機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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長らくお待たせしました!
久しぶりの更新ですが、中身もいつもより多くなりました。

機動戦士ガンダムSEED FREEDUMまであと2か月を切りましたが、新たな戦いが楽しみです!

…ところで、インパルスのパイロットって…?


感想、評価をいつでもお待ちしています!


第4話 真実の遊戯

ウルの町、高級宿『水妖精の宿』で注文された料理に舌鼓を打つハジメ達。

そんな中で愛子は改めてハジメに質問をする。

 

 

「南雲君…まず、橋から落ちた後どうやって生き延びたんですか?」

 

最初の質問にハジメは少し困ったような顔をする。

 

 

「…それなんですけど、実はあまり覚えてないんですよ。ただ、気が付いた時には迷宮内部を走る川の中にいて」

 

 

スプーンで米をすくい、口に運ぶと改めて語る。

 

「多分なんですが、ウォータースライダーみたいに流されて奇跡的に助かった…のかもしれないです」

 

 

 

「何故南雲君は髪が白くなっているんですか? あと、南雲君の左目のアイパッチは何ですか?」

 

 

「………橋の上で、どこかの誰かによって撃たれた魔法が直撃したんですよ。気が付いた時には完全に失明してましたし、オルクスの最下層にいた魔物の攻撃で完全に眼球がなくなっちゃいまして。今はアーティファクトの義眼を入れてるんですが、常に機能させてると頭が痛くなる上基本的にこの義眼は光ってるんで普段はこうしてアイパッチで機能を抑えてるんです」

 

 

 

 

実際に眼帯を外して紅く光る魔眼石を見せると、愛子先生や他の皆も絶句する。

 

 

 

 

「ッ………………」

 

 

 

「あと僕のこの見た目ですが、簡単に言えば空腹に耐えかねて魔物を食べたんです」

 

 

「なっ!?」

 

それに驚いていたのは愛子先生だけでなく、周囲の生徒達や神殿騎士たちも一緒。

 

 

 

「本来魔物を食べれば死ぬはずなんですが、壁に穴を開けて逃げた際に偶然神結晶…………強力な回復薬を作り出すアイテムを発掘しまして。そのお陰で強引に魔物の肉の毒素を体になじませて適応したんですが、その代償がこの派手な姿って事ですよ」

 

 

 

そこまで聞いて、一応納得したのか押し黙る愛子先生。

 

 

「……………何故直ぐに皆の所に戻らなかったんですか?」

 

 

 

少し間が空いたが愛子先生は一番聞きたかった質問をしてきた。

 

 

「…一番の理由は、戻ったところでどうなるって思ったんです」

 

水を飲み、ハジメは語る。

 

 

 

「元々僕は王国やクラスメイトから『無能』扱いでしたからね。碌な思い出もないのに戻っても、いやな予感しかしなかっただけです」

 

 

ハジメの空気が冷たくなり、交流の少なかったクラスメイト達はその態度に何も言えなくなるが…

 

 

 

「おいお前! 愛子が質問してるんだ! もっと誠意をもって答えろ!」

 

 

 

しかし、そんなハジメの態度が気に入らなかったのか、愛子先生の傍らにいたイケメンが叫んだ。

 

 

 

「ちゃんと質問には答えてますよ? って言うか…先生、この人は?」

 

 

 

ハジメが口にニルシッシル(異世界カレー)を含みながら聞くと、

 

 

 

「あっ、紹介しますね。こちらは私達の護衛隊長をしてくださっているデビットさんです。聖教教会の神殿騎士の方で………」

 

 

 

「よしてくれ愛子。俺は神殿の騎士としてではなく1人の男としてここにいるんだ。愛子と教会を天秤にかけるなら信仰すら捨てる覚悟でここにいる」

 

 

 

デビットというイケメン騎士を見て、ハニートラップ要員かと思っていたが…

 

 

(いや、そっちが堕とされてるのか!)

