は?ニャルガキなんかに負けないんだが?   作:胡椒こしょこしょ

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負けって一括りにしても、実際に沢山種類はあると思うので初投稿です。


電車で眠っただけなのに

『【都市伝説】はくち駅って知ってる?』

 

「また異界駅のスレかよ....何番煎じだもっと工夫しろ。釣り乙....と。」

 

朝5時。

日課である学校前掲示板巡回を行う。

オカ板は今日も働いているのか分からないような奴から学生まで様々な年齢層であろう人間がスレ立てや書き込みをしている。

それにしても、異界駅系のスレ最近よく立つものだ。

正直きさらぎ駅からこういうのはテンプレと化しているのに、増えてる辺り二番煎じがつまらんことも分からん新参が増えたのだろうか。

 

「禊!いつまで二階に居るの!!早起きしたんならパソコンなんかしてないで降りてきなさい!!」

 

「はーい。...はぁ、だるいな。」

 

1階から母親が声を張り上げて俺を呼んでいた。

別にちゃんと学校に時間通りに行くのだから朝にパソコン弄るくらい良いでしょ。

溜息を吐きながらも、気怠い身体を起こすかのように椅子から立ち上がる。

そして、机の上に置いた携帯を手に取った。

 

部屋を出ると、階段を下りる。

そしてリビングに入ると既にご飯が出来ていた。

 

「食べる前に顔とかちゃんと洗っときなさい!」

 

「え~、あとで良くね?」

 

「良いからソッチ先にしなさい!みっともない....。」

 

どうやら母はまったく譲る気はないらしい。

あぁ、だっる....。

そう思いながらも洗面所に行って泡付けて顔を洗う。

どことなく頭がしゃっきりとして、パソコンで使った目がどことなく覚めたのを感じる。

顔を拭うとリビングに戻る。

 

「いただきます。」

 

目の前にあるのはトーストとハムエッグ。

トーストをもっさもっさと口に運びながらも傍らに置かれたグレープフルーツジュースで流し込む。

半分くらい食べた辺りで、これハムエッグ載せた方がうまくね?ってことに気づいた。

 

「まったく...何朝ごはんを堪能しているのよ。」

 

「別に早起きしてるわけだし、朝飯くらい好きに食わせてよ。間に合うんだしさぁ?」

 

「お母さんが言わなかったらぎりぎりまでパソコンやる気だったでしょ?そもそも学校にいつもより早く行っても良いじゃない!早く行って少し勉強するとか言ってお母さんに流石だなとか思わせなさいよ。まったくアンタは....」

 

あ~、本当に勘弁してよ。

なんで朝からそんな小言を聞かなきゃいけないんだよ...。

おっ、やっぱ卵とトーストうめぇな。

 

小言にげんなりしながら朝飯食っていると、携帯が鳴動する。

見ると、幼馴染からメッセージが入っていた。

 

『ごめんね!今日日直とか色々入っちゃって起こしにいけないや。この埋め合わせはちゃんとするから!』

 

...そもそも、起こしに来いとも頼んでないのに何を謝っているんだこの人。

勝手に謝られても困るんだよなぁ。

 

『別に要らないよ。埋め合わせる必要のある物もないし。』

 

『(><)』

 

なんだこれ、ちょっとかわいいな。

これで俺の年下で幼馴染でなければ、びっくりした勢いで惚れてたよ。

返事を返すことなく、携帯を机に置くと飯を食べ終える。

 

「食器!自分で下げなさいよ!」

 

「分かってるって!...ごちそうさま。」

 

食器を洗い場まで下げると、親に言葉を掛けてから洗面所に向かう。

そして、歯ブラシを手に取ると歯磨き粉を付けてリビングへと戻る。

そして、テレビを付けた。

 

ニュース番組では今日も事件や事故、政治について報道が為されている。

それをボッーと流し見しながら口の中に歯ブラシ突っ込んでいく。

...昨日見たバキュームフェラのCG集みたいな顔になってるだろうなぁ。

.....キモイな、普通に考えて。

 

「ちゃっちゃか用意しなさいよ~...。それにしても最近行方不明者が多いわねぇ。」

 

「ふぁんかんぶだし、ふふうふぁんじゃない?(山間部だし、普通なんじゃない?)」

 

