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ハジメ達がライセン大峡谷を攻略しているのと同じ頃。
ホルアドの町からおよそ100キロ離れた山の上空で『3機のガンダム』が巨大な怪物と戦闘を繰り広げていた。
「くっそ!何なんだよこいつは!?清水のビームライフルが通じねえとかおかしいだろ!?」
黒をベースにした死神のようなガンダム…『ガンダムデスサイズ』はシールドで飛んできたミサイルを防ぎ、パイロットの少年が叫ぶ。
「喚いていても変わらないぞ、シエル!俺達が抑えなければ、いずれこいつは俺達の国にも攻撃を仕掛けてくる…」
「わーってるよ、ダーゴ!」
ダーゴと呼ばれた少年が乗っているのは青いどことなく龍を思わせるデザインの機体『シェンロンガンダム』。
シェンロンは目の前の強敵に対してビーム兵器が効果が薄いと判断し、格闘装備である伸縮自在のクロー『ドラゴンハング』で装甲を破壊しようとするが…
『グルルルラアアアア!!!』
眼前の怪物は咆哮を上げると、その衝撃でシェンロン、デスサイズが吹き飛ばされてしまった。
「シエル!ダーゴ!くっそ…ミハイルの兄貴とカトレア姐さんのガンダムならまだどうにかなったかもしれねえってのに…!」
すると、怪物は突然清水達から背を向け、どこかに走り去っていく。
「待ちやがれ…2人とも!ミハイルの兄貴にこの件を知らせてくれ!」
そう言うとクロウはレイヴンモードに変形し、怪物…『モビルアーマー・ザドキエル』を追いかけるのだった…
「よりによってハシュマルの同型なんざ…ほっとけるわけねえよな!」
――――――――――
ハジメ達がこのライセン大迷宮に入ってから今日で10日目。
5日ほどでこの迷宮のステージ変更に法則性があることに気づいた。
そのため、適度な休息と食事を挟むことによって心の平穏を取り戻せたハジメ達は攻略に赴くことができたが…
「これ…明らかに最終ステージだよね…?」
立派な扉を前に、サブマシンガンにマガジンを装填したニコルが聞く。
「ん…多分、ここを越えれば攻略できる」
ユエもまた、ハジメが準備した装備の一つである大型の水筒を二つ肩にかける。
因みにこの水筒、高圧で水を放ち対象を切断するほか、水を散布することで氷魔法の消費魔力を僅かながら減らせたりする。
「………」
ドリュッケンを持ったシアは緊張から何も言えなくなるが、ハジメは震えるシアの手を握る。
「は、ハジメさん!?」
想い人からの突然の行動にテンパるシアだったが、ハジメはその反応に少しだけ苦笑する。
「大丈夫だよ。というか…むしろ今回はシアさんとニコルを頼りにしてるから」
「え…?」
いきなり自分を頼るという言葉にキョトンとするシア。
「ここでは魔法の使用に大きな制限がある。魔法主体のユエさんや戦闘に固有魔法を取り入れる僕じゃ能力が大きく制限されるから、魔法を使わない戦いに慣れたニコルやこの空間で影響されにくいシアさんの存在が、勝利の鍵なんだ」
「ん…シアは私の愛弟子。だから自信持って」
ハジメとユエからのエールがよほど嬉しかったのか、シアは目尻に浮かんだ涙を拭う。
「わかりました!このシア・ハウリア、みなさんの勝利を掴むために頑張ります!!」
決心が固まったハジメ達は、扉を開き…
――――――――――
その頃、オルクス大迷宮の最深部、オスカーの屋敷では…
「どうですか、リヒティさん?」
「ああ、推進システムは問題なし、操作系統に関しても微調整は完了っすよ」
フレディからの差し入れのパンを食べながらリヒティは答える。
「それにしても凄いよね…この艦、ハジメ君とユエちゃんだけで完成させたなんて…」
ブリッジの通信士の席に座りながらクリスが話す。
「ただまあ…これだけの艦を飛ばすとなると、重力制御とかの課題はまだまだのこりますけどね。GN粒子みたいに重力制御できたらいいんすけど…」
食べ終えた3人はブリッジから出て、ある場所へと移動する。
「武装については?」
「ああ、火線砲も副砲もミサイルも問題なし。まあ機関砲の弾は俺達じゃ生産できないのが痛いっすけど…」
会話をする中で彼らがたどり着いたのは、ある意味この艦で重要とも言える部分…モビルスーツ格納庫。
「ところで、搭載可能な機体は何機までいけるの?」
「ハジメの話だと…今のところ6機は搭載できるようにしてるって聞いたっす。まあ………」
彼らの視線の先にあったのは、屋敷に置いていたグシオンリベイクとサザビーの2機。
「あのサザビーってモビルスーツ、思ったよりでかいから詰め込めるのもギリギリだったんすよね…」
「なら…あとでハジメさんに頼んでどうにかしてもらったほういいかもしれませんね」
――――――――――
「でやあああ!!」
