恐らく次のエピソードで序章は終わりになる予定です。
エクリプスガンダム欲しい…でも高い…
感想、評価が作者のパワーになります!
放課後。
香織と雫はハジメから送られた地図の場所…小さなバーまでたどり着き、緊張しながら扉を開ける。
「あら~、いらっしゃ~い!可愛い子が二人も来るなんて、もしかしてあなたがサウス…いえ、ハジメ君のお友達?」
出迎えてきたのは長身のそこそこ筋肉質なオカマ口調の男性。
初めて出会うタイプの人間に多少困惑するも、香織は頷く。
「は、はい!私、南雲君の友達の白崎香織といいます!こちらは私の友達の八重樫雫ちゃんです!」
「よ、よろしくお願いします!」
「はいよろしく!お姉さんはマギー。GBNでサウス君…いえ、ハジメ君とはフレンドなのよ。で、あなた達の事情は大体聞いてるから他の人の横槍が入らないうちのお店を用意してあげたってわけ」
後ろを見るとカウンター席にハジメが座っていた。
――――――――――
「ごめんね、いきなり知らないお店に連れてくるようなことになって」
「ううん。で…あのメッセージのことなんだけど…」
香織が聞くと、ハジメは説明する。
「白崎さんと…八重樫さんだっけ?二人とも進学する高校はもう決まってるんだよね?」
「うん。地元の『南陽高校』のつもりだけど…南雲君も?」
南陽高校。
この辺りでは比較的大きな高校であり、様々なスポーツに力を入れているという話もある高校。
なお、どうやらこの地区では数少ない『模型部』が存在しており、その上GVR大会でもそこそこの結果を出しているとの話。
「僕も南陽を受けるつもりなんだけど………成績面が微妙で」
「「あぁ………そういうこと」」
二人ともハッキリとは言わないものの大体察してくれた。
本当、こういう時察してくれるのはありがたいとハジメは少しばかり思った…
「それで私たちに勉強を…?」
「うん。二人も受験とかあるから無理にとは言わないけど…」
ハジメの真剣な顔に、香織は質問した。
「どうして…そこまで?」
「………」
スマホの画面を見せるハジメ。
そこには、彼の目指すもの…『全国ガンプラバトルVR大会・高校生の部』についての概要が掲載されていた。
「こないだの一件もだけど…僕はもっと周りの人にちゃんと知ってほしいんだ」
「ガンプラバトルは遊びだけど…ただ単に中途半端で遊ぶだけじゃないって。『本気のバトル』をもっともっと知って欲しいって思えたんだ」
『オタクのお遊び』なんかではなく、皆が負けたくないという気持ちで戦うもの。
その存在を知ってほしいからこそ、実力のある南陽への進学を考えていた。
「だから…力を貸してください」
そういうと、ハジメは深々と頭を下げた…
――――――――――
その翌日から、ハジメと香織、雫の『勉強会』がスタートすることになる。
まず目標は来る1ヶ月後の期末テストで、まずはそこで結果を出すのが彼なりの目標でもあった。
香織達にとって意外だったのは、ハジメは全体の成績が悪いというわけではなくむしろ理数系については香織達より数段上をいくレベルだったということ。
今のところ苦手な分野は古典や世界史が少々といったところだ。
因みに…香織は数学が、雫は英語がやや苦手でありそこをお互いに教え合いながらハジメ達の勉強会は1ヶ月にも渡り、やがて彼らにとっての結果を示す一大イベント…『期末テスト』が開催されることに。
(大丈夫…大丈夫だ。あれだけ勉強したんだから)
これまでなら特にそこそこの成績さえとれればいいかと考え、さほど集中していなかったハジメ。
だが、今回は違う。
(この日のために勉強して、GBNからもGVRからも離れてたんだ…ここできちんと結果を出す!そして…)
ハジメは、テストが終わったら取り掛かろうと考えていた『課題』を思い出し、一度気持ちを落ち着かせるため深呼吸し………
(………よし)
恐らくGBNのダイバー達が彼の姿を見たら、誰もが思っただろう。
(目の光が消えてる…)と
そして時は流れてテスト開始から1週間が経過し…
――――――――――
マギーのお店でハジメが来るのを待っている香織と雫。
因みに二人とも学校が終わり次第そそくさと帰り支度をして光輝に会う前に下校していた。
「ふむ…そうか。では二人ともまだログインに使うガンプラを持ってないんだな?」
「ええ…でも、『メイ』さんは不思議よね?まさか自分の体でGBNにログインできるなんて…」
「まあ、その代わりにコックピットの操縦ができないからこのままではGVRができないのは私の悩み所だがな」
雫達と会話をしているのは、HGガンプラと同じサイズの長い黒髪の女性。
彼女の名は『メイ』。
GBN内部で様々なデータが寄り集まってできた電子生命体『ELダイバー』であり、現実世界ではある人物達の制作したガンプラと同じボディに自身のデータを移して行動している。
