機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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新年一発目の投稿となります!

暗い始まりとなってしまった2024年ですが、負けないように投稿頻度を上げていきたいと思っています。


もうすぐ機動戦士ガンダムSEED FREEDUM公開ですね。
これをモチベーションに頑張っていきたいと思います!

感想、評価が作者の力となります!


第5話 厄災の爪痕

愛子達との邂逅から一夜明けた朝。

チェックアウトを済ませたハジメ達はおにぎりの入った包みを持ちながら水妖精の宿から出る。

因みにこのおにぎりは朝食用にと宿のオーナーが準備してくれたものであり、さりげなくも粋な計らいにハジメ達は感謝の言葉を告げながら宿を出て行ったのだ。

 

ウィル・クデタの失踪からすでに5日が経過しており、普通に考えるなら生存は絶望的だろう。

だが、それでも自分というイレギュラーな生き残り方をした前例が存在する以上は可能性を捨てるのはまだ早いとハジメ達は改めて捜索の準備を整え、町の正門を潜る。

 

そうしていざ向かおうとするハジメ達だが…

 

 

 

「………一応聞くけど、何してんの?」

 

ハジメ達の視線の先には冒険者としての格好をした大翔達7人の生徒と優翔、そしていつものスーツ姿の愛子がいた。

 

 

「南雲君。私達もあなたのいう捜索活動に協力させてください」

「俺からも頼めねえかな…一応、冒険者として別の依頼もあるから、どっちにしても山には行く必要があったんだ。勿論、お前の人探しにも協力する」

 

 

愛子だけでなく大翔からの頼みとあれば、ハジメとて即断ることはできない。

 

 

「………ちょっと待って。皆はまさか馬で行くつもり…?」

 

後ろには優翔を除く8人分の馬が並んでいるが、ハジメからすればそれでも遅いほうだ。

 

 

「………とりあえず移動手段はこっちで準備するから、馬を元の場所に戻してきて。それと先生…」

 

呆れた顔のハジメは普通に告げる。

 

「とりあえず山の捜索でスーツ姿は無いです。とりあえずこの中で動きやすい格好に着替えてくださいね」

 

そう言うとハジメは移動手段の一つ………車型アーティファクト『ブリーゼ』(ハマー型)を出現させ、ドアを開ける。

 

突然現れた車に唖然とする一同だが、言われるがまま愛子は着替えるためにブリーゼに乗り込む。

その間にハジメは通信用アーティファクトを起動し、ミネルバへと連絡を取っていた。

 

 

―――――――――――

 

10分もすると、今度は黒い高級ミニバンに似せた外見の『ブリーゼマーク2』と軽自動車型の『ブリーゼマーク3』が現れ、マーク2からはユリン、マーク3からはリヒティが降りてくる。

 

「ハジメ、ブリーゼ持ってきたっすけど…どっち使う?」

「じゃあ、今回はマーク2で。リヒティとユリンは優翔を連れてミネルバで待機してて欲しい」

 

因みに優翔だけ預ける理由については、流石にステータスが他より高いとは言え幼い優翔を危険地帯に連れていけるはずがないという判断であり、優花もそれは納得している。

 

 

「じゃあハマー型は僕が運転して…ニコルはマーク2の方、頼める?」

「わかったよ。じゃあ、それぞれ乗ってください!」

 

ニコルが号令を出し、乗ったメンバーは

 

1号車

ハジメ(運転手)

ユエ

畑山愛子

龍峰大翔

玉井淳史

宮崎奈々

 

 

2号車

ニコル(運転手)

シア

園部優花

菅原妙子

相川昇

仁村明人

 

の割り振りとなり、2台の異世界カーは北の山脈目指して走り出すのだった…

 

 

 

 

―――――――――――

 

山道を走る道中、ハジメはベンチシートで並ぶように座る愛子と大翔に少しだけ視線を向け、大翔に声をかける。

 

 

「………大方、ニコル達の正体が気になって聞きたいから追いかけてきた…ってのもあるんでしょ?」

「…やっぱわかるか」

「当然。何年親友やってると思ってるのさ」

 

 

 

すでに聞きたいことを見抜かれていたことにバツの悪そうな顔になる大翔だが、ハジメは気にするなとばかりに語る。

 

「…ニコルもマユも、みんな本人だよ。みんな、ガンダム世界で戦って命を落とし、その果てにこの世界で新しい命を手に入れている」

 

おそらくはあのレイ・ザ・バレルもそうなのだろうとハジメは考えている。

 

