ワクチンの副反応が昼から来た…ご飯食べれば回復するけどだるさと吐き気が地味にきつい…
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気が付くと香織はベッドの上…ホルアドの宿ではなく、王宮で割り当てられた部屋にいることに気がついた。
「香織!目が覚めたの!?」
横には泣きそうな表情の雫がいる。
「雫ちゃん…?私…」
寝ぼけているのか、香織は自分がなぜここにいるのか思い出そうとする。
ホルアドの町で訓練のため泊まり…
オルクス大迷宮で戦い…
その中でトラップにより65層に飛ばされ、ベヒモスを足止めするためハジメが戦い………
「―――――っ!ハジメ…君…!」
思い出した。
誰かの放った魔法がハジメの左目を潰し、彼はそのまま自分達を助けた代償として橋の崩落に巻き込まれ…
奈落の底に消えてしまったことを。
――――――――――
「放して!ハジメ君が!ハジメ君がああ!!」
奈落の底に飛び降りんばかりに叫ぶ香織を龍太郎と大翔が抑えるが、力自慢の男子二人がかりでも抑えきれなかった。
「落ち着け香織!南雲はもう無理だ!ここは撤退しよう!」
それは光輝なりに彼女を気遣ったつもりの言葉。
だが、それを聞いて香織はますます暴れだす。
「無理って何!?ハジメ君を早く助けないと!!私が助けるって!約束したの!!」
そんな中、突如として香織の意識が途絶える。
後ろを見ると、宗一が手刀で気絶させていた。
倒れる香織を大翔が支え、光輝は宗一を睨むが険しい顔になった宗一に怯む。
「こうでもしないと白崎はマジで飛び降りかねないだろ。文句言うヒマがあるならさっさと撤退しろ!」
宗一の強く握り締めた手からは血が流れており、光輝はこれ以上何も言えなくなる。
だが…
「…どうして………どうしてお前が!」
雫の怒りを押し殺したような声に全員が彼女のほうを向く。
彼女の視線はたった一人…ハジメを攻撃した魔法を放った男に向けられてた。
「檜山!!どうして…どうして南雲君に攻撃したの!」
雫は剣を檜山の喉元に向け、その殺気に周囲の騎士達でさえ怯む。
「な、何言ってんだ!どうして俺が撃ったって言えるんだよ!」
「この目で見たからに決まってるからじゃない!私だけじゃない、大翔も遠藤君も清水君も優花も、皆がお前の違和感に気づいてるの!」
ハジメを援護するべく放たれた魔法は早く撃つことを考え、一番適性の高い魔法を選んでいた。
にも関わらず檜山の詠唱は一人だけ2節長く、そこから彼が本来の適性である風属性ではなく、火属性の魔法を撃ったことに気づいたのだ。
「前々から南雲君に暴力ばかり振るってるから、私達はみんな目をつけてたのよ!」
なおも詰め寄る雫に対し、光輝が割って入る。
「ま、待ってくれ雫!檜山が南雲を攻撃なんてする訳無いだろ!俺達は仲間なんだ。どうして仲間同士でそんなことする必要がある!?あれはどう見たって檜山の魔法が暴走した事故だろ!」
光輝は雫の証言すらも間違いだと否定する。彼にとって『仲間割れ』など現実に自分たちの周りで起こるわけがないものであり、仲間割れをするのはいつも『悪』だからだ。
それでもなお言い争いがヒートアップするなか、レイが光輝と雫の一触即発の空気を止めるべく間に入り込む。
「お前達、言い争いはそれくらいにしろ!こいつの処遇は生きて返してから決める!」
有無を言わせない迫力に2人が押し黙ると、メルドを先頭に彼らは上層へと歩き始めた…
「その…助かりました、レイさん…」
「いや…俺達は蔑まれこそすれ感謝されるようなことなどしてない」
そう言いながら歩くレイに、大翔は何も言えなかった…
――――――――――
「じゃあ…あれから5日も経ってるの…?」
「ええ。南雲君が死んだことと、貴女が目を覚まさないことを考えて昨日の昼に私達はホルアドから王都に戻ったわ…」
そこまで聞いて、香織はあることに気が付く。
「…ねえ、雫ちゃん…檜山君が、ハジメ君を攻撃した犯人なんだよね…?」
小さく頷く雫。
「…なら、それについて明確な罰は下ったんだ」
その言葉を聞いた瞬間、雫は唇から血が滲むほど強く噛み締めた。
「………雫ちゃん?」
「残念だけど…檜山はまだ無事よ。だって………光輝と教会、それにこの国が許したんだもの」
「…え?」
雫の言葉に香織が顔を上げる。
――――――――――
昨日の昼。
騎士団によって監視されていた檜山は一度クラスメイト達と顔を合わせた時に土下座をしたのだ。
「すまねえ!俺のせいで南雲が死んじまって………でも、あいつを狙ったわけじゃないんだ!頼む、信じてくれ!!」
額に頭を擦りつけるように土下座をする檜山だが、香織とハジメを除いた模型部員からの視線は厳しい。
