機動戦士ガンダムForce   作:狼牙竜

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長らくお待たせいたしました!!

なかなか時間が取れずに、3か月以上空いてしまいました…


現在、転職を考えて情報を集めたりとプライベートが色々ありましたが、間を見つけて投稿を続けたいと思います。

感想、評価をいつでもお待ちしています!


第9話 勇者編 剣、折れるとき

「う………」

 

薄暗い空間の中で、谷口鈴は痛みにうめきながら目を覚ます。

 

「目ぇ覚めたか、鈴」

 

気が付くと傍らには龍太郎がおり、よく見ると他のメンバーも座り込んでいた。

 

 

「ねぇ龍太郎君…あの後、何があったの…?」

 

 

辛うじて動く口で、鈴は気絶した後のことを尋ねる。

 

 

 

「あぁ…あの後、流石に撤退するしかなくてな…光輝や野村達のお陰で魔人族を撒いて、俺達は89層で掘った横穴の中で休憩してるんだ」

 

よく見ると、光輝や香織はそれぞれ部屋の隅で仮眠をとっているのか動きがない。

 

 

休憩したらすぐにでも脱出したいところだったが、薬の類もほぼ底をついている以上下手に外に出てしまえば魔物たちに見つかって全滅の可能性もある。

そのため、救援を呼びに行った遠藤を待っている状態で数時間が経過していた

 

「そうだ、石化の影響は残ってねえか?一応香織が治療してくれたが…お前は出血も酷かったし、体に何かの後遺症が残ってねえか心配だけど…」

「ううん、ちょっとまだ傷跡は痛いけど平気………」

 

そんな会話をしている二人だったが、ふと鈴が龍太郎の顔を見て笑う。

 

「な、なんでいきなり笑うんだよ…」

「だって龍太郎君、こっちに来る前はそこまで人に対して細かい気遣いとかしてなかったでしょ?何ていうか…これが成長ってことなのかなって」

 

鈴の言葉に龍太郎が思わずツッコミを入れる。

 

「は、ハァ!?そりゃいくら何でもあんまりじゃねえかなあ!?俺ってそこまで気遣いできない男じゃねえよ!」

 

龍太郎と鈴のいつものやりとりに、敗北の空気も少しだけ和らいでいくが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なに、ヘラヘラ笑ってんの? 俺等はさっき死にかけたんだぜ? しかも状況はなんも変わってない!そんなふざけたやり取りする暇があったら、どうしたらいいか考えろよ!」

 

鈴を睨みながら怒鳴り声を上げたのは近藤礼一だ。声は出していないが、隣の斎藤良樹も非難するような眼を向けている。

 

「おい、近藤。そんな言い方ないだろ? 鈴達は雰囲気を明るくしようと……」

「うっせぇよ! やらかしたテメェが俺に何か言えんのかよ! お前が、お前が負けるから! 俺は死にかけたんだぞ!クソが!何が勇者だ!肝心な時に役に立たねぇくせによ!!」

 

近藤の発言を諌めようと光輝が口を出すが、火に油を注いだように近藤は突然激高し、今度は光輝を責め立て始めた。

 

「おい落ち着けって!とりあえず生き残って逃げられたんだから、そういう話は外に出てからにしろよ!」

「そもそも勝っていれば、こんな無様に逃げる必要もなかっただろうが! 大体、天之河はいつも考えなしなんだよ。あの場で魔人族の提案呑むフリして、後で倒せば良かったんだ!なのに後先考えず勝手に戦い始めやがって!俺たちがこんな危険な目にあったのも全部、お前のせいだろうが!責任取れよ!」

 

近藤に龍太郎説得しようとするが、近藤は聞く耳を持たず光輝を罵倒。近藤が立ち上がり、龍太郎も流石に我慢ならないのか相対してにらみ合う。近藤に共感しているのか斎藤と中野も立ち上がって龍太郎と対峙した。

 

「龍太郎、俺はいいから……近藤、責任は取る。今度こそ負けはしない!魔物の特性は把握しているし、不意打ちは通用しない。今度は絶対に勝てる!」

 

握り拳を握ってそう力説する光輝だったが、斎藤が暗い眼差しでポツリとこぼした。

 

「……でも、『限界突破』を使っても勝てなかったじゃないか」

「そ、それは………こ、今度は大丈夫だ!」

「なんでそう言えんの?お前のステータスが限界突破状態でもダメなのに?」

「今度は最初から『神威』を女魔人族に撃ち込む。みんなは、それを援護してくれれば……」

「でも長い詠唱をすれば厄介な攻撃が来るなんてわかりきったことだろ?相手は見るからに魔法戦に慣れてるし。それに、魔物だってまだ隠れてるやつがいるかもしれねえ」

 

