デート・ア・ライブ 士道リバーション   作:サッドライプ

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女子高生探偵オリガミという単語が何故か思いついた。

………病気はしないよ?


五河アミューズメント

 

 設備の真新しいものが多い来禅高校。

 その電子スピーカーが、しかし昔ながらの鐘の音を鳴らして放課を告げる。

 部活に委員会に遊びに居残りに、青春を謳歌する生徒達が一部を除いて素早く席を後にしていく中、夕弦もまた隣席の士道に声を掛けつつ立ち上がった。

 

「出立。士道、ではいってきます」

 

「…………ああ。その、なんだ……いってらっしゃい」

 

 今日も、夕弦は―――皆は、琴里と話に行く。

 士道の為に、士道の妹と、敵対的な立場に立ちながら。

 

 労いや感謝、励ましの言葉を贈るのも違う気がして、一瞬何を言おうか迷って詰まりながら、士道はそれを見送った。

 

 そんな士道に、背後から声が掛けられる。

 

「五河士道」

 

「………えっと、鳶一?」

 

 士道にとって夕弦の逆隣、まだ新学期始まって自己紹介を交わした程度の付き合いのクラスメートだった。

 鳶一折紙、涼しげな整った容貌とショートヘアがクールな雰囲気にマッチしている、もの静かな少女というのが印象。

 

「元気がない」

 

「え……あ、俺?」

 

 こくり。

 そう頷かれても、一瞬意味が繋がらなかった。

 だが折紙は眉をひそめ、士道の顔を覗くようにその美貌を近づける。

 

 驚いて咄嗟に足を引いた士道のリアクションに、思うところはあったのかもよく分からない無表情は、崩れる気配が欠片も無かったが―――、

 

「だいじょうぶ?」

 

「……心配してくれるんだな。ありがとう」

 

 ふるふる。

 首を振る彼女は、思っていたよりも心優しい少女のようだった。

 寧ろ熱心なまでに身を乗り出して、無理に士道に構おうという気概すら感じられるような風だった……たぶん気のせい、だとは思うが。

 

「何かあった?私でよければ、なんでも相談に乗る」

 

「いいのか?なんていうか、その」

 

「構わない。話しづらいことなら、話せる範囲だけでも」

 

「………優しいんだな」

 

「っ!」

 

 くるり。

 何故か士道のその言葉にぴくりと指を震わせたかと思うと、その場で一回転する彼女。

 

…………ミステリアスということで、気にしないことにした。

 

それはともかくとしても、士道も自分の抱えた問題を誰かに相談するのは悪くないと思われた。

もちろん精霊のことは伏せるけれども、周囲の当事者達では無い誰かの声が聴ければ有難いと、士道は折紙の好意に甘えることにする。

 

 ただ、精霊関連を伏せるとなると――――、

 

 

「家庭の事情っていうか…………妹がなんか急にグレて怪しいバイト紹介してきたんだけど」

 

 

 一言で終わる上に、酷いまとめだった。

 いや、ギリギリ嘘は言っていないが。

 

 ただ、そんな微妙な相談にも真摯な雰囲気―――寧ろ真剣な、と言っていいかもしれない様子で、折紙は乗ってくれる。

 

「……そのアルバイトの詳細を訊いても?」

 

「あー………なんて言えばいいんだろう。やむにやまれぬ事情だけど他人に迷惑掛けてる不良の女の子を口説き落として更生させる、みたいな――――うわ改めて言葉にすると本気で胡散臭え」

 

「―――ッ!!繋がった………!?」

 

「え?今なんて」

 

「…………なんでもない。それで、八舞夕弦達はそれに強硬に反対している?」

 

「ああ、うん。そうだけど、なんで……?」

 

「確認。分かった、“大体把握した”」

 

 会話の流れから、鳶一がなんか推理小説の探偵みたいだ、と士道はなんとなく感じた。

 折紙もミステリアスなクールビューティだし、頭も良さそうだし。

 