他のクラスメイト達はどうしていいか分からずにいたが、そこに光輝が入ってきた。
「檜山…本当に南雲を狙ったわけじゃないんだな?」
「あ、ああ!」
「なら、どうして火の魔法なんて使った?」
光輝の質問の答え次第では彼も流石に光輝を欺くことは不可能だろう。
わざわざ適性の高い魔法を選ばずに行動したことで光輝にまで疑いをかけられてしまったら檜山はどうあがいても無実を勝ち取ることなどできない。
「…あの時、ベヒモスの目が潰れて発狂してるのを見たら…今なら強い威力の魔法をぶち当てれば倒せると思ったんだ。だから…威力の強そうな火の魔法を飛ばした」
だが、そこから帰ってきたのはあまりにもおざなりな返答。
「すまねえ八重樫!俺、あの時慢心してた!これなら倒せるかもなんて勘違いして…」
『慢心』『勘違い』
あの危機的状況の中で誰もそんな余裕などあるわけがない。
それに緊急時に適性魔法を使うことは二週間の訓練でみっちりと教え込まれており、その理由も合理性も身を持って誰もが実感していた。
しかし、その苦しい言い訳は人の心の善性を無条件に信じている彼にとって信用に足る理由となってしまったのだ。
「檜山………よく、自分から話してくれた」
光輝は檜山を『許した』のだ。
謝罪をした。ただそれだけで一人の人間を殺め、一度は逃げようとした男を。
「お前は取り返しのつかないことをした。もう南雲は戻ってこない。その結果を引き起こしたとお前は理解しているな?」
「ああ………ああ…!」
涙を流して頷く檜山を見て、光輝は立ち上がる。
「みんな!やってしまったことは仕方がない。思うところはあるかもしれないが、いつまでも一つの失敗を咎めるべきじゃないんだ!そんなこと、死んだ南雲も望んじゃいない」
「今俺達が為すべきことは、これ以上の悲劇を起こさないため檜山の失敗を許し、南雲が繋いでくれた命を精一杯生かすことだ!そうだろ!?」
光輝の語る美談に多くのクラスメイトが仕方なく受け入れようとする中、それを大翔が遮る。
「ちょ、ちょっと待てよ天之河!いくらなんでもおかしいだろそれ!大体、適性に関してあれだけ勉強しておきながらそんな言い訳通るはず…」
「おかしいのは君だ、龍峰!もう檜山は失敗を認めたんだ!友達を失って辛い気持ちはわかるが、これ以上不必要に責め立てる必要などない!」
だが、光輝は土下座までした檜山の行動を見て彼が本気で罪を認めたと思ったのか大翔を逆に責め立てた。
なお、檜山が土下座をしたのはちょうど自分を警戒していたレイ、メルド、宗一が留守のタイミングだったりする。
「お前…本気で仲間だと思ってるなら、こんな程度で許していいはずねえだろうが!!」
光輝にのしかかり、殴りつける大翔。
だが、それを遮るかのように騎士団とは異なる鎧を纏った集団…『神殿騎士』達が大翔を押さえ込む。
「な、なんだよお前ら!?」
「黙りなさい。勇者様に危害を加えるなど、見過ごせるわけがない!」
やがて大翔は部屋から連れ去られ、牢に数日感拘留されることとなってしまった…
――――――――――
「そんな…じゃあ、檜山君は未だに野放しってこと!?」
「それだけじゃない…今後共勇者の仲間として迷宮探索の最前線に立つことになったわ…光輝いわく、それが償いですって…」
その答えに香織はベッドに倒れ込み、雫は何もできない悔しさから拳を握る。
「………今、みんなは?」
「…今のところ、迷宮に再挑戦する意思を固めたのは光輝達のチームと檜山達のチーム、そして遠藤君の友達の永山君達くらいね。ほとんどの生徒はもう戦いたくないって引きこもってるわ」
それに…と雫は続ける。
「大翔は今回の一件のせいで私達のパーティーから外されて、今後は教会の騎士達の監視下に置かれる。遠藤君は永山君達のほうが心配だからって迷宮組に加わるみたい…優花は、しばらく立ち直れそうにないわ。そして………清水君はこの王宮を出て行くって」
数時間前の清水とのやりとりを雫は思い出す。
――――――――――
「本当に出て行くの…?」
「ああ。もう天之河にもこの国にもついていけねえよ。それに…」
荷物をカバンに詰め込んだ清水は雫のほうを向く。
「俺があのクラスにいたのは、南雲への恩もあったからだよ。あいつを殺しておきながらヘラヘラ言い訳するあのクズにも、それをいい話風にして許したあの馬鹿勇者にもそれを許容した連中にもウンザリだ」
そう言う清水の目は本気であり、彼の考えがわかった雫は何も言わない。
「…これから、どうするつもり?」
「んー………とりあえず王都で冒険者登録したら、今回の冒険でちょろまかした素材だの魔石を売り払うよ。メルドさんから侘び料も貰えたし、そこそこ立派な宿に泊まっても当面生活に困ることはないだろうからさ」