光輝が大丈夫だと言っても、近藤達クラスメイトの中には光輝の実力に対する不信感が芽生えているらしく疑わしい眼差しを向けたまま口々に文句を言う。ここで、光輝に責任やら絶対に勝てる保証などを求めても仕方ないのだが、どうやら、死にかけたという事実と相手の有り得ない強さと数に平静さを失っているようだ。

 

「だったらどうしろってんだよ?この中で一番役に立ってねえのお前らのパーティーじゃねえか。臆病者の前衛二人と中級までしか魔法が使えない魔法使い二人…人にあれこれ言う前にまずはまともな働きしてから文句言えよ」

 

先ほどこの横穴を塞ぐために動いていた野村が檜山達に文句を言う。

もともと、檜山が率いるこのパーティーの評判は光輝以外からは最悪だった。

力の弱い者には強気に出て、光輝のような強者には媚び諂う。

そうすることで元から頼られると力になろうとしてしまう光輝は檜山を信用してしまい、彼の名前を使って檜山はホルアドでの食事代を踏み倒したりとやりたい放題を繰り返していた。

 

死が身近に迫る極限状態で、それぞれが心の内に秘めていた鬱憤は少しづつ漏れ出し、野村と檜山達がお互いに武器を向けあうが…

 

 

 

「っ!みんな、静かにして」

 

香織が突然あたりを警戒し、野村達も息をひそめる。

 

 

よく耳を澄ませると、獣のような息遣いが聞こえてきた。

 

「…奴らはまだ私たちを探してるんだよ。余計な騒ぎを起こさないで」

 

香織の言葉に全員が大人しくなるが…

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、凄まじい咆哮と共に隠し部屋と外を隔てる壁が粉微塵に粉砕された。

 

「うわっ!?」

「きゃぁああ!!」

 

衝撃によって吹き飛んできた壁の残骸が飛来し、直線上にいた近藤と吉野に直撃。悲鳴を上げて思わず尻餅をつく二人。

 

唖然とする光輝達の眼前に、見たくなかった空間の揺らめきが飛び込んできた。

 

「ちくしょう! なんで見つかったんだ!」

 

光輝が聖剣を抜いてキメラに斬りかかる。

前回の戦いから学び、距離を取られるわけには行かないからだ。

龍太郎は外につながる通路の前に陣取って、これ以上の魔物の侵入を防ごうとする。

 

しかし、直後にブルタールモドキがその鋼の如き体を砲弾のように投げ出して体当たりをかました。そして、龍太郎に猛烈な勢いをもって組み付き、そのまま押し倒した。

 

その隙に、黒猫が何十匹と一気に侵入を果たし、即座に何十本もの触手を射出する。弾幕のような密度で放たれたそれは、容赦なく口論の時のまま固まった場所にいた近藤達に襲いかかった。咄嗟に、手持ちの武器で迎撃しようとする近藤達だったが、いかんせん触手の数が多い。あわや、そのまま串刺しかと思われたが、

 

「「――『天絶』!」」

 

十五枚のシールドが近藤達の眼前の空間に角度をつけて出現し何とか軌道を逸らしていった。極々短い詠唱で、それでも何とかシールドを発動した技量には、誰もが舌を巻く程のものだ。十枚の天絶を出した方が鈴であり、五枚出した方が香織である。

 

ただ、やはり咄嗟に出したものである上に、鈴は体調が絶不調で、香織は先ほどの疲労が抜け切れていない状態だ。その事実は、シールドの強度となって如実に現れた。

 

バリンッ! バリンッ! バリンッ! バリンッ! バリンッ! バリンッ!