 なんて馬鹿な考えを、士道は頭から追い払う。

 相談に乗ってもらっているのに、何を失礼なことを考えてるのやら。

 

 そんな士道に、折紙は少し硬くなった気のする口調で自分の考えを告げた。

 

「私としては、そのようなアルバイトは絶対に推奨しない、という点で八舞夕弦達に同意見。ただ、あなたはあなたの妹の思惑を理解している?」

 

「……………琴里、か。分からない、分からないんだ。あいつが俺をどうしたいのか」

 

「なら、まずは妹のこととアルバイトのことを分けて、そこから始めればいい、と思う。グレた、と言うのならまず真っ先に更生すべきはどう考えてもそちら」

 

「確かに、そうだな………」

 

「少なくとも家族と分かり合うことは、その努力だけでも必要なことだと思う……きっと」

 

「…………」

 

 その言葉に、何を返すべきだったのか。

 今の士道には見つけられなくて、続けることはなく。

 士道は自らの鞄を掴んで、席を立った。

 

「ありがとうな、鳶一。相談に乗ってくれて、なんかお礼に――――、」

 

「いい。参考になれた?」

 

「ああ。色々、もうちょっと考えてみる。じゃあな、鳶一」

 

 そうして教室を出る士道の背中を見送りながら、折紙はとても静かに呟いた。

 

 

「確証はない。正確な詳細も不明のただの仮説。それだけで、報告しない理由には十分。でも、“他人に迷惑掛けてる不良”?そんな例えを出来る時点で。

――――あなたの精霊に対する認識は、緩すぎる」

 

 

 訓練で少し硬くなった掌を胸元できゅっと握りしめ、陸自対精霊部隊所属・鳶一折紙一曹は一度だけ深く息を吐いた。

 

 

 

 

 

 ちょうど昨日と同じ時間帯だった。

 

 折紙が親身になって相談に乗ってくれたおかげで、少しだけ道筋が見えたような気がして。

 だが、士道が事態の中心なのに蚊帳の外というのは変わらない事実でもあった。

 

 迂闊に琴里と話して、その内容が言質にされてはたまらないから。

 つまり士道の発言が封じられているのは、七罪達が〈ラタトスク〉とやらと交渉しているのも含め、全て士道を守るためだ。

 士道からそれを崩してしまうのは賢い話とは言えないし、それで彼女達を泣かせるような結果になれば悔やんでも悔やみ切れない。

 

 折紙にも事情を伏せたままではそこまで踏み込んで相談する訳にもいかなかったので――――、

 

(いや。言い訳なのかな、全部)

 

 自分の掌に視線を落とす。

 ほんの少しだけぴくぴくと痙攣のような震えを見せ、落ち着きもなかった。

 

 そんな彼を笑うように、その掌に滴が落ちる。

 ふと見上げた空にはいつの間にか灰色の雨雲が立ち込め、すぐにざあざあとアスファルトを激しく叩くシャワーを降らせてきた。

 

「今日も、雨か」

 

 やはり昨日と同じように、昨日と同じゲームセンターの軒先を借りて雨宿りする。

 昨日と違ったのは、少女に貸した為に折り畳み傘を持ち合わせていなかったこと。

 だが、そんな士道に横合いから差し出されたのは……確かに昨日貸した傘だった。

 

「あ、あの…………あり…と、ござぃ、ました……」

 

「え?」

 

 視線をずらすと、あの女の子がおどおどと不器用に畳まれた傘を差しだしながら見上げている。

 特徴的な外套の装いも昨日と同じで、やはりその左手にはうさぎのパペットがはめられていた。

 だが、昨日は終始パペットで受け答えしていたので、士道はその子が直接喋るのを初めて聴く。

 ただ、今はそれよりも―――、

 

「傘、返しに来てくれたんだ」

 

「それは、その…………はい」

 

 昨日通り雨で偶々このゲームセンターに入って、今日も通り雨で同じようにここに雨宿りした。

 縁とは不思議なものだが、この女の子が自分を探してうろうろするようなことがなかったのはよかったと士道は思った。

 

「…………」

 

