機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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長らくお待たせいたしました!久しぶりの更新となります。

水星の魔女が終わって一ヶ月以上経ちますが、待ち望んだガンダムSEEDFREEDOMに今から期待大です!

感想、評価をいつでもお待ちしています!


第2話 支部長からの依頼

「そこの冒険者、止まりなさい」

 

周囲を囲む町の衛兵達と、ハジメの視線の先には腰を抜かして倒れこむ丸々太った身なりのいい男。

 

 

 

(………うあああ…やっちゃったぁ…!)

 

 

なぜこうなったかというと、話は30分ほど前にさかのぼる。

 

 

 

――――――――――

 

「ハジメ!こっちだよ!」

 

町中を歩く中でハジメ達は先にこの街に来ていたニコル達と合流して朝食を一緒に食べていた。

 

「…あれ?ニコルとマユちゃんだけ?」

「実は…フリットさんは昨日までここでお仕事して寝ちゃってて…」

「ユリンとエミリーは付き添い。リヒティとクリスは買出しに行ってる」

 

朝食のトーストを食べ、5人は宿泊場所について話し合う。

 

「先に泊まっててわかったけど、観光区の宿の方がサービスとかもいいみたいだよ。すこし料金は割高だけど、ご飯とかほかのサービス含めればちょうどいいと思う」

 

フューレンは大きく分けて町の中枢を担う中央区、他の街から来たモットー達のような人々が商売をする商業区、旅の冒険者達が立ち寄る観光区の三つに分かれている。

 

 

「流石に全員で泊まるのは大変だから、それぞれが選んだ宿に泊まるってやり方にしよう。とりあえず宿代を得るためにも以来完了の報告をギルドにしないとね…」

 

そうして食事を終えたハジメ達が席を立とうとしたが…

 

 

 

(っ…)

 

不意に嫌な視線を感じたハジメが周囲を見回す。

 

するとそこには肥満体ながら身なりだけはいい男がこちらを見ていた。

 

(あの人の視線…ユエさんたちに向いてる)

 

警戒心をマックスにしていたハジメだが、丸い男は体を大きく揺すりながらハジメ達の方へと歩いてきて、開口一番に告げてきた。

 

「お、おい、ガキ。ひゃ、百万ルタやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの女2人はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

 

微妙に滑舌が悪い喋り方でハジメに決定事項とでも言うかのように告げてきた男だったが、ハジメとニコルはさっと3人の前に立ち、無視してさっさと歩いていこうとする。

 

 

「お、おい!言うことを、き、聞け!」

 

男はユエの手を掴もうとするが、ハジメは咄嗟に間に入ると男の手を弾いた。

 

「ギャアアッ!」

(あ、やば…)

 

つい反射的に相手の手を叩いたが、ハジメの人間離れしたパワーで叩かれたことで腕を痛めたのか男はうずくまってしまう。

 

 

「ニコル、早くここから離れよう」

 

大騒ぎになる前に離れようとハジメはユエとシア、ニコルはマユの手を掴んで離れようとするが、その前に大男が仁王立ちして道をふさいできた。

 

「れ、レガニド!やつを殺せぇ!わ、私に暴行を働いたのだ!」

「坊ちゃん、殺すのは流石にまずいですぜ」

「いいからやれぇ!お、女は傷つけるな!私のものだぁ!報酬はいくらでも弾んでやる!」

 

そう言われ、レガニドと呼ばれた大男は不敵な顔になる。

 

「というわけだ。俺の報酬のためにとっとと引き下がってくれや」

 

レガニドが拳を構え、周囲がざわつき始める。

 

「おい、あいつって『黒』のレガニドじゃねえのか?」

「噂通り『金好きのレガニド』ってことかよ…」

 

周囲のヒソヒソ声で目の前の大男のことを察したハジメ。

 

(天職はあるかわかんないけど、ランクは『黒』…この世界じゃ割と強めの実力者ってところか)

 

向こうが戦闘態勢に入ったため、ハジメはなるべく目立たないようにとフォールディングレイザーを引き抜こうとするが…

 

 

 

 

 

 

「ハジメ。ここは私とシアが戦う」

 

ハジメに制止の声をかけたのはユエ。

隣にはいきなり指名されたからか慌てるシアの姿が。

 