 

天絶を貫いた触手の何本かが中野と斎藤に襲いかかった。咄嗟に身をひねる二人だったが、どちらも魔法メインの後衛組であるためにそれほど身体能力は高くなくない。そのため、致命傷は避けられたものの、中野は肩口を、斎藤は太ももを抉られて悲鳴を上げながら地面に叩きつけられた。

 

「信治! 良樹! くそっ! 大介、手伝ってくれ!」

「……ああ、もちろんだ」

 

近藤と檜山は負傷した中野と斎藤を一緒に鈴の傍に引きずって行く。体調が絶不調とはいえ、魔力残量はそれなりに残っている鈴の傍が一番の安全地帯だからだ。それに傍にいる方が、香織の治療を受けやすい。

 

「くっ、光輝!短期決戦よ! 部屋の奴らは私達で何とかするわ!」

「だが、鈴達が動けないんじゃ……」

「このままじゃ押し切られるわ! お願い!奴らのトップを倒せば逃げられる!」

「光輝! こっちは任せろ! 絶対、死なせやしねぇ!」

「……わかった! こっちは任せる! 〝限界突破〟!」

 

雫と龍太郎の言葉に一瞬考えるものの、確かに、状況を打開するにはそれしかないと光輝は決然とした表情をして今日、二度目の『限界突破』を発動する。限界突破の一日も置かない上での連続使用は、かなり体に負担がかかる行為だ。本来なら限界突破の効力は八分程度であるが、今の体では5分持てばいいかもしれない。そう予想して、光輝は他の一切を気にせずカトレアを倒すことだけに集中し、隠し部屋を飛び出していった。

 

隠し部屋から、大きな正八角形の部屋に出た光輝の眼に、大量の魔物とその奥で白鴉を肩に止め周囲を魔物で固めたカトレアが冷めた眼で佇んでいる姿が映った。光輝カトレアを真っ直ぐに睨みつける。

 

「ふん、手間取らせてくれるね。大人しく保護されてくれれば余計な被害も出ないってのに……」

「黙れ! お前は俺が必ず倒す! 覚悟しろ!」

 

光輝が短い詠唱と共に聖剣に魔力を一気に送り込む。本来の『神威』には遠く及ばず魔人族の女には届かないだろうが、それでも道を切り開くくらいは出来るはずだと信じて詠唱省略版『神威』を放とうとした。

 

しかし、輝きを増す聖剣を前にカトレアは薄らと笑みを浮かべると、自身の周囲に待機させていたブルタールモドキに命じて何かを背後から引きずり出してきた。

 

訝しげな表情をする光輝だったが、その『何か』の正体を見て愕然とする。思わず、構えた聖剣を降ろし目を大きく見開いて、震える声で彼(・)の名を呼んだ。

 

「……メ、メルドさん?」

 

そこには、鎧が砕かれて頭から血を流す瀕死のメルドがブルタールモドキに首根っこを掴まれた状態でいたのである。一見すれば、全身を弛緩させていることから既に死んでいるようにも見えるが、時折、小さく上がるうめき声が彼等の生存を示していた。

 

「お…お前ぇ! メルドさんを放せぇッ!?」

 

光輝が激昂し、我を忘れたようにカトレアへ突進しようとした瞬間、見計らっていたかのような絶妙のタイミングで、突然巨大な影が光輝を覆いつくした。ハッとなって振り返った光輝の目に、壁のごとき巨大な拳が空気を破裂させるような凄まじい勢いで迫ってくる光景が映る。

 

光輝は、本能的に左腕を掲げてガードするが、その絶大な威力を以て振るわれた拳はガードした左腕をあっさり押し潰し、光輝の体そのものに強烈な衝撃を伝えた。トラックにでも轢かれたように途轍もない速度でぶっ飛び壁に叩きつけられた光輝。

背後の壁が放射状に破砕し、その威力を物語る。

 

「ガハッ!」

 

衝撃で肺から空気が強制的に吐き出され、壁からズルリと滑り落ち、四つん這い状態で無事な右腕を頼りに必死に体を支える光輝。その口から大量の血が吐き出された。どうやら、先の一撃で内臓も傷つけたらしい。『物理耐性』の派生技能[+衝撃緩和]がなければ即死していたかもしれない。

 

光輝を殴り飛ばした魔物は、頭部が牙の生えた馬で、筋骨隆々の上半身からは極太の腕が四本生えており、下半身はゴリラの化物だった。血走った眼で光輝を睨んでおり、長い馬面の口からは呼吸の度に蒸気が噴出している。明らかに、今までの魔物とは一線を画す雰囲気を纏っていた。

 

馬頭は、突き出した拳を戻すとともに、未だ立ち上がれずにいる光輝に向かって情け容赦なく濃密な殺気を叩きつけながら突進した。光輝の少し手前で跳躍した馬頭は、振りかぶった拳を光輝の頭上から猛烈な勢いで突き落とす。光輝は、咄嗟に地面を転がりながら、必死にその場を離脱した。

 

 