テレビには行方不明者について報道されている。

...が、まぁ場所が山間部だしそういうのも田舎ではたびたびあると聞く。

そもそもオカ板で見たけど山の近くってオカルト的な要素抜きにしても危ない人が山に潜んでいる場合もあるらしいし。

それに自分の町から少し遠い場所の出来事であるから究極的にどうでもいいわ。

 

口内を歯ブラシでしごくのをやめて、洗面所で口の中すすぐ。

そして2階に行くと、パソコンの誘惑をカカッとバックステッポで振り切りながら制服へと着替える。

ブレザータイプだから毎日ネクタイ締めるのダルすぎて憂鬱になるわ。

 

「いってきまぁ~す。」

 

「気を付けて行ってらっしゃい。ちゃんと居眠りせずに授業受けなさいよ!!」

 

どうだろう。

昼は約束出来るけど、夕方になるとちょっとなぁ。

約束はできないので、手を振り返した。

返事はしてないから、眠ってもオッケー!!

 

外は晴れてはいるものの、まばらに雲があって風も涼しい。

いつもこのくらいの天候で居て欲しいものだ。

寒いのは当然のことだが、暑いのも勘弁願いたい。

 

丁字路を真っ直ぐに進む。

風に揺れる木々などが目に入る。

一人の登校はこういう身近な自然を見ることが出来るので良い物だ。

家では一日中パソコンに向き合っているからな。

さて、自然を感じながら掲示板巡回でもしますかね....。

ポケットからスマホを取り出す。

 

「おーにーいーさーん!!!」

 

「あっ、はぐぅ.....!!?」

 

「あはは~ハグぅだって!そんなに私の人肌恋しかったんですかぁ~?うわぁロリコ~ン❤夏逢こわぁ~い❤」

 

突如、耳に響く高い声が聞こえる。

声の聞こえた方向を見ると、黒い髪に白銀っぽい多面体の髪飾りを付けたツインテールの少女がものすごい勢いで手を振りながらこちらに闘牛のごとく突っ込んできた。

速すぎて、避けれなかった。

もろに少女の頭が俺の鳩尾にめり込む。

口から空気が漏れた。

 

携帯落とさなかったのマジ奇跡だろ.....おい、やめろ頭をぐりぐりするな。

ただの追い打ちだぞ。

ニヤニヤと笑いながらがっちり俺の身体をホールドするガキをなんとか引き剝がす。

すると、奴は上目遣いで俺を見ながら薄笑を浮かべる。

 

「お・に・い・さ・ん♪おはようございま~す!」

 

「.....。」

 

露骨に顔を顰めてしまう。

だってコイツマジで面倒臭いもん。

クソ生意気だし。

すると、何が面白いのか口元を手で押さえてそいつは笑う。

 

「うわぁ~すっごい嫌な顔~❤でぇも、良いのかな~?私、小学校でぇ怪しい人には挨拶しろって言われてるんですよねぇ~。だからぁ、返事してくれないお兄さんは不審者ってことで良いですかぁ?そうなると、手が滑っちゃうかもぉ~★」

 

「あぁぁ!!おはよう!おはようございます!!どうだ挨拶したぞ、これで満足か?」

 

ブザーの金具部分をニヤニヤしながら掴むガキ。

冗談じゃない、なんてこと考えてんだ。

ここでブザーなんて鳴らしたら俺なんもしてないのにガチで不審者扱い受けるじゃねぇか。

お前らガキにとっては遊びでも、こちとらそれで人生潰されるんだぞ。

 

「はぁ~い❤最初からやれぇ?非常識ですよ~❤」

 

....マジでムカつくガキだな。

今尚年上を舐め腐った態度を続けるガキを見下ろしながら、溜息を吐く。

目の前の少女は千望夏逢。

小学5年生らしい。

らしいというのも、どうやら彼女と俺の母親が友人らしくて一度面倒見るように言われていたのだ。

最初は大人しくて楽な仕事だと思っていたのも束の間、どうやら猫を被っていたようでそれからこんな態度のままだ。

 

そもそも俺は子供は嫌いだ。

だからこそ、なんでこんな小生意気なガキの相手なんかしてやらないといけないのか。

ガキはガキらしく同年代と昆虫採集でもしてろや。

 

「何もないのにむやみやたらに防犯ブザーを鳴らすんじゃない。お前の方が非常識じゃないか?」

 

「お兄さんが挨拶しとけば済んだ話ですぅ~。それにぃ~説教じみてるけどぉ、お兄さんはただ周りの人の視線が怖かっただけですよね~❤おどおどしてて可愛いぃ~❤」

 

「分かってんならすんじゃねぇよ....。」

 

それに質の悪いことに、このガキは妙に正論吐いたりこちらの図星を突いてきたりするのだ。

女の子はませてると言うが、こういうことなのか?