 

「わ、私もですかぁ!?」

「…シア。よく考えて」

 

ユエは白コートを靡かせるように動き、語る。

 

「ここで私達がハジメの手を借りることなく勝てば、下手なちょっかいも掛けられなくなる」

 

それを聞いたシアは目を輝かせる。

 

 

「そういうことなら!全力でやるですよ~!!」

 

そう言ってシアはドリュッケンを取り出し、凄まじい衝撃波が出るほどの素振りを始めた。

 

 

 

――――――――――

 

………その後。

うっかりシアが全力で放ったドリュッケンの一撃を咄嗟にガードしたレガニドだったが全身粉砕骨折の大怪我を負ったことで駆けつけたギルド職員によりハジメ達一行は逮捕されることとなってしまった…

 

因みに例の貴族の男…『プーム・ミン』はシアにより吹き飛ばされたレガニドの巻き添えをくらって頭に傷を負い、入院中である。

 

 

 

 

 

 

 

「………シアさん」

「うっ………ホントにごめんなさいですぅ…」

 

ギルド内で説明を終え、職員達が一度立ち去るとハジメはシアに対してジト目を送る。

 

 

「…さて、こうなった以上今後の旅をどうしようかな…説明やら拘留でどれだけ時間取られるかわかんないけど」

 

むこうが売った喧嘩とは言え、流石に全身粉砕骨折はやり過ぎと言える。

あれだけの力を持つことへの説明も要求されるだろうし、被害者は偉い貴族だと考えると冤罪を吹っかけられることもあるかも知れない。

 

(…しかも、ここに来て身分証問題が出てくるとかさぁ…)

 

当然ながら話を聞く前にハジメ達は身分証明を求められ、この世界に来た時にステータスプレートを入手していたハジメと教会にいた頃にプレートをもらっていたニコルとマユはどうにかなった。

 

しかし300年前に封印されたユエと亜人族のシアはステータスプレートを持っておらず、かと言ってギルド職員立会いのもと新たにプレートを発行すれば、ユエ達の持つ特異性がこの世界の人間に顕になってしまうリスクがあった。

 

そう考えるとハジメも思わずため息が出てしまった。

 

 

「…ハジメ。こういう時こそキャサリンから渡された手紙の出番」

「………あ!!」

 

 

ユエの言葉でハジメはブルックで受け取っていた手紙を思い出し、宝物庫から取り出す。

 

 

「すいません!この手紙をギルドの偉い人に渡してもらえませんか!」

 

留置所の職員に声をかけ、ハジメは手紙を職員に渡した。

 

 

 

――――――――――

 

最初こそ手紙を受け取った職員は訝しげにしていたものの、手紙の主を知るとぎょっとした顔になり慌てて留置所から出ていく。

 

そして…

 

 

「はじめまして。冒険者ギルド、フューレン支部支部長のイルワ・チャングだ。南雲ハジメ君達…でいいのかな?」

 

応接室に通されたハジメ達の前に現れたのは金髪オールバックの男性だった。

 

「は、はい…」

「この手紙には目を通したよ。将来有望だが少々トラブルに巻き込まれやすそう…先生に随分気に入られているみたいだね」

 

イルワの言葉にシアが気になったのか質問をする。

 

「あ、あの~…先生って…?」

「ああ、キャサリン先生のことだよ。あの人は元々、王都のギルド本部で当時のギルドマスターの秘書長をしていたんだよ。その後はギルド運営に関する教育係に携わっていてね、現在各町に就いているギルドマスターの半数以上はキャサリン先生の教え子なのさ。僕も含めてね」

 

そう言うとイルワは1枚の写真を取り出す。

 

そこにはハジメと変わらないであろう頃の年頃のイルワと、長い赤髪が特徴的な美女が写っていた。

 

「彼女は美人で人柄も良かったから、当時の僕らからすれば憧れの存在でね…彼女が結婚して地方のギルドに移籍したときはもう、王都が荒れるほどだったさ」

(………時間の流れって、どの世界でも残酷なものなんだな)

 

 

余計なことを言わないように心の中で留めたハジメだったが、すぐさま真面目な話に戻る。

 

「…ところで、身分証明については問題ありませんか?」

「ああ、先生の推薦なら大丈夫…と言いたいがね。例の貴族が少しばかり問題を起こしている」

 