シアのドリュッケンが迫り来る騎士ゴーレムの頭部を破壊。
「っ!」
銃声が鳴り、ゴーレムの頭をハジメのドンナーが次々と砕いていく。
ハジメ達が入った部屋には無数の騎士甲冑の姿をしたゴーレムが現れ、一斉に襲ってきていた。
「ねえハジメ!ここが最終ステージ?」
「いや…この物量と強さからして………あれだ!」
ハジメが指さしたのは奥にある豪勢なデザインの扉。
「多分ここを超えた先に最後の敵がいる…その前にここを乗り越えろってことだと思う!」
ニコルはサブマシンガンのトリガーを引き、迫ってくる攻撃をトリケロスのシールドで受け流していた。
「だったら、周りの騎士を蹴散らすだけですぅ!」
「シアさん!ドリュッケンのブラストモードを!」
ハジメは開発していたアーティファクトのうちの一つであるミサイルランチャー『オルカン』を宝物庫から召喚。
「これをつけて!あとみんなは耳栓しつつ周囲の騎士をできる限り破壊して!」
ハジメはシアに対しウサ耳用の特殊な耳栓(音による衝撃を限界まで緩和した特別仕様)を投げ渡し、全員が耳栓したのを見ると…
シア達の射撃が騎士達をスクラップにし、オルカンから放たれた複数のミサイルが前方の騎士を破壊し、残ったミサイルが扉を打ち砕いた。
「魔法対策の必要がないから予想はしてたけど…これで突破できる!みんな!」
ニコルが殿を担当しながらユエ、シア、ハジメ、ニコルの順に扉へと飛び込む。
それと同時に砕けた石が扉に集まり…再び扉は固く閉ざされるのだった。
――――――――――
扉を超えることには成功したが、周囲が真っ暗になり警戒を怠らないハジメ達。
すると、目の前には…
「なんだ…あれ…?」
「あはは………もう常識なんてぶん投げちゃってますね…」
巨大な空間が広がり、いたるところで正方形の足場がプカプカと浮かぶ奇妙な光景が広がっていたのだ。
しかもただ浮いているだけでなく、真横に流れるように移動したりと明らかに重力を無視している。
「宇宙のように無重力…?いや、僕らは普通に歩けてるから、あの石だけが影響を受けて…」
部屋の形こそ全く違えど、ヒュドラの部屋と同じような雰囲気に若干警戒心を顕にしながら分析をするハジメ。
しかし…
「逃げて!!」
「「「っ!?」」」
シアの突然の警告に3人ともその場から飛び、先程まで自分たちがいた地点に浮いていたはずのブロックが降ってきたのだ。
「あ、あっぶな…!」
「ん…シア、ナイス」
「助かったよ…」
「何とか未来視が発動してよかったですけど…でも、今ので魔力がごっそり削られちゃいました…」
ハジメたちの危機を救ったシアの技能『未来視』は発動に2パターンある。
一つはシアが自発的に使った場合であり、シアが仮定した未来がどうなるかを見る能力だが、もう一つは自分たちに命の危機が迫った際に自動的に発動するというもの。
「シアさんの技能が自動で発動したということは…これまで以上の危険が来るってことか…」
命拾いした彼らだったが、その目の前にとんでもないものが現れる。
「これって…ヒュドラと同じ…?」
ユエがそういうが、ハジメはその姿を見て絶句する。
「嘘…でしょ…?」
そこにいたのは、いささがブリッツやインパルスとは異なるが紛れもない『ガンダムフェイス』。
全体的に銀色のデザインになっているものの、背面に巨大なバックパックが据え付けられている。
だが、その中でも目を引くのは胸部にある不気味な顔のような造形をした装甲とバックパックから出ている6本の足。
そして何より異形なのは両腕がまるで悪魔を思わせるような長い腕になっており、さらにマニュピレーターも鉤爪を思わせる形。
そんな姿を見て、ハジメは思わず呟く。
「ガンダムアシュタロンと…ガンダムヴァサーゴのキメラ…?」
『ヤッホー、はじめまして~!みんなのアイドル、ミレディ・ライセンちゃんだよ~!!』
いかついガンダムには似つかわしくないような可愛らしい声が聞こえ、ハジメたちは思わずズッコケそうになる。
驚いたハジメたちは声の出処が他に無いか探すが、目の前のゴーレムがため息をつく。
「あのねぇ…挨拶したんだから何か返そうよ?最低限の礼儀なんだから…全く、これだから最近の若者は…もっと常識を身につけたまえよ」
ゲテモノガンダムの代名詞みたいな存在から常識を語られるというシュールな状況に少し混乱する一同。
『チッチッチ』といった表現が似合うような指の動きに(変に器用だな、あの指で…)とどうでもいい感想を抱いたが、ハジメ達は話しかける。
「すいません…まさかモビルスーツからそういったことを言われるとは思わなくて…僕はニコル・アマルフィです」
「南雲ハジメです…しかし変ですね。ミレディさんはもう亡くなっているはずなのに…」
