は?ニャルガキなんかに負けないんだが?   作:胡椒こしょこしょ

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書いていて後輩キャラが性癖だと分かったので初投稿です。


噂は一人歩きする その1

『容疑者は家に居ても自分は見られているんだと繰り返し主張しており.....。』

 

「最近物騒ねぇ...やぁね.....。」

 

朝の情報番組は今日も事件や事故を報道しており、それを見て母親は嘆くように呟きながら料理をしている。

俺はボッーとただテレビの画面を眺めていた。

すると、リビングの扉が開いて一人の少女が俺の隣の席に座る。

 

「お・に・い・さ・ん♪なにお口あんぐり開けているんですかぁ?くすっ...まだボッーとして、もう一回顔洗ってきたらどうですかぁ?」

 

「...元気そうだな。流石は休みの小学生だ....鬱陶しい。」

 

洗顔から帰ってきた夏逢が隣の席でニヤニヤと笑みを浮かべる。

...昨日の夜と違ってこちらを弄るほど元気になっているんだと分かる。

それは...まぁよかったと思う。

正直、コイツがあんな様子だと不気味でやりづらいし。

 

しかしその元気を受け止めずに流してしまう程に憂鬱だった。

今日は土曜。

こいつは小学生、今日は休みだ。

対して俺は高校生。

早上がりとはいえ、学校に行かなければいけないのだ。

だるくてならん、どうして休日間際の学校はこうもだるいのか。

どうせ、早上がりならなくても変わんなくね?

 

それに加えて、隣のガキが居るからこそ朝の日課のオカ板巡りが出来なかったのだ。

ルーティーンを崩されると、一日が始まった気がしないのだ。

まぁ、朝からパソコンと向き合わないということは良いことだということは分かる。

でも俺は悪いことと分かったうえでやっているのだから、これがないと始まらないのだ。

 

「はい、めしあがれ。ほら!お兄ちゃんも早く食べな!」

 

「その呼び方いい加減やめて。」

 

目の前に置かれるのは鮭とごはんとレトルトみそ汁。

俺だけの時なんかと比べると随分とちゃんとした朝食だった。

隣に他所の子が居るからだろう。

 

「えぇ~、前の日に子供は嫌いとか言ってた我が子が私たちの知らない間に寝かしつけとかやってたなんて知っちゃったら面白くってないわよぉ~、えっなに?もしかして照れ隠し?嘘を吐くのがうまくなったわねぇ~禊~。」

 

「うっわぁ....サブイボが立つほどにうっざい....。気が向いただけだし、そういうのやめろや。」

 

そう言っても母はニヤニヤと笑ったままだ。

どんな性根してんだこのおばさん。

息子の何がそんなにおかしいのか。

 

結局俺が夏逢が一緒に寝ていたことを気づかれた俺は、起き抜けにも関わらず肩を掴まれて質問攻めされたのだ。

まぁ、そりゃそうなるだろう。

息子が小学生女児と一緒に寝ていたなんて、字面だけ見ても事案だ。

 

まぁ、横のガキの言葉もあって俺がただ寝かしつけていただけだと言うことは理解してもらった。

誤解を解くことは出来たのだ。

ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、今度はこの様子。

既に朝なのに、精神的には疲労困憊だ。

 

手を合わせて、ごはんを口にし始める。

....いつもはパン一個にコンポタだったりするけど、たまには和食を朝から食べるのも悪くないな。

隣を見ると、夏逢は綺麗に魚を食べていた。

 

「....お前、別に今日休みなんだから親来るまでに寝とけばよかったんじゃん。」

 

純粋に不思議に思って尋ねる。

彼女が早く起きてくれたから、誤解を早く解くことが出来たがそれはそれで居て不思議だった。

すると、彼女は不思議そうに首を傾げる。

 

「えっ、お兄さんとごはん食べたかったじゃダメですかぁ?そもそもぉ人の睡眠時間に口出さないで欲しいなぁ。カ・レ・シ気取りですかぁ?ふふっ、ロリコン❤」

 

「なんで睡眠時間に口を出すと彼氏気取りになるのか意味が分からないが、そういうことで言ったんじゃない。ただ、いつでも好きに寝られる立場だというのに早起きなんてもったいないなぁと思っただけだ。」

 

この後、授業を受けないといけない身であるとそりゃもう彼女の立場が羨ましい。

俺も小学生に戻りたいものだ。

俺なんか今戻ったら隙あらば眠ってるな。

...いや、でも小学生になったらネットとか使わせてもらえなかったな。

やっぱ戻らなくていいわ。

 

「まったく...この子は....。そういえば、今日も千和ちゃん来ないのね。」

 

「あ?あぁ....多分陸上部でしょ。なんか大会近いっぽいし。」

 

ブロックしたからよく知らんけど。

まぁ来ないなら来ないで正直面倒じゃなくて助かるけど。

前日のメッセージの時点ですごい圧があったからな、現実で会ったらと思うとげんなりするわ。

 

「え~、...もしかしたら大会でもなんでもなくて好きな人とかすでに付き合っている人と登校していたりして~。だとしたらどうする~禊~?」

 

すると、また母親はまたニヤニヤと揶揄うような口調で聞いてくる。

正直、さっきのロリコン云々から疲れてるからそういうノリは本当に勘弁してほしい。

それに、そうだったとしても....。

 

「それならそれで良いことじゃないか。少なくとも俺にとっては得だな。」

 

「駄目だこりゃ....はぁ...うちの息子がこんななんて....。」

 

呆れた表情で溜息を吐く母をジト目で見る。

呆れてるのはこっちの方だ。

他所の子が居るからって浮かれてるのか?

