アンケートは次回の更新で締め切らせていただきますのでご了承ください。
感想、評価が作者の力です!!
(どうしてブリッツだけじゃなくガイアまで…そもそも、モビルスーツはどこから…?)
亜人の国、フェアベルゲンに案内されたハジメだが、彼はさきほど見た2体のモビルスーツについて考えていたため半ば無意識で亜人の国に足を踏み入れていた。
「………なるほど。この世界は神の遊戯盤でしかなかった…それがこの世界の真相か」
「随分と冷静なんですね…?」
「元々この世界は我々亜人に優しくないからな。今更…というものだ。神に対しての信仰などより自然への感謝の念しか私たちには存在しない」
ハジメはオスカーの屋敷で得た情報…『解放者の正体』『神代魔法』『ハジメ達異世界人の存在』『迷宮を攻略し、神殺しを実現させ故郷に帰る目的』などを一通り説明すると他の長老たちも黙ってその話を聞いていた。
「それにだ…ここの大迷宮を創設した『リューティリス・ハルツィナ』が我々の先祖にメッセージを遺していたのだよ。曰く『攻略者とは敵対せず、気に入れば協力するように』とな………これまで攻略者は現れず、そなた達が初の客人ということになる」
リューティリス・ハルツィナ。それはオスカーの残した遺品の日記にも記されていた名前であり、彼女の意思は確かに伝えられていた証明でもあった。
だとするとあと10日…それまでハジメ達はフェアベルゲンにとどまる必要があるがこれまでの人間族に対する確執などから対立する可能性が高いことを考慮し、ハジメはそこについてアルフレリックと話を進めようとしたのだが…
「…ん?」
突如、ハウリア達が待機している下の階が騒がしくなってきた。
嫌な予感がしたハジメとニコルが確認しようとするとそこに現れたのは熊の特徴を持った亜人やドワーフのような姿の亜人。
彼らはハジメ達を剣呑な目つきで睨み、乱入してくる。
チラッとハジメが後ろを見るとカムがシアを庇うように立ちふさがっており、2人の頬が赤く腫れている。
「カムさん!シアさん!」
ハジメが2人に声を掛けようとするが、熊の亜人はその大柄な体躯で威嚇するようにハジメだけでなくアルフレリックまで睨む。
「アルフレリック…貴様、どういうつもりだ!?何故人間だけでなくこの忌まわしい汚れた兎人族まで!返答によっては長老会議にて貴様に処分を下すことになるぞ!」
激情が抑えきれないのか拳を握り大声で叫ぶ熊の亜人。
さきほど同行していた虎人族以外の亜人のうち、熊の亜人と共に入ってきた殆どがアルフレリックを睨みつけていた。
「何、口伝に従ったまでだ。お前達も各種族の長老の座にあるのなら事情は理解できるはずだが?」
「何が口伝だ!そんなもの、眉唾ではないか!フェアベルゲン建国以来一度も実行されたことなどないだろ!」
「だから今回が最初になるのだろう。それだけのことだ。お前達も長老ならば口伝には従え。それがこの国の掟だ。それなのに我ら長老が掟を軽視してどうする」
アルフレリックの言葉にますます怒りを募らせる熊の亜人。
「なら、こんな人間族のガキが資格者だというのか!敵対してはならない強者だと!」
「そうだ」
ここまでの言い争いの中でハジメはいくつかの推測をする。
見るからに寿命の長いアルフレリックと他の長老では微妙ながら価値観に差異があるのだろうと。
(人間族や魔人族と違い、彼らは言わば『その他大勢の動物的種族』の集まり…なら、価値観の違いによる衝突は人間族以上のものになるのか…)
確かに歴史に縛られない発想は時として技術の進歩や革命を起こすための起爆剤となる。
だが、歴史に縛られないのと歴史を軽視するのではもたらされる未来も大きく違うということをこの亜人は気づいていない。
そして…彼らは選択を最悪な形で間違ってしまう。
「…なら、今この場で試してやろう!」
熊の亜人はその豪腕をハジメめがけて振るってきた。
突然のことにアルフレリック達も反応が遅れ、驚愕のあまり目を見開く。
亜人族随一のパワーと耐久力を誇る熊人族は大木すらもへし折るほどの豪腕。その上、この亜人は熊人族の代表『ジン』であり、そのパワーも熊人族最強だった。
しかし………
「っ!」
「なっ!?」
ハジメはその豪腕を真正面から受け止め、さらにリュストゥングのギミックの一つ『パルマフィオキーナ』が発動。
内臓を傷つけないレベルの魔力砲撃に調整したものの、腹部に強烈なカウンターパンチをくらいジンは膝をついて吐き戻す。
