ワクチンの副反応で昨日までダウンしておりました。
ありふれ二期終わっちゃいましたが、OVA発表に嬉しさが増しています。
感想、評価が作者の力となります!
死の峡谷と名高い、トータス屈指の危険地帯『ライセン大峡谷』。
神代の時代では処刑場としても利用されていたと伝えられるこの土地で、複数の人影が暴れまわっていた。
「どりゃあああ!!粉砕っ!ですぅ!」
これまでの民族衣装から一転し、ミニスカートや青をメインとした動きやすい衣装(それでも露出度は以前とさほど変わらず)になり、エンジ色のコートを羽織ったシアの振るうハンマー型アーティファクト…ガイアに搭載させたボーディンドリュッケンを人間サイズで使えるようにと開発した新装備『ドリュッケン』は、峡谷の魔物を次々と粉砕していく。
「…っ!燃えろ!」
ユエは接近してきた魔物を近距離から放った魔法で焼き払って倒す。
魔力を分解する大峡谷の作用もあってか大規模魔法が封じられているが、彼女は自身の膨大な魔力に物言わせたゴリ押し戦法を使うことでそれを解決している。
なお、このリスキーな戦法を取り入れている背景としては『この限られた状況で何回まで魔法が使えるか』を大迷宮に挑む前に測るという目的があったりする。
「ふっ!!セヤアア!!」
「これで…どうだ!」
ハジメはドンナーとフォールディングレイザーを使い、遠距離の敵は一体ずつ確実にヘッドショットを決め、近距離の敵には纏雷をまとわせたフォールディングレイザーで切り裂くなど、距離に合わせた戦法で戦っている。
ニコルはハジメが作り上げたサブマシンガンを扱うが、従軍経験もあってか銃火器の扱いはハジメ以上で一切の無駄なく魔物たちを葬っていく。
――――――――――
「はぁ…やっぱライセンのどこかにあるって情報だけじゃ見つけるのは難しいよね…」
狩った魔物から素材を回収し終え、ハジメが小さな声で愚痴る。
「まあ、まだ二日目ですし…予定を過ぎてもみつからなかったら一旦街に戻りませんか?」
「ん…マユ達をあまり長く向こうに置いておくのもよくない」
出発前、ハジメはリヒティ、クリス、フレディ、マユの4人をオルクス大迷宮の最深部にあった屋敷に案内し、ミネルバの操縦や細かい部分の調整などを頼んでいた。
ただし、持ってこれた食料の数からして期限はおそらく2週間程度。
「とりあえず、明日探して見つからなかったらまた予定を練り直しません?」
ニコルの言葉にハジメ達も小さく頷く。
そんなやり取りをしているとハジメは日が沈んでいくのに気がついた。
「…じゃあ、今日はここで野営しようか」
――――――――――
ブルックで揃えた調味料や食材によりハジメ達の食糧事情は大幅な進化を遂げた。
調理器具のフライパンや鍋は魔力を流すことで自在に熱量を調節できる仕掛けがしてあり、かつての宿敵だった爪熊の固有魔法『風爪』を付与した包丁、水魔法と火魔法を掛け合わせたスチームクリーナーなども作ったことでどこでも自由に料理ができるようになっている。
また、野営用テントには魔法を付与させた『暖房石』と『冷房石』がが取り付けられているため、常に快適な温度を保ってくれる。
さらにハジメはこれらの技術を応用し、冷蔵庫や冷凍庫、果てはレンジにミキサーやフードプロセッサーまで開発するという念の入りようである。
また、骨組みにも気配遮断の技能を付与しているため夜間の防犯能力についても非常に高い信頼を誇る。
「ん~!!それにしてもハジメさんの世界の調理道具ってすごいですよね~。短時間で凍らせた食べ物を温かくする道具とか、このフライパンとか!」
「ん…それに保存技術も」
女性陣からの賞賛に照れるような笑みを浮かべるハジメ。
「いや…神代魔法の使い道を広げるための練習で作ったものだけど、ここまで好評になるなんて」
「でも、この魔力操作ができること前提の仕組みをどうにかすればザフトでも便利アイテム扱いされる気がするよ…電源無しで操作できる冷蔵庫なんて、あると無いとじゃ大違いだから」
因みに今ハジメ達が食べているのはシアとハジメで前日に作った『クルルー鳥のトマト煮』である。クルルー鳥とは外見が鶏に似ているが自在に空を飛び、味や肉質は日本で食べた鶏と変わらない。
今回はハジメが鳥を一口サイズに切り、小麦粉をまぶしてソテーしたものをシアが各種野菜と一緒にトマトスープで煮込んで作っていた。
大満足の夕飯を食べて、その余韻に浸ったハジメ達はいつも通り食後の雑談をしていた。
「じゃあハジメさんの故郷ではそのガンプラを使ったバトルが人気だってことですか?」
「うん。最初は特殊な技術でガンプラを本当に動かして戦わせるのが主流だったんだけど、機体が壊れてその都度修理する都合上、決してプレイ人口は多くなかったんだ。でも、今の仕様より昔のほうが好きって人もいるんだよ」
