…皆さんサーシェス好きすぎる!いや気持ちはよくわかります。
今回は一気に時間を飛ばしますが、この間はいずれ番外編としてまとめられたらいいなと考えています。
感想、評価が作者のパワーになりますので、いつでも待ってます!
ハジメがユエと出会い、迷宮の探索を再開してから約2週間が経過。
いくつかのアクシデントこそあったものの、新たな武器を開発したハジメやけた違いの魔法センスを持つユエという二人の前に大迷宮の魔物達もほぼ為すすべもなく蹴散らされ、気が付けばハジメが落ちた場所から100層目に到達していた。
「…間違いなく、ここが終点だよね」
無数の巨大な柱に支えられた広大な空間となっている100層目。
降りるときの階段が長く感じたが、高さだけで40メートルはありそうだ。
「…ん。あの扉」
「うん…あの先がゴールだとしたら…」
すると、ハジメ達の前にこれまでとは比べ物にならないほど巨大な召喚の魔法陣が展開されていく。
「っ、ユエさん!戦闘準備!」
ハジメが叫ぶと、魔法陣から6つの首を持つドラゴン…オルクス大迷宮のボスである『ヒュドラ』が現れ、咆哮する。
――――――――――
ヒュドラの咆哮に気圧されることなく、ハジメは敵の分析を開始する。
(6つの首…おそらく、それぞれが特殊な能力を有している。まずは攻撃力と耐久力を測って…!)
ドンナーを電磁加速モードで撃つと、あっさりと赤い文様を持った頭を粉砕。
「よし!耐久力は並の魔物と変わらない…っ!」
だが、白い文様の頭が叫ぶと赤い頭が光に包まれ、再生される。
続けてユエが炎魔法で青い頭を破壊するが、同様の再生を行われてしまった。
「白が回復役か…なら、まずはそこから潰せば!」
ハジメとユエの攻撃が白頭を狙うが、今度は黄色い文様の頭が頭部を一気に肥大化させ、攻撃を受け止めてしまう。
「黄色はタンクか!」
続けざまに緑から風魔法、青から氷魔法、赤から炎魔法が続けざまに飛んでくる。
「ハジメ!」
「ユエさん、離れるよ!」
天歩を使うことで距離を取るハジメは相手の能力を分析していた。
(攻撃は3つの首がそれぞれの属性魔法で担当して、ダメージを負ったら白が回復…一番攻撃を受けてはいけない白は黄色が防御している…確かに、バランスが取れた厄介な敵だ)
「でも、能力さえわかれば!!」
ハジメは焼夷グレネードをヒュドラの頭上に投げて爆発させ、全体にダメージを与える。
「ユエさん、黄色を引きつけて!」
「ん!〝緋槍〟!」
全体攻撃で白が回復を行おうとするあいだ、ユエが魔法で黄色に攻撃をして足止めをする間にハジメが攻撃をするというフォーメーション。
本来ならばバーストインパルスのオールレンジ攻撃を使い黄色の死角を取るか、ユエの最上級魔法『蒼天』で一気に黄色ごと貫くのが簡単だが、双方共に消費が大きいのもあって今回は選択しなかった。
狙い通りにユエが黄色を引きつけ、ハジメはその隙に白を狙うが…
「いやああぁぁぁぁぁ!?」
「っ!」
ユエの悲鳴が聞こえ、振り返ると頭を抱えて怯えているユエの姿が。
見ると、唯一能力が不明だった黒い文様の頭がユエを見つめていた。
「まさか、闇魔法!?」
友人である清水の使っていた魔法の特性に似たこの力からハジメは敵の能力を見抜き、急いでユエを連れその場から離れ、柱の影に隠れる。
「ユエさん!ユエさん、しっかりして!!」
ユエは青ざめた表情で震えており、ハジメは正気を取り戻させるためごく微弱な纏雷を使い、ユエの意識を戻す。
「……ハジメ?」
「そうだよ…一体、何が?」
隠れながらハジメが聞くと、ユエが小さく震えて答える。
「………見捨てられたかと、思った………また、あの暗闇に…」
「やっぱり…闇魔法でトラウマを刺激してきたんだ」
だが、これで敵の全能力が判明した。
「3色の属性魔法…防御、回復、そしてデバフ…確かにバランスはいいけど、完璧じゃない」
「………」