今日よくしゃべりますね!

 

「はいはい、こんな息子ですんませんね。...ごちそうさま。」

 

手を合わせると、食器を食洗器に入れて歯磨きをしに洗面所に向かう。

そして、口の中を歯ブラシで扱く。

歯磨きを終わらせると、さっさと口を濯ぐ。

 

そのまま玄関に置いておいた鞄を手に取ると靴を履き替え始める。

あ~、本当面倒臭いなぁ....。

革靴に足を通す。

その瞬間。

 

「何暗い顔してるんですかぁおにいさーん!」

 

「ごほぅっ...!?おま、首は...首キメるのはマジで.....!!?」

 

夏逢の声がしたかと思えば、背中を衝撃が襲って腕が俺の首をロックしていた。

少女の細い腕が首をロックすると、かなり締まる。

いきなり首をキメられてびっくりした。

 

俺の言葉を聞くと、首に回していた腕を外して一歩退いて腕を後ろで組む夏逢。

このガキ....昨日殊勝な態度を取っていたのはなんだったのか。

 

「なにお前....殺す気なの?いきなり前傾姿勢の人の背中に飛び掛かって挙句の果てに首絞めるとかどんな教育受けてるの?」

 

「えへへ~、ごめんなさーい。なんかぁ、お兄さんが元気ないみたいなんで元気づけようとしたらつい勢いづいちゃいましたぁ~。悪気はないんで許してぇ?」

 

てへっと舌を出して謝罪するガキ。

許してもらおうとしている人間の態度ではない。

しかしまぁ流石に出ないと遅れちゃうし、こんなこといつもやられていることなので特段キレたりはしない。

ちょっと疲れてるし。

 

「勢い付きすぎだろ....。まぁ元気づけようとしてくれたのはありがとうな。疲れてる原因の一端はお前が握ってはいるんだけど、それはそれとしてありがとな!」

 

「いえいえ~当然のことをしたまでですよぉ~。」

 

当てつけの意を込めるも、彼女は笑顔で流す。

通じていない...だと!?

なんだこのガキ...鈍感なのか?

 

彼女の顔を見ると、一瞬目を細めて悪い笑みを浮かべた。

コイツ...まさかわざと.....!

 

「時間.....ないんですよねぇ?」

 

「あ、あぁ....。」

 

確かにもう出ないといけない。

すると、彼女はそれを確認して頭を垂れた。

 

「それじゃ、頑張ってください。...昨日はありがとうございます。お兄さんと一緒に寝たから、とてもよく眠れました。まさかお兄さんがあんなに最後まで背中を撫でてくれるなんて...お母さまが言ってた通り、今度からお兄さんのことお兄ちゃんって言っても良いですかぁ~?」

 

「良いわけないだろ。....でもまぁ、俺は楽しくはなかったけど別段嫌じゃなかったよ。わざわざ背中撫でないといけないのは面倒だったけど。」

 

真面目なトーンで感謝したかと思えば、冗談めかして言葉を紡ぐ夏逢。

彼女なりの照れ隠しなのだろうか?

なんにせよ、お礼を言われたのだ。

であれば、それに対しては真摯に対応すべきだろう。

それに、まぁ面倒だったが嫌ではなかったしな。

子供って言うのは体温が高いから、ベッドがすぐあったまって俺もすぐに眠れたしな。

 

「ツンデレのつもりですかぁ?ふふっ....最初から素直なのが一番ですよ?意地っ張りさん❤」

 

「お前が思うならそうなんだろうな、お前の中ではな。...いってきます。」

 

彼女は一瞬面食らうも、微笑を湛えて勝手な事を言い出す。。

もういちいち目くじらを立てるの面倒なので、それを流してドアを開けた。

自分の都合の良いように捉えられるその頭が羨ましいよ...全く。

 

「いってらっしゃい。」

 

彼女の声が後ろから聞こえる。

目を向けると、手を振っていた。

俺はそれに力なく手を振り返すとそのまま外へと一歩踏み出した。

 

 

 

 

「なんだ....全然余裕じゃん。」

 

自分と同じく制服を着用した生徒たちが校門をくぐって中に入っていく。

そんな中、俺も一人で校門を潜った。

運動場の方では運動部の人員が朝練に励んでいる。

朝から運動だなんて、俺には考えられない。

 

「大変そうなことで....。」

 

ボソリと心中で思っていることを口にしながらも、スマホをポケットに仕舞う。

校内のスマホの使用は禁じられてはいないが、歩きスマホしてるところを見られると面倒な連中が居るのは事実。

もしそいつに見つかると小言を言われること請け合いなのだ。

 

しかし、そうなると本格的に景色を楽しむくらいしかやることがなくなる。

教室にさっさと行って掲示板巡りするか?