ハジメの言葉にキョトンとするシアとユエ。
「…どうして?自分の大切なものが壊れるのは、辛いはず…」
「そうだね…でも、傷ついたからこそ一緒に強くなろうって思えるんじゃないかな。壊れたらそこを直して、そして強くして…だからこそ、実機バトル…『ガンプラデュエル』を愛する人もいたんだと思う」
その言葉を聞いて一同が静かになるが、ニコルが口を開いた。
「…それでも、僕は今ハジメがやっているバトルの方がいいかな」
ハジメの視線がニコルに向くが、彼は続ける。
「仮想世界で…モビルスーツでの戦いが戦争とかじゃなく、純粋に自分の『好き』を表現できるって、楽しそうだなって思って。アスランのイージス、イザークのデュエル、ディアッカのバスター、僕のブリッツ…それに、ミゲル達の使ってたジン…僕たちにとって単なる兵器だったモビルスーツが、その世界の人にとっては何よりも楽しい『想いの象徴』になってる。僕達の戦争の力が、遠く離れた誰かに希望を与えてたって思うと…ちょっとだけ、ハジメの言う世界を見てみたくなった」
そんなニコルの言葉に、ハジメは小さく笑う。
「だったら、いつか僕達の世界に来なよ」
「え?」
「僕が世界を超えられるなら、ニコル達が来れない道理も無い。そして…いつか皆にも見て欲しいんだ。GBN…自由な世界を」
――――――――――
就寝時間になりシアとユエ、ニコルが眠る中でハジメは外の焚き火の前で見張りの役割につきながら武装のメンテナンスを行っていた。
「んみゅ…」
「シアさん…見張りの交代はまだだよ?」
ハジメが声をかけると、起きてきたシアが少し恥ずかしそうにする。
「えっと…実はお花を摘みに…」
「あぁ…気をつけて」
野暮なことは言うものじゃないとハジメは早々に会話を切り上げ、シアはそそくさとテントを出ていく。
数分後…
「は、ハジメさ~ん!!!こっち来てください!!」
突然のシアの大声にぎょっとしたハジメと寝ていたユエ、ニコルが飛び起き、すぐさま走っていく。
「ど、どうしたの急に!?」
シアがいたのは巨大な一枚岩が壁の壁面にもたれ掛かるように倒れており、わずかな隙間が空いている場所だった。
「こっち!こっちですよ!!ついに見つけました!」
見つけたという言葉で一同はシアが何を見つけたのかを察する。
「………マジだ」
ハジメ達の眼前にあったのは、一枚のプレート。
そこには…
『おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪』
女の子らしい丸文字でやたら可愛くデコレーションされた案内板だった。
「「「………なぁにこれぇ?」」」
――――――――――
シアの話によると、どうやら『お花摘み』の後に偶然見つけたらしく、大迷宮という文字があったことからここが入口だと判断し、ハジメ達を連れてきたらしい。
「…本当にここが迷宮なのかな?」
「……………ん」
「多分………?」
やたら長い間をあけて返事をするユエとハジメ。その根拠はただ一つ。
「名前が…『ミレディ』ってあるからほぼ間違いないと思うよ」
ミレディ。その名前は奈落でオスカーの日記にも記されていた人物であり、ライセン大峡谷の主のファーストネームだ。
ライセンの名はこの世界に広く浸透こそしているが、ファーストネームのほうは世間には全く知らされておらず、だからこそハジメ達はこの『ミレディ・ライセン』の名前を使っているここが迷宮の入口だと考えた。
「でも…なんかチャラいよね…」
「ん…なんか挑む前から疲れてきた」
既に脱力気味のハジメ達だが、シアは入口を探そうとあたりを触りまくって…
「ふぎゃ!?」
近くの岩が回転し、まるで忍者屋敷のようにシアの姿が消えていく。
「し、シアさあああん!?」
「ふぎゃあああああああ!?」
ハジメの絶叫から一拍遅れ、シアの悲鳴が聞こえる。
(これ…オルクスとはまた違う意味で攻略がしんどそう…)
ようやく見つけた第2の迷宮。
だが、ハジメは波乱の予感を早くも感じ取っていた。
(香織さん…僕の心は果たして君に会うまで保つのだろうか…?)
同じ頃、王宮で雫と近接訓練をしている香織は…
「っ!?今、ハジメ君の心が疲弊している気がした」
「あんたはニュータイプか!」
「違うよ雫ちゃん!私はイノベイターだよ!」
次回予告
第2の大迷宮。しかしそこはオルクスとは異なり、肉体ではなく精神を傷つける死の魔境だった…
無意味に繰り返される挑発、精神を抉る即死トラップ…不気味な蠍の出迎え。
追い詰められていく精神の中、ハジメ達はこの迷宮を攻略できるのか!?
次回、機動戦士ガンダムForce
第11話 第2の迷宮
傷つく心で…たちあがれ、ガイア!