今回、またアンケートを出すので答えていただけると嬉しいです。
感想、評価が作者の力になります!
時間はハジメ達がオスカーの屋敷で訓練を始めてから少し経った頃に遡る。
ベヒモスを打ち倒した勇者一行は1週間後、一度迷宮攻略を中断してハイリヒ王国に戻っていた。
65層までならかろうじて道がわかっていたものの、これから先が完全な探索攻略になることが推測されその予感は的中。情報が無い魔物や道の階層探索のため攻略スピードは目に見えて落ち、そのため一度王国に戻り休養を取るべきという結論に至った。
だが王国に戻されたのはもう一つの理由がある。それは『ヘルシャー帝国』からの使者が訪れるというのが理由だ。
「なるほど…私達がベヒモスを倒したって情報が帝国に来たから向こうもようやく私達を見に来ることにね…」
元々『神託』から光輝達の召喚までさほど間がなく、同盟国であった帝国に勇者召喚の連絡が遅れ、顔合わせが間に合わなかった。
その上帝国は建国したのが傭兵ということもあってか腕っ節がものを言う完全実力主義の国。いきなり現れた光輝達を『勇者』として迎え入れろと言われてもそう簡単に受け入れられるはずもなかったのだ。
だが今回の一件で最高記録の65層突破とベヒモスの討伐というニュースが伝わり、帝国も重い腰を上げることとなった…
――――――――――
馬車が王宮に入り全員が降車すると、一人の子供が走ってきた。
「香織!よく帰った!待ちわびたぞ!」
金髪の少年の名は『ランデル・S・B・ハイリヒ』。ハイリヒ王国の王子にして次期国王となる少年である。
因みにランデルは無意識に香織だけに声をかけているという点で彼がどのような感情を抱いているかは語るまでもない。
だが…
「…ランデル殿下。お久しぶりです」
少し表情がこわばったが、香織は作り笑顔でランデルを受け流す。
実はランデル、かつてハジメが奈落に消えた際に香織の前で彼を愚弄したことにより嫌悪の感情を持たれているが、ランデルはその事に気づいていない。
『あのような役立たずが身代わりになって香織が助かったのなら、あいつも本望だろ』とハジメの死を侮蔑する貴族と共に発言したことで年の近かった優翔にも嫌われ、香織も距離を取るようになってしまった。
「ランデル。香織達は疲れているのですから、あまりしつこく声をかけるのは頂けませんことよ?」
香織に対してアプローチを続けるランデルを窘めたのはリリアーナ王女。
流石に姉には敵わないと悟ったのかランデルは急いでその場から離れることになる。
「お疲れ様です、皆様。無事のご帰還、心から嬉しく思いますわ」
雫や香織にも負けじと輝く美しさを持つリリアーナに男子メンバーだけでなく女子達ですら頬を薄ら染めている。
異世界の本物お姫様についこの前まで一般学生だった彼らが普通に接するというのがそもそも難しいのだ。
「ありがとう、リリィ。君の笑顔で疲れも吹っ飛んだよ。俺もまた、君に会えて嬉しいよ」
口説いているのかと思うようなキザなセリフで返す光輝。
だがリリアーナは…
「………ありがとうございます、光輝様」
一瞬だけ暗い顔になるが、すぐに笑顔で接する。
「…リリィ、もしかしてまだあのことを?」
「まあ、南雲君のことで責任感じてたからねぇ…」
「ったく。あの場にいなかった姫さんが責任感じる必要ねえのに」
香織、鈴、龍太郎がそんな会話を後ろでして………
「「………龍太郎君!?」」
「ん?よっ!」
いつの間にか後ろに居た龍太郎に香織達だけでなくクラスメイト全員が驚いていた。
「りゅ、龍太郎!?お前いつ帰ってきたんだ?」
「えっと…1分前?ちょうど姫さんが王子を追い返した時に扉から普通に入ってきたけど?」
よく見ると頭に包帯を巻いており、あちこち服が破れている他小さな擦り傷が見えている龍太郎。