 

「もう彼らは物語の登場人物…架空の存在じゃない。僕にとって彼らは、この世界で苦楽を共にした戦友だよ」

「…そっか」

 

――――――――――

 

 

1時間ほど走ると2台のブリーゼは停車し、ハジメ達は車から降りる。

 

今回彼らが向かった北の山脈地帯は標高千メートル八千メートルの山々が連なっており、山ごとに生えている木々や植物どころか生態系まで大きく変化しているという不思議な土地だ。

 

因みにレストランなどで使われていたスパイスの原料はこの山脈のうち二つ目と三つ目でよく採れるらしく、大翔達は不足したスパイスの原料を採取するという目的を兼ねてハジメへの同行を求めた。

 

「まあ、ほかにも目的はあるんだけど…どうやってこの山脈地帯から行方不明者を探す?」

 

するとハジメは宝物庫を使い、8つの鳥型アーティファクトを召喚。

そしてメガネを取り出してユエに手渡すと、アーティファクトのうち4つが空へと飛んでいく。

 

そしてユエがメガネをかけて縁を触ると、同じように残った4つが飛んでいった。

 

 

「僕が開発したドローン型アーティファクト『オルニス』。僕が義眼として使ってる魔眼石やユエさんに渡したメガネ型ディスプレイに映像が映るんだよ。因みに操作方法はこの制御ユニットを介しての魔力操作ね」

 

さらっと取り出した現代チックなアイテムに唖然とするクラスメイト達だったが、オルニスを飛ばしたハジメ達は歩き出す。

しかし………

 

 

 

 

「…なあハジメ。実はさ…ちょっと見て欲しいものがあるんだ」

 

 

 

そう言うと大翔は先頭に立ち、ある洞窟へと入っていく。

 

「大翔…?一体どこに…!?」

 

 

急いでついて行ったハジメはみんなをその場に残し、大翔と共に洞窟へ入ると…

 

「確かこの辺りにあったような………」

 

 

大翔が先頭を歩き、ハジメ達はどうにかついていこうと歩を進める。

 

 

「ねえ大翔…一体、ここに何…が…」

 

 

そう言いながら歩くハジメは、視界に広がっているものを見て愕然とした。

 

 

森の中で苔に覆われていたのは、ハジメがこれまで見つけたモビルスーツに負けず劣らずの巨体。

だが、その形状はこれまでハジメが見つけてきたものとは明らかに異なる『キャタピラのついた脚部』。

 

 

 

それはあの『RX-78 ガンダム』と共に戦った伝説の名機の一つ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ…まさか、ガンタンク!?」

 

『RX-75 ガンタンク』が北の山脈地帯に鎮座していた…

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメはユエの重力魔法で埋まりかけていた脚部を掘り起こし、宝物庫に収納する。

 

 

「前にここで採取の仕事やってた時に見かけてさ…ただ、俺の力じゃ掘り出すのも整備も無理だから放置するしかなかったんだけど…」

 

 

「なるほどね…とりあえず、仕事を終えたら本格的なメンテしてみるよ」

 

 

それからおよそ一時間後。ハプニングこそあったもののそれ以降は採取と捜索を続け六合目に到着したハジメ達は、一度そこで立ち止まった。理由は、そろそろ辺りに戦闘の痕跡がないかじっくり調べる必要があったのと……

 

 

 

「はぁはぁ、きゅ、休憩ですか……けほっ、はぁはぁ」

「ぜぇー、ぜぇー、大丈夫ですか……愛ちゃん先生、ぜぇーぜぇー」

「うぇっぷ、もう休んでいいのか? はぁはぁ、いいよな? 休むぞ?」

「……ひゅぅー、ひゅぅー南雲っち達…ヤバい」

 

 

 

「えっと………みんな、大丈夫?」

 

 

 

予想以上に愛子達の体力がなく、休む必要があったからである。

 

本来、愛子達召喚組のステータスはこの世界の一般人の数倍を誇るので、六合目までの登山でここまで疲弊することはない。

ただ、奈落で生き残ってきたハジメ達や元プロ軍人のニコルなどの移動速度が速すぎて、結果的に殆ど全力疾走しながらの登山となり、気がつけば体力を消耗しきってフラフラになっていたのである。

 

「ごめん南雲…私もちょっと休憩…」

「すまねえハジメ…情けねえ姿見せちまった」

 

「いや、それはいいんだけどさ…近くに川があるから少し休もうか。ひょっとしたら探してる人たちの痕跡もあるかもしれないし」

 