馬頭の拳が地面に突き刺さり、それと同時に赤黒い波紋が広がったかと思うと轟音と共に地面が爆ぜた。

この破壊力を生み出したのは馬頭の固有魔法『魔衝波』である。内容は単純で、魔力を衝撃波に変換する能力だ。だが、単純故に凄まじく強力な固有魔法である。

 

『物理耐性』の派生技能[+治癒力上昇]により、何とか脳震盪からだけは回復しつつある光輝は、必死に立ち上がり聖剣を構えた。その時には、もう、馬頭が眼前まで迫っており再び拳を突き出していた。

 

今の光輝は左腕が完全に粉砕されており、右腕一本では衝撃を流しきれず再び吹き飛ばされる。その後も、何とか致命傷だけは避けていく光輝だったが、『魔衝波』を捌くことで精一杯となり、また最初の一撃によるダメージが思いのほか深刻で動きが鈍く、反撃の糸口がまるで掴めなかった。

 

「ぐぅう! 何だ、こいつの強さは! 俺は〝限界突破〟を使っているのに!」

「ルゥアアアア!!」

 

『限界突破』発動中の自分を圧倒する馬頭の魔物に焦燥感が募っていく光輝は、このままではジリ貧だと思いダメージ覚悟で反撃に出ようとした。

 

だが……

 

ガクン

「ッ!?」

 

遂に、光輝の限界突破の時間切れがやって来てしまい、一気に力が抜けていく。短時間に二回も使った弊害か、今までより重い倦怠感に襲われ、踏み込もうとした足に力が入らず、ガクンと膝を折ってしまった。

 

その隙を馬頭が逃すはずもない。突然、力が抜けてバランスを崩し、死に体となった光輝の腹部に馬頭の拳が衝撃音を響かせながらめり込んだ。

 

「ガハッ!」

 

血反吐を撒き散らしながら吹き飛び、光輝は再び壁に叩きつけられた。限界突破の副作用により弱体化していたこともあり、光輝の意識はたやすく刈り取られ、肉体的にも瀕死の重傷を負い、倒れ込んだままピクリとも動かなくなった。むしろ、即死しなかったことが不思議である。おそらく、死なないように手加減したのだろう。

 

馬頭が、光輝に近づき首根っこを掴んで持ち上げる。完全に意識を失い脱力している光輝を、馬頭はカトレアに掲げるようにして見せた。カトレアは、それに満足げに頷くと隠し部屋に突入させた魔物達を引き上げさせる。

 

しばらくすると、警戒心たっぷりに魔物達を倒した雫達が現れた。そして、見たこともない巨大な馬頭の魔物が、その手に脱力した光輝を持ち上げている姿を見て、表情を絶望に染めた。

 

「うそ……だろ? 光輝が……負けた?」

 

沈黙に包まれた洞窟で、誰かの声が響いた…

 

 




次回予告

希望は潰え、幼き戦士たちはその心を暗雲に包まれる。

小さな希望に縋るように、二人の少女はなおも足掻く。
その先で待つ、大切な相手との未来をあきらめないために…


次回、機動戦士ガンダムForce
第10話 大人の責務

未来ある子供たちを…守り抜け、デュナメス!


オマケ J.M.S

ミネルバのMSドッグで、ハジメたちは頭を悩ませていた。

「…なあハジメ。本気か?」
フリットが真剣な表情で問いかける。

「ああ…せっかくの拾い物だし、それに…いずれは海での戦いもあるんだ。これを開発してて損はないと思う





このズゴックのジャンクとロディ・フレームで僕たちだけのモビルスーツを作ろう」


張り切るハジメだが、その後ろでは『運搬任務』を終えた仁村と宮崎がジュースを飲みながら休憩していた。

一日前、鉄華団が北の山脈で掘り当てたモビルスーツが二機見つかったと連絡が入り、ホルアドに向かう途中だったハジメ達は一度手分けをすることに。

見つかったのはほぼフレーム状態のマン・ロディと内部機械が破損したズゴックであり、鉄華団も扱いに悩んでいたのだが機体の詳細を聞いたハジメの指示で持ち帰ることになったのだという。


「でもよお、両方とも使い物にならないんだろ?それに宇宙世紀の機体とじゃうまくかみ合うかもわかんねえし…」

大翔が不安げに語るが、ハジメは小さく首を振る。

「でも、せっかくだし試したいんだ。この機体がちゃんと起動できるのか……だって、こんな機会は普通ないからね」

そう言うハジメの目に、周りのみんなもうなずく。


「じゃあみんな…僕に力を貸して!」


SEED FREEDOMの設定を反映してもいいか?

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