クールな印象に反して赤いリボンと緑、黒を基調としたドレス姿の可愛さと美しさに雫が心を打ち抜かれ、しばらくメイに会いに来るためにこの店に出入りしていたのは秘密である。
「二人とも、テストとやらが終わったらGBNに来ないか?ガンプラが無くともログインは可能だし、ゲスト用アカウントを店から借りれば二人も来れるはずだ。まあ…ハロのボディで固定されるがな」
その言葉に雫が迷うが、香織は表情が暗くなる。
「ごめんなさい、メイさん………私、やっぱりログインするなら、あのエクシアがいいって思って…」
香織のエクシアはあの後ハジメに預けており、未だに帰ってきていない。
「そうか…だがハジメのことだ。恐らく―――」
メイが言い切る前に扉が開き、何やら小さいケースを持ったハジメが来店した。
「噂をすれば、だな」
――――――――――
ハジメはテストに確かな手応えを感じ、終わってからは睡眠時間を削って『ある作業』に没頭していた。
そして…
「お待たせ、白崎さん………これ、持ってきたよ」
ハジメは小さいケースを香織に手渡し、香織はそのケースを開くと………
「これ………エクシア?」
そこには多少形が変わっていたものの、香織のエクシアのガンプラが入っていた。
スリムだった上半身の装甲が多少追加されてはいるものの、折れた角に補修の跡が僅かながら残っていることからこれが自分のエクシアだと香織はすぐわかったのだ。
「エクシアの強化系に『アヴァランチエクシア』ってガンプラがあったから、それを流用してみたんだ。後で白崎さんが自由に武装とかを付け加えられるようにね」
上半身に装甲のようなものが追加され、肩に青い飛行機の翼のようなパーツが付いていたエクシアの新しい姿。
その名前はケースの内部にしっかりと刻まれていた。
「『ガンダムエクシア・フリューゲル』………」
新しいエクシア『フリューゲル』を手にとった香織は今まで我慢していたものが抑えられなくなり、涙を流す。
「南雲君、ありがとう………私、絶対大事にするから………」
――――――――――
その翌日。
GBNのロビーで誰かを待っていたハジメ…サウス。
すると、誰かが走ってくる。
「サウスく~ん!ごめん、お待たせ!!」
走ってきたのは、修道女にも見えるライトグリーンのダイバールックをした香織。
因みにダイバーネームはリアルと同じく『カオリ』だったりする。
「えっと…『カオリ』さんでいいよね?呼び方…」
「うん!あと…『シズク』ちゃんも一緒にログインしてるよ!」
香織は抱いていたピンクのハロ…ゲストアバターの姿をした雫を前に出す。
「まさか本当にハロになるなんて…でも、これはこれで面白い体験よね」
それから雑談こそしたが、サウスはカオリとシズクを連れてミッションに向かうべく準備をする。
「とりあえずカオリさんは初心者だし、シズクさんはガンプラを持ってきてないから…今日はチュートリアルだね。色々とわからないことがあったら僕も同行するから、遠慮なく質問していいよ」
「うん!」
格納庫内部に転移したサウス達はそれぞれの機体に乗り込み、カタパルトに乗る。
「じゃあ付いて来て………サウス!コアスプレンダー、いきます!」
その掛け声とともに青い戦闘機『コアスプレンダー』が射出。
続けてインパルスガンダムの上半身を構成する『チェストフライヤー』と下半身を構成する『レッグフライヤー』、さらにフォースシルエットが接続された『シルエットフライヤー』の三つが射出。
変形したコアスプレンダーとチェストフライヤーがドッキングし、さらにレッグフライヤーも合体。
最後にシルエットフライヤーからフォースシルエットが分離し、空中で合体すると左腕のシールドが展開し、『フォースインパルスガンダム』が完成。
「…よし!シズクちゃん、捕まってて!」
「ええ、カオリも思いっきりね!」
頷いたカオリは操縦桿を握り、叫ぶ。
「カオリ!ガンダムエクシア・フリューゲル、発進します!」
カタパルトから射出されたガンダムエクシア・フリューゲル。
あれから香織がハジメ指導のもと全体のカラーリングをメタリックグリーンに塗装し、名実ともにカオリ専用機となった新たなガンダムがGBNの大空を美しく舞ったのだった…
ガンプラ解説 ガンダムイージスナイト
『BUILD DiVERS』のリーダー、カザミが扱うガンプラでベースアイデアは機動戦士ガンダムSEEDの前半ライバル機、イージスガンダム。
複雑なフレーム構造からなる独特の変形を全く異なるフレームで再現しようとしているため、変形工程はオリジナルとかなり異なるものの元の機体と同様の形態をそれぞれ使えるようになっている。
本機の最大の特徴はその常識はずれの防御力であり、コンセプトは『守ること』で、攻撃、機動力なども高水準。
メイン装備である『イージスシールド』は上位ダイバー達ですら突破はできなかったことからその硬さが伺える。