正直、話していて快い物ではない。

 

俺の返答を聞くとキャハキャハと一際楽しそうに笑った。

楽しそうで羨ましいものである。

俺はまったく楽しくないよ。

 

「それでも朝からお兄さんに会えたので今日は良い日になる気がしますねぇ~、お兄さんレアキャラぁ~❤ただ少し性能不足な気がするので人生の限凸してくださぁ~い❤」

 

「素材がなんなのか教えてもらいたいもんだな。」

 

ガキのくだらない言葉を流しながらも、携帯を見る。

こんなトラブルに遭っても時刻的にも全然余裕がある。

速く出た甲斐があったな。

 

「それじゃ、私ぃ~行きますねぇ~?楽しかったですよぉ?今度お礼しちゃおっかな~.....❤」

 

「いらねぇ....。」

 

モジモジと身体を抱きながら上目遣いで言ってくる夏逢。

なんか食いついたりすると面倒臭そうだ。

すると、彼女は愉快そうに口元に手を当ててクスクスと笑う。

 

「えぇ~、そんな身構えなくてもぉエッチなことじゃないですよぉ?もぉ~ロリコンさんは過敏だなぁ。噂好きのお兄さんのた・め・に❤学校で話題になってる噂、今度教えてあげますねぇ~?やぁん、夏逢ちゃん優しい❤」

 

「レッテル貼りはやめろと言っている。それに、男子高校生の俺が小坊で流行ってる噂なんて興味あると思うか?」

 

正直、噂に興味がないと言えばうそになる。

大方そういうオカルトちっくな噂とかが最も身近な時期って小学生くらいの時じゃないだろうか?

 

「えぇ~、でもお兄さんがよく見てるそういう怖い話ってぇ...結構な頻度で小学生のころの経験とか小学生の時になぜか流行っていた噂...とか題材になるんですよねぇ?」

 

「よく知ってんな。」

 

「当たり前でしょぉ?だってぇ、普通にスマホとか使うし~。」

 

...まぁ、確かに今は小学生などの子供もインターネットを使える時代なのだ。

別にアダルトやグロコンテンツでもないのだからネット発祥の怖い話だったりも目に入るだろう。

ただ子供にネットを使わせるのはどうかと思うけどな。

すると、急に彼女は駆け出すとこちらを振り返る。

 

「それじゃ、私は行きますねぇ~?小学生がネット使えることも頭から抜けてるお・に・い・さ・ん♪時代遅れ❤ロートル❤順応性ざっこざこ~❤」

 

好き放題言うものだ。

そんな背中を見送りながらも、口を開く。

 

「あぁ、またな。最近町違うけど行方不明とか物騒だから気を付けろよ~。」

 

「ふふっ..べぇ~っ❤」

 

彼女は振り返ると、挑発するようにあっかんべーした。

最後まで生意気なガキだった。

...さてアイツと話してて時間が経ってしまっているし、俺も学校にさっさと向かうか。

 

 

 

 

「...はぁぁ、疲れたぁ~」

 

駅のプラットフォーム。

身体を伸ばしながら、欠伸を嚙み殺す。

今日は風紀委員の女に絡まれたり、そもそも体育の授業があったりと結構疲れたのだ。

 

外は太陽が沈み始めて、茜色に町が照らされていた。

周りではサラリーマンらしきくたびれたスーツの男やおめかしした女性、そしてお互いに寄り添い合うカップルが自分と同じように電車を待っていた。

隣町のお店に買うものがあるのだ。

 

一日の終わりを肌でひしひしと感じる。

埋め合わせがどうとか言っていたあの子はあの子で陸上部の練習とかあって、聞いてもないのに今日は一緒に帰れないとか言っていたし未だに学校に残っていると思うと頭が下がる思いである。

よくもまぁ、そこまで熱心になれますことやら。

そういう物があるのとないのとでは、人生全然違うんだろうなぁって思う。

俺のコレは確かに打ち込める物だが、人に言えるほど褒められたものじゃないからな....。

 

