機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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長らくお待たせいたしました!
今年初!ガンダムForceも更新いたします!

先月、ついにデスティニーSpecⅡを購入できました!
新年が始まってから旅行や仕事が立て続けになり連載が遅くなってしまいましたが、これからも応援よろしくお願いします!





第2話『海に住んでいた少女』

フューレンの町中にある大きな建物。そこに『タービンズ商会』があった。

 

「アポイントもなしに突然すみません」

「いや、別にいいさ。なんたってオルガからの紹介だ」

 

 

ハジメが向かい合っていたのは、このタービンズ商会の代表でありオルガ達鉄華団の兄貴分…

 

 

 

「あのタービンズの代表、名瀬・タービンさんにそう言ってもらえると光栄です」

 

白いスーツに身を包んだ伊達男は優しい顔で笑った。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「なるほど…別の地球からの来訪者に、俺達の知らないモビルスーツ…にわかには信じられないと普通なら一蹴するだろうが、オルガが俺にこういう噓を言うとは思えねえ」

 

手紙の中身を見て、名瀬は顔を上げる。

 

 

「で、お前がタービンズを訪れた理由は?まさか、この手紙を届けに来ただけじゃないだろう?」

 

あっさりと見抜かれたことに、ハジメはこの男の観察眼の鋭さを改めて実感する。

 

「はい…実は、いくつか取引をしたいと考えていまして」

 

 

そう言うとハジメはいくつかのリストを取り出した。

 

「こいつは………アーティファクト?だがこれは…」

 

「はい。このアーティファクトは僕が開発した、魔石さえあれば誰でも扱える代物です」

 

イラストと共に載っていたのは、ハジメが暇を見つけて自身の戦闘用アーティファクトとは別に作り上げていた、『一般人用のアーティファクト』

 

「なるほど…魔法適性が低くても魔石を組み込むことで身体強化と同等の力が得られる防具に剣か」

「それと、値段については剣については1本20万ルタ、フルプレートメイルは90万を目安にしてもらいたいのです」

 

その安い値段設定に名瀬達は驚く。

何せ、剣も鎧も本来ならば10万やそこらで買えるような代物ではない。

ましてやアーティファクトといえばハイリヒ王国でも国宝級の扱いだ。

 

 

「それについてのカラクリも勿論あります。実はこれ…錬成師の僕が迷宮や様々な地域で採ってきた鉱石を1から加工や分解をして作ったものなんです」

それを聞いた名瀬はこの仕組みに納得し、うなずく。

 

 

「で、お前さんはこれをうちの商会でさばいてほしいと?」

「ええ。僕としても人数が増えて、今後はいろいろと収入が欲しいので…」

 

 

資料に一通り目を通した名瀬はやがて語る。

 

「…なら、とりあえず1か月だけこいつを売ってみる。その結果によってこれから取引を本格化するか決めようか」

 

 

 

――――――――――

 

 

その日の夜。

ハジメはタービンズとの取引を終えてホテルに戻ると、そこにはミネルバのメンバーがすでに夕食を食べていた。

 

「遅かったな、ハジメ。取引のほうはうまくいったか?」

 

大翔が料理の盛られた皿を差し出して聞いてくる。

 

 

「ああ。一般用アーティファクトと、ついでに前々からコツコツ作ってた民間人用のアーティファクトもいくつか商会で売ってくれるって」

 

 

前金の入った袋を見せ、ハジメは夕飯の席に着く。

 

 

「あと、手続きとかいろいろあるからミネルバの出発まであと二日あるよ。だから………明日は完全オフ!食べたいもの食べるなり買い物したり、自由に過ごしてください!」

 

そのハジメの言葉にクラスメイト達が喜ぶ。

 

 

 

 

「あ、あの~…少しいいですか、ハジメさん?」

 

すると、シアが遠慮しがちに声をかけてくる。

 

「どうしたの?シアさん」

「えっとですね~…前々から言おうと思ってたんですが…前のライセン大迷宮の時といい、今回のウルの町といい、私もそれなりに活躍したと思うんですよ…」

 

歯切れが悪そうに言うシアだが、何かを決意したのか顔を上げる。

 

 

「ですので、ご褒美を所望します!!具体的には明日1日、ハジメさんとデートしたいですぅ!!」

「………僕とシアさんがデートおお!?」

 

 

シアからのアプローチに思わず叫んでしまうハジメだが、シアは構わず続ける。

 

「い、いいじゃないですかデートの一日くらい!確かにハジメさんには香織さんという大切な人がいるのは知ってますけど…それでも、好きな人とのデートくらいしたいんですよ!!」

