もうすぐ原作1巻の内容を終え、新章に移りたいと思います。
感想、評価をいつでもお待ちしています!!
「ん…ここは…?」
気が付くとハジメはヒュドラと戦った広間ではなく、清潔感のあるベッドで眠っていた。
(ここは大迷宮のはず…まさか、あのあと転移されたとか………いや、それは流石に無いか)
未だに頭が回らない中で周囲を見回そうとすると…掌に妙な柔らかい感触が伝わった。
「………んん?」
記憶の彼方に封じたかった『あの黒歴史』を思い出させるような感覚にハジメの頭の中は一気にクリアになり…
「…んにゅ…」
「ゆ………ユエさあああぁぁぁぁぁぁん!?」
ハジメの叫び声が響き渡るのであった。
――――――――――
それから5分後。
一糸纏わぬ状態で眠っていたユエはハジメに叩き起こされ、どこからか調達したシャツを着る。
「ん…ハジメの着替え」
「あ、ありがとう………ところで、僕が気絶してから何があったの?」
新品のシャツと着替え一式を着終えたハジメが問うと、ユエが語りだす。
「あの後、扉が開いてこの部屋を見つけた。そして…ハジメをベッドに寝かせて…」
「てことは…ここがオルクス大迷宮のゴール地点ってことか。それはそうと………なんで僕全裸になってたわけ?」
ハジメの言葉にユエは無言で目を逸らすだけだった…
「………それより、ハジメが寝てる間に色々調べてみた」
露骨に話を変えられて苦い顔になるハジメだが、ユエの情報を聞くのが優先だと己を納得させる。
「…まずわかったのは、ここは明るいけどまだ迷宮の中」
ユエと共にベッドから出たハジメは自分がいる空間の空に浮かぶものを見て驚愕する。
「これって…擬似的に太陽を模したもの…人工太陽?」
「人工…?わかんないけど、夜になると星空みたいになる」
ハジメは色々と気になったのか周囲を歩いているうちにわかったことがある。
この空間の広さは恐らくあのヒュドラと戦った広間とほぼ同等であり、外見的には地下迷宮とは思えないような庭園となっていること。
天井近くの壁から大量の水が流れ落ち、川に合流して奥の洞窟へと流れていく。
さらによく見ると川の中には魚も泳いでおり、地上と繋がっていることが見て取れた。
さらに川の近くには何も植えられていない畑だけでなく、牛などが何頭も入れそうな家畜小屋まである。
「野菜や果物、それに家畜を連れてくればこの空間だけで自給自足が可能になっているのか…仮に揃わなくても魚を食べることが可能になっている。ここの住人はどうしてこんな設計に…?」
そんなことを考えながらハジメ達は先ほど目覚めたベッドルームに隣接していた大きな建物へと歩を進める。
その外見は建築したというより、岩壁を加工して家にしたような外観となっていた。
「…ハジメが寝てる時、調べてみたけどほとんどの部屋に鍵がかかっていた」
「わかった…一応、警戒だけは怠らないでね」
――――――――――
三階建ての石造りとなっている建物の中で殆どに鍵が掛かっており、その部屋の全てに不思議な紋章が描かれていた。
試しに錬成をかけてみてもプロテクトがかかっているらしく、この部屋を空けるには何か専用の方法があると考えたハジメは一度部屋の探索をやめ、最上階に進む。
「これ…」
「ああ…魔法陣と、骸骨?」
三階には一部屋しかなく、直径7、8メートルのこれまで見たことのないほど緻密で繊細な魔法陣が部屋の中央に刻まれている。
そして、その先には豪奢な椅子に座り黒に金の刺繍を施したローブを羽織った白骨死体があった。
「これって…」
ハジメは気になることがあったが、その中で魔法陣を調べてみようと中央まで進み、陣が強く輝く。
「っ!」
眩い光に思わず目を覆うハジメとユエ。
直後、頭の中を何かに覗かれるような言いようのない感覚に陥る。
(この、感覚は…!?)