「……えっと」

 

 士道は傘を受け取ったが、少女はまだ見上げて来た姿勢のまま口を僅かにもごもごと動かしていた。

 何か言いたいことがあるのか、待とうか言いやすいように水を向けるか検討したところで、

 

『四糸乃、きつい?よしのんからいっちゃう?』

 

「だいじょうぶ。すー、はー、…………あの、おにゃまっ!!?~~~~~っ」

 

「………っ!?お、おい?」

 

 腹話術でパペットと、それにしても奇妙なやり取り。

 深呼吸、何故かパペットも合わせて口を開閉。

 そして、奇妙な単語を叫んだと思うと顔を真っ赤にしてフードを深く被り直しながら俯いた。

 

 代わりについ、と摺り寄るような動きでパペットが近づいてきて、本人の恥ずかしそうな様子とまるで関係ないような陽気な声を掛けてきた。

 

『やっはー、失礼失礼、四糸乃ってばちょっとばかり恥ずかしがりだから。でもこれでもー、かなり頑張ったんだよ?惜しかったー。でね、でね、あなたのお名前なんですかーっ?』

 

「おう……?俺は五河士道。よろしく、四糸乃によしのん…………でいいのか?」

 

『ぴんぽんぴんぽーん!!士道くんかー、是非とも今後ともごひいきに!』

 

 こくこくこくこく。

 四糸乃の方は無言でただ首を上下に振っている。

 なんていうか、やけに無言のジェスチャーに縁がある日だなと士道は感じた。

 

 と、そこで士道は四糸乃が昨日同様衣服以外は身軽なことに気づく。

 

「あれ?俺に傘返したら、四糸乃は帰りどうするんだ?もしかして――――」

 

『お?おお?よしのん達もしかしてドジっ子疑惑掛けられてたりする!?これは是非とも不名誉を晴らさねば!』

 

「だ、大丈夫、です…………でも、昨日の傘は、その、嬉しかった………です」

 

「そうなのか……?」

 

 士道の学生服の裾を掴んで、視線を合わせられないながらもたどたどしく言う四糸乃の姿にとりあえず納得する。

 

「そ、れで、その…………」

 

「?」

 

「………、……………っ」

 

 そろそろ彼女の沈黙にも慣れてきた士道、ふとよしのんを見ると短い腕を交互に閉じて開いてしていた。

 ふれーふれーと応援しているつもりなのだろうか。

 

「~~~~、ぅ…………」

 

 なんというか見ていて楽しいというか微笑ましいというか、そんな一人と一体なのだが、そろそろ四糸乃が限界のようだった。

 とりあえず膝をついて四糸乃と視線の高さを合わせてみるが、特に効果はなさそうだ。

 何かを言いたくて言いづらいのなら、打ち解けて緊張を解くのがいいだろうか。

 

「四糸乃。せっかくゲーセンにいるんだから、なんか遊んでいくか?」

 

「………っ!」

 

 そう考えてした提案に、四糸乃はばっ、と顔を近づけ、一生懸命首を縦に振って了承を示した。

 すぐに近づきすぎた距離に恥ずかしがって顔を真っ赤にしながら飛び退いたが。

 

 

 

 

 

「四糸乃は何かしたいのあるか?」

 

 士道は両替機に千円札を突っ込み、そのじゃらじゃらと銀色の百円玉が取り出し口に吐きだされる様子を感心するように見ていた四糸乃に尋ねた。

 

 四糸乃は大人しい子だし激しいゲームやスポーツ系は無いだろうか…………というか昨日の今日でその辺りのコーナーに行ったらまた士道<シド>さんにならなければならないかもしれないので自分としてもアウト。

 となるとパズル………は、好みが合わない可能性もあるし、メダルゲーやプリクラはなんか違う。

 意外に選択肢は少ないことに気づいた。

 

(UFOキャッチャー、かな?)

