機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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お待たせしました、第11話です!

今回から多少詰めていますが、ライセン大迷宮攻略開始です!

感想、評価をいつでもお待ちしています!!




第11話 第2の迷宮

オルクス大迷宮、第84層。

誰もが寝静まった深夜、そこでアリクイを思わせる魔物がある異物を発見した。

 

小さな球体のような形をし、目にあたる部分を光らせながらこちらを観察する奇妙な物体。

 

本能的に警戒した魔物だったが………

 

 

 

次の瞬間、耳を何かが突き破り、二度と魔物は自分の意思を目覚めさせることはなかった…

 

 

 

――――――――――

 

 

ライセン大迷宮にたどり着いたハジメたちだったが、早速出迎えを受けた。

 

 

「えっと…シアさん、大丈夫?」

「ひぐっ……えぐっ……」

 

 

ハジメの前にはぺたりと座り込み、大泣きしているシアの姿が。

 

 

実は…一足先に乗り込んでしまった際に迷宮内部の罠だった黒塗りの矢に襲われ、扉に磔状態にされてしまったのだ。

そしてよく見ると扉の下には僅かながら水たまりのようなものが見えるが…本人の(乙女としての)名誉のため、ハジメ達はあえてそこに触れようとしない。

 

 

『ビビった?ねぇ、ビビっちゃった?チビってたりして、ニヤニヤ』

『それとも怪我した?もしかして誰か死んじゃった?……ぶふっ』

 

 

「「「「………」」」」

 

一同が思わず『イラっ』とするくらいには精神を逆なでしてくるメッセージが浮かんできた。ストレートに表現すれば『うざい』と言えるレベルの。

 

「………とりあえず、みんな落ち着こう?ハジメ、シアさんの着替え出して」

「うん…」

 

ユエに着替えを渡し、ハジメはニコルと共に迷宮攻略の準備を進めていく。

 

 

―――――――――

 

 

「フーッ!!フーッ!!」

「お、落ち着いてよ…」

 

血走りながらドリュッケンを引きずるシアにドン引きする一同だが、ニコルがどうにかなだめようとしていた。

 

 

「シア…すごい怒ってるけど…」

「あれはしょうがないよ…僕が同じ立場だったら流石にキレる」

 

ミレディ・ライセンの煽り技術はとてつもない。

なにせ石版が腹いせに破壊されてもなお自動修復されるというメッセージが地面に浮かぶように仕掛けをしているなど、気分が晴れた瞬間に追い討ちをかけるのだから。

 

 

それ以上に厄介なのがこの迷宮での魔力消耗のレベル。

まず、外よりはるかに強力な分解作用が働いているため魔法がマトモに使えないのだ。

物理装備メインのハジメ達はともかく、魔法が主体戦法となるユエはいつもより消耗が激しい。

いくつか検証したところ、上級以上のレベルの魔法はまず運用が不可。中級でも一発か二発が限界であり、5メートル飛ばせれば十分というほどに魔力が分解されてしまう。

一瞬で初級か中級魔法を放ち、いつもより多めに魔力を使えばなんとか運用できるものの、これまでのような高火力で魔法を使うことができなくなった。

 

「魔晶石も予備をあまり使いたくない…ユエさんにはこれを預けるよ」

 

ハジメはドンナーの改造で作った反動の少ない小型拳銃とその他、小柄な彼女でも運用できそうな武装を数種類ユエに渡すと、今後の魔力消費を考えコートの内側に予備弾薬をできる限り(動きに支障が出ない程度)詰める。

 

(尤も、僕もだいぶヤバイけどね…)

 

ハジメに出た影響は固有魔法の制限と銃の火力低下。

彼が戦闘で使うことの多い固有魔法は『空力』や『風爪』などの外部に発動させる類が多く、それらはこの迷宮では分解されてしまうため運用が難しくなっている。

また纏雷も封じられたため、ドンナーなどの電磁加速やフォールディングレイザーの電撃刃まで使えなくなるなど、彼とて決して無視できない影響が出ている。

 

(魔法戦闘に慣れてないニコルと身体強化に特化したシアさん…頼れるのはこの二人か)

 

 

 

――――――――――

 

ハジメ達は道なりに迷宮を進み、ある程度広い空間に出てきた。

 

そこにあったのは階段や通路などが規則性もなく乱雑につながった異質な部屋で、見ているだけで頭が混乱しそうな内装となっている。

 

「ようやく大迷宮らしいデザインの部屋に来たけど…」

「とりあえず、近くにマーキングしておこう。もし道が違うなら、また引き返せばいい」

 

ニコルの提案に賛同したハジメ達は一つの道を決め、ハジメが持つ固有魔法『追跡』を発動。

 

因みにこの追跡、魔力を直接触れた場所に添付させることで対象の痕跡を追跡する魔法であるが、今回は壁に使うことで目印代わりに使うつもりらしい。

なお空間に魔力を放出するタイプではないため、この迷宮で使える数少ない魔法の一つである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この鉱石…ライセン特有のものかな?」

 

ハジメは進みながらこの迷宮で気になっていた鉱石…壁などの材質になっていた薄ら発光する性質を持つ鉱物を試しに鑑定したところ、ハジメも知らなかった鉱石の名前が表示された。

 

 

「ハジメ。それってどういう鉱石なの?」

 

ニコルが聞くと、ハジメは答える。

 

「リン鉱石。空気と触れることで発光する性質があるみたい。だからこの迷宮で視界に困ることはないと思うけど…」

 

そんな会話をしていると…

 

 

 

 

 

 

 

ガコンッ

 

 

 

 

 

「「「「…………ガコン?」」」」

 