やがて光が弱まると、ハジメ達の前に半透明の姿でメガネをかけた黒衣の青年が現れる。
『試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。君達には『反逆者』と言えば伝わるかな?』
「あなたが…この迷宮を?」
突然現れたオスカーだが、彼はハジメの言葉に反応することなく続ける。
『ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね。残念ながら君の質問には答えられない。だがこの場所に辿り着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのかメッセージを残したくてね』
そこから語られたのは、ハジメが地上で教会から教えられた話とは全く異なる真実の歴史だった。
――――――――――
神代の少し後の時代、世界は常に争いで満ち溢れていた。
人間と魔人、そして多種多様の亜人が常にお互いを傷つけ合い、殺し合いを続ける世界。彼らの戦う理由は様々だったが、その中でも大きかったのはお互いが『神敵』だから。
人間族、魔人族、亜人族と大雑把に分けられていた現代と異なり、種族も国もより細かく分かれてそれぞれが異なる神を祀っており、各種族はその神からの神託を理由に争い続けていた。
だが、そんな歴史を終わらせようと戦いに終止符を討つべく結成されたのが、オスカー達を筆頭とした『解放者』。
中心となった7人は神代から続く神々の直系の子孫であり、解放者のリーダーはある時偶然にも神の真意を知ることとなる。
神エヒトは人々を駒に遊び目的で戦争を促していたという悍ましい真実を知ったリーダーは志を同じくするものを集めて戦力を整え、エヒトのいる本拠地『神域』と呼ばれる異空間を突き止め、後一歩で決着をつけられるはずだった。
しかし、神は人々を巧みに操ることで解放者達こそが世界の敵だと認識させることで戦わずして彼らは敗北。
守るべき相手に力を振るうことができず、彼らは世界を滅ぼそうとした『反逆者』として次々と処刑されることとなる。
生き残ったのは僅かなメンバーと中心の7人だけであり、彼らはもはや自分達の力で神を討つことができないと悟る。
そして、お互いバラバラになると大陸のどこかに迷宮を創り潜伏して、迷宮にそれぞれ異なる『試練』を準備した。
いつの日か、試練を突破できた存在に自らの力を託すことで神の残酷な遊戯を終わらせるために…
――――――――――
『君が何者で、何の目的でここに辿り着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ…知って欲しかった。我々が何故戦ったのかを』
『君に私の力を授ける。どう使うかは君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。それと………』
突然、オスカーの映像が一瞬乱れる。
『この映像を見ているということは、君は『モビルスーツ』の存在を知っている…そうだね?』
「え…!?」
オスカーの口から放たれた言葉にハジメとユエは息を呑む。
『僕の魔法だけではない…君達が使えるか分からないが、僕は君達に『異界の機人』に纏わる僕の研究を全て託そう』
『君のこれからが、自由な意思の下にあらんことを』
そう告げるとオスカーの映像は消え、ハジメとユエの脳裏に何かが侵入する。
「これって…」
「ん。オスカー・オルクスの持っていた魔法」
――――――――――
ハジメとユエはオスカーから刷り込まれた記憶をたどり、一階に戻りながら会話をする。
「神の真実か………色々と衝撃的だけど…でも、冷静に考えればこれまでハッキリしなかった違和感がいくつか解消されたんだ」
「違和感…?」
ハジメはユエにこれまで抱いていた違和感について説明する。
「一つは、この世界の宗教。僕達の国でもメジャーな宗教があるけど、その内部ではいくつもの宗派が存在する。小さな宗教ならともかく、人間族全てに浸透するほどの大規模な宗教なのに全員が同じ神、そして同じ考えを持って信仰するなんて明らかにおかしいんだよ」
普通、大規模になれば教義も些細な違いが出て、そこから異なる宗派になることは珍しくない。