「…あなた達に聞きたい。シアさん達の存在は…ただ家族に生きて欲しいと願われ、生まれてきた命は…あなた達の価値観で無闇に奪っていいほど軽いものだと思いますか?」
ハジメの視線は殴られたであろうシア達に向くが、ジンは悪態をつくように叫ぶ。
「当然だ!魔物同然の力を持つ化け物とそれを隠していた恥さらしなど、生きる価値もない!!」
『無能』『役立たず』
そんな風に周囲から一度蔑まれたことを思い出し、ハジメは内心で黒い炎が燃えるのを感じる。
強さが正反対だったとはいえ、周囲からの迫害による痛みも家族の存在の大きさもハジメは十分に理解している。
だからこそハジメは『人と違うことを理由に迫害する存在』に対しては理性のリミッターが弱くなってしまう。
「生きる価値が無いのは………彼女の痛みを、苦しみを何一つ理解しようとしないで切り捨てるアンタ達だああああ!!」
ハジメの言葉はジンだけでなく周囲で見ているだけで彼の凶行を止めなかった他の亜人族にも響き、ハジメは無意識に『S.E.E.D』を発動。
木製の壁が崩壊しかけるレベルで打ち付け、ジンはそのまま失神するのだった…
――――――――――
それから数分後。
一触即発の空気をアルフレリックがとりなして一度落ち着き、ハジメ達はもう一度話し合いの場を設けることに。
集まったのはアルフレリックのほかに虎人族の代表ゼル、鳥の特徴を持った翼人族のマオ、狐の特徴を持った孤人族のルア、ドワーフのような外見の土人族のグゼ。
ハウリア達はニコルやマユ、ユエが守るように前に立ち、さらに戦闘用ハロが2体周囲を飛び回っていた。
「あくまでも僕達の希望は大樹を調べ、この樹海にある大迷宮の攻略です。攻略が終われば僕達はこのフェアベルゲンに来る理由はありません。僕としてはなるべく平和的解決を希望しますが…先ほどのように実力行使を行えば身を守る範囲での反撃をしないわけにはいきません」
「…だからジンを攻撃したことを許せと言いたいのか?」
ゼルがハジメに対して剣呑な目を向けてくる。
なお、ジンは簡単な治療で後遺症もなく回復したものの人間族の子供に手加減されて敗北したこと、そしてハジメの全力の怒りと殺気に精神的ダメージを負ったことからここにはいない。
「最初に攻撃したのは彼です。仮にも亜人族最強の豪腕を持つ熊人族、それも族長の本気の攻撃なんて普通なら原型も残らない死体になってもおかしくない攻撃をくらいかけたんです。それに対してこっちは最低限の加減はしたので、あなた達に批判する理由はありますか…?」
「貴様ああ!ジンは、ジンはな!いつも国の事を思って…!」
ハジメはいつになく強い口調で言い返す。
「国のためを思うのならいきなり他者を殺すつもりで攻撃してもいいと?シアさんの可能性にすら気づかないでただ追放する獣は知能も人以下ってことですかね!?」
グゼは個人的にジンと仲が良かったらしく、非を認めようとしない。
だがハジメもシアの一件があるからかますます怒りがヒートアップして普段からは考えられないほどの乱暴な口調になる。
「ハジメ、一度落ち着いて!」
「グゼ、気持ちはわかるがそのくらいにしておけ。南雲ハジメの反撃はジンに酷い手傷の一つも負わせていない、正当な範囲内だ」
ニコルとユエがハジメをなだめ、アルフレリックがグゼを諌める。
「…ジンを加減して無力化するほどの実力。確かにこの少年は紋章の一つを所持しているし、実力もさきほど見せてもらった。僕達孤人族は彼らを口伝の資格者と認めるよ」
ルアが公的にハジメ達を認めると宣言し、マオ達翼人族も同様の答えを出す。
「南雲ハジメ。我らフェアベルゲンの長老衆はお前さん達を口伝の資格者と認める。故にお前さん達と敵対はしないというのが総意だ。可能な限り、末端のものにも手を出さないように伝える。しかし………」
「知っての通り亜人族の中には人間を相当恨んでいるものがいる。家族を奴隷として拐われたりしたものもな。なので絶対というわけにはいかない。血気盛んな若者達は長老会議の通達を無視してお前さん達を狙うものも多い。特にジン達熊人族はな……」
「………それで?」
「お前さんを襲った者たちを殺さないで欲しい。先ほどのジンのように…」
アルフレリック達の要求は、ハジメ達を狙う存在を殺さないで欲しいというもの。
「………でしたら、交換条件があります。僕達をいくら狙っても構いませんが………ハウリア族の存在を黙認してください。それさえ通ればあなた方との約束を守ります」
