でベヒモスを抑えていたから俺達がここまで脱出できた!あとは俺達であいつを助けるぞ!」

 

死ぬような思いをした生徒達はチラチラと階段の方に視線を向けるが、メルドの一喝によって慌てて魔法攻撃の準備をする。

 

 

その中で一人だけ、今にも逃げ出したいと思っていた人物が居る。

 

 

(くそ…くそくそくそ!!なんでこうなったんだよ!?)

 

『彼』が思い出したのは昨晩のこと。

迷宮に入る前日、中々寝付けなかった彼は外の風を浴びに行った。

 

そんな中で彼は偶然にもハジメの部屋の近くを通りかかり、そこでネグリジェ姿の香織が出て行ったのを見かけてしまったのだ。

 

彼は1年前、初めて出会った時から香織に片思いをしていた。

だが、すでにその頃からハジメが香織とずっと一緒にいたことが疎ましく感じていた。

香織の幼馴染でありクラス一の優等生である光輝と香織だったら住む世界が違うと諦めがついたのだが、自分より劣る(と考える)模型部員のインドアオタクであるハジメが香織のそばにいるのはおかしいと自分勝手な理屈を頭の中で導き出し、1年前に仲間達と罵倒をしながらハジメを痛めつけた。

 

だが、その後二人の仲は急接近してしまい、しかも自分の行動が知られたのか香織の親友である雫とハジメの親友の大翔が睨みを効かせたため、容易に二人に接近できなくなってしまったのだ。

 

 

(…いや。今なら…)

 

その時、彼の心の中の悪魔が囁く。

 

 

みんなはハジメを援護するため、彼の背後を狙うベヒモス目掛けて無数の魔法を放っている。

 

 

 

「…そうだ。全部…白崎のため…」

 

 

彼…『檜山大介』は自身の適性である風魔法ではなく、炎属性の魔法を詠唱。

 

放たれた火球はベヒモス目掛けて飛び…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「南雲君、逃げて!!」

 

――――――――――

 

 

数分前。

 

(頭の中が冴えてる…これなら!)

 

『目の光が消えた』ハジメは、今まで以上に冴え渡った頭を駆使して両手だけでなく、近くの石を靴で踏みながら振り返ることなく感覚だけで寸分の狂いもない錬成の魔法陣を橋に削って描き、魔法陣を踏みつけることで両手、右足を使った3つの錬成を同時に行うという離れ技を披露。

橋を崩落させないようにギリギリの強度が保てるよう計算しながらベヒモスの上半身、下半身、そして背後から迫るトラウムソルジャーを全て錬成だけで対応していた。

 

「あと…一本!」

 

 

最後の魔力回復薬を飲み干し、ハジメは自身の魔力を全て注ぎ込む気持ちで錬成を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

「坊主、準備が出来た!戻ってこい!」

 

メルドの声が聞こえ、ハジメは立ち上がると同時にベヒモスの左目に銃弾を放つ。

 

 

 

 

 

「グウウゥオオオオオ!?」

 

視界が真っ暗になり、激痛で暴れだすベヒモス。

 

すぐさまハジメは走り出し、100メートルほどある橋を全力で駆け抜けていく。

 

その頭上を飛ぶ致死性の魔法が次々とベヒモスを襲い、視界を奪われながらもなお執念で追いかけてくる魔物の足を止め続けていた。

 

 

 

(これなら、帰れる…)

 

 

「南雲君、逃げて!!」

 

突如として聞こえてきた雫の声。

 

「え…?」

 

 

気が付くと火球が一発ハジメの方に飛び…

 

 

 

彼の左目は外の世界を映すことは二度となくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛アアアアアァァァァ!?」

 

 

ベヒモスから突如逸れた一発の魔法。

それは逃げようとしていたハジメの顔面に直撃し、彼の左目を潰してしまう。

 

 

「ハジメ君!!」

「ハジメぇ!!」

 

香織と大翔は慌ててハジメを助けようと走るが、なんと大きな揺れとともに橋が崩落を開始した。

 

錬成によって大きく削られ、さらにベヒモスという巨体が暴れたことや魔法によるダメージがついに橋の耐久値を上回ってしまったのだ。

 

 

 

それでもなおハジメを助けようと動く香織と大翔だったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く………来るな!!!」

 

ハジメの強い口調に思わず止まってしまう二人。

 

 

もうどうあがいても間に合わない。

仮に助けに来たとしても、そのまま二人も崩落する橋に巻き込まれてしまうのはハジメが一番わかっていた。

だから、ハジメは痛みに苦しみながらも香織達が来ないよう叫んだのだ。

 

 

 

 

 

(ED あんなに一緒だったのに)

 

 

 

『今日から同じ学校だね!よろしく、南雲君!』

 

あの日、桜が舞う空の下で初めて一緒に登校した日。

 

 

 

『そういえば、部活の課題やってきた?自分なりに新作の模型を作れって…私?私はね…このSDのインパルスとエクシア!』

 

 

楽しい日々は1年生の間だけでも数え切れなかった。

 

 

『ごめんね…私、やっぱり一緒にはいられない……』

 

『離して…私がいると、南雲君が傷ついちゃう…それが、私は一番嫌なの!』

 

 

幸せな思い出だけじゃない。

彼女の涙を見たとき、自分自身が許せなかった。

 

この世の何より、自分が憎く思えた。

 

 

(あぁ………ごめん)

 

崩落する橋に巻き込まれ、視界から消える直前に見えた彼女の顔は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼が一番嫌だと感じた、泣いている姿だった。

 

 

 

(ごめん…香織さん………僕、また君を泣かせて…)

 

 

 

 

意識が途切れ、ハジメの体は奈落の底に消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

橋から落ちたハジメに手を伸ばし、香織は目の前の現実に声を失い…

 

 

 

 

 

 

「ハジメくうううぅぅぅぅん!!!」

 

 

 

 

 

オルクス大迷宮に少女の悲痛な叫びが木霊するのだった………

 

 

 

 

 




次回予告

失われた大切な人。
夢にあふれた世界の代償は余りにも大きく、少年と絆を結んだチームは一つの終焉を迎えてしまう。

現実を突きつけられた今、彼らが進む道は…?

次回、機動戦士ガンダムForce
第15話 決意、固めて

未知なる世界へ…突き進め、クロウ!



ステータス紹介
遠藤浩介 17歳 レベル:1
天職:暗殺者
筋力:50
体力:60
耐性:30
敏捷:95
魔力:55
魔耐:45
技能:暗殺術[+深淵卿]・気配遮断・迷彩・身体強化・言語理解

ハジメの恋愛模様はハーレム?それとも香織一筋?

  • 異世界美少女(ユエ達)のハーレム
  • 香織一筋を貫け!
  • クラスメイトの誰かをハーレムに…
  • 異世界組とか関係なくハーレム
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