その言葉に嫌な予感が走るハジメ達一同。

 

 

「簡単に言えばね…今回の一軒で君たちが明確な殺意を持って攻撃してきたと言いがかりをつけようとしているのさ。勿論、そんなことはないと分かっているし仮に裁判なんてことになっても問題なく勝てる。だが…」

「判決が出るまで時間がかかってしまい、僕達が足止めされるリスクがある…と?」

 

 

ハジメの言葉にイルワが頷く。

 

「何分、君達はまだ冒険者として結果を出しているわけではないからね…手紙に書いてあったライセン大峡谷攻略については、あまり他言しないほうがいいと先生からの忠告もある」

 

するとイルワは机の引き出しからある一枚の書類…依頼書を持ってくる。

 

「そこでだ。私が時間稼ぎをする間に君達にこの仕事を引き受けて欲しいのだが…」

 

依頼書に目を通すハジメ達。

 

 

「………北の山脈地帯を捜索していた冒険者チームが行方不明。その中に貴族の三男がいたと…イルワさん、この依頼は行方不明者の実家が?」

「その通りだ。そもそもの発端は、北の山脈地帯で複数の魔物の目撃情報が地元の町に寄せられたのがきっかけでね…」

 

 

北の山脈地帯は一つ山を越えるとほぼ未開の地となっており、流石に奈落の魔物には遠く及ばないがそれでも普通の人間には厳しいレベルの魔物が生息している。

そのため今回の依頼を受けたのはギルド内でも有名な一団だったという。

 

「しかし、私はある理由からそのパーティーメンバーの中に彼を…ウィル・クデタを参加させてしまった。彼は貴族としての生活が肌に合わないと常日頃から言っていてね…実力者ばかりのパーティーなら問題ないと思い、権限も使ってウィルをやや強引に参加させてしまったんだ」

 

だが、そんなウィルを加えたパーティーが突如として消息不明になり、監視といざという時の護衛役として雇っていた冒険者も連絡が取れなくなったという。

 

「家の方でも捜索隊を結成してはいるが、それでも人手は多い方がいいからね。先生からの手紙を見る限り、君達の実力は疑いようもない。少なくとも…並の冒険者を凌ぐだけの実力は間違いなくある」

 

「どうかな?もし引き受けてくれるならばミン家の介入を止めるだけでなく、報酬も言い値を出そう」

 

一通りの説明を聞いて、ハジメは依頼書をテーブルに置く。

 

 

「…この依頼を受けても構いませんが、ひとつだけ質問よろしいですか?」

「…構わない」

 

ハジメは鋭い目を向けて質問する。

 

「あなたは…何をそんなに焦っているんです?貴族の暴走を止めたり、あろうことか言い値で報酬を出すなんて普通の冒険者に行うことじゃない。あなたがウィルさんにこの仕事を斡旋しただけでここまでのグレー手前な行動を取る理由にはならないと思います」

 

鋭い追求の目に、イルワはゆっくりと語る。

 

 

「…ウィルの両親とはギルドマスターになる前からの友人…幼馴染というやつでね。あの子が生まれた時から面倒を見ることも多かった」

 

拳を強く握り締めるイルワの目は、何かを思い返すような光を秘める。

 

 

「彼は冒険者としての素質はない。あの子は他人の命を割り切ることができないから、誰かが死んだり怪我をすればそれを重荷として引きずってしまう可能性があった…だから私は現実を見せるためにあえて厳しい場所に送って…それがこのザマさ」

 

深い後悔の念がこもったイルワを見て、ハジメは立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかりました。この仕事は僕達が引き受けます。ですが…二つほど条件があります」

「条件?」

 

「はい…まず、僕達のチームでステータスプレートを持たない人に作って欲しいんです。その上で表記された内容について、誰にも他言しないことが最初の条件…そして、出来る限りで構いませんので僕達の行動に対して便宜を計ってもらいたいんです」

 

「なっ…!?」

 

驚いていたのはイルワではなく秘書長のドットで、イルワは声こそ出さないが驚いた顔になっている。

 

 

「…何を要求するのかな?」

「そう身構えないでください。僕達は今後の目的のために行動をすれば、いずれ教会と真っ向から対立することになってしまいます。一応移動拠点は持っていますが、伝手の一つでもあれば助かりますからね」