そう言うと清水はベルトにガンプラの入ったケース…チーム結成の記念に皆で揃えたものを通すとカバンを肩にかける。
「じゃあな、八重樫。一年半、世話になった」
「うん…清水君も、体に気をつけて」
軽く手を振ると、清水は部屋を出ていき…主を失った部屋にただ一人、雫だけが残された。
「………ビルドデスティニー、すっかりバラバラになっちゃったわね」
――――――――――
雫から事のあらましを聞いた香織は、やがて覚悟を決めたように顔を上げる。
「………雫ちゃん。私、これからやるべきことがわかった気がする」
「私、もう一度大迷宮に戻ってみる。ハジメ君を探すために」
「香織…南雲君はもう――」
『死んだ』。そう言おうとしても躊躇ってしまう。
そんな雫の考えを察してか、香織は小さく首を振る。
「私、信じたくないだけかもしれない。まだ生きてるなんて…そんなの、奇跡でも起こらない限りありえないって。それでも…私はハジメ君を探す」
「もしハジメ君が死んでたとしても…私はあの真っ暗な迷宮の中で一人ぼっちになんてさせたくない。どんな形であれちゃんとハジメ君を、愁さんや菫さんの待っている場所に連れて行ってあげたいから」
その瞳に宿ったのは、ただ泣き崩れるだけの少女ではあり得なかった強い決意。
「だから…力を貸してください、雫ちゃん…」
「そんなの…当たり前でしょ」
雫は香織の手を掴み、香織は立ち上がる。
冷静に考えれば、香織の言うことは妄言と切り捨てられるかもしれない。
なにせハジメのステータスはこのクラスメイトの中で一番低く、さらにあの時戦っていたのはこれまで到達者が全くいなかった65層。
そこから落ちた以上、仮に無事であっても光輝達ですら苦戦した魔物以上の存在がうろつく場所で生きているなど考えられない。
それでも、香織はそのあまりにも小さすぎる希望に賭けて再び立ち上がろうとしている。
「香織にそこまで頼まれて、首を振るほど私は薄情じゃないわよ?それに………もし皆が揃ってたら、きっと同じことをする」
バラバラになってしまったビルドデスティニー。
だが、香織も雫ももう一度信じてみようと思った。
いつかまた、皆で揃えるようになる日が来ることを…
「今は二人しかいないけど…『あれ』、やるわよ!」
「うん!」
ハジメがかつてやっていたように、香織と雫はお互いの手を重ねる。
「白崎香織!ガンダムエクシア・フリューゲル!」
「八重樫雫!フリーダム・ブレードマスター!」
「チーム・ビルドデスティニー!」
「「運命を切り開く!!」」
決意を新たに、少女は再び戦う意志を示した…
――――――――――
一方、牢獄に入っていた大翔は…
「すまないね…彼らは少々頭が固いんだ」
暴行を受けたのか顔に痛々しい傷を残す大翔は声を掛けてきた騎士を見ようとせず、小さく舌打ちをする。
「全く…少しばかり話を聞いて欲しいものだ
君もまた『モビルスーツのパイロット』なら、同じように戦ったものの話くらい聞いてくれてもいいんじゃないか?」
その言葉を聞いて、大翔は顔を上げて絶句。
「なんで………どうして、あんたがこの世界にいるんだ…?」
「さあ?だがね…私の目的は決まっている。この窮屈で狭い世界から、自由を得る………そのために」
騎士は大翔にある『石』を渡す。
「これは…?」
「アーティファクトさ。ただ…その使い方はまだ秘密だ。もしそれの使い方を知る人間と出会えなければ、いずれ私が教える」
そう言うと、騎士は鍵を外す。
「君の身柄を預かるのは我々ではなく、君の恩師の畑山愛子になった。他の騎士の監視はつくが、そっちのほうが自由に動きやすいだろう」
そう言うと騎士は牢獄の扉を開け、大翔とともに外に出る。
「あんた…どうして俺に力を貸す?」
「そうだな………私は、いずれ『私の悪魔』を取り戻す。そのために…」
騎士………『マクギリス・ファリド』は静かに笑うのだった…
――――――――――
そして…『真オルクス大迷宮・第1層』では…
「くっ……………あぁ……!」
左目に包帯を巻き、骨が見えるほど抉られた左腕を抑えたハジメが虫の息で倒れていた。
「死んで…たまるか…!!」
次回予告
暗黒の世界でただ一人、少年は彷徨う。
圧倒的な力。容赦のない暴力。
かつてない悪夢がハジメを襲い、彼の心を壊していく。
次回、機動戦士ガンダムForce
第16話 魂が軋む時
絶望の夢を…飛び越えろ、インパルス!!
ステータス紹介
三木宗一 26歳 男 レベル:1
天職:狙撃手
筋力:50
体力:60
耐性:40
敏捷:30
魔力:80
魔耐:80
技能:夜目・狙撃[+狙撃補正]・弓術・体術・水魔法適性・風魔法適性・言語理解
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