 

 

四つん這いになり必死に息を整える愛子達にハジメは若干申し訳なさそうな視線を向ける。

 

どちらにしろ、詳しく周囲を探る必要があるので休憩がてら偶然見つけた近くの川に行くことにした。ここに来るまでにフェルニルからの情報で位置情報は把握している。

 

 

 

 

 

 

 

ハジメ達がたどり着いた川は、小川と呼ぶには少し大きい規模のものだった。索敵能力が一番高いシアが周囲を探り、ハジメも念のため宝物庫から取り出したハロで周囲を探るが魔物の気配はしない。

危険がないと判断し取り敢えず息を抜いて、ハジメ達は川岸の岩に腰掛ける。

 

 

「とりあえず10分くらい休憩したら、また捜索に戻るけどいい?」

 

ハジメの質問に大翔達はうなずく。

 

 

 

―――――――――――

 

 

女性陣が川の水を汲み、山登りで熱くなった体を冷ますためか何人かが川の水に足をつけるなどして各々で休む中、ハジメは魔眼石に映るオルニスからの映像を確認していた。

 

 

「………っ。みんな、ちょっと準備して。オルニスが冒険者の痕跡を見つけたんだ」

 

ハジメの言葉に大翔や優花が率先して立ち、手早く準備をするとハジメはオルニスの視界を共有する水晶玉を取り出し、愛子に渡す。

 

 

「これは…盾ですか?」

「マジかよ…剣が焦げて炭化してる…」

 

 

映像越しでもわかるレベルで現場がめちゃくちゃになっており、一同は走りながら現場に到着する。

 

 

「なっ………!?」

 

 

 

落ちていたのは、ひしゃげて原型をとどめていないラウンドシールドと紐がちぎれたカバンや完全に炭化したロングソードなど。

 

そして、何らかの攻撃で一部の地形がえぐれた河川だった。

 

 

「これは………」

 

岩などに血痕が飛び散り、よく見ると炭化した人体らしきものがあちこちに落ちており生徒達の何人かはかつてのオルクスでのトラウマが蘇ったのか顔色が悪い。

 

 

 

それでも遺品などを探して歩くと、ユエが一つのロケットペンダントを発見する。

 

 

 

「ハジメ、これ…」

 

 

ユエから受け取ったロケットを開けると、中には20代半ばの女性の写真が入っていた。

それほど古い写真ではないので、おそらく最近のもの…冒険者の誰かが持ってきたものだろうと推測する。

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

いくつかの遺品は見つかり、その中でも身元につながりそうなものだけ回収した一行だったが…

 

 

「どうしたの、南雲…さっきから渋い顔して」

「ああ、ちょっと気になってね…」

 

 

ここまで登ってきて、殆ど魔物と遭遇していない。

 

あれから歩き続け、現在は8合目辺りであるにも関わらず片手で数えるくらいしか魔物に襲われていないのだ。

 

「普通ならもう少し魔物に襲われてても不思議じゃない。それに…出会った魔物もやたら弱ってた。それに…」

 

 

この辺りに出没する魔物は、強くてもブルタールと呼ばれる魔物くらい。

ブルタールは地球のRPGで言うオークやオーガに相当する魔物だ。

知能はそこまで高くないものの集団戦法や固有魔法『剛壁』による簡易的な身体強化が驚異的だが、この辺りで現れたことはほぼないという。

 

 

「でも、ブルタールの攻撃とは思えないんだよな…まるで、ビームみたいな攻撃だし、ブルタールに地面を抉るような攻撃ができるとは思えない」

 

 

 

冒険者の行方不明、魔物の失踪…そしてこの山に消えた清水。

 

 

嫌な予感がしたハジメ達だが、僅かな痕跡から『生存者は川に流されて下流に逃げたのでは?』と考え、下流へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

夕暮れが近づく中でハジメ達が見つけたのは、巨大な滝壺。

その中から生きている人間の反応を感知したハジメ。

 

 

「ユエさん、お願い」

「ん。………『波城』、『風壁』!」

 

 

ユエは無詠唱で魔法を唱え、滝の水を割ると風魔法が水を壁のように固定。

 

詠唱無しで二つの魔法を操ったユエの技に驚きを隠せない大翔達だが、魔力も有限ではないのでハジメは愛子達と共に滝の中に入っていく。

 

 

 

 

 

