今回は中々セリフ回しに悩みました…
とりあえず、愛子先生のスタンスは今回のような形となります。
因みにザドキエルの能力や設定などのアイデアは『ISー兎協奏曲ー』などの作者である『ミストラル0』さんから提供されました!
ありがとうございます!
感想、評価をいつでもお待ちしています!
北の山脈地帯から猛スピードで飛んでくるのは、ハジメ達の乗るミネルバ。
住民達は突然現れた巨大な空飛ぶ船に驚愕し、神殿騎士達は完全武装の上で剣を抜いて戦う構えをとるが…
『ま、待ってくださ~い!』
ミネルバから聞こえてきた声に騎士達の手が止まる。
「あ、愛子!?」
――――――――――
ミネルバが着水したのはウルの名所でもあるウルディア湖で、船から降りるための橋が展開されると愛子達はすぐさま降りて町長達のいる役場まで足をもつれさせながら走った。
だがここでなんとウィルまでも一緒に行ってしまい、ハジメは今後の準備を中断してまで彼を追いかける羽目になってしまった。
「とりあえずウィルさんだけでなくできる限りの住民をミネルバに乗せて街を脱出…まずは女性と子供を優先に内部の居住スペースを確保しておかないと」
「ん。必要なら艦載装備を外して人の入れるスペースを広げる?」
「いや。流石にモビルアーマーが迫ってて武装を外すのは悪手だから、収容しきれなかったら保護用カプセルとライティン…こないだ作ったサブフライトシステムの収容スペースを使ってでも…!」
今後の計画についてユエと話し合いながら役場へと走るハジメは、避難優先で計画を練っていた。
二人が町の役場に到着した頃には既に場は騒然としていた。
ウルの町のギルド支部長や町の幹部、さらに教会の司祭達が集まっており、誰もが冷静さを失っている。
皆一様に伝えられた話を信じられないといった様相で、その原因たる情報をもたらした愛子達やウィルに掴みかからんばかりの勢いで問い詰めている。
普通なら数日でこの町は滅びますと言われても狂人の戯言と切って捨てられるのがオチだろうが、神の使徒にして人々のために懸命に働き、住民たちから『豊穣の女神』などという通り名も付けられている愛子の言葉である。
そして最近は魔人族が魔物を操るというのは公然の事実であることからも、無視などできようはずもなかった。
だが、そんな遅々として進まない話し合いに焦れたハジメは普段の態度とは全く異なる苛立ちを隠そうともしない態度で参入する。
「何やってるんですか!先生、早く避難の準備をさせてください!この町の住民の命がかかってるんですよ!」
ハジメの怒声を聞いた愛子達が思わず肩を震わせ、町長達を含む重鎮達は突然の乱入者に不愉快そうな目を向ける。
「フューレンの冒険者ギルド支部長、イルワ・チャングの命により派遣されました。冒険者の南雲ハジメです!先ほど畑山先生が述べたことは、まぎれもない事実です!」
ハジメが出した名前に町長が本当なのかと疑うも、それより先にウィルが食いつく。
「な、何を言っているのですか? ハジメ殿。今はこの町にとって危急の時なのですよ? まさか、この町を見捨てて行くつもりでは……」
「見捨てるもなにも、それが一番危険のない道だよ。町は放棄して魔物達から住民を避難させる。元々観光の町の防備なんてたかが知れている……それに今回の相手は危険なモビルアーマーだ…ここの防衛設備じゃ奴らにとって障壁にもならない」
「そ、それは……そうかもしれませんが……それでも私は納得できません!きっとハジメ殿達の乗っていたあの巨大な…」
それでもとなお言葉を続けるウィルに対し、ハジメは言い切る。
「ウィルさん。モビルアーマーは元々人間を殺すために誕生した人の業なんです。奴らは人間の集まる場所を狙う習性があり、僕達のモビルスーツ最大の武器である機動力を生かしきれない防衛戦に持ち込まれたら絶対に守れるとは断言できません。何よりも僕達の機体の主力となる武装に対してザドキエルは絶対といってもいいレベルの防御力を誇る」
「っ………!」
「こちらが使用できるモビルスーツは10体ですが、操縦できるのは僕を含めて4人。他に使える武器はまだ乗り手も決まってない支援用のサポート兵器とミネルバの武装のみです。だけど向こうは改造された魔物が6万と、それに加えて元締めのザドキエルもいる。これでどうやって町を守れというんですか!?」