だが、トータスでは全員が聖教教会の信徒でありエヒトを信仰している。
「………もしかして、神は人々を操りやすくするために?」
「その可能性が一番高い。人々の意見を統一化しなきゃ、誰も彼もがオスカーさん達の敵になるなんて普通起きようがない」
洗脳などの手段を使ったのか、それとも本気で人々の心を掴んだのか…今となっては定かではないがハジメは自分達をこの世界に連れてきた存在について嫌な寒気を感じていた。
「…それと、『神が人々の意思を統一化できた』という仮説を見つけたことでユエさんに関しての謎がわずかだけど解けたんだ」
「え…?」
ハジメはユエの『傷一つ残っていない肌』を見る。
「ユエさん…ヒュドラとの戦いで結構ボロボロだったよね?でも、『自動再生』の技能は魔力さえあれば傷一つ残さず治療する。それこそ…首が落ちようともね」
「…ん。それが?」
足を止めたハジメはユエと出会った時のことを思い出した。
「僕達が出会ったあの日…ユエさんは魔力が枯渇してあの蠍に攻撃されたら間違いなく死んでいた。長い年月を得て飢えさせ、生命維持に魔力を消費させればユエさんを殺すのは不可能ではなかったのに…どうしてユエさんの叔父さんは『魔力が枯渇するまでの飽和攻撃』という手段を選ばなかったんだろう?自動再生は吸血鬼族の先祖返りの技能だということは、少なからずこの技能の長所も短所も知っていたはずなのに」
そう言われてユエも気づいた。
ハジメ以上にユエはこの能力の弱点も理解している。そして、この能力についてユエに説明したのは…
「………確かに、変。私の技能を詳しく教えてくれたの………叔父様」
そしてよく考えると不可解なポイントがある。
あの蠍の魔物は魔物肉で強靱な肉体を得たハジメも苦戦していた相手。
封印が可能なレベルまで弱体化したユエを300年前に殺すことなど容易だったはずなのだ。
「………叔父様は私を殺すつもりは無かった…?じゃあ、どうして……」
「…ここからは完全な仮説だけど、一応伝えるよ。多分…君をこの大迷宮に閉じ込めることが叔父さんにとって必要だったんじゃないかな?オスカーさんが終の住処にして、神の干渉を一切受けないで済む数少ない場所…そこに君を封印すれば、恐らく神にとって何らかの不都合が起きたのかもしれない」
この話はあくまで仮説であり、ハジメ自身確証があるわけではない。
だが、ユエのように異質な力を持った存在がエヒトに狙われていたと推測すればおのずとある程度の答えが出てくる。
「………ハジメ。今の私には、叔父様の真意はわからない。でも………もう少しだけ、叔父様を信じてみる」
確かな証拠など無くても、ユエは大切な人との思い出を胸にもう一度信じる気持ちを持つことにした………
――――――――――
一階に降りたハジメ達は地下室に繋がる扉の前で先ほどオスカーの骸が着けていた指輪(映像が途切れたあと、意味ありげに光っていたので回収したもの)をかざすとロックが解除され、二人は地下に繋がる『エレベーター』に乗り込む。
「エレベーターって…やけに近代的だな」
内部にあった小さい魔法陣に触れるとエレベーターのドアが閉まり、ゆっくりと降下していく。
「これが………オルクス大迷宮の地下深くに存在していたなんて…」
ハジメ達が目撃したのは、地下深くに広がっていた高さ500メートルほどの空間。
だが、その内部はコンクリートなどに似た素材で作られており、まるで巨大な『格納庫』のような空間となっていた。
やがてエレベーターが止まるとドアが開き、ハジメ達は格納庫に降りる。
「すごい………これ、全部地上じゃ手に入りにくい希少鉱石ばかりだ!」
格納庫内部には大量の鉱石が木箱に入った状態で積まれており、その中身は地上で入手困難なタウル鉱石やフラム鉱石、さらにはシュタル鉱石にこの世界最強硬度を誇る合金『アザンチウム』のインゴットまでビッシリと積まれていた。
「………ハジメ。まだ部屋がある」
「うっ…」
つい夢中になりすぎたハジメはユエと共に格納庫の奥にある扉の前まで歩いていく。
「この扉………インパルスが余裕で通れそうな大きさだ」
「ん…確かに、大きい扉」
その扉は20メートルを超える巨大な扉となっており、ハジメは近くの魔法陣にオスカーの指輪をかざす。