ハジメが踏んだ床のブロックが僅かに沈み、何かが作動したような音が聞こえてくる。

 

その瞬間、壁と床のブロックの隙間から高速回転する円形のこぎりが飛び出してきた。

 

 

「か、回避ぃ!!」

 

ユエは幸い軽く屈むことで回避できたが、ハジメ達は髪の毛が軽く刃に掠っており3人とも身の危険を感じた。

 

 

「っ!また来る!」

 

咄嗟にハジメがシアを、ニコルがユエを抱えて走ると天井から無数のギロチンの刃が降ってくる。

 

 

 

「…物理トラップか。だから魔眼石でも反応しない…」

 

オルクスでの苦い経験から魔法トラップを警戒したハジメだったが、考えてみればここで魔法はほとんど封じられている。

魔眼に反応しないからと油断した己に反省するハジメだった…

 

 

――――――――――

 

 

「ぬあああああああ!?」

 

移動していくつかのトラップに引っかかる中、突然タールのような液体で床が滑りやすくなったかと思えば床が傾き、まるでスロープのようになる。

 

ならば当然、ハジメ達は滑り落ちるわけで…

 

 

「ひゃあああああ!!助けてくださいハジメさああぁぁぁぁん!!!」

 

ハジメは靴とリュストゥングの内蔵スパイクを使い、ユエはハジメのコートにしがみつく。

ニコルはハジメから渡された武装の一つでブリッツの装備を再現した『グレイプニール』を使い滑らないように固定できたが、シアだけはドリュッケンの特殊ギミックを遣う間もなく滑り落ちていく。

 

「まずい!」

 

シアが滑り落ちる先で道が途切れており、その対岸に通路が見える。

 

それを確認したハジメはスパイクを破壊し、ユエがしがみついたままシアのところまで滑り落ち、彼女に手を伸ばす。

 

 

「シアさん、掴まって!」

 

シアがハジメの手を握り、続けて叫ぶ。

 

「ユエさん、飛ばして!」

「ん!『来翔』!」

 

ユエが使ったのは強烈な上昇気流を発生させて跳躍力を引き上げる初級魔法。

数秒しか使えなかったが、ハジメはその間に切り札を使う。

 

「来い!フォースシルエット!」

 

 

ハジメはアリスタの力を使い、一時的に背中にフォースシルエットを具現化。

その力で一気に対岸まで渡ると、魔力を消費しすぎたのかフォースシルエットが消えてしまった。

 

 

「あ…あっぶなかった~!」

「ハジメ…魔力、使い切った?」

 

 

ユエから魔力回復薬を受け取り、一気飲みするハジメ。

 

「そこそこ使ったかな…でも、時間かければ何とかなる」

 

 

魔力を消耗したハジメの代わりにシアがまだ残っていたニコルに叫ぶ。

 

「ニコルさ~ん!!私達は無事ですよ~!」

「わかった!今そっちに…うげっ」

 

ニコルはグレイプニールを使って対岸まで飛ぼうとしたが、何気なく向こう岸までの間に広がっていた光景を見て青ざめる。

それはハジメ達も同様であり…

 

 

 

 

カサカサ、ワシャワシャ、キィキィ、カサカサ…

 

 

生理的嫌悪を抱くような音を立てて、無数の蠍が下で蠢いていたのだ。

 

目をそらすかのように天井を見るハジメ達だったが、そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『彼らに致死性の毒はありません』

『でも麻痺はします』

『存分に可愛いこの子達との添い寝を堪能してください、プギャー!』

 

やたら光るメッセージがそこにあり、ニコルは表情が消えた状態でそこにグレイプニールを打ち込むと一気に跳躍し、ハジメ達と合流。

 

 

「………みんな。もしミレディの墓とか見つけたら錬成で一生ものの恥になるような形の墓石をプレゼントしちゃってもいい?」

 

「「「異議なし」」」

 

とうとうオスカーに抱いていたような『偉大なる先人への感謝と尊敬』といった想いが薄れてきたハジメはさらっと『ミレディ』と呼び捨てにする。

嫌な形で心が一つになった一同は次の部屋へと進んでいくのだった…

 

――――――――――

 

ハジメ達が探索を続けてから二日。

現在彼らがいたのは…

 

 

 

 

「…ねえ、ここ、見覚えない?」

「………うん。特にあの石版」

 

ニコルが指さしたのは中央の石版。

なにより、この部屋はまるで最初にたどり着いた『入口』のように薄暗いのだ。

 

 

すると石版が光り…

 

 

『ねえ、今どんな気持ち?』

『苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知ったときってどんな気持ち?』

『ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ、言い忘れてたけどこの迷宮は一定時間ごとに変化します』

『いつでも新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの気遣いです』

『嬉しい?嬉しいよね?お礼なんていいよぉ!好きでやってるだけだからぁ!』

『因みに常に変化するのでマッピングは無駄です』

『ひょっとして作っちゃった?何日もかけて苦労して作っちゃった?残念!プギャー!』

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ミイイイレエエェェディイイィィィィィ!!!!!!」」」」

 

怒りが爆発したのかハジメ達はドリルやミサイルなどのハジメ(製作者)ですら余程の時以外は封じた近代兵器で武装し、再び迷宮攻略に挑むのだった………

 

 

 

 




次回予告

心を壊すライセン大迷宮。

攻略が進み、ついに一同はこの迷宮の主と出会う。

そこで彼らは問われる。
「戦うのは何故か」


新たなる力を求め、ハジメ達は強大なる敵に挑み…


次回、機動戦士ガンダムForce

第12話 その名はサタン

鋼の心を…叩き斬れ、インパルス!
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