 

 店内をきょろきょろして、希望というよりもそもそもどんなゲームがあるのかよく分かっていない様子の四糸乃に、割と箱入りだったりするのだろうかと考えながら、士道はバラの山積みされた菓子を掬い取る筐体のところまで四糸乃を連れていく。

 

「なんか、いっぱい、それにくるくる…………」

 

『士道くん士道くん、これなにー?』

 

「これは………って、説明より見せた方が早いな」

 

 百円を入れて、プレイ開始。

 やることは単純、二つのボタンを押してクレーンの微調整を行うだけ。

 自動で降りていくクレーンが下に転がっている菓子のいくらかを掬い取って、持ち上げ、移動した後筐体の外に繋がっている景品出口に落とす。

 

「わぁー…………」

 

 取れたのはマシュマロと飴玉が数個といったところ。

 感心した様子の四糸乃には悪いが店で買った方が普通に安い………が、あくまでゲームと割り切ればそういうものとして考えるくらいで丁度いいだろう。

 

「食べるか?」

 

「え、ぇ、でも………」

 

「いや、これくらいで遠慮すんなって」

 

 躊躇う四糸乃に強引に握らせ、ようとして………四糸乃の左手はパペットで塞がっていることに気付いた。

 

「ちょっと右手出して?」

 

「ひゃぃ………っ!?」

 

 ビニールの包みを剥がし、マシュマロを四糸乃の掌の上に乗せる。

 いきなりの柔らかい感触に混乱しておどおどした様子の四糸乃としばらくじーっ、と目を合わせていると、おもむろに四糸乃はマシュマロを口に含んだ。

 

 ぴくり。

 ぱんぱん。

 

 なんだか興奮した様子で士道の体をはたいてくる四糸乃。

 地味に力が強いのかちょっと痛かったが、そこは顔に出さないのがプライド。

 

「あ、ごめんなさ…………!」

 

「いいよ。おいしかったんなら何よりだ。四糸乃もやってみるか?」

 

「っ!」

 

『いいのー?よしのんも一緒にやる!いいよね、士道くん?』

 

 頷いて士道が百円を筐体に入れると、何やら打ち合わせをした四糸乃が左手のよしのんで一つ目のボタンを、右手で二つ目のボタンを押すことにしたらしい。

 

 まあ、この手のは逆にやって取らない方が難しい仕様だ。

 四糸乃もいくらかの菓子を掬ってよしのんと嬉しそうにしていた。

 そして、その中からキャラメルを一つ、士道に差し出してくる。

 

「あの、これ……」

 

『よしのん達の戦果さ!』

 

「はは。ありがとう」

 

 割と久しぶりに口に含んだキャラメル。

 その甘ったるいくらいの甘さが、無性に心に染みた。

 

 

 

 

 

「それでさ。なんか言いたいことあったんだろ?一体何だったんだ?」

 

 あれから数回同じクレーンゲームで遊んで、ちょっとずつ他のクレーンゲームを冷やかし、よしのんの合いの手も入りながら打ち解けたと思ったあたりで、士道は四糸乃にそう尋ねた。

 だが、四糸乃はゆっくりと首を振る。

 

「いい、です………言わなかった、言えなかったのに……士道さんは叶えてくれました」

 

「え?」

 

「弱くて、臆病で、緊張してまともに喋れないどう考えても変な女の子なのに、士道さんは優しかったです…………勇気を出して、話してよかった。ありがとうございました」

 

 ぺこりと頭を下げる四糸乃のジェスチャーに、士道は心を暖かいものが満たしていくのを感じた。

 だから、穏やかな声で士道は四糸乃の言葉を否定する。

 

「そんなこと、ないよ」

 

 四糸乃の左手のパペット、よしのん。

 それが単なる腹話術というだけでないことはなんとなく今までのやり取りで察することが出来た。

 小さな女の子が自分のテディベアをくまさんと呼ばずにぬいぐるみと呼ばれると怒りだすようなものとは、次元が違うレベルの何かがある。

 

…………もしかしたら、よしのんを介さないと本来まともに人と話せない、くらいの何かが。

 