ハジメはハウリア達が無事に北の山脈まで移動するより、自分たちで力を得てこの森で独立できればこれ以上の被害を出すことはないと考えていた。
そもそもハウリア達に犠牲が出たのは山脈まで逃げようとして帝国兵に襲われたのが原因であり、樹海の中ではむしろ探知能力に優れている分安全だと考え、どうにかして樹海に残れないかと交渉を決めていたのだ。
「ふ、ふざけるな!その忌み子とフェアベルゲンを謀ったハウリアは全員処刑する!すでに長老会議で決定したことだ!」
真っ先に抗議してきたのはやはりゼル。どうやら長老会議で決まったというのは事実らしく、アルフレリック達の様子から間違いないと確信する。
「長老様方!どうか、どうか一族だけは!」
「シア、やめなさい!皆とっくに覚悟は出来ている。お前は我々の下に生まれてきてくれただけで、お前にはなんの落ち度も無いのだ。なのに…そんな家族を見捨ててまでどうして生きていけようか。すでに何年も前から我らは話し合い、決めていたよ…お前を見捨ててまで生き延びるつもりはないと」
「でも…!」
あまりにも無慈悲な現実にシアは必死に長老達に懇願するも、ゼル達はそれを聞き入れる様子はない。
泣き崩れるシアの頭を撫でるカム。そんな姿を見たゼルはしてやったりと言わんばかりの顔をハジメに向け、長老衆もそれを止める気配はない。
(………ああ、やっぱりそうか)
そんな長老衆に対してハジメは心の中で何かが冷えていくのを感じ、拳を握る。
(…弱者を見下し、自身の小さな強さに胡座をかいて自分を越えようとする可能性を排除する)
教会やあのクラスメイト達と変わらない現実を見たハジメはアルフレリックに対して告げた。
「…わかりました。ハウリア族の処刑を覆さないというならフェアベルゲンは…
『僕達と敵対する』ということでよろしいですね?」
ハジメはアリスタに魔力を流すと腰のガンプラケースが光り、フェアベルゲンの町に突如インパルスが実体化する。
「なっ!?き、貴様何を!?」
突然現れたインパルスとハジメの冷淡な雰囲気に混乱する長老衆だが、構わず続ける。
「僕達がシアさんやハウリアと交わした取引は『迷宮の入口まで案内してもらう代わり、その間はみんなの安全を保証する』というものです。まだ入口である大樹までたどり着いていない以上、この約束は有効ですからね…もしあなた達が国の総意でシアさん達を処刑するというなら…彼らとの契約を守るべく『あらゆる手を使って』ハウリア族を守ります」
ハジメの宣言にユエだけでなくニコル達も頷く。
「それに…僕達がいずれ戦うのはこの世界で神を信仰する全ての国やこの世界そのものですよ?だったら………ここでたかが一国家に屈服するのであれば、僕達は大迷宮に足を踏み入れる資格なんてない」
「…本気かね?フェアベルゲンから案内を出せば、無益な争いなど…」
「お断りします。僕はカムさん達ハウリアと出会いまだ一日も経ってませんが…すでにあなた方より信頼できる」
信頼という言葉に他の亜人達が訝しげな顔になる。
「あなた方はともかく、僕達はこの樹海の中では迷ってしまう。僕達にここまで敵意を向けてくるあなた方に道案内を託せるとでも?」
そう。ハジメ達ですらこの樹海ではまともな移動が難しいのだ。
魔物なら簡単に倒せるが、脱出が困難な状況に陥れば消耗は自明の理。その点からみてもハウリア族は他人を裏切るような性格ではないため信用できる。
「…それに僕は誓いました。ハウリアはこれ以上誰も死なせないし殺させない。ここであなた方の提案を受け入れたら僕達は約束を守れない単なる人でなしになります………それだけは、絶対にしたくない」
もしここでフェアベルゲンの側につけば、もうハジメは香織達に一生顔向けできなくなる。
大切な人達ともう一度会うために奈落から這い上がってきた以上、愛する人に顔向けできない情けない存在には死んでもなりたくない。
「だから僕達は何があってもシアさん達を守ります…それが彼女たちとの『約束』ですから」
ハジメの絶対に退かないという意思を感じ、アルフレリックが小さくため息をつく。
「………なら、お前さん達の奴隷ということにでもしよう。フェアベルゲンの掟では樹海の外に出て帰ってこなかったもの、奴隷として捕まったことが確定した者は死んだものとして扱う。樹海の深い霧の中でなら我らにも勝機があるが、外では魔法を使うものに勝機がない。故に無闇に後を追い被害が広がらぬよう、死んだものとして後追いを禁じている……すでに死亡した者を処刑はできぬからな」