「いや~、一昨日までライセン大峡谷で修行しててさ。師匠から『今教えられることは全て教えた。あとはお前が道を開け!』って言われてここまで戻ってきたんだよ。王宮には昨日の夜着いて、今朝素材換金したらお前らが帰ってきたっていうから」
「うん、ちょっと待って情報が濃すぎてさっぱり頭に入らない!」
あまりにも濃い情報に雫がとうとうストップをかけた。
「ま、まあお疲れのようですし今日はごゆっくりしてください!」
―――――――――――
その日の夜。
夕飯を食べ終えた香織と雫は優花や遠藤と共に香織達の部屋に集まり、香織は今回の戦いで得た情報を伝えていた。
「香織、それ本当なの!?南雲が生きてるって…」
「ハッキリとした証拠があるわけじゃない。でも…あの時」
ベヒモスとの戦いで足元…いや、もっと地下からハジメの気配を感じ取ることができた。
「私の技能…『革新者』がもしダブルオーのイノベイターと近い意味合いを持つとしたら…ハジメ君の気配が何らかの形で感じ取れたのかも」
普通に考えれば不可能に近いが、香織が見たものが幻だと断定はできない。
「………だとしたら、あいつは迷宮に残っているか…もしくは脱出した可能性も出てきたってことか?」
遠藤の言葉にその場の全員が考え込む。
もしハジメが脱出していた場合、彼の行方を探ることが困難になってしまうためだ。
「………だったら、地上は私が調べてみる」
「優花、貴女…」
顔を上げたのは優花。その目にはこれまで無かった光が宿っていた。
「あれからずっと考えてた…私、怖くて引きこもって…南雲が落ちて、自分が死ぬかもと思ったら体がすくんで…優翔を守るためだって自分に言い訳してた。でも………」
脳裏によぎったのはあの絶望的な状況で抗うことをやめなかったハジメの姿。
「逃げてても始まらない。待ってるだけじゃ何にもならない。迷宮で戦うのは怖いけど…私も、逃げずに動こうと思う」
「でも…地上の方はどうやって調べるつもり?」
「愛ちゃん先生の護衛…ていうかあちこちの農地を助ける仕事があるから、そっちに同行するつもり。聞いた話だと大翔の今の監督責任者は先生だから、上手くいけば大翔の手も借りられるはず」
その後、迷宮の探索は引き続き香織、雫、遠藤が中心となって行う形となり地上は優花と大翔が情報集めをすることになった。
「それと香織。今トータスの現状について詳しい奴に心当たりがあるから、あいつも探して協力できないか聞いてみる」
「それって…清水君だね?」
旅に出た清水ともし出会えれば、何らかの有力情報を掴んでいる可能性もある。
仮に情報がなくても、話をして協力を頼めば心強い味方となるのは確実だった。
――――――――――
それから三日後。
帝国の使者との謁見が行われたのだがその内容はクラスメイト達の予想を遥かに超える出来事の連続となる。
まず、ベヒモスとの戦いに関して『香織達』が倒したという話から勇者の実力がイマイチ把握できなかったため、帝国が雇った傭兵と光輝が模擬戦をしてその実力を測るという形となった。
「貴女が…俺と手合わせを?」
「ピンポーン!大正解!」
光輝の前に立っていたのは赤髪をツインテールにした美少女で、その外見は戦いができるとは到底思えない。
…が、香織達は驚いた顔をしていた。
「…ネーナ・トリニティ。レイさんが本人かはわからないけど、あの言動と後ろにいる二人は…」
「疑いようもなく本人よね」
『ネーナ・トリニティ』。
ソレスタルビーイングのセカンドチーム『チーム・トリニティ』のメンバーであり可愛らしい外見とは裏腹に気紛れで命を奪う残虐な面も見せる少女。
「あれ、流石に止めた方いいような…」
香織がそう思ったが、光輝はネーナに対して質問する。
「えっと………本当に君が?」
チラッと後ろを見るが、彼女の兄らしき2人の男性は見ているだけで動こうとしない。
「ダイジョーブだって!
