機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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大変長らくお待たせいたしました!!

機動戦士ガンダムForce、第3章のスタートとなります!


すっかり遅れてしまいましたが、感想と評価をいつでもお待ちしています!


第3章 狂い咲く勇士
第1話 商業都市へ


「シアさんを…?」

 

今回の雇い主であるモットー・ユンケルから言われたことに驚くハジメ。

 

「私も職業柄亜人には何度か会ったことがあるが…彼女ほど美しい兎人は中々お目にかかれませんので…勿論、言い値をお出ししますが?」

 

商人としての性だろう目でシアを値踏みするように見るモットー。

だが…

 

 

 

 

 

 

「申し訳ないですが、その話はお断りさせてください」

 

シアを庇うように前に立つハジメ。

その視線にモットーは思わず一歩後ろに下がる。

 

 

「彼女は僕の大切な仲間ですし、メンバーも誰一人シアさんを売るなど賛成しません。ですので…彼女を売ることはありません。例えどんな存在が立ちはだかろうと、絶対に」

 

ハジメの目を見てこれ以上の交渉は無理だと判断したのかモットーは引き下がる。

 

「…わかりました。では、本日はよろしくお願いします」

 

モットーが先頭の馬車に乗り、ハジメ達は護衛のリーダー達と今後の打合せを行うのだった…

 

 

 

――――――――――

 

ゆっくりと馬車に揺られながら空を眺めるハジメ。

因みにこう見えても索敵系の技能を使い周囲に異変がないかを確認し続けている。

 

「なんかのんびりしてますね、ハジメさん…」

「うん…ほら、ここまで迷宮攻略とか神の使徒一行としての仕事とか立て続けにバタバタしてたからね…トータスで陽の光を浴びながらこうして空を見ていられるのは初めてな気がして」

 

 

ブルックの街を出てから三日。

すでにニコル達はフューレンに着いたのだろうと考えていると、すっかり夕日が沈んで辺りが真っ暗になる。

 

「確か、今日で折り返しでしたよね?あと、暖かいコーヒーいります?」

「ああ。このまま何事もなければすんなりフューレンに入れるはずだ。まだ繁忙の時期じゃないしな…おっと、コーヒーくれ。砂糖は2つな」

 

野営の準備を終え、護衛のリーダーと共にコーヒーを飲みながらハジメは地図を確認。

するとシアから声がかかる。

 

 

「みなさ~ん!ご飯の準備が出来ましたよ~!」

 

「「「「「待ってましたあ!!」」」」」

 

シアの言葉に護衛、商隊関係なく全員が反応する。

 

因みに初日の夜、うっかりハジメ達が全員の前で宝物庫を使ってしまったことでモットー達が食いついてしまい、宝物庫を買い取らせて欲しいと迫られたのは余談である。

 

 

 

「やっぱり、普通なら食料は携帯食のほうがいいんですかね?」

「そうだなぁ…確かに普通ならばそんなに多くの持ち運びはできないから、干し肉だの保存性の高い食料が冒険者には需要が有るぞ。あれはあれでなかなか旨いし」

 

シチューを食べながらハジメと会話をしているのは、冒険者としては珍しい亜人の男性。

王国により公的な保護を受けているはずの海人族の青年『カイル』。

 

 

「…ふと気になったんですけど、どうしてカイルさんは冒険者に?海人族は人間族全体から保護を受けてる種族なのに…」

「え…まあ、いろいろあってな…………」

 

 

ポツリポツリとカイルは説明を始める。

 

 

「まあはっきり言っちまえば…何かの事故にあったみたいで昔の記憶が一切無いんだよ。覚えてるのは自分の名前でさ…」

 

苦笑いするカイル。

 

「ただ、海人族の住んでいる町に着けば何か思い出せるような気がしてさ…それで、路銀稼ぎながら旅をしてるってわけだ。もうかれこれ4年になるんだけどな」

 

コーヒーを飲んで空を見上げるカイルに、ハジメは何を言えばいいのか迷ってしまう。

 

「でもまあ、悪いことばかりじゃないぜ?こうやっていろんな人達と旅ができるし、何より出会った人も案外優しいからな。俺に冒険者登録を進めてくれたのだってあの町にいたキャサリン姐さんだし」

「キャサリンさん…そこまで面倒見が良かったんですね」

 

 

飲み終えたのかカップを置いて、カイルは小さく笑う。

 

「…だけど、その旅ももうすぐ終わりそうだ。フューレンまでたどり着いたら、あとは最後の荷物を纏めて故郷に…エリセンに帰る。それまで記憶が戻ってなくても、向こうに着けば流石に何か思い出すだろうしな」

 

旅の終わり。それが近づいていると感じていたのか遠い目をするカイルにハジメは思うところがあった。

 

(カイルさんはもうすぐ故郷に着く…だけど)

 

故郷と遠く離れていることだけは間違いないこのトータスという世界。

 

(果たして………僕達が帰れる日って来るのかな…?)

