機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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第8話 人の世へ

シアからの告白に戸惑いを隠せなかったハジメ。

だが、彼女の顔を見て意を決したハジメは答えを告げる。

 

 

 

 

 

「………ごめん。シアさんの気持ちは正直嬉しいんだけど…今の僕には大切な人がいる。だから…君の気持ちには答えられない」

「っ…!」

 

 

シアとてユエから聞いていたのだ。

ハジメの心を支えていた少女…香織のことを。

 

 

「…だと思いました」

「え?」

 

シアは泣きそうになるのをこらえながら語る。

 

 

「ハジメさんの心にはとっくに大切な人がいるって…何となくですがわかったんです。それでも………私は諦めたくなかった。例え、この想いが届かなくても………それでも、私は最後まで足掻くのをやめません」

 

そう言うと、シアはハジメに抱きつく。

 

 

 

「未来は変えられるって…諦めなければ、可能性は低くても望んだ未来へ進めるって…教えてくれたのは他でもないハジメさんですよ?だから………」

 

 

 

シアはハジメから離れ、涙を拭うと宣言する。

 

 

「これから先、ハジメさん達の旅に同行させてもらいます!そして、いつか私のことを振り向いてもらえるように頑張って、私に心奪われるようにしてみせます!!」

「え、えっとぉ…その…」

 

 

力強く宣言したシアに困惑したハジメだが、続けて告げられた言葉に衝撃を受ける。

 

 

「それに、ユエさんからもキチンと許可はもらえました!私の覚悟、キチンと伝えましたからね!」

 

どうやらハジメの知らないところで外堀を埋めていたらしく、ハジメは頭を悩ませるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………もう、わかったよ!なら、しっかりついてきてね!」

「っ!!はいですぅ!!」

 

 

――――――――――

 

 

何はともあれシアが旅の仲間に加わったことを伝えるべくユエを探していたハジメだったが、そこには先程までいなかった3人の男女がユエと会話している姿があった。

 

「あれって………うっそぉ」

「ん…ハジメが来た」

 

ユエがそう言うと、3人がこっちを向く。

 

「あ、もしかしてさっきのガンダムの…?」

「は、はい………あの、つかぬ事をお伺いしますが…」

 

 

ハジメは何故か改まった口調になる。

 

 

「…もしかして、ソレスタルビーイングの『リヒテンダール・ツエーリ』さんと『クリスティナ・シエラ』さんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分。

 

クリスとリヒティは自分たちの存在を知っていたハジメに驚いていたものの、彼による説明に一応は納得を見せた。

 

「まさか俺達が物語となっている世界とはね…驚きっすよ」

「でも、君が持っている『それ』を見たら…ね?」

 

ハジメは並行世界の存在になるかもしれないと証拠品…『ガンダムエクシア・フリューゲル』のガンプラを見せ、2人を納得させた。

 

 

「とりあえず2人がトータスに来た理由は後回しにするとして…君は一体…?」

 

 

ハジメが気になったのはこれまでのガンダム作品で見たことのないフレディの存在。

だが、不思議と彼はどこかでフレディを見た記憶があった。

 

 

「え~っと…僕はフレディって言います!エルドラの大地からこの世界に突然連れてこられて…」

「エルドラ…?エルドラ……………ああああ!!」

 

その名前を聞いたとたんハジメが叫び、フレディやクリス達だけでなくユエも思わず肩を震えさせる。

 

 

「エルドラの民のフレディ…もしかしてカザミ達が助けたっていう!?」

「か、カザミさん達のお知り合いだったんですか!?」

 

 

良く知る友人の名前が出たことに思わず聞き返したフレディ。

 

「一応、友達…かな?カザミとはよく一緒にミッションこなしてたりするし、ヒロト達とも交流はあるから」

「よかった~!!ようやく共通の知り合いがいる人に会えて!!」

 

ホッとしたのかその場で座り込むフレディに慌て出すハジメ達。

それから場が落ち着くまで数時間を有した…

 

 

 

―――――――――――

 

一度フレディ達を落ち着かせてから3人を連れ、ハジメ達はカムによる案内で目的地…ハルツィナ樹海の大樹ウーア・アルトまでついにたどり着くが…

 

 

 

「枯れてる…?」

 

目の前には見上げるほどの大きさの朽木がたっており、ハジメは思わず口にする。

 

 

「なんでも、フェアベルゲン建国以前から枯れているらしく…ずっと枯れた状態を維持していることから珍しがられて観光名所のような扱いを受けているとのことです。まあ、それだけなんですけどね」

 

カムの説明に耳を傾けつつ、ハジメ達は何か手がかりがないかと周囲を観察すると…

 

 

「ハジメ、これ…」

 

ニコルが指さしたのはそこそこ大きな1枚の石版。

その中にはオスカー・オルクスのものと同じ紋章があった。

 

「てことは、ここが迷宮に繋がってる入口…ん?」

 

石版を観察すると裏に何やら6つの窪みをみつける。

 

 

「この大きさ…もしかして」

 

ハジメは試しに持っていた宝物庫を窪みに差し込むと、カチリと音を立てて宝物庫は窪みにはまる。

 

それと同時に石版の表が光り、文字が映し出される。

 

 

「えっと…?」

 