滝壺は入ってすぐ上方へ曲がっており、そこをぬけるとそれなりの広さがある空洞が出来ていた。

天井からは水と光が降り注いでおり、落ちた水は下方の水たまりに流れ込んでいる。水が溢れないことから、奥に続いているようだ。

 

 

 

「…いました!」

 

周囲を確認すると、ボロボロの服を着た青年が一人横たわっていた。

 

 

 

 

 

 

確認すると年齢は二十歳くらいで育ちが良さそうな顔立ちだが、今は死人のように青ざめた顔をしている。

 

しかし大きな怪我は見当たらないし、鞄の中には未だ少量の携帯食料も残っていることから、単純に眠っているだけのようだ。

 

顔色が悪いのは、精神的なものだろう。彼がここに一人でいるのと関係していると判断できる。

 

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 

愛子が何度か揺さぶると、青年は小さくうめきながら目を覚ました。

 

「う…ここは…?」

「初めまして。僕らはフューレンの冒険者ギルドから派遣された冒険者です。あなたがクデタ家3男、ウィル・クデタですか?」

 

 

ハジメは目を覚ました青年に近づくと自身の立場を伝え、名前を確認する。

 

 

 

「えっ、君達は一体、どうしてここに……」

 

 

 

状況を把握出来ていないようで目を白黒させる青年に、ハジメは持ってきていた水筒を差し出し、これまでの経緯を話す。

 

 

「そうですか。イルワさんが……また借りができてしまったようだ……あの、あなたも有難うございます。イルワさんから依頼を受けるなんてよほどの凄腕なのですね」

 

 

 

尊敬を含んだ眼差しと共に礼を言うウィル。

それから、全員の自己紹介を済ませて、早速何があったのかをウィルから聞く。

 

話をまとめるとこうだ。

ウィル達は五日前、ハジメ達と同じ山道に入り五合目の少し上辺りで、突然、20体のブルタールと遭遇したらしい。

だが、それがただのブルタールではなかったという。

 

「ところどころに金属のようなものがついていたんです…最初は鎧か何かだと思っていたのですが、ブルタールに鎧をまとう知能があるとは思えないと言われ、よく見ると…体から金属が飛び出ていたんです」

 

 

流石に異常な姿で数も多いブルタールと遭遇戦は勘弁だと撤退行動に移ったらしいのだが、襲い来る変異型ブルタールを捌いているうちに数がどんどん増えていき、気がつけば六合目の例の川に追い込まれたそうだ。

 

そこでブルタールの群れに囲まれ、包囲網を脱出するために盾役と軽戦士の二人が犠牲になったのだという。

それから、追い立てられながら大きな川に出たところで、前方に『悪夢』が現れた。

 

 

「鋼の魔獣…ゲイルさんは…私を連れて行ってくれたリーダーはそう呼んでいました」

 

 

その姿は『魔獣』の呼び名がふさわしい巨大な魔物で、獅子のような姿の魔物だったらしい。

その鋼の獅子はウィル達が川沿いに出てくるや否や、特大のブレスを吐き、その攻撃でウィルは吹き飛ばされ川に転落。流されながら見た限りでは、そのブレスで一人が跡形もなく消え去り、残り二人も後門のブルタール、前門の竜に挟撃され殺されたらしい。

ウィルは、流されるまま滝壺に落ち、偶然見つけた洞窟に進み空洞に身を隠していた。そして、ハジメ達がそこを見つけて今に至る。

 

 

 

(鋼の獅子…ブルックで見かけたサイボーグの魔物がまさかここまで来てるなんて…)

 

 

ウィルは、話している内に感情が高ぶったのか啜り泣く。

無理を言って同行したというのに、冒険者のノウハウを嫌な顔一つせず教えてくれた面倒見のいい先輩冒険者達。

そんな彼等の安否を確認することもせず、恐怖に震えてただ助けが来るのを待つことしか出来なかった情けない自分。

 

救助が来たことで仲間が死んだのに安堵している最低な自分。

歓喜と嫌悪。相反する思いが混ざり合い涙となって溢れ出した。

 

 

「わ、わだじはさいでいだ。みんな死んで点しまったのに、何のやぐにもただない、ひっく、わたじだけ…わたじだけ生き残って……それを、ぐす……よろごんでる……わたじはっ!私なんて生き残らなければ!」

 

 

 

洞窟の中にウィルの慟哭が木霊する。顔をぐしゃぐしゃにして、自分を責めるウィルに、どう声をかければいいのか言葉が見つからず、誰もが黙っていた。

 

 

「………生き残って悪いんですか?自分の命が助かって、何が悪いっていうんですか!」

 