拳から血が出るほど強く握っているハジメを見て、ようやくウィルは理解した。ハジメは決して町を見捨てようとしているのではなく、自分に出来る最善の範囲で人々を救おうとしてくれているのだと。
「………でも、ここで諦めたら…町の人たちが…」
愛子の口からそんな言葉が零れる。
わかっているのだ。ここで敵を迎え撃とうとすれば高い確率で犠牲が出る。
それに自分が我儘を言っても、結局戦うのは自分ではなく生徒であるハジメ達だと。
(私では…私には武器を取って戦うことすらできない…)
だが、そんな空気を破るように大翔が言う。
「なあハジメ………
この戦い、人手が増えれば犠牲が出る確率は減るのか?」
――――――――――
大翔の言葉に驚くハジメだが、大翔はケースからストライクMarkⅡを出す。
「俺のストライクのレールガンとサーベルなら、ザドキエルの装甲にも通じるはずだ。こいつの実体化についてはさっきの戦いで掴めたから、少なくとも多少なら力になれると思うが…」
それでも、ハジメは頷かない。
「…多少じゃダメだ。僕達だけでは絶望的に頭数が足りない。そんな勝ち目の薄い戦いに他人を…ましてや友達の君やユエさん達の命を背負った状態で戦うなんて僕には…!?」
ハジメの言葉は途中で途切れる。
何故なら、彼が最後まで言い切る前に大翔がハジメの胸ぐらを掴んだからだ。
「た、龍峰君!?」
「ハジメ!」
愛子とユエが慌てるが、大翔が大声で一喝する。
「お前………ちょっと俺らより強くなったからって調子乗んなこの大馬鹿野郎が!!」
その迫力はその場にいた全員が動けなくなるほどで、大翔は続ける。
「頭数だ?命を背負うだ?誰がいつお前の駒になった!誰がお前に命も責任も全部預けた!?俺が戦うって言ったのはな…お前の手駒でも部下でもねえ、友達のお前が本当にやりたいことを誤魔化してるから力になりてえんだよ!」
その言葉に、ハジメは息を呑む。
「勝ち目が薄いとか、『あの日』のお前はそんなこと考えて戦ってたのか!?あの日、一番弱くても俺らみんなをベヒモスから守ろうと戦ってたお前は、戦う前から勝てる確証があって動いたのかよ!?」
「う………君に僕の気持ちがわかるのかよ!僕だってできることなら…見捨てたくなんてない!逃げたくなんてない!でも………わかるんだよ!今のままじゃ絶対に誰かが死ぬって!」
これまで数度にわたりモビルスーツによる戦いをしてきたハジメ。
だからこそ、今回の敵の脅威を本能的に知ってしまったのだ。
すると、愛子が歩み寄ってくる。
「…先生?」
「…南雲君。君の気持ちを理解した上で、私は今から最低なことを言います。
君の力で、この町の人達を救ってください」
愛子の言葉に町の重鎮達より先に生徒達がどよめく。
「あ、愛ちゃん先生!何言ってるのかわかってるんですか!?」
愛子の言葉に優花が思わず叫ぶ。
「ええ。私は今、南雲君に戦場に向かえと…この町のために、命を懸けてあの魔物と戦えと命じました」
ハッキリ告げた愛子の雰囲気は、彼女を慕う神殿騎士達もうかつに声をかけることができない。
「……私はみんなの命を預かる先生です。本当なら、生徒である君も含めてこの町から避難し、君達を危険から遠ざけるべきです」
「ですが、私はこのウルの町の人達の命だけじゃなく『未来』だって失って欲しくないんです。この世界で出会い、一緒に過ごしてきた人達にも人生があり、過去があり、未来がある。私はこの町の人達にもずっと幸せでいてほしい。勿論、最優先は君達の命ですが…」
あの日、生徒の纏め役を光輝に持って行かれ…みんなの心の支えという役どころを宗一に持っていかれた『お飾りの愛ちゃん先生』はそこにはいない。
「誰かの…そして友達の命をちゃんと考えられる南雲君の考えは間違ってません。ですが…南雲君には、後悔しない道を進んでほしいんです!君が本当に諦めてるなら、私の言葉を無視してでもこの町の全員を逃せばいい。でも………」
一度言葉を切り、愛子はハジメから目を逸らさずに告げる。
「君の本心がこの町を見捨てたくないと言うなら、使えるものは全て使ってでも守ってください!全ての責任だって私が取りますし、必要なら私がガンダムにだって乗ってみせます」
揺るぎない愛子の目を見て、ハジメは『あの日の誓い』を思い出した。
『怒りも、苦しみも、喜びも、誰かを大切に思う心も!それを捨てて力だけ強くなるのなら、そんな力なんていらない…!