『〝四つの証〟 〝再生の力〟 〝紡がれた絆の道標〟

 

全てを有するものに新たな試練の道は開かれるだろう』

 

 

「これって…どういうことでしょう?」

 

マユが首を傾げるが、ハジメは冷静に考えて自分なりの答えを告げる。

 

「おそらく四つの証っていうのはオスカーの指輪と同じ攻略の証だと思う。この紡がれた絆の道標は…」

 

チラリとシアに目を向けるハジメ。

 

「多分、亜人による案内が頼めるかどうかなんじゃないかな。他の種族ではここまでたどり着くことが困難なわけだし」

 

そんな中でユエが喋る。

 

「…再生の力って…私の自動再生の技能?」

「いや…多分違うと思う。だってそれはユエさんしか持ってない技能なわけだし…先に最低四つの迷宮を攻略したことを前提とするなら、その四つのうちで『再生』に関係するタイプの神代魔法が必要なんじゃないかな」

 

なんにせよ、ここは7つのうち5番目以降に攻略する…即ち高難易度の迷宮だとわかった。

 

「まあここは後回しだね…条件をクリアしたらまた向かうとしようか」

 

せっかく見つけた二つ目の迷宮を後回しにしなければならないことに肩透かしをくらった感覚があったが、次の迷宮を探そうとハジメは頭を切り替えるのだった…

 

―――――――――――

 

 

翌日の朝。

フェアベルゲンの出口でハジメとユエ、そして新たに加わったニコル、マユ、リヒティ、クリス、フレディ、シアが旅支度を済ませておりシアとカムが別れの挨拶をしていた。

 

 

「それじゃあ父様!行ってきます!」

「ああ、シアもしっかりと頑張りなさい…部隊長、私の娘のことをよろしくお願いします」

 

ハジメから習ったザフト式敬礼をするカムに同じく返すハジメ。

 

「わかりました。これから先…必ずシアさんも守りますので」

 

そう言うとハジメは宝物庫からシュタイフを3台出現させ、サイドカーのついている1号と3号にはそれぞれハジメとリヒティが運転手として乗り込み、サイドカーのついていない2号にはニコルが跨る。

 

他のメンバーが乗り込むのを確認すると、ハジメはニコル達に告げる。

 

 

「………行こう、次の街へ!」

「はい!」

「うっす!」

 

シュタイフ達が走り出すと、1号のサイドカーに乗っていたシアと2号に乗っていたマユがハウリア達に手を振った。

 

 

「父様~!!みんな~!!また、いつか会いましょうね~!!」

「あ…ありがとうございました!!」

 

 

大きく手を振っているハウリア達。

家族との一時の別れを覚悟していたシアは真っ直ぐに前を向き、ハジメはその様子に小さく笑みを浮かべた。

 

 

「さて…ここからは次の街だ。数日で準備を済ませたら…大迷宮へと向かうよ!」

「それはいいっすけど、早いとこ食事タイムにしてもいいっすよね?」

「そうだね…まずは次の街でお昼でも!」

 

 

昼下がりの空の下、ハジメ達は新たな仲間達と旅を続けるのだった。

 

 

 

――――――――――

 

一方、王宮では…

 

 

 

「はあっ!!せああ!」

 

迷宮での訓練から一時帰還した勇者パーティーはしばしの休息をとっている中、光輝は一人で聖剣を振るい、自主練を行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様です、光輝様」

 

聖剣を鞘に収めた光輝に対して話しかけてきたのは彼の専属メイド『ユナ』。

どうやら訓練が終わる時間を推測してタオルを持ってきてくれたらしい。

 

「ありがとう、ユナ」

「いえ………光輝様、何かお悩みで?」

 

何気に気の利く専属メイドに苦笑いした光輝は、小さな声で告げる。

 

「………ここのところ、香織達の様子がおかしいと思ってね。迷宮での訓練はできないのにわざわざホルアドに残るなんて言い出して…」

 

香織と雫、そして遠藤は王都に戻らずホルアドに残るといい、結局光輝達は3人を置いて帰った。

 

 

「…きっと、まだ香織も雫も南雲のことを気にしてるんだ。一応は同じ部活のメンバーだったわけだし、2人とも優しいからね。でも…それじゃダメなんだ」

 

光輝は汗を拭い終えると、顔を上げる。

 

 

 

 

「もう南雲はいない。なのに…いつまでもあいつの死に引きずられて香織達が苦しむなんて、きっと南雲も望んでない。だから………香織達が心配する必要がなくなるように、俺はもっと強くなりたいんだ」

 

決意にあふれた光輝の表情にユナはあえて何も言わない。

 

 

「ありがとう、ユナ。わざわざ聞いてくれて」

 

タオルをユナに返すと、光輝はそのまま走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「………勇者様。貴方は………いえ、きっとこれは私ごときが口にするべきではないのでしょう」

 

言い知れぬ不安感に囚われそうになったユナは首を振り、そのまま踵を返すと仕事に戻るのだった…

 

 

 




次回予告

数ヶ月ぶりの人の世界。
見るものは新鮮で、そして刺激的。

だが、彼は知らない。
新たなる出会いは近いなど…


次回、機動戦士ガンダムForce
第9話 人の営み

温かい世界で、何を見るのか…ガンダム
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