ちょうど歩きながら面白そうなスレも何個か見繕っていたのだ。

偶にはレスバでなく純粋に恐怖体験の考察を眺めるのも一興と言うもの.....。

 

「あっ!禊くん!!おーい!禊くーん!!禊くふぅぅぅぅぅん!!!!」

 

HRが始まるまでの過ごし方を考えていると、前方の方から声が聞こえてくる。

聞き覚えのある声。

どんな状況で聞いても、その声の主を間違えることはないだろう。

なぜならそれは.....。

 

「禊くーん!聞こえてる~?あっ!聞こえてるみたい!!目が合ってる!目が合ってるもん!!ほら、友里ちゃん!!目が合ってる!!!」

 

少し遠くから手を振りながらも俺が自分を見たことをしきりに隣の女の子にアピールする少女。

陸上部のユニフォームを纏っているショートカットの少女。

見紛うはずもない。

俺の幼馴染である満仲千和だ。

 

彼女は手を振りながらもこちらに駆け寄る。

朝練の後だから汗を掻いていて、呼吸が荒くなっているからか肩も上下している。

そんな彼女の後ろを横の少女はやれやれと言わんばかりに追従していた。

 

「おはよう!禊君!!」

 

「ん、あぁ。おはよ。」

 

満面の笑みで俺に挨拶する千和。

隣の少女は口を開かない。

朝強いからか知らないが、相変わらず元気な物だ。

朝から走り込みとかやっているだろうに、それでもこのテンションってどんだけ元気有り余ってんだって話だよ。

 

相変わらずのコイツの元気に当てられて少しげんなりしていると、彼女はニコニコとした笑顔のまま話を続けた。

 

「ごめんね?今日も朝練で起こしにいけなくて....。」

 

「大会近いんだろ?別にどうでもいいっていうか....なんならもう起こしに来てもらわなくても良いぞ。」

 

「大会終わったらちゃんと起こしに行くから!」

 

話聞いてないのか?

起こしに来られると日課の朝のネットサーフィンが出来なくなるので有難迷惑なのだが。

 

「...あっ、そうだ。そういえば....禊君、なんか私ブロックされてたよ。も~、誰かブロックするにしてもちゃんと名前見なきゃダメ!あらぬ誤解を招く羽目になるんだから!」

 

彼女はふと思い出したのかそう言ってくる。

やはり言ってきたか。

だけど、どうやら彼女は俺が誰かと間違ってブロックしたと思っているようだ。

ここで間違いという感じで流されたくはない。

これをきっかけになんかメッセージで圧かけてくるのを改めてもらいたいものだ。

 

「...いや、俺ちゃんと名前見てお前ブロックしたぞ。」

 

「ひぐっ、ふぇぐ、うぐぅ...なんでぇぇ、ぞんなごどぉぉ、ずるのぉぉ!!?」

 

俺の言葉を聞くと、彼女は一瞬目が点になる。

そして、その数秒後に目元を潤ませてべそ搔き始める。

この一瞬でそこまで泣ける!?

正直面食らったわ。

 

「いや....来ないでとかやめてって言っても話聞かないし...なんなら文面上で圧掛けてくるからやめてほしいなって.....。」

 

「圧とか掛けてないじゃぁぁぁん!来ないでって言われても心配になるでしょぉぉぉぉぉ!!幼馴染なら当たり前でしょぉぉぉぉぉ!!!!これが普通だもん!おかしくないもんっ!!おかしいのは禊君だもん!!!」

 

うわっ....うっさ。

耳がキンキンするほどに泣き声を上げる。

周りの視線が集まってきた。

勘弁してよ....。

 

「あー、なんだ。今後あんま過干渉気味っていうか...そんな感じのメッセージしないなら、普通にお話出来るならブロック外すし...そもそも昨日の時点できっついなって思っただけだから...今日の朝解除する予定だったけど立て込んでて忘れてただけだから....。」

 

「うぅ....昔は千和姉千和姉って後ろからぴょこぴょこついて来てたのに...お姉ちゃん寂しい....。四六時中メールしようよぉ....。」

 

「昔の話を出すな、二度とメールが打てない体にしてやるぞ。...それにそれは最早俺どうこうというよりただのメール依存症だろ。」

 

ぶーたれる彼女を前にしても毅然とする。

ここで引くとマジで授業中四六時中メッセージが来ることになるからな。

それにしたってこうしてたまに昔のことを掘り返してくるのはやめてほしい。

なんていうか、気恥ずかしいというかなんというか....。

いい加減子供扱いはやめてほしいものだ。

 

「....分かった。控えるもん。これで禊君とメッセージをやり取りできなくなる方が嫌だもん!」

 

「そうか....じゃあ、解除しとくから。」

 

なんというか本当に控えるか不安になるが、まぁここで話を長引かせるわけにもいかない。

彼女の目の前でブロックを解除した。

すると、彼女は嬉しそうに笑っている。

 

「...これで、話は終わりですか?」

 