 

帰還に必要な神代魔法はあと5つ。

そして何より、帰還のためにはエヒトを討たなければ同じことの繰り返しになる。

 

(…いや。例え何年かかっても、必ずやらなきゃ)

 

自分だけじゃない。

今もオルクスで戦っているかもしれない想い人や友人達のことを考え、ハジメは思いを新たにした。

 

 

 

――――――――――

 

 

ブルックを出てから6日目。

あと数時間もすればフューレンに到着というところまで来て、ハジメ達は馬車から降りるための身支度を終えると護衛任務に戻る。

 

 

「…どう?ここまで、何か接近してきたとかは」

「うーん…今のところは………っ!」

 

馬車の上で自慢のウサ耳を立てながら周囲を索敵していたシアが突然何かに反応を示す。

 

 

「魔物の足音と息遣いが聞こえてきました!方向は私達の進行方向!」

「数は!?」

 

ハジメの言葉にシアは返事をする。

 

「数は…おそらく100体は超えてるです!」

 

シアの報告にざわつくなか、ハジメも馬車の上に飛び乗ると眼帯を外して魔眼石を発動。

望遠状態に切り替えると、シアの報告が間違っていないことを悟った。

 

 

「100以上!?最近魔物が出ないと思ったら勢力を溜め込んでたのか!」

 

リーダー達が慌てて戦闘準備に入ろうとするが、ハジメがそれを止める。

 

「いえ、ここは僕達で片付けます!」

 

この距離ならまだフューレンまで距離があり、幸いなことに通行人もいない。

 

つまり、最低限情報を隠せたまま武器を試せるということになる。

 

 

「べ、別にいいが…本当に大丈夫なのか?」

「絶対…とは言えませんが、少なくとも戦力を大幅に削るくらいなら。魔物の数が減ればここの戦力で十分対処できますよね?」

 

ハジメはそう言うと周囲に十字架のような浮遊する物体を出現させ、手にはサブマシンガンを出現させる。

 

「あ、ああ…だが、いけるのか?」

 

「はい。僕とユエさんが奴らに先制攻撃をして殲滅に入ります。もし撃ち漏らしがあれば、あとはお願いします」

 

ハジメとユエは馬車から降りると魔物達の前に歩き出す。

 

 

「坊主!くれぐれも気をつけてな!」

 

カイルの言葉にハジメ達は頷き、戦闘準備に入った。

 

 

 

――――――――――

 

「ユエさん…人目もあるし、今回は詠唱ありで魔法をお願い」

「ん。今回は大規模な魔法使うからすこし長く詠唱してみる」

 

魔力操作で詠唱破棄ができるが、この世界の人達に不審がられないようにあえて呪文を唱えるユエ。

 

「彼の者、常闇に紅き光をもたらさん―――古の牢獄を打ち砕き、障碍の尽くを退けん」

 

天を指すユエの指先に電撃の玉が精製される。

 

 

「最強の一角たるこの力、鋼が紡ぎし絆とともに、天すら呑み込む光となれ」

 

ユエがよく使う雷魔法は、ハジメ達も知らない新たな魔法へと進化して魔物達に迫る。

 

「〝雷龍〟」

 

ユエが魔法を発動させると、暗雲が出現して雷鳴が集まり、巨大な『龍』を作り出す。

龍は雄叫びをあげ、魔物の群れを飲み込むとほとんどの魔物を一撃で消し飛ばした。

 

 

「…ハジメさん、あの魔法って…」

 

「多分だけど…ミレディさんの元でゲットした重力魔法を応用した技かも」

「ん。大正解…私のオリジナル複合魔法、雷龍。ミレディが言ってたように重力魔法の適正があったから、ブルックのギルドの修練場で練習してた………でも、今のは手加減してる。扱いが難しくて全力で使うと周囲を吹き飛ばしかねないから」

 

雷を龍の形にして発動させることで、まるで雷の龍が質量を持ったかのように襲いかかるのだという。

 

 

「ちなみに詠唱はハジメ達との出会いと、ガンダム達を表しています」

 

ドヤ顔でサムズアップを決めるユエ。

だが、僅かに5~6体ほどの魔物が生き残っていた。

 

「あとは僕がやる…行け、『クロスドラグーン』!!」

 