未だに不安なのか、泣きそうな顔のユエ。
そんな彼女の手を握ったハジメは優しく語りかける。
「大丈夫…ユエさんが怖いなら、僕がその分戦うから。だって…この奈落で出会えた友達なんだから」
ハジメとて鈍感ではない。
この2週間で彼女からの視線が持つ本当の意味に気づいているが、今の自分はその真意に答えることなどできない。
…だからこそ、今彼女のために出来ることはこれしかなかった。
『クルウゥアアァァァァァ!!!』
ヒュドラの叫びが聞こえると、ハジメは背負っていた『奥の手』を準備して再びヒュドラと向かい合う。
「…ユエさん、もし戦えるようになったら言って。そしたら…一気に勝負をかける!」
「…ん!」
ハジメの手の温もりから落ち着いたのか、ユエはしっかりと立ち上がる。
「…ハジメ、もしかして『シュラーゲン』を?」
「ああ…勝負は一回。それで決めてみせる!」
ハジメが取り出したのは凡そ150センチほどの巨大な対物ライフル『シュラーゲン』。
以前から蠍の魔物など強固な防御力を持つ敵との戦いでドンナーが通らなかったことを危惧していたハジメは武装の強化を考えていたが、使える炸薬や電磁加速が既に限界に来ていたドンナーの強化が不可能と結論を下し、破壊力重視の新装備を開発することにした。
アサルトライフルの解析でライフル銃のコピー自体はできたが、より強力な一撃を撃てるようにするため口径と銃身を大きくするべく改良を重ね、ついに完成させたのがこのシュラーゲン。
装弾数は僅か1発で持ち運びに不便するという弱点こそあるが、威力はドンナーの十倍にまで跳ね上がっている。
なお、銃身の素材は蠍の魔物の体を構成していた特殊な鉱石『シュタル鉱石』である。
魔力を込めれば硬化出来る上に錬成による加工が容易、そしてタウル鉱石以上の硬度を持っていたこの鉱石を使うことでシュラーゲンは完成していたのだ。
――――――――――
「〝緋槍〟!〝砲皇〟!〝凍雨〟!」
炎の槍、真空の刃を纏った竜巻、そして鋭く尖った氷の雨が次々とヒュドラを攻撃していき、ハジメはその隙にシュラーゲンに弾丸を装填。
「ユエさん、白頭を狙う!」
ハジメはシュラーゲンを構え、スコープを覗くと…
「………狙い撃つぜ!!」
恩師の決め台詞を借りて自信を奮い立たせ、弾丸は白頭と黄色頭を纏めて貫通。
その一瞬でユエもまた強力な魔法を放つ。
「〝天灼〟」
残った4つの頭の上に放電する雷球が6つ現れると、それぞれが放電して一つにまとまり、残る4つの頭を黒焦げにした。
――――――――――
一方…香織達は数日かけて再びオルクス大迷宮の探索を続けていた。
檜山の無罪が確定してからすぐに志願者と宗一、そして騎士達は訓練のためオルクス大迷宮の探査に再び趣いていた。
光輝達にとっては実戦に慣れるための訓練だが、香織と雫、そして遠藤にとってはまた別の意味を持つ…
「…それにしても、龍太郎君どこ行っちゃったんだろう?」
64層から降りる階段を進みながら鈴がふと呟く。
龍太郎は数日前、『師と出会いました。これより己を見直すため修行に出てきます。何とか数日で戻るので心配しないでください』という書置きを宗一の部屋の前に置いて姿を消していたのだ。
「ま、まあ龍太郎だし、すぐに帰ってくるわよ………きっと」
微妙に自信のない励ましの言葉を口にする雫だが、正直一人でないのならどうにか生きて帰ってくるだろうとみんな心のどこかで思っていた。
「ぬおおおおおおおおおおお!!!」
化物しかいないとされる死の谷、ライセン大峡谷。
そこで龍太郎は巨大な岩を背負いながら無数の魔物を素手でなぎ払っていた。
「どうした、小童!その程度の獣、さっさと倒さんかこの馬鹿弟子があ!!」
「押忍!!」
ある男性からの厳しい叱責に元気よく返事をした龍太郎は身体強化などの能力を一切使わず、己の肉体のみで魔物との戦いを続けていた。
(南雲………俺、絶対にお前に救われた命、無駄にはしねえ!)