「アルフレリック!いくらなんでも」
「ゼル、わかるだろう。この少年達が退かないことも、そしてあの外にいる機人も…我らが扱えず放置しかできなかった機人を彼は自在に扱える。ハウリア族を処刑すれば、彼らの逆鱗に触れてどれだけの犠牲が出るか…長老の一人としてそのような危険は断じて犯せん」
「しかしこのままでは示しがつかん!力に屈して化け物の子やそれに与する物を野放しにしたと噂が広まれば、長老会議の威信は…」
「…さっきから好き勝手言ってますけど、いくつか言わせてください」
ハジメは再び口を開く。
「あなた方はシアさんを化け物だの好き勝手言いますけど、彼女は一度でもその力であなた達に危害を加えましたか?それと………彼女の持つ力を『化け物』としか本当に見てないんですか?」
彼の言葉が理解できなかったのか、グゼが叫ぶ。
「そいつは我々の仇敵である人間と同じく魔力を持ち、さらには魔物同然の力も備えてる!化け物以外のなんだと言うんだ!?」
ハジメは大きくため息をついて語る。
「もう一度言います。シアさんは一度でも『魔力を使いあなた方を傷つけましたか?」
「ぬう……!」
改めて言われると、返事などできない。
シアはこれまでハウリア達に存在を隠され、一度たりとも危害を加えるどころか顔を見せることも無かったのだから。
「それが答えです。確かに他と違う存在を受け入れるのは難しい…でも、ハウリア族の皆さんはそれでもシアさんを受け入れ、家族として接してきました。怪物ではなく、同じ家族として…そんな彼らを、あなた達は非難できるほど尊いことをしているんですか?一度もあなた達に危害を加えなかった優しい女の子を蔑み迫害することが、あなた達の正義とでも言うんですか!?」
それだけ言うと、ハジメはシアの手を取って扉を開く。
「考えてください。もしあなた達の子供が同じ運命を背負ったら…あなた達は自分の子供を殺せますか?『化け物』と罵って愛する誰かの子供を殺せますか?」
ハジメの言葉は長老達に一切の言い訳をさせることなく、彼らの胸に刺さり続けるのだった…
「僕はこの町を一目見て、美しいと思いました。自然の中に存在する人の命と自然が調和した町…そんな場所を創れる皆さんには、醜い差別意識で凝り固まったような人でいてほしくないんです」
「…すまない、ハジメ殿。約束しよう。我々は今後ハウリア族に危害を加えないと」
―――――――――
インパルスを戻し、シア達と共にフェアベルゲンを出たハジメ達。
「…あの、何が起きたか今でもわからないんですが…」
「えっとね…とりあえず、一件落着…かな?」
かなりのワガママを言った自覚が有るため、よく認めてくれたものだと少しハジメは思っている。
だが、一同に一件落着を伝えたハジメ達はハウリアの新しい拠点となる場所を探すべく歩き出すのだった。
ハジメ達はフェアベルゲンから少し離れた場所にあったブリッツとガイアを回収すべく動き、ニコルはブリッツに乗り込んでいた。
「どう?ブリッツは…」
「いや…システムは僕が使っていたものと変わってないよ。ただ…バッテリーの他に未知の動力源が使われてるけど」
そう言われハジメは動力源があるであろう場所を確認すると、そこには以前見かけたものがあった。
「…やっぱり、ブリッツにも魔導炉が搭載されてる」
グシオン、サザビーと同様にこの世界のモビルスーツには魔導炉が搭載されてるのが確定となった。
「だとしたら…これを上手く運用すれば」
ハジメはすでにこのモビルスーツを運用するための計画を立て始めた………
次回予告
弱者に甘んじるつもりはない。
ハウリアは、自らの才を磨くため修羅の道を進む決意をする。
絶望を超え、彼らは強くなれるのか?
次回、機動戦士ガンダムForce
第5話 強さを掴め
修羅の道を…走り抜け、ガイア!!
ハジメと模型部の出会い、そしてハジカオ多くする予定の『ガンダムForce前日談』見たい?
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ハジカオ見たい!
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別に…
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バトル多めに!
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そんなことより更新はよ