ハジメが叫ぶと、背後に浮遊していた十字架のような形をした武装が自動的に飛行。

それは空中で分離し、ワイヤーらしきもので繋がった状態で銃撃を開始した。

 

 

『グウウウオオォォ!?』

 

四方八方から放たれた銃弾が残った魔物達を打ち抜き、ほどなくして魔物の群れは全滅。

 

 

「ハジメ…今のは?」

「重力魔法を応用した武器で、分離して四方から攻撃可能になるオールレンジ兵器さ。元々ガンダム世界にあった兵器の一つを再現してみたけど、簡易的な操作で有線式操作にしても最大8機が限界だったけど…」

 

そう言うとハジメは座り込んでしまった…

 

 

 

――――――――――

 

 

魔物の襲撃から数時間後、ついに一行はフューレンへとたどり着く。

 

 

しかし、モットーは宝物庫やクロスドラグーンなどのアーティファクトを売ってくれないかとしつこく食い下がっていた。 

「ハジメ殿、着く前によろしいですか…?出発前に話した宝物庫などのアーティファクトとその兎人族…まだ売る気にはなりませんか?」

「すいません。これを売るつもりはないですね。今後の旅にも必要なので」

 

アーティファクトのほとんどはハジメが試行錯誤を重ねて作り上げた一品ものであり、戦闘用のものとなるとそう簡単には手放せないほど武器としての価値以外での愛着もある。

宝物庫に至ってはこれから先も必要なものであり、尚且つ現在のハジメでも作れないアーティファクト。

シアに至っては彼女はもう自分達の仲間であり、間違っても売り飛ばすなんてことは考えない。

 

「商会に来ていただければ公証人立会のもと、一生遊んで暮らせるだけの金額をお支払いしますよ?それに貴方のアーティファクト…特に宝物庫は商人にとっては喉から手が出るほど手に入れたい代物ですからな」

 

実際、宝物庫があれば馬車に大量の荷物を積んで運ぶ必要もなくなる。

それだけでなく護衛を雇う人数も削れる。確かに商人にとっては是が非でも欲しい代物だろう。

 

 

「宝物庫の力は個人の手に余る代物…この先、厄介なことになるかもしれませんぞ?例えば彼女達の身に何か起きたり…」

 

そこまで言うが、ハジメはにこやかな顔で返す。

 

 

「でしたら、それこそ戦う力のないモットーさんには危険な力じゃないですか?」

 

それを言われ、流石のモットーも言い返せなくなる。

 

 

「手に余る代物というなら…それはあなたにとっても同じ。ですが僕達と違い貴方にこれだけの力を守ることはできない」

 

万が一護衛を雇ったとしても、金での繋がりである以上モットーにとって警戒すべき存在に変わりはない。

ハジメはそこまで見越してモットーに警告を返したのだ。

 

 

「…そうですな。私も欲に目がくらんだものだ」

 

流石に修羅場を超え続けた商人なだけあったのか、モットーは大人しく引き下がることにした。

 

 

 

――――――――――

やがて入場手続きが済み、ハジメ達だけでなくカイル達他の冒険者とも別れの時が来た。

 

 

「じゃあな坊主。さん達も早いところ家に帰れるといいな」

「カイルさんも…この一週間、色々教えてくれてありがとうございました」

 

せめてものお礼にと、ハジメはカイルに自作のナイフを渡す。

「カイルさん、確かちょっとだけ魔力使えるって言ってましたよね?なので、身体強化の魔法陣を柄の部分に刻んでおきました」

「いいのか?こんなナイフ、店売りならそこそこするのに…」

 

 

さすがに立派な武器ともなると多少は躊躇いがあるのか受け取るべきか迷うそぶりを見せるカイル。

 

「まあ、色々教えてくれた報酬ってことで…ね?」

そう言われようやく素直に受け取ったカイルは、腰に鞘を付けるとナイフを収める。

 

 

 

「サンキュー、坊主。いずれエリセンに来たら俺を頼ってくれや。まあ…その前に俺が家を見つけなきゃ行けないがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さいながらも出会いと別れを繰り返し、ハジメ達はフューレンの街を歩きだす。

 

 

 

「さて…フリット達と合流しないとね」

 

 

 

 

赤いコートを翻し、ハジメはユエとシアを連れて街に歩き出した…






次回予告

運命とは不可思議なもの。

出会うはずもない場所にいる友とのつながりは、意外な道から示される。

新たな歩みのため、ハジメ達は湖畔の町へと歩き出すこととなった。


次回、機動戦士ガンダムForce
第2話 支部長からの依頼

運命の再会…心せよ、インパルス!
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