すると、彼女の隣にいた友里ちゃんとやらが口を開く。

無表情ではあるものの、どこか冷たい印象を抱かせるような相貌。

同学年...いや多分学年一個下だな、こんな子同じ学年で見たことないし。

つまりは千和の2個下か。

 

「あっ、ごめんね。友里ちゃん!着替えないとだもんね。」

 

「いえっ、先輩気にしないでください....。...それで、貴方は禊君...でしたっけ?」

 

「禊先輩な。」

 

友里ちゃんとやらは隣の千和に折り目正しく対応する。

しかし、その反面俺の方を向くと表情を無にする。

眼鏡越しに渇いた瞳が俺を覗いている。

まぁ、初対面だから無理はない。

それはそれとして初対面の年下に君付けされるとイラッとするので訂正する。

 

「...貴方の事情とやらもあるのでしょう。しかし、満仲先輩は大会を控えた身。余計な動揺を与えるようなことはそちらこそ控えてもらいたいものです。」

 

薄く目を開けて、こちらを睨むようにして言う友里ちゃんとやら。

....はっはぁ~ん、なるほどね。

そういうことか。

千和は中身あんなのだが、学校では外面が良いし大会でも記録を残していたりする。

それを踏まえて考えても、こういう手合いは湧くということは容易に想像できる。

しかしそれにしたって分かりやすいにも程がありますね~友里ちゃんとやら。

 

こういう連中は下手にお話ししようとしたり、俺の事情を話しても話聞かないだろう。

人間は聞きたい事しか聞かないっていうのはよく言った物である。

こいつらがちゃんと聞くのは千和の言葉くらいだろう。

俺とかは下手に幼馴染だったりするから、なんかどこかしら対抗意識的な物があるはずだ。

下らないし、面倒くさい。

だからさっさと適当に話終わらせて流すに限る。

それにまぁ、ブロックはさすがにやりすぎ...っていうか話がややこしくなるって少し考えれば分かるからな。

昨日は疲れとかガキとかで正常な判断が出来てなかった。

そこは反省だ。

 

「そうだな、まったくキミの言う通りだ。そこは本当に申し訳ない。」

 

「あっ...べ、別に私はその今回の事だって禊君のことなら.....」

 

「教室に荷物を置きたいから話はこの辺で。そろそろ肩とか痛くなってきたからさ。」

 

「あっ...うん!またね!」

 

俺が話を切るように言うと、彼女は頷いて手を振る。

そんな彼女を尻目に俺は下駄箱の方へと歩みを進めた。

学校で話したくないのはこういう理由があるのだ。

所謂優秀な子の幼馴染であるが故の面倒くささ。

 

「はぁ....だるいのはだるいのとしかつるまないのかよ....。」

 

ぼそりと聞こえないように愚痴を溢した。

今日は朝から疲れた分、早くこの場を抜け出したかった。

後ろを振り返ることは決してない。

 

 

 

 

 

 

放課後。

相変わらず、千和は練習に明け暮れて学校に残っている。

昼休みに一緒に帰れないことを詫びられたが、まぁ別段俺にとって不都合というわけでもない。

寧ろ、俺にとっては好都合だと言える。

なぜなら.....。

 

「今日こそ来れたな...魔堂。」

 

隣町。

薄暗い路地の更に奥の方。

俺の目の前にはどこかモダンな雰囲気を漂わせた煉瓦作りの店。

看板には古びた加工の為された『パワーストーン・占い・その他オカルト 魔堂』の文字。

 

俺の行きつけのオカルトグッズショップである。

ただのオカルトショップではない。

2階では、コーヒーが飲めたりするのだ。

目の前の扉を開けて、店内に入る。

カランカランと鈴の音が鳴り響く。

 

パワーストーンからオカルトグッズ、書籍やタロットカードなどの占い関連がカテゴリーごとに綺麗に棚分けされており、店主の几帳面な一面が伺える。

レジの方にどっしりと座った頭皮が怪しい中年男性がこちらに目線を向けた。

そして、すぐに視線を外す。

 

「なんだ、お前か。」

 

「なんだとはご挨拶っすね.....。」

 

相変わらず愛想のない店主である。

まぁ別段愛想を求めてるわけではないし、そこらへんはどうでもいいのだが。

 

「おっちゃん、昨日サイトで掲載されてたケサランパサランの軌跡って本ある?」

 

俺がそう言うと、おっちゃんはぶっきらぼうに上を指さす。

それを見て、あることを察した。

 

「....ないっすね。これは。」

 

「...悪いな、入荷したは良いが娘がどうしても見たいって言ってたからやっちまった。サイトも編集して取り下げてるぞ。」

 

「店としてどうなんすかそれは.....。」

 

呆れながらも、溜息を吐く。

こんなことは今日だけじゃなく、たびたびあった。

そして、おっちゃんの娘は俺の知人でもあるのだ。

だから、どんな人間かも理解している。

....なんなら高校の後輩だし。

 

「...俺は店主の前に人の親だということだ。ポケットマネーから補填したから扱い上、俺の金で娘の欲しい本を買ってやったのとなんら変わりない。」

 

「えぇ....本当に?」

 

そして、目の前のおっちゅんの親バカ加減に呆れつつも棚の方に目を移す。

アイツが持っているならアイツに言えば金払わずに読ませてもらえる可能性があるということだ。

そう考えると、逆に得してね?