 

ニコル達も内心で思わずツッコむ。

 

 

 

「まあとりあえず、僕は僕でこうして生きてるんでそこまで深刻に悩まなくても問題ないですよ」

 

 

 

ハジメは愛子先生に普通に語り、デビットはハジメを睨むがハジメは内心でため息をついた。

 

 

 

「貴様! 愛子の教え子だからと図に乗るなよ!」

 

 

 

デビットは拳をテーブルに叩きつける。

 

その拍子にテーブルが揺れ、料理が零れそうになる。

 

 

 

「今食事中ですよ。行儀が悪いって教会から注意されないんですか?」

 

 

いつになく鋭い態度のハジメにユエ達が多少困惑していると、デビットはある一点に指をさす。

 

 

 

「ふん、行儀だと? その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるとはな。しかもなんだそのふしだらな格好は、汚らわしい!! お前達の方がよっぽど礼儀がなってないでは無いか!!」

 

 

 

「デビットさん! なんてことを………!」

 

 

そう。これこそハジメがデビット達に刺々しい態度をとっていた原因。

 

顔を合わせてからずっと、デビットはシアに対して見下すような視線を向けていた。

 

 

「愛子も教会から教わっただろう。魔法は神より授かりし力。それを使えない亜人共は神から見放された下等な種族だ」

 

 

 

「私達と殆ど同じ姿じゃないですか! どうしてそこまで彼女を……!?」

 

 

 

「ならばその醜い耳を斬り落としたらどうだ。それなら少しは人間らしくなるだろう」

 

 

 

愛子先生の言葉でも止まらず、苛烈になっていくデビットの言葉。

 

シアはショックを受けているのか俯き気味になっている。

 

 

 

他の騎士達も同じような反応をする中で優花達が騎士達を睨み、空気が重くなるが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…小さい男。シアを侮蔑することでしか女の前で強く見せられないなんて」

 

ユエのよく通る声に、他の客の目がデビットに集中する。

 

 

 

「………この異教徒が!神殿騎士を侮辱してただで済むと思うな!」

 

腰の剣を抜こうとしたデビットを他の騎士達も流石にまずいと思ったのか、全員で止めにかかる。

 

 

 

カオスな状況に生徒達もおろおろするが、ハジメはシアを励ますため隣に座る。

 

 

「あまり気にしないでねシアさん。『これ』がこの世界にはびこってる常識だから…辛かったら僕やみんなにいつでも言っていいんだから」

 

 

「はぃ、そうですよね……わかってはいるのですけど……やっぱり、人間の方には、この耳は気持ち悪いのでしょうね」

 

 

そんなシアの言葉をユエが否定する。

 

「そんな事ない」

 

 

 

「ふぇ?」

 

 

「シアのウサミミは可愛い。私達を癒してくれるから」

 

そう言うとユエはシアのウサミミを優しく触る。

 

「そうだよ!ユエだけじゃなく私もほら!シアの耳は大好きだよ!」

 

マユも一緒になり、シアのウサミミを触りだす。

 

 

 

「……ユエさん、マユちゃん…ありがとうございます」

 

 

嬉しさが滲み出ているのか、少し元気よく動くシアの耳。

 

 

 

その空気に生徒達がほっこりする中、興味を持った子供…優翔が近づく。

 

 

「ん?もしかして、触ってみたいんですか?」

 

シアの言葉に小さくうなずく優翔。

 

 

「い…いいですか?」

「大丈夫ですよ~!あ、でも強く握らないでくださいね~」

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

結局微妙な空気が完全に払拭できなかったため、シアとユエは先に宿の風呂に入るため食堂を出ていく。

 

 

「ニコルはどうする?僕は一度ミネルバに戻るけど」

「じゃあ、僕達は街の屋台とか見てからフリットさん達に差し入れするね」

 

そう言うとニコルとマユは食事代だけ置いて去っていく。

 

 

 

 

 

みんながそれぞれ席を立ったあと、ハジメも席を立とうとするが…

 

 

 

「…ん?」

 

去り際に大翔のポケットに小さなメモをこっそり偲ばせる。

 

 

 

 

 

 

「…今日は久しぶりに知り合いに会えて、楽しかったです。では…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1時間後。

大翔は優花、愛子先生と共にウルの町の郊外に出ていた。

 

 

 

「本当にここなんですか…?」

「そのはずですけど…あ、いた!」

 

少し歩くと、その先にはランタンを持ったハジメが立っている。

 

 

「大翔、園部さん、先生…わざわざ呼び出してすいません」

 

ハジメは3人を連れて自分達の拠点…ミネルバへと連れていく。

 

 

 

「こ、これって…あのミネルバよね…?」

 