「は………はい」

 

あまりにも鬼気迫るシアに圧倒されたハジメはうなずき、シアは可愛らしくガッツポーズをする。

 

 

「では、明日の朝に早速一緒にこの町のお出かけするですよお!!」

 

 

 

そういうとシアは張り切って走っていった…

 

 

 

――――――――――

 

翌朝。ハジメは泊まっていたホテルではなく、街中の待ち合わせスポットにてシアと待ち合わせをしていた。

 

余談だがハジメの服装はいつものザフト赤服っぽい格好ではなく、デート用とも言えるジーンズやジャケットになっている。

 

 

 

「ハジメさ~ん!お待たせしました~!!」

 

ふと見ると、シアが手を振ってこちらに走ってくる。

 

 

 

シアもまた、いつもの露出多めな服装ではなく水色のワンピースに変わっている。

 

「では、私のご褒美タイムと行きましょう!!」

「ちょ、ちょっとシアさん!?」

 

シアに手を引っ張られながらハジメは街の中に消えていった…

 

 

――――――――――

 

ハジメ達が明るい街中を歩く中、フューレンの地下水道では…

 

「ハァ…ハァ…」

 

汚水の中を必死に泳ぎ続ける小さな影が見えた。

だが、その力はどんどん弱まり…

 

 

「ママ…パパ…」

 

力なくつぶやくと、小さな影は流されていく…

 

 

 

――――――――――

 

「~~♪」

ハジメの手を取ってご機嫌な様子で歩くシア。彼女が歩を進めるたびにその豊満な胸が揺れ、美しいくびれやスラリと伸びる引き締まった美脚と共に男達の視線を集めていた。

 

だが、それ以上にいつも以上に楽し気な彼女の感情が周りに伝わるのか、町にいるご年配の方たちは微笑ましいものを見るかのような目になっている。

 

「シアさん、あんまりはしゃぎすぎると危ないよ?」

「ふふん、亜人族の運動神経を甘く見ないでください?私だってバランス感覚を鍛えていっ!?」

 

見事なまでのフラグ回収といわんばかりに、履き慣れないヒールでよろけるシア。

 

「危ないっ!」

 

ハジメの体がとっさに動き、シアの体を支える。

 

「し、失礼しました…」

「気にしないで、いつものことでしょ?」

 

顔が一気に近づいたことで頭の中が熱くなるシアだが、ハジメは彼女の手を改めて握りなおす。

 

 

そんな二人は周囲の視線を集めつつ、遂に観光区に入った。

 

「確かにこれはすごいな…そういえば僕、まだトータスの娯楽とか触れたことなかったかもしれない」

 

 

観光区には、実に様々な娯楽施設が存在する。

例えば大きな劇場や大道芸通り、サーカス団のテントや水族館、魔物同士を戦わせるような闘技場、カジノ。

町全体を見渡せる展望台、色とりどりの花畑や広場など充実している。

 

「ハジメさん、ハジメさん! まずはこのメアシュタット水族館に行きましょう! 私、一度も生きている海の生き物って見たことないんです!」

 

ガイドブックを片手にはしゃぐシア。内陸のハルツィナ樹海出身なので生まれてこの方海の生物というのを見たことがないらしく、メアシュタットというこの街でも有名な水族館に見に行きたいらしい。

 

「水族館か…僕も小さいころに家族と行ったきりだな」

 

少し懐かしい記憶を振り返りながら歩くハジメとシア。

 

 

 

たどり着いたメアシュタット水族館は相当に大きな施設だった。海をイメージしているのか外壁も内部も全体的に青みがかった建物となっており休日ということもあってか家族連れなど多くの人で賑わっている。

 

中は地球の水族館に似ているが、流石にトータスの技術的な問題からアクリルのような透明な水槽ではなく、格子状の金属製の柵に分厚いガラスがタイルの様に埋め込まれており、若干の見にくさはあった。

 

だが、初めてこの水族館に来たシアが気にすることはない。見たこともない海の生き物が泳いでいる姿に目を輝かせ、頻りにハジメに話しかけてくる。その仕草は容姿とは裏腹にまるで小さな子供のようだ。

 

 

 

 

 

ハジメはシアに手を引かれて売っていたおやつのクレープを共に食べながら水族館を巡る。途中にはペンギンみたいな動物の展示、イルカみたいな動物のショー、さらにアザラシにも似た大きな動物のショーなどを見てきたのだが、途中でシアがとある水槽を二度見し、さらに凝視した。