「師匠!もっと岩を増やしてください!」
紫の服を着たやや年のいった男…『師匠』は不敵に笑うと、そこらの岩を着替えであろう『股引』で切断するとそれを龍太郎に投げるのだった…
――――――――――
65層に到達した香織達は、かつての惨劇の場所に似たその場所に思わず息を呑む。
「………必ず、見つけるから」
ハジメが作ってくれた擬似GNロングブレイドをそっと握る香織と、彼女の思いを察した雫。
だが、光輝はその様子から香織が不安になったのだろうと考えて歩み寄る。
「………香織。心配しなくてもいい。俺がそばにいる…俺は絶対に香織を置いて死んだりするようなことはない」
「もう二度と誰も死なせない。南雲が最後に守ってくれた香織の命は、俺が絶対に守りぬくから」
その言葉に香織は言いようのない不快感を覚えるが、それを顔に出すようなことはしない。
檜山をただ許した事を知ってから香織はだんだんと光輝に対して恐怖心すら覚えるようになったのだ。
(………どうして、君は彼の死をそうあっさりと受け入れられるの?どうして………ハジメ君のことを『仕方の無いこと』とあっさり切り捨てられるの?)
『俺があのクラスにいたのは、南雲への恩もあったからだよ。あいつを殺しておきながらヘラヘラ言い訳するあのクズにも、それをいい話風にして許したあの馬鹿勇者にもそれを許容した連中にももうウンザリだ』
雫から聞いた清水の言葉が頭をよぎる。
「………そう、だよね」
彼も他の皆も、ハジメのことを仲間などとこれっぽっちも思っていなかったのだろう。
だからこそ清水はクラスメイトを見限ったのだと香織はこの時嫌というほど理解した。
「ちょっと光輝…いい加減にしなさいよ」
「雫は黙っていてくれ!例え厳しくても、幼馴染である俺が言わなければいけない………雫。君も言ってくれ。雫が乗り越えられたように絶対南雲の死を乗り越えて強くなれると!」
そんなやり取りが我慢できなくなったのか、香織はGNソードを近くの壁に突き立てる。
「………少し静かにしてくれないかな?私達が何を考えて、どうやって進もうが天之河君には関係ないよね…?」
その鬼気迫る顔に圧倒されるクラスメイト達だが、宗一が手を叩く。
「天之河が言いたいこともわかるけど…お前だってわかるだろ?南雲はずっと白崎達と一緒にいたんだ。接点が薄かった奴らと違って、簡単に割り切るなんて無理なんだよ…」
「三木先生…」
「こいつらの戦い方や生き方は他の誰かが決めていいものじゃない。それに…ここはまだ迷宮だ。こんな所で会話してたら、危なっかしいだろ?」
そう言われると否定できないのか光輝が押し黙る。
そんな宗一に香織と雫が小さく礼を言うと、宗一は気にするなとばかりに小さく手を振る。
―――――――――――
65層の橋に到達し、メルドが叫ぶ。
「気をつけろ!ここのマップは不完全で何が起きるかわからん!」
光輝達は警戒しながら進むと、橋の中央にあの時の魔法陣が浮かんだ。
「ま、まさか…アイツなのか!?」
クラスメイトの誰かが叫ぶ。
「嘘だろ…アイツは南雲が倒したじゃないか!」
遠藤が剣を握りながら叫ぶが、レイが説明する。
「迷宮の魔物は定期的に蘇る。原因は解明されてないが、一度倒した魔物との遭遇も普通に起きるんだ。お前達、退路の確保を忘れるな!」
レイの言葉に不機嫌そうな声色の光輝が言い返す。
「レイさん!俺たちはもうあの時とは違う。何倍も強くなったんだ!」
聖剣を構える光輝に、クラスメイト達も武器を取り出す。
「…仕方ない。光輝が指揮を取れ!」
メルドが指示を出し、宗一もまた武器であるクロスボウを取り出した。
「香織…行けるわね?」
「うん…!もう誰も奪わせない。あなたを倒して、私達は未来を切り開く!」
GNソードを展開した香織は力強く宣言するのだった…
次回予告
かつての仇敵と再び戦う香織達。
一方、ハジメは絶体絶命の窮地に立たされていた!
離れていても、思いは繋がる。
互いを信じ、少年と少女の生きる意思が輝くとき…ついに宝玉は真の力を解放する!
次回、機動戦士ガンダムForce
第22話 ガンダム、迷宮に立つ!
絶望を払い…燃え上がれ、ガンダム!
ハジメの恋愛模様はハーレム?それとも香織一筋?
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異世界美少女(ユエ達)のハーレム
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香織一筋を貫け!
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クラスメイトの誰かをハーレムに…
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異世界組とか関係なくハーレム