「な、なあハジメ…お前、この船どこで見つけたんだ…?」

 

愛子は驚きで声も出ず、優花と大翔がハジメに質問する。

 

「オルクスの地下で良質な鉱石を沢山みつけてね…多少時間もかかったけど1から作ったんだよ」

 

そういうとハジメは3人をミネルバに乗せ、話ができるようにと会議室に案内し、3人にコーヒーを出す。

 

 

「さて…これから話す内容は、先生達にとって衝撃的かもしれません。これが教会の連中に露呈すれば、今度は先生達だけじゃなく他のみんなが異端者として国から追われるリスクもあります」

 

その言葉に3人とも息をのみ、ハジメは語りだす…

 

 

――――――――――

 

そこから語られたのは、教会がひた隠しにしていたこの世界の残酷な真実。

 

 

 

『解放者』と呼ばれた7人の神代魔法の使い手達を中心とした人々がかつてエヒトの支配に抗っていたこと。

 

しかし、エヒトの『神託』に従った人々によって襲撃され、守るべき相手に刃を向けられなかった解放者達は戦うことなく敗北したこと。

 

 

 

オルクス大迷宮をはじめとする七大迷宮は、解放者達が後世の者達に神殺しを成してもらうために遺した、彼らにとっての最後の希望だということも。

 

 

 

 「僕の作ったアーティファクト…ミネルバ含めてほとんどはオルクスの地下に眠っていた『生成魔法』で作ったものです」

 

「じゃあ南雲君は…その狂った神を倒すため旅をしてるんですか?」

 

愛子の言葉に頷くハジメ。

 

「本音を言えば、この世界のために命を懸けるのは嫌です…でも、エヒトが僕らをこの世界に召喚できたということは、また地球に奴が干渉できる可能性も高いということになる。そうなれば…」

 

 

魔人族と人間族のうち、勝ったほうが地球侵攻の駒として使われる可能性もある。

或いは、他の生徒たちが得たチート能力を使って地球の街を蹂躙するため…という可能性も。

 

 

「…確かに、そりゃあ俺らと別行動するわな」

 

大翔は、これまでハジメが他のクラスメイトと接触しなかったことに納得する。

 

「基本的に俺も先生も白崎達も、教会の庇護下にある。それに…ネックは天之河だろ?」

 

その名前が出たとたん、優花は苦い顔をするが愛子先生はよくわかっていない顔をする。

 

 

「え、どうして天之河君の名前が…?」

「先生…多分ハジメがいくらこの真実を告げても、天之河が教会を信じてる限り一部除いたクラスメイト達はハジメの味方をしませんよ。だって『天之河光輝が正しいと信じている』のが教会なら、考えることをしない連中は間違いなく向こうの言いなりだ」

 

 

 

そう。ここまで迷宮で戦う生徒たちを引っ張ってきたのは教師の愛子ではなく1生徒に過ぎない光輝だ。

彼持ち前のカリスマ性が多くの生徒を引っ張り、愛子先生はその道半ばで心が折れた生徒達のメンタルケアを兼ねて共に農地を周っている。

一応向こうには三木先生もいるとはいえ、彼ですら光輝のカリスマ性を止めることはままならない。

 

 

 

「…まあそういうわけです。あと、これを教えたのはみんなに合流するんじゃなく、大翔と園部さん、先生なら疑わないで聞いてくれると思ったからですよ」

 

 

――――――――――

 

 

それからしばらくして、大翔は優花と共に席を立つ。

 

どうやらミネルバの見学をしてから愛子と合流するつもりらしいのだが、その真意に気づいた愛子は小さく頭を下げる。

 

 

 

 

 

 

「…南雲君。先生はまず、君に謝らないといけないことがあります」

 

お互いに机を挟んで向かい合い、愛子は語る。

 

 

「まずは…あの日皆を守るためにベヒモスに単身で挑んだ君に、私達は何も返せていません。それどころか、君の決死の行動をあざ笑うかのような結末になってしまいました…」

 

 

 

そこから語られたのは、ハジメにとって衝撃的なこと。

 

ハジメを攻撃して奈落に落としたのは檜山だが、その罪は事実上無かったことにされたこと。

 

一度の土下座を見た光輝が、檜山が反省していると判断してその罪を許してしまい、彼は今も大迷宮で戦っていること。

 