 

万が一指名手配されたときにでもどうにかなりそうだったらありがたいんですが…と苦笑するハジメ。

 

 

「指名手配されるのが確実なのかい?ふむ…いいだろう。報告にあったシア君の怪力や噂になっているユエ君の特異な魔法…それらもまた、君達が隠そうとしている秘密ということか」

 

 

 

やがて、イルワは立ち上がる。

 

 

「便宜を計るなら、その前に必ず私に報告して欲しい。犯罪に加担するような内容や倫理的にダメだと判断した場合は協力しないつもりだ。だが…できる限り君達の力になるのだけは約束しよう」

「ありがとうございます…その言葉が聞ければ、十分です」

 

 

ハジメとしてはユエやシアのステータスプレートをどう入手するかが小さな悩みだったが、思わぬ形で入手できる可能性ができたことで内心ホッとしていた。

 

「どんな形であれ、ウィル達の痕跡を見つけて欲しい…どうか、よろしく頼む」

 

イルワは真剣な眼差しでハジメたちを見つめ、ゆっくりと頭を下げた。

 

 

「………わかりました。この依頼、必ず成功させてみせます」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

フューレンの門を潜ったハジメ達は、先に外に出ていた仲間達に念話石を使い通信をする。

 

 

「リヒティ、発進は?」

『いつでもいけるっすよ!魔導エンジンも快調っす!』

 

 

少し歩くと、光学迷彩を施されていたミネルバにたどり着いたハジメ達は素早く艦内に乗り込む。

 

「みんな、お待たせ!」

 

ブリッジに入ったハジメを、席に着いた仲間達が見る。

 

「これでみんな揃ったっすね。じゃあ…」

 

ハジメが頷き、ユエが艦長席に座る。

 

「…よし。本艦はこれより、初出撃となります。みんな…準備はいい?」

 

ユエが聞くと、全員が頷く。

 

 

『こちらフリット。モビルスーツの固定も完了している!』

『こちらエミリー、メンバーも全員乗り込んでます!』

 

格納庫にいたフリットと医務室にいたエミリーから連絡が来て、ユエは頷いて叫ぶ。

 

 

「………機関始動。コンディション・イエロー発令」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミネルバ、発進します!」

 

 

ユエの言葉とともにミネルバの底面に刻まれた重力魔法の魔法陣が作動。

 

 

浮き上がったミネルバのスラスターに火が灯り、空中で翼を広げて飛び去るのだった………

 

 

――――――――――

 

一方、ハイリヒ王国の王都では…

 

 

 

「お待たせしました、先生」

「おう。わざわざ悪かったな、レイ」

 

夜の街を歩いていたのは、とある事情から一度王都に戻っていたレイと宗一の2人。

 

 

「しっかし、複製はこの1丁が限界だったか…ま、弾もそれなりにあるから無いよりマシかもな」

「仕方ありません。元々この世界では『これ』を何度も複製するような技術はありませんから…弾についても同じサイズで全く同じものを作るとなると、ここのウォルペン氏ほどの実力者でなければ厳しいでしょう」

 

そう言った2人が持つカバンの中に入っているもの…それは以前レイがハジメに解析させていたアサルトライフルとそのコピー品だった。

 

 

「天之河達も思ったより先に進んでるからな…メルドの旦那、ちゃんと約束守ってんのかそろそろ心配になってきたぜ」

「ええ、とりあえず一泊したら夜明けと共にすぐホルアドに向かいましょう」

 

 

 

現在、光輝達はオルクス大迷宮の訓練を第88層まで進めているが、半月ほど前から王都にいた2人はそれを知らない。

 

そして、宗一が最初に王国と交わしていた『約束』もまた果たされていないことも…

 

 

 

そんなことはつゆ知らず、宗一とレイは夜の闇に消えるのだった…

 

 

 

 

 




次回予告

ついに飛び立った異界の戦女神。
降り立つ世界でハジメは運命の再会と、新たな出会いをする。

この出会いがもたらすのは、果たしてどんな未来なのか…

次回、機動戦士ガンダムForce
第3話 再会、友よ

運命の出会い…その手を伸ばせ、ストライク!
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