そう思いながらも、携帯でまたオカルト板を開く。

陰謀論スレはいついかなる時勢でもあるものだなぁ。

俺的には普通に怪談スレか雑談スレな感じで各々身近で起きた不思議なことを書く感じの緩い奴の方が好きだけどなぁ。

陰謀論は頭が痛くなる。

 

適当に伸びているスレに目を通していると電車が到着する。

その電車に乗る。

今日は混み具合的に椅子に座ることが出来た。

3駅かかるので立っていると正直きついのだ。

 

茜射す車内。

乗客はそれぞれの時間を過ごしている。

斜陽に照らされながら電車に揺られて、意識がぼやける。

 

結構...疲れてるんだな...。

でも、結構近いし寝るわけには......。

 

『次は.....ち駅....次は.....駅......。』

 

車内アナウンスが耳の中に入る。

眠くて全てを聞き取ることが出来ない。

まずい.....マジで...眠く.......て....。

ガクガクと首が揺れる。

身体はふわっとした感覚と共に、力が段々抜けていく。

 

スマホ....見れねぇ....。

もはや液晶に映る文章に集中することすら叶わずに、スマホを持ち続けることすら難しくなる。

最早諦めてポケットに入れる。

 

それと同時にゆっくりと意識が落ちていった....。

 

 

 

 

「ん、...んん....あれ......?」

 

起きると、周囲には人っ子一人居ない。

あれ....もしかして、眠って結構先に行ってしまったのか?

車庫に居たりして...いや、電車はまだ走ってるな。

いや、でも窓から茜色の光が差し込んできているからそこまで長い時間眠っていたわけでは.....。

 

そう思って窓の外を見やると、身体が固まった。

確かに光は差し込んでいる。

しかし、車内を照らす光は茜色ではなく真っ赤。

外の光景も全体的に赤みがかっており、なによりも見覚えのない景色の中を走っている。

どことなく牧歌的な田んぼのような風景に、まるで秩序も感じさせないくらいにありとあらゆるところから生える鳥居。

これ....どこ行ってるんだ?

 

「今....何時だ?」

 

胸騒ぎを感じながらも、携帯を見る。

すると、画面には6:30と示されており右上は圏外であると示している。

 

「圏外って.....。」

 

一人で、しかも見覚えのない光景に不安を覚えながらも独り言ちる。

車体にはぴしゃぴしゃと赤い雨が当たっている。

嫌な予感が頭を過る。

いや....そんなわけない。

嫌な汗が背中を伝う。

 

本当に自分一人だけしかいないのか?

そう思って電車内を歩き回る。

本当は運航中の電車内を移動するのはあまり良いことではないが、とにかく誰か自分以外に人が居るのか知りたい。

 

後ろの車両、人は居ない。

更に後ろも人は居なかった。

最後尾まで行ったのは時間の無駄でしかなかったってことだ。

ただ後ろから見えたのだが、線路には所せましと彼岸花が咲いていた。

 

「...こえぇ。」

 

自分以外人がおらず、なんか変な赤い雨が降ってる音だけが響く車内は異様な雰囲気だ。

そう呟きながらも、今度は前へと走り始める。

それにしたって電車はずっと走り続けている。

まるでどこにもたどり着く場所がないかのように。

そうであれば、最早絶望でしかないのだが。

 

そして、一番前の先頭車両。

探していた物を見つけた。

自分以外の人間を。

 

「......」

 

「お前っ....!」

 

そこには可憐な少女が一人席に座っている。

その顔はどこか見覚えがあった。

いや...見覚えどころではない。

あの顔の少女と俺は朝に会話したのだ。

 

そこに座っていたのはあの生意気なガキ、千望夏逢だった。

 

「こんなところでなにして....!」

 

詰め寄ろうとしたところで、足を止める。

目の前の少女は俺の声を聴くと、こちらの方を向く。

そこで彼女を真正面から見ることになった。

 

その髪は夏逢とは似ても似つかぬ銀髪で、服も彼女が好みそうななんというか活発なメスガキが着てそうな物ではない、喪服のように黒い着物を着て黒い多面体の髪飾りで髪をツインテールに結っていた。

 

「どうか....なさいましたか?」

 

「い、いや....俺の人違いだった。」

 

話し方も違う。

どことなく表情もあのバカは目を細めてニヤニヤしていることが多いが、なんというか彼女はそんな腹の立つ表情ではない。

寧ろどこか儚さを感じさせた。

 