 

『みんな!やってしまったことは仕方がない。思うところはあるかもしれないが、いつまでも一つの失敗を咎めるべきじゃないんだ!そんなこと、死んだ南雲も望んじゃいない』

 

 

 

 

『今俺達が為すべきことは、これ以上の悲劇を起こさないため檜山の失敗を許し、南雲が繋いでくれた命を精一杯生かすことだ!そうだろ!?』

 

 

 

「………そう、ですか」

 

ハジメはわかっていたはずだった。

光輝が許してしまえば、皆もそれを許すと。

 

元より交流のあった『仲間』以外のクラスメイトなど欠片も信じてなどいなかったと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………やっぱり、僕ってその程度…の…!」

 

 

だけど、何故だろうか

 

 

 

どうして、『皆から早々に切り捨てられた』と知って自分の視界がここまで揺らぐのだろうか…?

 

 

 

 

「っ!南雲君…!」

 

教室に入れば他の生徒から嫌な顔をされ、嫌われているのは知っていた。

1年生の時の光輝とのいざこざだけでなく、騒動の中心に立つことも多かったから、よく思われてないことだって理解していた。

そして、ステータスの低さから『無能』と呼ばれ蔑まれていたことも。

 

 

「………先生。僕がやったことって何だったんでしょうか…」

 

それでも、悲しいという気持ちは消せなかったのだ。

 

 

「………大丈夫です。例え他のみんなが君を見捨てても、君を信じて…君の生存を信じて今も懸命に戦っている人がいるんですから」

 

愛子はハジメをそっと抱きしめる。

 

「白崎さん、八重樫さん、遠藤君、谷口さん、中村さん、坂上君…彼らは、今も君を信じてオルクス大迷宮の攻略を進めています」

 

「清水君も冒険者として独り立ちし、君が生きているのか情報を集めてくれると約束してくれました。それに…」

 

 

 

 

 

 

 

「君の生存を信じて、喜んでくれた人はちゃんといたじゃないですか」

 

 

ハジメが生きていると知って、喜んでくれた大翔と優花、優翔を思い出す。

 

 

「南雲君…私は君が一番苦しいときに何もできなかった無力な大人です。

 

それでも、そんな私からのお願いを聞いてくれませんか?」

 

ハジメは何も答えないが、愛子は言葉を続ける。

 

 

「君は先ほど、みんなを助けたことを後悔したのかもしれません…でも、先生はそんな風に動けるのが君の良さだと信じています。地球よりも命の価値が軽いこの世界で他人を慮れるその心は、強大な力を持たず力に溺れなかった君が持つ最大の武器です」

 

愛子は、先ほどハジメと共にいた少女達やこの船にいた人達を思い出す。

 

「この船に乗っている人も、さっき一緒にいた人達も…きっと君が手を差し伸べて出会えた仲間なんですよね?」

「…はい」

 

その返事を聞いて、愛子はもう一度向き合う。

 

 

 

「なら、あの日の選択を後悔する必要なんてありません!君の持つ人を思いやれる心がこうして多くの仲間と出会わせてくれたのなら、君はクラスで1番強くて立派な人です!」

 

「だから…たとえ何度裏切られても、君が持つその心を………絶対に捨てないでください…!」

 

 

――――――――――

 

 

 

 

ハジメはミネルバを出て、一足先に宿に戻った愛子達を追うように宿へと歩を進める。

 

「…後悔する必要はない…か」

 

 

思えば、奈落で歩き出してから碌にこれまでのことを振り返ってなかったと思えたハジメ。

 

(………結局、僕はクラスのみんなをどう思っているんだろう)

 

今でも心ではぐちゃぐちゃになった感情が残っており、明確な答えは出ない。

それでも…

 

 

 

「…まず、会わなきゃいけない人に会わないとね」

 

小さくつぶやくと、ハジメは再び歩き出した…

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告
消えた貴族の少年を探すべく、かつての仲間達も連れて北の山脈へと進むハジメ。

だが、そこにいたのは想像を超える凶悪な怪物だった。

山に潜む未知の魔物。それはこの世界に忍び寄る『機械仕掛けの魔獣』による厄災の予兆だった!

次回、機動戦士ガンダムForce
第5話 厄災の爪痕

潜む敵を…貫け、ストライク!
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