そう言うとネーナは細身の片手剣を抜き、着ていたコートのポケットに左手をしまうという変わった状態で構える。
「…だったら!」
とりあえず剣を叩き落として後ろにいる兄らしき相手と仕切りなおしてもらおうと考えた光輝だが…
「ふふっ」
ネーナは剣ではなく左手に忍ばせていたもう一つの『武器』を向け、その瞬間乾いた音が会場に響いた。
――――――――――
「なっ…!?それは…!」
ネーナが持っていた武器…『リボルバー拳銃』に光輝だけでなくその場にいた全員が驚いていた。
「あれ、やっぱこの武器知ってるんだ?」
「どうして…この世界に銃は…っ!」
この世界に銃は存在しない。
だが、光輝はただ一つだけ『例外』を思い出した。
「この武器はね…王宮が売り払ったガラクタの中に設計図が紛れてたの。なんでも『神の使徒に紛れてた役立たず』の持ち物が処分されるだとかで、ヨハン兄が買い取ったんだ」
光輝が視線を送るのは、トリニティ兄妹の長男である『ヨハン・トリニティ』。
「でもまさかこんな掘り出し物ばっかりだとは思わなかったな~………
『拳銃一つ』あればあんたなんてただの雑魚なわけだし」
ネーナは嘲笑しながら再び拳銃を向け、弾丸は光輝の頬を掠める。
「くっ…!」
聖剣を構える光輝だが、ネーナの目に僅かながら体がすくむ。
「油断するんじゃないわよ!」
そう言うとネーナは持っていた剣で光輝に斬りかかってくる。
「ま、待て!これは模擬…」
「戦いで手加減したら死ぬでしょ!勇者サマならもっとかっこよく戦いなさい!」
女相手に本気が出せなかった光輝だが、ネーナは容赦なく剣を振るう。
「…なんかガッカリ。顔『だけ』はいい男なんだけど………」
ネーナは冷たい目で光輝を見据え、拳銃を光輝の額に向ける。
「雰囲気も覚悟も…刹那と比べたら数段落ちるわね」
相手の命を容赦なく奪う兵器。
殺しに躊躇いを見せない少女。
光輝はこの時ようやく『死の恐怖』の片鱗に触れるが…
「ちょっと待ったああああ!!」
空中から龍太郎が飛んできて、その右手を黄金に光らせる。
「っ!!」
ネーナは弾丸を龍太郎めがけて放つが、彼は止まることなく…
「ひいいいっさつ!シャイニング…フィンガアアアァァァァァァ!!!」
黄金に輝く右手が銃弾を消し飛ばし、ネーナの拳銃を握りつぶした。
「キャアアアアアッ!?」
ネーナが転倒し、龍太郎が光輝の前に立つ。
「流石に殺しまでは見てられねえからな。文句ねえだろ、皇帝さんよ!」
龍太郎が叫ぶと帝国の使者の護衛だった男の一人が小さくため息をつく。
「ったく。俺が化けてるってどうしてわかったんだか」
男はアーティファクトらしきイヤリングをはずすと、本来の姿…ヘルシャー帝国皇帝『ガハルド・D・ヘルシャー』に戻った。
「が、ガハルド皇帝!?これは一体…」
国王が驚く中、皇帝が説明する。
「こうやって隠れてたほうが相手の本音とか見つけやすいと踏んだんだよ。あと、傭兵相手にどれだけやれるか確認しときたくてな…」
ガハルドの興味は光輝ではなく先ほどの技を見せた龍太郎に向くが…
「………ま、今日はやめとくよ。『あの男』の弟子とぶっつけで戦うのはどうも気が乗らねえ」
そう言うとガハルドは大人しく下がるのだった…
―――――――――――
その後。
勇者全員の力でベヒモスを倒したという話が伝わったことで皇帝は公式の場で勇者達を認めると発言。
ともかく今回の訪問の目的こそ達成された。
だが帰り道で部下に本音を聞かれたガハルドは小さくため息をつく。
「ありゃダメだな。単なるガキだ。理想とか正義とか、そんな類をなんの疑いもなく信じる口だ。なまじ実力とカリスマが半端にあるからこそタチが悪い。理想で周囲を振り回して殺す、指導者には向かないタイプだ。まあ神の使徒である以上蔑ろにはできねえ。とりあえず合わせて上手くやるしかねえだろ」
「それで、あの傭兵を使って殺すつもりだったと?」
「あぁ?違ぇよ。トリニティは確かに俺らに匹敵する歴戦の傭兵だがあの中で一番弱いネーナに負ければ多少なりとも腑抜けた根性を叩き治せると思っただけさ。ネーナがあの武器を使おうがあのゴツイ坊主が助けに入ろうが、あの勇者君は教皇が邪魔して殺せなかっただろうしな」
流石に少し前まで単なる学生だった光輝では皇帝の興味を引くような結果にはならなかったらしい。
(だが、収穫はあった。『流派東方不敗』を習得したアイツと、ベヒモス戦で活躍した女2人…それに、ネーナが使っていた武器を設計したっていう『死亡扱いの神の使徒』か…)
――――――――――
翌朝。
香織と雫、そして遠藤と優花が早朝訓練を行っていたときのこと。
「ほう…朝練とは関心だな」
