腹が減っては戦はできぬ。
昔の人はうまく言ったものである。
集中すると時間の感覚を忘れてしまう性分とはいえ、流石に三日目の昼まで寝ずに作業に明け暮れるものではないと、らいかんも反省する。
逆によく3日持ったなと思わなくもないが。
ともかく迂闊だった。
モモさんも大丈夫そうだから平気だろうと高を括るのは早計に過ぎたと反省する。
よくよく考えるまでもなくあちらはアンデッド。こちらは人狼、食事が必要なのは明白である。
らいかんはノロノロと作業場から自室の椅子に移動する。
ルプスレギナが支えてくれているのがありがたい。優しさが沁みる。
側に控えるルプスレギナは己を責めている様子だが、今回は間違いなくらいかん自身の失態である。
故に言う。言わねばならない。
「ルプスレギナ、心配をかけて申し訳ない。今からで悪いんやけど、食べられるものを持って来てもらえんかね。」
「は、はい!すぐにでもお持ちいたします!」
それから10分も経たず
「お待たせいたしましたっす!」
サービスワゴンを押してルプスレギナが戻ってきた。
(はやっ!)
急いでいたからか、少し言葉が崩れてしまっているがそれは(少なくともらいかんにとっては)問題ではない。
「麦がゆか、ありがたいやねぇ。」
確か作品を書くときに見た資料に載っていた。
あちらでは基本的に味気ない食事ばかりだったから新鮮な気持ちである。
空きっ腹には消化に良いもの。
すぐに出来るのも嬉しい。
(流石はメイド。よく考えられている。)
などと感心してしまう。
木製のスプーンを手にして口に運ぶ。
「んまぃ。」
「お飲み物もお持ちしております。」
「ありがとう、貰うよ。」
満腹時に飲む水は何故かいつもより美味しく感じる。
まして、こちらに来て初の食事である。心持ち満足感も違ってくる気がする。
平らげるのはあっという間だった。
量は少なく感じないこともないが、空っぽの腹にはアレくらいで丁度いいだろう。
なんとか人心地つけた。
「さて、では再び作業に……。」
「………。」
「戻ると更に心配をかけてしまいそうだな。」
モモさんも外に何があるか分からない以上、軽挙は避けて欲しいと釘を刺されている。
ならば、と第九階層のスパリゾート・ナザリックにでも行ってみるかと思い立ったそんな矢先である。
「モモさんからメッセージか。どしたの?体調?ヘーキヘーキ。心配してくれてあんがと。え、本題?」
なんでも、これから遠隔視の鏡を使うので情報の共有も兼ねて一緒に見ないかと言うことらしい。
面白そうだから即OKするらいかんであった。
うっかりちょっと素が出ちゃうキャラが好きです。