「...いや!そうじゃなくて!...俺眠っていて気づいたらここに居たんだよね。それでさ、キミは今に至るまでに起きているんだったら周りの人がどこで降りて行ったかとか覚えている範囲で教えてほしいんだけど。」

 

俺の予想が正しいとそんなものはないはず。

もし....この電車が異界駅に向かっているのだとしたら、他の乗客がどうなっているかんて分かるはずがないんだ。

異界駅の大体のケースでは周りで他の乗客も眠っていて動かなくなってるのだが、周りには俺と彼女しかいない。

であれば、どこかで他の乗客も全員降りたのか?

それとも俺と彼女がどこかに紛れ込んでしまったのか。

乗客が降りる姿を見ていないのであれば、後者ということになる。

であれば、どこか別の世界に紛れ込んでしまったということになるだろう。

頼む、ただのオカ板民の妄想であってくれ。

 

すると、彼女は目を伏せると申し訳なさそうに口を開く。

 

「ごめんなさい...特には....。」

 

「分からない...もしくは見てないってことで良いのか?」

 

俺がそう言うと、彼女はこくりと頷いた。

おいおい....おいおいおいおい!!

これは、本当にまずいんじゃないんか?

もし、これで異界駅に行ってしまったとしたら....。

 

待て、悲観的になるな。

落ち着け。

落ち着くためにももし異界駅に行っても出来ること....逆に行かなきゃ出来ないことを考えるんだ。

ポジティブになろう、なれる状況じゃとてもないけど!

...そうだ!異界駅に行ったら異界駅スレが立てられるじゃない!

だって本当に行ってるしね!!

他の二番煎じ三番煎じとは一味違ったスレを見せてやるよ!!

 

そう思って携帯で掲示板へと行こうとする。

すると、そこには『現在オフラインです。』の文字。

 

「...はは...そりゃそうか。違う世界行ってるのにインターネット使えるわけないじゃん。」

 

じゃあ今までのスレは大体釣りってことで良いのかな?

匿名でつまんねぇ嘘こいてねぇで働けや。

現実と向き合えってことですか?

はいはい....向き合ったところでどうしろって感じなんですけどね!!

 

溜息を吐きながら、携帯をポケットに戻すと不意に少女が足元に抱き着いてきた。

突然の出来事にギョッとして身構えてしまう。

すると、彼女は上目遣いでこちらを見る。

 

「何かわかりませんが...気を、落とさないで...帰る方法は必ずあります。」

 

「...まぁ、そうだよな。ありがとな。」

 

根拠もなくて、状況もわかってないのにどうしろと聴きたいところではあるが、せっかくガキがこちらに気を遣ってくれたのだからそこを突くのはやめておこう。

俺はガキは嫌いだが、大人しいガキはその限りではない。

面倒臭いことに変わりはないが。

それにしたって、見れば見るほどアイツに似ている。

 

双子?

いや、アイツからそんな話は聞いていない。

なら、他人の空似という奴なのだろうか?

....着物を着てるし、どっかのいい家の子なのかな?

電車とか異界駅なのかどうかとそういうことに気を取られていたけど、よくよく考えたら目の前の子も結構不思議だぞ。

 

キミはなんなんだ。

そう聞こうとした瞬間、電車がキッィィィと甲高い金切り音を鳴らす。

ブレーキ....つまりは、どこかの駅に止まろうとしているってわけか。

どこへと向かおうとしていたのか。

それが分かるからこそ、俺は窓の外を見やる。

 

速度がゆっくりと落ちて行って駅のプラットフォームに止まる。

ベンチなどはちゃんと設備がされているのかと疑う程に寂れてボロボロ。

アスファルトはバキバキに割れて、隙間から雑草が生え出ている。

柱などはツタが絡んでいて、赤黒いシミが付いている。

 

そして汚れた看板にはその駅の名前が書いていた。

 

「...はくち、駅.....。」

 

呆然とその駅の名前を口にする。

マジかよ。

一度、掲示板で見た名前。

あのスレ....本当だったのかよ。




千望夏逢→せんぼう ないあ→千貌 ナイア
うん、良い名前を付けてもらったね!親に感謝だ!!!(すっとぼけ)

生意気なメスガキも大人しいメスガキもどっちも好きだよ。
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