 

 

「………あー!!!!」

すると突然、シアが大声を上げる。

 

 

「ど、どうしたのシアさん!?」

「あ、あれ!あれ見てくださいハジメさん!」

 

 

 

 

シアが指差したのは、『人面魚らしき魚』の水槽。

 

「し、〇ーマン!?なんでトータスに〇ーマンが!?」

 

ハジメが生まれる前に一部の層で一世を風靡した某ゲームの生物に瓜二つなおっさん顔の人面魚がそこにいた。

 

「リーマン…水棲系の魔物で、固有魔法“念話”で相手と会話が可能。ただし自分から話しかけることはめったにない…か」

 

 

少し会話してみようと思い、ハジメは念話を使ってみる。

 

 

『どうも初めまして。僕は南雲ハジメといいますが、僕の言葉がわかりますか?』

 

 

『おお、名乗るなんてしっかりとしてるじゃねえか。感心するぜ』

 

脳内に伝わってきたのは、何かイケボなおっさんの声だった。最初に名乗ったのが彼?にとって高ポイントらしい。

 

『とりあえず、俺が言葉を理解していることは分かってもらえたな?』

 

「ええ、勿論。ところで、あなたの名前は何と呼ぶべきですか?」

 

『リーさんとでも呼んでくれ。そうだな……お前さんのことはハー坊とでも呼ばせてもらうぜ』

 

こうして、シアを置いてけぼりにしてハジメとリーさん、二人?の会話が続く。傍目には若い男とおっさん顔の人面魚が見つめ合うというシュールな光景なので、だんだんと人目につき始める。流石に人目が気になってきたシアがハジメの服の裾をちょいちょい引っ張るので、ハジメは会話を切り上げた。

 

 

「すいませんリーさん。ずいぶん話し込んじゃいました。」

『なぁに、デートの邪魔をしちまった俺も悪いさ』

 

そう言って去ろうとするハジメだが、ふと足を止める。

 

「…リーさん、ここで会ったのも何かの縁です。何か頼みがあるならできる限り聞きますよ?」

 

そういうが、リーさんは寂しげに笑う。

 

 

『いや…無理な話さ。ここから出て、自由な海に戻りたいってのが俺の願いだからな』

 

そう言われるとハジメとしては何も言えない。

流石にリーさんを助けるためとはいえ水族館から勝手に連れ出すことはできないからだ。

 

 

『そんなしけた顔すんなって。海に戻れねえなら、またここに顔出してくれや』

 

 

リーさんはヒレを手のように振ってくれた。

 

 

 

 

――――――――――

 

水族館から出たあと、ハジメはシアと共にアイスを購入して二人で食べていた。

 

「ハジメさんって結構甘いもの食べるんですね…ちょっと意外です」

「そうかな?家ではよく家族の仕事とか手伝ったり宿題とかする時に甘いもの欲しくなったこと多くてさ…」

 

 

観光案内のパンフレットを広げ、ハジメは劇場へと歩こうとするが………

 

 

 

 

 

 

「……………」

「どうしたんです?」

 

突然、ハジメがその場で立ち止まる。

 

 

「この下…下水道から人の気配がする」

「下水道って…管理してる職員さんでは?」

「いいや違う。気配が大人にしては小さい。多分弱ってる…それも子供の気配だ!」

 

 

その言葉にシアも異常事態だと気が付き、二人は急いで裏路地に駆け込む。

 

 

「シアさんは僕の後ろに!“錬成”っ!!」

 

 

両手を一度合わせ、ハジメは錬成を使って舗装された地面に穴をあけると二人してそこに飛び込む。

 

 

鼻が鋭いシアにマスクを着けさせたハジメは下水道内を走ると、水路の中に小柄な影を見つける。

 

 

 

「あれか!」

 

錬成で子供が流されていた場所を盛り上げ、すぐに救出。

 

 

「ハジメさん、この子…」

「ああ、間違いない…海人族だ」

 

 

かつて出会った冒険者カイルと同じ海人族の少女。

 

この出会いが、フューレンでの戦いの引き金となるのだった…

 

 

 

 




次回予告
海人族の少女を助けたハジメ。
その裏に潜むのは、この街に潜む卑劣な悪魔達の影だった。


牙を剝き仲間達まで傷つけた外道に対し、ハジメ達はどう動くのか!?

次回、機動戦士ガンダムForce
第3話 幼きマーメイド

少女の未来を…救え、インパルス!

SEED FREEDOMの設定を反映してもいいか?

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