 だとしたら、恐怖や躊躇を抱えながら士道に話しかけ、逃げだすつもりなど欠片も見えなかった四糸乃は、そう。

 

「今日四糸乃は頑張ってた。会ってすぐの俺にも分かるくらい、たくさん頑張ってた」

 

「え……っ」

 

 

 

「だから分かるよ。四糸乃は強くて、勇敢で、可愛らしくてどう考えても素敵な女の子だ」

 

 

 

「―――――――――――――」

 

 そう言って頭を撫でた士道に、四糸乃は一瞬言葉を忘れたようになった。

 いや、全てを忘れたような、どれだけ慌てたり恥ずかしがっても欠かさなかったよしのんを操ることさえもせずに、動きを止めた。

 

 そんな四糸乃の頭をもう二度三度ぽんぽんと撫ぜると、士道は暇を告げる。

 

「――――俺も、四糸乃と話せてよかった。おかげで“やること”思い出した、思い出せたから。だから、今日はありがとう」

 

「……………。あ、はいっ!」

 

「それじゃ、“また”な」

 

「!“また”です、士道さん!!」

 

『まったねー、士道くーん!!』

 

 別れを告げる士道に、はっと取り戻して上気した頬を見せながら、四糸乃は彼を見送る。

 よしのんはいっぱいに両腕を上下に振り、そして四糸乃は、とても嬉しそうな笑顔を、その再会を約束する言葉に込めたのだった―――――――。

 

 

 

 

 

――――らしくなかった。

 

「本当、らしくないよな、五河士道………!!」

 

 事情がどんなに突飛で。

 様々な想いがそこにあって。

 複雑に絡んだ現実のしがらみに翻弄されたとして。

 

「うじうじうだうだと、本当らしくなかった!」

 

 降り続く雨の中を、四糸乃に返された傘を差しながら士道は家路を歩く。

 

 “五河”家に向かって。

 

 四糸乃の頑張る姿が、一生懸命な姿が思い出させてくれた。

 

 正しいと思ったこと、したいと願ったこと。

 こうあって欲しいと望んだもの。

 

 それがあるのなら、ただ突っ走る。

 

 

 自分でも馬鹿だと思って、冷静になってから後悔に頭を悩ませても治らない、そんな性分こそが五河士道だ。

 

 

「家に、帰る。昨日と一昨日の分まで、ごちそう作って琴里を待ってる」

 

 そして、話をしよう。

 

 琴里は妹だから、“妹だと思っていたいから”。

 

 それが無茶で無思慮だとしても最善を足掻く。

 考えるのは足掻き切ってから。

 

 七罪達の気遣いを無駄にして、迷惑を掛けるかもしれない。

 でも、絶対に二度と泣かせない。

 その上で自分のやることを確かめる―――――そこまでやって、きっと最善だ。

 

 

 そんな風に決意を固める士道に…………街の悲鳴が、聴こえた。

 

 

「空間震警報!?精霊が……っ?」

 

 邪魔するように――――いや、逆に背中を押されているのだと思い直した。

 

 士道は携帯電話を取り出すと、震える指でアドレス帳を呼び出した。

 コール音はすぐに鳴りやむ。

 聴こえたのは―――――毎朝毎晩聴いてきた、少し高い女の子の声。

 呼び方は今まで聴いた事のなかった呼び捨てで、“おにーちゃん”では、なかったけれども。

 

『………士道?』

 

「琴里。今どこにいる?」

 

『〈フラクシナス〉の中。彼女達も一緒よ』

 

「そうか。なあ琴里、俺もそこに一昨日みたいに呼べるか?」

 

『え?何を………っ!?』

 

 

 

「話がしたい。お前と、面と向かって」

 

 

 

 あるいはそれが、最後の。

 恐怖に竦み、ちりちりする瞼を押さえながら、士道はそう言った。

 

 

 

 





 中二病(聖人)、微復活。

 なんだか士道さんらしくなくぐだぐだとしてましたが、狂三の事件を始めとする色々複雑な事情に加え、とある最大の要素があったりするので、次回で触れます。


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