後ろにはガハルドが立っており、武器や鎧などは身につけていない。
「ガハルド皇帝陛下、おはようございます」
「おはようございます」
香織達が挨拶をする中、ガハルドはそれに軽く手を挙げる形で応える。
「一通り見せてもらったが…お前ら面白いな」
「そこの坊主、お前の気配を消す技術は間違いなく帝国の暗殺者に匹敵するレベルだ。あとは一撃で相手を仕留められる腕前と弱点を見抜く観察眼を磨き上げれば誰もお前を止められない」
遠藤の存在に一発で気がついた皇帝は彼にアドバイスをする。
「そっちのお嬢さんは投擲師か…だが、天職の能力だけ磨いて勝てるほど戦争は甘くない。メルドか誰かにナイフ術くらいは教わるべきだな。今のお前さんのナイフは悪い意味で我流だ。そんな太刀筋じゃすぐに見抜かれるぞ」
「っ…やっぱり、実力があるとわかりますか」
優花はあの日以来殆ど訓練をしておらず、ナイフを使った戦闘もGVRで使っていた機体の戦法を自分なりに再現したもの。
当然ながらまともな剣術を習っていない彼女の太刀筋の甘さを見抜かれた。
「あとは…そっちの治癒師か。随分変わった武器を持ってるが………その剣、お前達の仲間が創ったものだろ?デザインは見たことがないからなんとなく察しはつくが…」
「…ええ。あの銃の設計者が創った武器ですよ。王国が見捨てた…ね」
香織の冷たい言葉に多少なりともたじろぐガハルド。
「………で、お前はシズクだったな。随分変わった太刀筋だが………お前の剣術と武器、合ってないんじゃないか?」
彼女の振り方から雫本来の戦い方を見抜いたガハルド。
「お前さんの戦い方は斬ることにのみ特化した剣を扱うもの…少なくとも切れ味が劣る剣で使う流派じゃないな」
一切の疑念を持たず答えるガハルドの観察眼に内心舌を巻く雫。
「………で、結局皇帝さんは何のためにこちらに?」
「俺が聞きたかったのは一つ。あの武器…銃を創った奴についてだ」
香織が拳を強く握り、周囲の空気も重くなる。
「………なら覚えててください。彼は南雲ハジメ君。ステータスが平均で天職は錬成師。戦い向けの技能を持っていなかったために周囲から馬鹿にされ、みんなの命を守るために戦った挙句裏切られて奈落の底に突き落とされた」
香織が顔を上げ、叫ぶ。
「あなたたちの戦いに巻き込まれて、王国から切り捨てられた私達の仲間です!」
その剣幕に雫達が止めに入る。
「…すいません、皇帝陛下。香織にとって南雲君は…」
「わかったよ。今日のところは引く。俺もそろそろ帝国に帰らねえといけねえしな」
帰り道でガハルドは一人考え込む。
(南雲ハジメ。錬成師で能力は平均の『無能』か………)
「全く、イシュタルのジジィも国王も見る目がねぇな」
ネーナが使っていたあの武器。それを彼が設計したとなれば…
(あれはアーティファクトじゃねえ。だがその破壊力はトリニティが証明してる………つまり、アーティファクトと違いあの武器は技術と材料が揃っていれば量産が可能)
兵力の消耗を最小限にできるとんでもない武器を王国は『処分』し、結果的にそれが傭兵の手に渡った。
つまり、今後あの設計図が王国に戻る可能性は極めて低くなったということだ。
「ま、どうなるか知ったことじゃねえか」
――――――――――
一方その頃…
「ふっ!はっ!せああああっ!!」
聖剣を振りながら光輝は心の中のモヤモヤを払うかのように練習していた。
「へぇ、中々いい太刀筋じゃねえか、勇者の兄ちゃんよ!」
突然の来訪者に光輝が振り向くと、そこには赤い髪が目立つ中年男性がいた。
「あなたは…?」
「俺か?俺はちょいとここの使用人に荷物を届けに来ただけの冒険者だよ。帰りに噂の勇者の兄ちゃんが練習してたから声をかけただけさ」
フランクに話しかける男に光輝は彼が悪い人間ではないと感じ、練習の手を止める。
「だったら、自己紹介ですね…俺は天之河光輝です」
「光輝か…俺はビアッジ。『ゲイリー・ビアッジ』だ」
光輝に対しビアッジ………否、『アリー・アル・サーシェス』は答えるのだった。
次回予告
死を呼ぶ巨兵が動き出し、世界が少しづつ歪み出す。
だが、いつの時代も希望はある。
輝きのガンダム。そして………黒翼のウイングガンダムが、トータスに現れる!
次回、機動戦士ガンダムForce
特別編2話 目覚める者たち
戦乱の世を…駆け抜けろ、クロウ!
ハジメチームの量産MS、何がいい?(上位3体まで)
-
アデル
-
ジム
-
ザクウォーリア
-
ザク
-
陸戦型ガンダム
-
クランシェ
-
マン・ロディ
-
ジェガン
-
M1アストレイ
-
ムラサメ
-
グフイグナイテッド
-
ティエレン
-
フラッグ
-
イナクト
-
その他(活動報告にて)