僕は…大翔や香織さん、みんなと一緒に地球に帰りたいんだ!!』
(………そうだ。あの日に決めたんだ。僕は…皆に胸を張って生きていけるように…)
やがてハジメは息を吐くと、髪がぐしゃぐしゃになるほど頭を掻く。
「…あ゛~!!結局いつもこうなるのか、僕って…!」
そう言うとハジメは顔を上げ、ウルの町の町長に声をかける。
「町長!この町に迫る魔物の迎撃って…言い値の報酬を出すと約束してくれます?」
「っ…!ぜ、善処する………領主様にも話を通さなければいけないが、出来る限りのことはする」
その返事を聞いて、ハジメはこう告げた。
「なら……………
この町で取れた米や農産物を報酬として仕事が終わったら支払ってください。この町の白米、すごい美味しかったので」
ハジメの言葉に、大翔も優花達もホッとしたような表情になる。
「でも実際問題、私と龍峰が参加したところで戦力差は覆るか微妙よね…南雲。グレイズ系とかガンダムフレーム機体ってないわけ?」
「いや、ガンダムフレームはあるにはあるんだよ…バルバトスもグシオンもフラウロスも。でも阿頼耶識がネックで…」
優花の質問に苦い顔で答えるハジメ。
「な、なあ南雲…俺達にできることってないか…?」
そんな中で玉井達が聞いてくるが、ハジメはあるアイデアを口にする。
「…そうだよ。今のところガンダムフレーム以外の機体を玉井君達に預けて、それで作戦の成功率は少しだけど上がるはず…でも、やはり必要なのはバルバトス達だが…」
「なあ、阿頼耶識を撤去しての運用ってできねえのか…?」
大翔が聞き、ハジメは首を振る。
「やっぱりあれは阿頼耶識あっての性能だからね…一応、人体改造無しで使える擬似的な阿頼耶識はサンプルから簡易版も含めて量産はできてるし、使えないことはないけど…僕には違和感が大きくて、逆に使いづらかったんだ。せめて経験した人達がいれば…」
そんなハジメの言葉を聞いた優花と大翔が顔を見合わせ………
「お話、聞かせてもらいました」
扉を開いて入ってきたのは、ハジメ達より少し年上であろう金髪の女性。
町長や町の重鎮たちが『領主様』と呼んだことから、ウルの町を含む一帯を仕切っている張本人なのは間違いないが、それよりも彼女の顔を見てハジメは驚きを隠せなかった。
「はじめまして、冒険者南雲ハジメさん…私はこのウルの町を含む『バーンスタイン領』を預かる…
クーデリア・藍那・バーンスタインと申します」
――――――――――
入ってきた領主…クーデリアは驚いたハジメに対して言葉を続ける。
「お話は聞いていました。この先にモビルアーマー…鋼の魔物が迫っていると。そして…戦力が足りないとも」
「は、はい…」
「でしたら、『彼ら』の力を借りてみてはいかがですか?」
クーデリアがそういうと、次々と少年たちが入ってくる。
「………っ!」
モスグリーンの制服を着た、多数の少年達。だがその目は歴戦の勇士もかくやという迫力が宿っている。
「話は聞かせてもらった。うちの領主の提案だからな、俺たちでよければ力を貸すぜ?」
その中で特徴的な髪形をした褐色肌の少年…リーダーの男が前に出る。
「ああ………よろしく頼むよ、
『鉄華団』!」
ハジメはリーダーの男と握手を交わす。
「僕は南雲ハジメ。君は…」
「俺は…鉄華団の団長、『オルガ・イツカ』だ。よろしくな、ハジメ!」
今ここに、異世界から来た少年達と戦場で生きた少年達による新たな同盟が結ばれるのだった…
次回予告
迫りくるザドキエル達。
だが、人は黙って滅ぼされるほど愚かではない。
3体の悪魔が目覚め、女神の名を冠した艦が空を舞うとき、町の命運をかけた戦いが今、開戦する!
次回、機動戦士ガンダムForce
第9話 鋼の戦場
殺戮の獣を…狩り尽くせ、ガンダム!
SEED FREEDOMの設定を反映してもいいか?
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反映に賛成!
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無しでいい