今回はサブタイのとおり…
感想、評価をお待ちしています!!
金曜日の放課後、ハジメはいつもの制服のまま模型店『 THE GANDAM BASE』を訪れていた。
このお店はGPDが流行りだした頃に日本のあちこちに展開された『ガンプラ専門店』で、それぞれのお店や系列店に実物大ガンダム立像が飾っており、ハジメの通うこの店には彼がインパルスと並んで推している『デスティニーガンダム』の立像があった。
そのためこのあたりに住んでいる人達の待ち合わせスポットにもなっており、地元民は『デスティニー前』と言えば伝わる…らしい。
(まあデスティニーの外見ならば見た人は一発で特徴覚えるだろうし…)
ハジメは立像前のベンチに座りながらそんな事を考える。
何せデスティニーガンダムはその風貌からしてインパクトが凄まじいのだ。
従来のガンダムらしいトリコロールカラーでありながら、悪魔を思わせる赤と黒の翼。
そして何より、血涙を流したようなその顔つきは一度見たら覚える人も多い。
「南雲君!」
すると、小走りで香織が駆け寄ってくる。
「お待たせ。もしかして結構待たせちゃった?」
「ううん。僕も今きたところだよ」
少しだけ息を切らせた香織は、ハジメ同様中学の制服姿だった。
「じゃあ、案内よろしくお願いします♪」
いたずらっぽい笑みに思わず見とれそうになったハジメだった…
――――――――――
ガンプラコーナーに入ると、香織はキョロキョロと辺りを見回す。
「ガンプラって一言で言っても、たくさんあるね…どういう種類があるの?」
「うーん…大まかに分けると『1/144』、『1/100』、『1/60』、『SDガンダム』の四つかな?もっと上の『1/48』なんて大きさもあるけど、それは今回省くとして…」
そう言うとハジメは、一つの箱を手に取る。
「これが1/144スケールのガンプラで一番メジャーな『HG』ことハイグレード。物によってはしっかりした塗装とかが必要なものもあるけど、この『機動戦士ガンダムOO』以降のガンプラは割と塗装無しでも設定に近い色合いになってるんだ」
ハジメが手に取ったのはガンダムOOの第1シーズン主役機体『ガンダムエクシア』と第2シーズン主役機体『ダブルオーガンダム』のプラモ。
「で、同じスケールでより細かいのがこの『RG』ことリアルグレード。値段も少し割高で組立難易度も一気に跳ね上がるから初心者の白崎さんにはオススメしないけど、ある程度慣れたら簡単なものからチャレンジしてみるといいよ」
今回手に取ったのはハジメの使っているガンプラの原型機『フォースインパルスガンダム』のRGガンプラ。
「…てことは、私が組むとしたらこのHGモデルがいいのかな?」
「うん。これより大きいスケールは初心者にはまだ向かないから、HG以外で組むとしたら…このSDガンダムかな?」
ハジメが見せたのは、SDシリーズの一つ『SDEXスタンダード008 ダブルオーガンダム』。
「このシリーズはSDの中でも組みやすい上、パーツや武装をそのままHGモデルと合体させられるから僕もよく購入してるんだ」
「ふーん………こうして見ると結構色々あるね………ん?」
あちこち観察していた香織が目をつけたのは、HGガンプラの中で異彩を放つ可愛らしいガンプラ。
「…ねえハジメ君。これって…?」
「………ああ、これは『プチッガイ』だよ」
香織が手に取ったのは可愛らしいクマの外見をしたガンプラ。
「プチッガイって名前で、元は水陸両用機体『アッガイ』を改造したクマ型ガンプラ『ベアッガイ』のサポート用として発売されたガンプラなんだ」
ハジメはスマホでプチッガイの画像を見せると、香織の目がキラキラと輝く。
「…これ、雫ちゃんにプレゼントしたら喜んでくれるかな…」
―――――――――――
………それから30分。
ハジメと様々なガンプラを見て回った香織が選んだ機体は………
「…まさか、白崎さんが『エクシア』と『ダブルオー』を選ぶなんてね」
「うん。最初にハジメ君が教えてくれた機体だから気になって手に取ったんだけど…」
香織は大事そうにエクシアとダブルオーの箱を持ち歩いており、二人は現在店内の組立コーナー『ビルドゾーン』に訪れていた。
因みに、工具類は既にハジメがレンタルしており制作の準備は万端だったりする。
「じゃあ、開けるね…」
香織は緊張した面持ちでエクシアの箱を開け…その内部パーツに驚く。