「やっだな~!ミレディちゃんは最初からゴーレム…ううん、モビルスーツの中にいたんだよ?」
すっとぼけようとするミレディだが、ハジメはあるものを取り出す。
「それは無いですね…だって、ミレディ・ライセンは『ここ』にいるんですから」
ハジメが取り出したのは、オスカーの屋敷で見つけたもの…『解放者達の写真』だった。
「この金髪の可愛い女の子…オスカーさんの日記から推察できる人物像と外観からして、彼女が『人間の時のミレディ・ライセン』ですよね?」
「………ふーん。オー君の迷宮を真っ先にクリアしてたんだ、君は」
その声には若干の驚きの声も混じっている。
恐らく、攻略順で言えば最後に設定されていたはずのオルクスを最初にクリアしたことに驚いていたのかもしれない。
「でも、それだけでミレディちゃんが人間だって言えるのかな…?」
「もちろん、それだけじゃない。現代の魔法の中にはある程度魂へと干渉できる魔法がある…ですが、神代魔法ならその根幹。『魂そのもの』を何かに移植することだってできるんじゃないですか?」
かつてのクラスメイトの一人であり、ハジメ達が個人的に信頼していた降霊術師の少女『中村恵里』。
彼女は人の魂を死体に一時的に戻せるが、それでもできたのは人形のように操ることくらい。
だが、それ以上の力を振るえる神代魔法なら…
「ふー…大正解。まさかもうそこまで推測してたなんてね」
おちゃらけた言動が消え、真面目な口調になるミレディ。
「じゃあ今度はこっちからの質問。どうして神代魔法を求めるのかな?オー君の迷宮をクリアしたのなら、あのメッセージも見たはずだけど」
その口ぶりからは一切の嘘偽りを許さないような雰囲気が出ており、ユエ達だけでなく元軍人のニコルすら一瞬圧倒される。
だが、それも当然だろう。彼女はかつてこの世界を解放するため神に挑んだ者。自らが後世に託す力がどのように使われるのか、知る権利は当然ある。
「…僕達の目標は故郷である別世界への帰還。そして…その前に神エヒトを討伐することです。僕だけじゃない。約30人近くの僕と同年代の人間が別の世界から約3ヶ月前にこの世界に連れてこられました。その理由は…魔人族との戦争に人間族が勝利するためです」
ハジメは語る。
本来なら交わるはずのなかった世界の住人がトータスに連れてこられ、神の遊戯の駒にされたことを。
「異世界人の中でエヒトの真実を知っているのは今のところ僕だけです。他の人に伝えても信じてもらえる可能性は低いですし…何より、この世界にはモビルスーツがある。だからこそ、他のみんなを巻き込めば死者が出る」
正直、裏切ったあのクラスメイトについて思うところが無いというのは嘘になるし、一発くらい殴りたいというのが本音だ。
だが、彼らが命の危機に巻き込まれるというならできる限り避けたいというのもまた事実。
「エヒトを討ち、世界を越える。それが僕のやろうとしていることです」
ミレディはしばらくハジメ達を見ていたが…
「ん~、そっか!なるほど~………よし!ならばとりあえず第1審査合格ってとこだね!あとは…」
すると、ミレディのガンダムから突然何かが飛んできてハジメの手に渡る。
「これは…?」
「フェアを貫くためのプレゼントだよ。それを被せた状態でアリスタを使えば、『ここ』での魔力消費は抑えられると思うよ」
渡された『バンダナ』をハジメはじっと見ていたが、すぐにそれをアリスタのブレスレットに巻きつける。
「まあここまでやればわかるかもだけど…この迷宮をクリアしたければ、私に勝ってみるがいい!!これがミレディちゃんの本気…『サタンミレディガンダム』だよ!!」
「だったら…僕たちも行こう!」
ハジメが叫ぶと、全員で戦闘態勢に入るのだった…
次回予告
死の峡谷での試練は、ついに最終局面に。
激突するガンダム達と、迫り来る死の罠。
ハジメ達はこの局面をどう超えていくのか!
次回、機動戦士ガンダムForce
第13話 鋼の少女
限界を超え…未来へ走れ、ガイア!
サタンミレディガンダム
ミレディ・ライセンがかつての戦いで使っていたとされるモビルスーツであり、『阿頼耶識システム』などを独自に解析した技術を使うことで解放者達の中でも特に強かったとされている。
現在はミレディの魂を定着させたゴーレムをコックピットと同化させている。
元は『ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイク』と『ガンダムアシュタロン・ハーミットクラブ』の漂着パーツなどを使って組み上げたガンダムであり、『オスカー式フラッシュシステム』なるシステムが入っているらしい。
なお、大量破壊兵器のサテライトランチャーは排除されているがオスカーいわく『フラッシュシステムに用途はまだあった』らしく…?