 

ハジメが声を荒げ、ウィルの胸ぐらを掴む。

 

 

「な、南雲君!?」

 

ハジメの行動に愛子が驚くが、大翔が手で制する。

 

 

「誰だって自分の命は大切です。だって、自分が死んだら何もできない……それでもあなたを守ったのはあなたの存在がそれだけ彼らにとって重いものだったからだ!」

 

 

「なのに、自分の一時の感情で自分の命を否定するか!あなたを助けようと、未来を託そうとした彼らの最後の戦いをドブに捨てようとするのか!」

 

 

 

ハジメの言葉にウィルは目を見開き、座り込む。

 

 

 

「…もし、自分を許せないというなら…生きてください」

 

そう言うとハジメは自身の眼帯を外し魔眼石をあらわにする。

 

 

「僕はかつて仲間と…いえ、仲間だと思い込んでいた者達に裏切られ、目を潰されて奈落の底に叩き落されました」

 

 

その言葉に悲痛な顔になる愛子と、罪悪感から目をそらすクラスメイト達。

 

 

「何があっても心だけは折れないでください。絶望に染まりかけても諦めないでください。守られ生かされたその命が、きっと誰かの力になるかもしれない…そうすれば、いつかきっと生かした者達に顔向けできるはずです。生きてどんな形でも多くの人間を助けていくことこそ、彼らへの最大の恩返しになります」

 

「生きる、こと……」

 

 

 

ハジメの言葉でウィルの目に光が戻り、ハジメは内心でやりすぎたと考えていた。

 

(…感情的になりすぎたな)

 

力がなく、限界ともいえる状況で生き残ったウィル。

多少なりとも自分と同じような境遇で生き残った彼が自身を否定した姿を見て、ハジメはまるで自分が生き残って地上に来たのが間違いなのではないか…という不安に襲われたのも事実だ。

 

 

 

「………ハジメ。お前が生きててくれたのは絶対に間違いじゃねえ。俺もみんなも何度だって言ってやるよ」

 

 

大翔の言葉にハジメは照れ臭そうに笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがてウィルの容体が落ち着き、ハジメは撤退を促した。

 

このままいけば、日の入りまでには十分に間に合う。

鋼の獅子など気になることは諸々あるものの、さすがに夜に戦うのは得策ではない。

 

何より戦闘能力が低いウィルや愛子達を街にまで連れていかなければ調査も戦闘も厳しいのだ。

 

 

 

ウィルは自分が足手纏いであるとは自覚しているようで撤退には反対せず大人しく従う。

淳史達は街の人たちも困っているから調査すべきだと正義感からの主張をしたのだが、愛子と大翔、優花は危険性が高いと言うことで断固拒否し、結局全員で撤退することにした。

 

そうしてハジメを先頭に洞窟を歩いていたのだが…

 

滝壺に近づいた時、彼は徐に足を止めると、滝壺の方を凝視し武器を抜く。

 

 

 

「この気配…ユエさん、シアさん、ニコルは戦闘準備を」

 

ハジメの言葉に3人は何がいるのか理解し、愛子達はよくわかっていない。

 

 

「気配感知にデカいのがかかりました。多分、鋼の獅子です…」

 

『『っっ!!』』

 

 

 

外にウィル達冒険者一行を襲った獅子が待ち構えていると知り、愛子達は一斉に表情を強張らせる。

 

ウィルに至っては、トラウマを思い出してかカタカタと震え始めた。

 

 

 

「どうするの、ハジメ…?」

 

ニコルが警戒し、ハジメが口にする。

 

 

 

「とりあえず僕が戦う。ニコルはブリッツが今使えないから、みんなの避難を優先して

 

 

 

そう言うとハジメは滝から飛び出し、ドンナーを取り出して構える。

 

 

 

 

『グゥルルルルル…グウウアアアアアア!!』

 

 

 

低い唸り声を上げ、漆黒の毛で全身を覆い、20メートルにも達するほどの巨体の獅子が予想通り待ち構えていた。

 

 

 

「やるしかないなら…ここで狩る!!」

 

 

 

 

 




次回予告

漆黒の体を持つ鋼の獅子。
インパルス、ガイアをも翻弄する魔獣の前に、ハジメの友が次々と現れる!


山に轟く魔獣の咆哮にハジメ達は打ち勝てるのか?



次回、機動戦士ガンダムForce 
第6話 集う戦士たち

友の危機に…立ち上がれ、ストライク!
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