「とりあえず説明書通りに組み立ててみようか。最初に教えたけど組立のコツは…」
「うん!『二度切り』、『ヤスリがけ』だね?」
「そうそう。それさえ覚えていればとりあえずいいものは完成するから」
そう言ってハジメも一緒に購入した『HGCE イージスガンダム』を開封しながら一緒に組み立てる。
そして………
数時間後。
机の上には青いスタイリッシュなガンプラ…『ガンダムエクシア』が完成していた。
「やったぁ!」
苦労して組み上げただけあってか、香織は楽しそうにエクシアを手に取る。
「どうする白崎さん?とりあえずこのエクシアで操縦してみる?」
「え?」
キョトンとする香織に対し、ハジメは三角形の端末…『ダイバーギア』を取り出した。
―――――――――
ダイバーギア。
GBNにログインするためのアカウントを保存する端末だが、ガンプラバトルVRにおいてもプレイヤー用の起動端末として使える。
香織は今回、お店からレンタルしたゲストアカウントを使いログインすることに。
「えっと…ここのスペースに差し込むの?」
「うん。あとは前に置いてあるVRヘッドセットをかけると自動的に使い方を教えてくれるんだ」
横の筐体に同じように乗り込むハジメ。
二人のヘッドセットに説明が表示され、ダイバーギアに香織はエクシア、ハジメはイージスを置くとガンプラとダイバーギアは自動的に筐体内部に固定された状態に格納され、ガンプラの詳細データを得るためのスキャニング作業が行われる。
20秒ほどでスキャニングが終わり、画面に『complete』の文字が表示されると、続けてミッションセレクト画面に移行。
「今回は白崎さんが楽しんでもらえるように、バトル無しのフリーミッションを選ぶ?」
「じゃあ…そうするね。えっと…この『フリーミッション・星を巡る旅』でいいのかな」
香織がミッションを受注すると、画面が切り替わり彼女の視界はガンダムお馴染みの『カタパルト』に移動していた。
「これって…」
「そう。VRガンプラバトルもこのカタパルトから自分のタイミングで出発できるんだ」
ハジメは香織に通信して、そこで彼の服装が違うことに気が付く。
「あれ?南雲君、その服装………」
ハジメの服装は制服ではなく、赤をメインにしたパイロットスーツ姿になっている。
「あー…このゲーム、設定いじらない限りベース機体のパイロットスーツになるんだよね…まあインパルス使うときもこの服装だから気にしてなかったけど…」
余談だがハジメが着ているのは『機動戦士ガンダムSEED』のザフト軍のパイロットスーツ(赤)で、香織が着ていたのは『機動戦士ガンダムOO』の主人公、『刹那・F・セイエイ』のパイロットスーツを女性用に作り直されたスーツだったりする。
「じゃあ改めて…南雲ハジメ!イージスガンダム、出る!」
ハジメが操縦桿を操作するとイージスはカタパルトから射出され、香織もすうっと息を吸い、操縦桿を握り…
「エクシア、白崎香織!飛びます!」
勢いよく青い戦士と共に青空へ舞い上がった…
――――――――――
その日の夕方。
香織はハジメと途中で別れて家路まで歩いていた。
(凄い景色だったな…)
空を飛ぶという不思議な感覚は香織にとって胸躍る体験だったと言えた。
尤も、争いごとについて苦手意識があった彼女のためにハジメがわざわざバトルのないミッションを選んだことについてはありがたさと少しばかりの申し訳なさがあった。
(…でも、不思議だな。あの時の決勝戦…)
あの時、百式・ジェットと戦うセイバーインパルスの姿を見て争いへの嫌悪感などわかず、胸に浮かんだ言葉は…
「綺麗な色………」
いつか、あんな風に自分も一緒に飛んでみたいと香織も密かに願っていた…
「あれ?おーい、香織!!」
だが、この時香織は知らなかった…
これから先、自分が選んだこの道が…
『自分も大切な人も傷つける』などと…
「っ…光輝…君?」
ガンプラ解説2
セイバーインパルスガンダム
購入できなかったソードインパルスガンダムの代わりにハジメが自作したガンプラで、GBNでボーナスパーツとして入手した機動力重視のバックパックと刀型武装『シロガネ』と銃剣型武装を基本装備としている。
なお、使う武装は今もなお検討中。
バックパックはガンダムダブルオーダイバーエースのバックパックを赤く塗装したもの。