悪いな、おっちゃん。

 

だからこそ、別に興味惹くものがあればそっちを買っていこう。

....なんだこれ、星形のペンダントみたいなの....ヒランヤ...?変な名前だな。

他にも『マンガで分かる金枝篇』だったり、『猿でもわかる丑の刻参り』などの書籍も目についた。

しかし一番目についたのはなんか五芒星の真ん中に目のあるデザインが印刷されたトートバッグだった。

 

「...これ、オカルトグッズ??」

 

「....イギリスの方のデザイナーが作ったものらしい。何かはよく覚えてないけどオカルト関連のデザイナーなんだそうだ。」

 

「それ業者にオカルトって言っておけばおっちゃんなんでも仕入れるって思われてるんじゃ....」

 

しかし、それにしたってまぁ割とデザインとしては悪くないっちゃ悪くない。

割とトートバッグの時点で実用性もあるし、部屋に置いていても母親の視線も痛くない。

それになによりも安いのだ。

 

「...じゃあ、おっちゃんコレ。」

 

「おう。」

 

おつりが返ってくる。

良い買い物かはさておき、後悔はしていない。

さて、それじゃ上でコーヒーでも飲んでいくか。

そう思って、階段に足を伸ばす。

 

「おい、坊主。」

 

「なんすか?」

 

振り返る。

すると、おっちゃんは静かに...それでいて有無を言わさぬ口調で言葉を述べた。

 

「あの子が誰と仲良くしようが構わんし、お前はこの客も少ない店の常連だ。...でもな、下手な事をしたらどうなるか、分かってるな?」

 

「...や、やんないっすよ.....毎回言ってるじゃないっすか。」

 

こえぇ....。

娘が居るであろう2階に行く時になると、こんな風におっかなくなる。

ガタイが良いのもあって、迫力満点だ。

つくづく親バカだと思う。

もうね、構わんとか言ってるけどその時点で干渉してんのよ。

今のおっちゃん見たらまたアイツげんなりするだろうなと思った。

 

おっちゃんの視線を背中に浴びながらも上の階へと上る。

すると、下とはまた雰囲気が一変した。

下の階のようにオカルトグッズが所狭しと並んでいたのと違って水晶玉や多分ルーン?みたいな模様の石が窓際の小鉢に入っているだけの素朴でそれでいて殺風景な雰囲気。

どこか落ち着きの中に寂寥感を感じさせるその様は場末の純喫茶と言い表すのが適当だろう。

カウンターと椅子、そして離れに1個あるテーブル席。

 

そのカウンターに少女はベージュのエプロンを付けたまま佇んでいた。

 

「おっ、禊先輩!下で誰か入ってきたみたいだったから先輩だと思ってたぞ!ほら、そこに座って座って。」

 

「おぉ、コーヒーくれ。ミルクだばだばで。」

 

肩くらいに切りそろえられた髪の少女に勧められるがまま席に座る。

彼女は、才ノ芽一華。

同じ高校の後輩であり、いつも行っている店の2階で戯れ程度にコーヒーを振舞っている店主の娘。

そして.....。

 

「お前、ケサランパサランの軌跡って本持ってんだろ?後で俺に貸してよ。」

 

「駄目だ、まだ私が全部読めていない。全て読んだら禊先輩にも貸すと約束しよう。」

 

俺と同じくオカルト趣味を持った同志だ。

最初に会ったのは俺が高校1年生だった頃、この店を見つけて通い詰めてしばらくした時だ。

上の階のフリースペースで、本を読んでいた彼女に会ったのが初対面だ。

あの時は、未だ大人しかったしお互いの事が分かっていなかったので礼儀正しかったのが記憶に残っている。

しかし彼女が同じ高校に入ってから、慣れもあってか敬語を使えと言っても『先輩よりも私の方が上だからな』と言ってタメ口になっていたのだ。

そこまではっきり言われると気持ちよさすら感じるよね。

 

まぁ勉学面でも俺が彼女くらいの時と比べてもぶっちぎりで優秀だし、学校の中でもオカルト板も巡る為にスマホに首ったけのナードと部活もやって友達も多いようなオタ活両立女では上下関係なんて明白だが。

初対面が学校なら絶対に嫌いだったが。

でもまぁ彼女は同好の士だし?