すると、『プシュー』という空気の抜けるような音が聞こえて扉がゆっくりと開いていき、ハジメ達は真っ暗な部屋に進む。
やがてある程度歩を進めると明かりが点灯し………
2体の『機人』が彼らを出迎えた。
「なっ………!?これが、どうして………!?」
「ん…ハジメ、これも………『ガンダム』…?」
ユエの問に、ハジメは小さく頷く。
「ああ………間違いない、確かに片方はガンダムだ…」
薄茶色のボディを持った『ガンダム』と、真紅のボディの一回り大きいモビルスーツ。
片や『悪魔の名を冠したガンダム』。片や『伝説の男が最後に乗ったモビルスーツ』。
「なんで…グシオンとサザビーがトータスに!?」
ハジメは震え声を上げ、『ガンダムグシオンリベイク』と『サザビー』を見上げるのだった…
――――――――――
しばらく驚いていたハジメだが、すぐにグシオンリベイクまでジャンプしてコックピットハッチを開き、内部に入り込む。
「…これがもし、ガンプラの実体化とかじゃなく本物のモビルスーツだとしたら………」
内部を見たハジメはコックピットの内装がGVRのものとは明らかに異なる…背もたれの部分に空いた穴とコードを見て『それ』の正体に気が付くとグシオンのコックピットから出ていき、続けてサザビーの頭部コックピットに入り込む。
「…やっぱり、コックピットが全天周囲モニターだ。だとしたら、これはシャア・アズナブルの使っていたサザビー…?」
サザビーから降りたハジメをユエが出迎えてくる。
「ハジメ…あのガンダム達、動かせそう?」
ユエの問いかけに唸っていたハジメは小さく首を振る。
「…今の僕じゃ難しいかな。ガンダムグシオンのコックピットには阿頼耶識が搭載されてたし、サザビーは宇宙世紀の技術そのままだ。なんの知識もない以上、インパルスのように操縦はできない」
「あ、アラヤシキ?」
首をかしげるユエにハジメは説明をする。
阿頼耶識システム。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場した有機デバイスシステムで、人間の脊髄にナノマシンを注入して『ピアス』と呼ばれる接続用インプラント機器を埋め込み、ピアスを経由してナノマシンを操作しモビルスーツの端子を接続することでモビルスーツをまるで自らの体のように操る技術。
「でも…専用の設備も機器も無いし何より17歳の僕じゃ阿頼耶識のナノマシンは定着しない。それに阿頼耶識はリスクの方が圧倒的に高いから、グシオンは今の僕達じゃ使えない」
さらにハジメはサザビーに視線を送る。
「サザビーの方がまだ動かせそうだけど…何せ、あっちの操縦方法を僕は知らないからね。ファンネルを搭載してるけど、重力下だとまともに使えないだろうから今すぐこの2体が必要になるとは思えない」」
その言葉に落胆するユエだが、ハジメはこの状況でどうするべきかを冷静に考えていた。
「………ユエさん。物は相談なんだけど」
「ん?」
ハジメはグシオンとサザビーを見上げながら語る。
「外の世界までもうすぐだけど…僕はここに残って、準備をしようと思う。生成魔法を使いこなすための特訓もだけど、他の技能をできる限り磨いて………あとは、インパルスの力を制御すること。そして…」
さらに、ハジメは格納庫内部に積み上げられた木箱の山に視線を送る。
「これだけの鉱石があれば、僕がインパルスを運用するうえで必要だと思ったものが完成できると思う。一階や二階の部屋も開けられると思うし、万全を期してから出ても遅くはない…と思うんだけど」
ハジメの言葉を聞いたユエは小さく頷いた。
「…ハジメが選んだ道。なら、私はどこまでもついていく」
そう言うとユエはハジメの手を掴んで、エレベーターまで走り出す。
「行こう、ハジメ!私も…一緒に頑張るから!」
次回予告
強くなるため、少年は戦いに向けて動き出す。
思いを伝えるため、少女は勇気を振り絞る。
己が選んだ未来を掴むべく、新たな旅立ちの日が訪れる。
次回、機動戦士ガンダムForce
第24話 旅立ちの朝
新たな明日へ…飛び立て、インパルス!
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