俺は寛容な先輩だからな。

彼女のタメ口も許してやっているのだ。

あ~、俺ってば優しい~。

 

「出来たぞ。」

 

「おっ、ありがとう....なぁ、これほぼミルクじゃねぇか?ミルクだばだばと言ったけど程度ってものがあるんじゃないか?」

 

コーヒーカップにはなんか真っ白くほぼミルクと差し障りがないような有様のコーヒーが差し出される。

俺がジト目でそれを指さすと、彼女は胸を張る。

 

「私特製ミルキーウェイだ!甘党な先輩だからこれが良いかと思ったのだ。」

 

「こんな分量過多なだけの飲み物におしゃれな名前を付けるな。図々しいぞ。」

 

これ乳の道じゃないもん。

どちらかといえばミルクがウェイ!してるもん。

夏場のバーベキュー場のDQNごとくその場支配してるもん。

コーヒー追いやられてるもん。

 

「ふん、天文学部の私からしてみればミルキーウェイだなんて全くおしゃれじゃないぞ!天の川銀河よりもアンドロメダ銀河の方がかっこいい!!先輩も天文学部に入ればそれが分かるぞ!!」

 

「それお前の主観だから天文学部関係ねぇだろ。そもそも星見るとか興味ないしぃ~。」

 

天文学部でもアンドロメダ銀河よりも天の川銀河の方が好きな人だっているし、なんならどっちでもいい人もいるだろう、それどころか髪の毛座がナンバーワンの人だっているはずだ。

明らかにコイツの論理は主観の域を出ちゃいない。

それに何よりも星を見ることにはまったく興味がないのだ。

バカと煙は高いところに昇るというし、空を眺める様はまるで間抜けとしか言いようがないだろう。

なによりも星を眺めてのデートとか、星空はロマンチックに直結しがちだ。

そう言うの、彼女も居ない男にとっては見たくもなければ聞きたくもないんだよねぇ!!!

 

「やれやれ....禊先輩は相変わらず思慮が浅い。星はオカルトと直結する。占いだとか啓示だとか!天文学部では星について活動するという名目で趣味に励むことだってできるのだぞ!?」

 

「俺、オカルト分野の中でも占いとかあんま興味ないんだよなぁ。」

 

俺が興味あるのはネット上の都市伝説とか、幽霊やよく分からないものとか恐怖体験とかだ。

占いは唯一オカルト趣味の中でも守備範囲外なのだ。

信じてないし、なんなら占いは統計学とか言われてるし。

彼女は占いも嗜んでいるため、そういうところでは趣味が合わない後輩である。

 

「う~~...、はっ、そうだ!天文学部で星のことを勉強していればいざデートするときに星を見るというロマンチックな体験ができるぞ!あれはデネブ、あっちのはアルタイルでこっちはベガって感じで星のことを教えてあげればすごいとなるのも請け合いだ。」

 

占いに興味がないという言葉を聞いてむくれるのも束の間、後輩はゴリゴリに俺の地雷を踏んできやがった。

この野郎....そんな相手居ねぇし、デートなんて兆しすらないわ。

しかしそれに言及すると馬鹿にされそうなので、俺は話を逸らすことにした。

 

「夏の大三角じゃねぇか。...お前それ以外星のこと何知ってるの?」

 

「....ほっ..きょく...せい?」

 

「いや、お前うっそだろ?」

 

キョトンとした表情で、首を傾げる後輩。

お前天文学部でしょ。

マジで何してるの?

...ていうか天文学部じゃなくても夏の大三角形以外の星の名前くらい北極星以外知ってるだろ。

 

「ふふっ、冗談だ。たまにはイメチェンとしてカマトトぶってみたのだ。どうだ禊先輩、私はしっかりカマトトぶれていたか?」

 

「多分カマトトとは違ったし、なんならちょっとお前が不安になったよ。」

 

俺の答えを聞いて、後輩は快活に笑う。

そんな彼女を見ながらコーヒーを飲む。

....ホットミルク?

甘いとかじゃなくてこれホットな牛乳なんじゃないの?

コーヒー皆無なんだけど。

俺、ホットミルクって頼んだっけ....?

 

「星か....、星と言えば占星術。占星術と言えばタロットカードだ。禊先輩、一つ占っていくか?」

 

笑みを浮かべると、しゃがんでタロットカードを取り出す。

お前、カウンターの下にいつも置いてあるのかよ...。

 

「それお前がやりたいだけだろ。」

 

「なんだ?禊先輩は後輩がやりたいことすら許容してくれない狭量な先輩だったのか?....はぁ、正直貴方にはガッカリだ。占いとはいえオカルトはオカルト。それを避けるようじゃもう私の先輩でもなんでもない。さようなら先輩、お元気で。」

 

「おいおいおい、ちょっと極端すぎやしないか!?」

 

驚くほどに冷たい口調で彼女は俺に別れを口にする。

コイツがこれほどまでに冷淡に言葉を終わらせることがあっただろうか?

俺の言葉を聞いてもなお、彼女はそっぽ向く。

 

「さてと、新しい先輩を探しに行くとするか....。」

 

「待て!わかった!!分かったから!!占い受けるよ!!!最近将来が不安だったからな!!占い最高占い最高!!」

 

本人も冗談ではあるだろうが、ここで唯一趣味の合わない後輩に無視されるのは勘弁願いたい。

少なくとも自分が常連の店の居心地を悪くはしたくない。

それに別段占われること自体は問題ではないのだ。

信じるか信じないかは俺次第なのだから。

 

「ん、先輩が分かってくれて私は嬉しい。それじゃ、今から占いを始めるぞ....。何を占ってほしい。」

 

「え~、...じゃあこれからの俺の生活の運勢?」

 

「ひどくふわっとしているな....まぁ、やってみる!!」

 

そう言ってカウンターに布を広げてその上にカードを広げ始める。

そしてわしゃわしゃって感じで混ぜ始める。

 

「...なんかドンジャラみたいだな。」

 

「.....」

 

どうやら集中している様子だ。

繰っているカードを見つめて返事をしない。

確かタロットってカードを切っている間になんか占うことを念じるとか聞くしな。

 

そして、繰り終わると顔を上げて俺の目を見つめ返す。

 

「上から何番目が良い?」

 

「え?何番目っつっても....。じゃあなんとなく5で。...なんとなくで良いのか?」

 

「むしろそっちの方が良いのだ、禊先輩。直観というのがこういうのでは大事だからなっ!」

 

そう言うと、彼女は上から5番目のカードを1枚引いた。

そして俺の目の間に置くと、ゆっくりと表にする。

そこには塔に雷が落ちている絵のカードが正しい位置で存在していた。

 

「おっ、正位置じゃん。俺あんまりタロット詳しくないけど、正位置って大体良い意味ってことは前学んだぞ。これはどういう意味だ?」

 

自慢げにそう言うと、彼女は目を逸らす。

心なしか言いづらそうだ。

 

「なんだよ?」

 

「あ、あー...非常に言いづらいことなのだが...禊先輩。」

 

「はい。」

 

「塔は....正位置であろうが逆位置であろうが、あまりよくない意味を持つカードなのだ。」

 

....へ~。

まぁ占いだしなぁ。

そう言われてもそうなんだって感じしかしない。

強いて思うこととすれば....。

 

「正位置でも逆位置でもダメって...多分相当ダメなカードだよな?」

 

「なんていうかタロットの中でも最もよくないカードと言われるときもある。」

 

「やっば。どんな意味なの?」

 

なんというか、そんなヤバいのピンポイントで引くとか逆に運が良いだろと思う。

無難なのだったら、あまり意味とか詳しく聞かないだろうし。

凄く言いづらそうにしているコイツはある意味珍しい。

もう少しこの話題を続けても良いだろう。

 

「えーと、崩壊や悲劇...災難を意味しているというか....逆位置だったら一縷の希望が見える的なニュアンスはあるけど、正位置だったらもうもろって感じで。」

 

「そうなんだ。よりにもよってそんなカードが出るとか、エンタメしてんのか俺の運勢。勉強とかで躓いちゃうのかな....。」

 

わざと目の前で分かりやすく凹んで見せる。

すると、目に見えて彼女はあたふたしていた。

おもしろ。

 

「だ、大丈夫だぞ禊先輩!このカードは思いがけない災難を表しているものだ!だからもしかしたら今学校で噂になっている特別棟の女霊に会えるとかかもしれない!!なんせ思いがけないことだからな!成績とかなら事前に分かるから当てはまらない!!」

 

「特別棟の女霊?」

 

なんだその二つ名みたいな名称。

初めて聞いたぞ。

すると、今度は才ノ芽の方が首を傾げた。

 

「なんだ知らないのか?先輩の事だからこのことは既に承知だと思っていたのだが。」

 

「いや、初耳だな。俺、お前と違ってあんまり学校に友達いないし...友達いないから校内の噂とか分かんないんだろうな....そりゃさっきお前に見捨てられかけるわけだ...はは.....。」

 

「あ、あれはただの冗談だ!!それにそんなに気を落とさなくても私が居るぞ!!こんなにオカルトのこと話してコーヒーも飲んでくれているのだから友達と呼んでも差し支えはないはずだ!!だから顔を上げてくれ!!」

 

まだまだ凹んでみせたらめっちゃあたふたし始めた。

面白いな、こんなこいつは新鮮だ。

いつもこちらが突っ込みがちになってたからな。

偶にはこうやって凹んだ振りするのもいいかもしれない。

 

それに知らないのは事実だし。

こういう噂というのは人伝に広がるもの。

それに、休み時間とかスマホばっか見てるからな。

千和は絶対、こういう話興味もないだろうし。

 

「で、どんな話なんだ?それは。」

 

俺が先を促すと、慰めの口を止めてその噂について彼女は話し始める。

 

「なんでもこの前からちょっと学校内で噂になっているのだ。5時37分、特別棟4階の男子トイレで身体が青白くて手首から傷だらけで血まみれの少女が追いかけてくるって話だ。なんでも、爪が鋭くて捕まると彼女のように手首を切られて血を抜かれるとか、実際に目撃した生徒が居るとか。」

 

「なんだそれ。安っぽい怪談だな。人気の少ない特別棟の4階のトイレにしてるのも同時刻にトイレを使用している人間が一番少ない場所を選んで決めてそうだぜ。そもそも何の為にそいつそんなことやってんだよ。」

 

呆れて笑ってしまった。

まさかお前と言うものがそんな噂にも為り得ていないような話をするなんて。

やはり知らなくても良い部類の与太話だな。

 

「なんでもその女は教師に手を出されて妊娠させられた挙句、事実関係を否定して別の家柄の良い女と結婚したことに絶望して自殺してしまったらしい。そして今でも、先生...先生...と言いながらその教師を探しているとか.....。」

 

「出た出た。なんだその無駄に重い過去。そもそもそんな生徒自体が存在しているかどうかも怪しいじゃねぇか。そんな事例があったら問題になっているしな。ん?何時何分何秒地球が何回回った日にそんな事例があったんだ?ん??答えられる人おりゅ??」

 

「私は今小学生と話しているのか?....まぁ、先輩の言う通りだよ。私だって、こんな話信じては居なかった。ただな.....なんでも実際に確かめようとした2年の麻上という先輩が後日学校に来ていないと聞いたのだ。」

 

麻上....?

また存在しない人間....いや待てよ。

確か麻上ってうちのクラスに居たなぁ、サッカー部の主将の奴。

しかも欠席していなかったか?

 

「...それさ、その麻上?が確かめに行った次の日に偶然なんか病気か家の用事で休みになったからそういう風に言われてるだけじゃないの?まぁ、だとしたらサッカー部の主将とかいう肩書だけでモテてそうな奴が肝試しで負けて学校来てないみたいなだっせぇ風聞付いたってだけだし、俺からしたらめっちゃ嬉しいけどね。」

 

「陰湿だぞ...先輩....。まぁでも確かに先輩の言う通りだろう!まぁなんだ....私は占いに精通しているわけでもないのだから、占いの結果は気にしないで欲しい。私が言いたいのはそれだけだ。私からしてみればただ占いが出来ればよかったのだからそれでそこまで凹まれると...その、困る。」

 

才ノ芽は呆れながらも、俺にそう弁解してくる。

どうやら俺が凹んだことを本当に結構気にしていたらしい。

そこまで気にしなくても良いのに、変なところで律儀な奴だ。

先輩よりも私の方が上と言った人間と同一人物とは思えない。

でも、ちょっと弄り過ぎた感はあるな。

 

「あー、それだけど別に俺何とも思ってないよ。凹んだ振りしたら存外反応が面白かったから続けただけだし。」

 

「なっっ!?わ、私がどれほど先輩のことを考えたか...!質が悪いぞ先輩!!」

 

彼女は俺の言葉を聞いて怒っている。

それを見て、笑いながらもコーヒー(ほぼミルク)を飲み干した。

さて、時間的にも結構いい時間だ。

そろそろ帰ろう。

 

「まっ、なんにせよそんな噂話が流行るってどんだけ耐性ないんだって話だよな。必修科目にオカルト板巡りとか入れた方が良いかも....じゃあそんなわけで良い時間だから帰るわ。」

 

「うるさい!もう先輩なんて本当に知らないからな!!さっさと帰ってしまえ!!」

 

そう言うと、彼女はそっぽ向く。

どうやら揶揄われてはぶててるのだろう。

まぁでも手は振ってくれてるし、明日になれば機嫌直しているだろう。

俺はそんな彼女を背に、店を後にした。

 

外は既に茜色に染まっている。

この前の寝過ごした時の夢を思い出して、少し背中に冷たい汗が流れる。

あんな変な夢を見ない為にも今日は電車に乗る前にミント系のタブレットでも食べとくかな。

そう思ってコンビニへと歩みを進める。

 

「...それにしたって、小学校だけかと思ってたよ。そんな噂流行るなんて。」

 

さっき教えてもらった話を思い出して笑ってしまう。

トイレということはトイレの花子さんとかからの派生だろうか?

なんにせよ、すぐに血が抜かれるとかある分稚拙な話だ。

笑ってしまう。

 

ただ、一つ不思議に思っているのは。

 

「...そういう話にしては、なんかお化け出る時間帯が滅茶苦茶半端な時間じゃなかったか?」

 

5時37分。

なんというかすごく中途半端な時間だ。

こういう与太話っていうのは大抵“死”繋がりで4時44分とか、逢魔が時から6時だったりとかそういう何かしら意味のある分かりやすい時間のはずだ。

それがとても不思議に思えてならない。

 

「....まっ、どうでもいいかそんなこと。」

 

明らかデマだって分かる話を覚えておく必要はない。

それよりもネット上のどこの誰が話しているか分からないからこそロマンのある恐怖体験を見る方が有意義だと俺は思う。

そう思うと買ったミントタブレットを1個口に放り込むつつ、スマホを取り出してオカルト板巡回を再開した。




幼馴染が顔出ししましたね。
イメージ的にはボブカットで日焼けした身体の引き締まった陸上少女です。
幼馴染は負けヒロインかどうか、それは彼女の圧の強さとキャラの濃さにかかっていると言えます。

そして主人公と同じオカルト趣味の後輩ちゃんも出しました。
肩くらいの髪の長さは短髪なのかな....そうなるとこの小説、メスガキ以外みんな髪短いじゃん...僕の性癖は短髪だった....?
この小説の文字数が伸びた原因です。
この子とのやり取りを書いていると、楽しくなっちゃって気が付いたら手が進んでいました。
僕の性癖は仰々しい口調の短髪後輩がドンピシャだって書いてて気づきました。
雰囲気は頭にありますが胸だけこの時点では決まっていません。
しかし胸がデカかろうが小さかろうがこのキャラだったら自分は好きです。
名前である才ノ芽一華はまぁTRPGから持ってきてます。
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