AOGの狼人   作:ガラクタ山のヌシ

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襲撃 下

 

さいどナザリック

 

「何をやっていたのですか!あなたたちは!」

 

ナザリック地下大墳墓、モモンガの執務室では叱責の声が飛んでいた。

 

声の主は守護者統括、アルベドである。

 

「しかし、待機せよというのは他ならぬモモンガ様からの命令。あなたはそれを無視せよ。と仰るのですか?」

 

セバスはあくまでも冷静に返す。

 

危機になった時以外の指示を仰ぐため、アルベドを呼び、事情を説明したら先の叱責が飛んできたと言うわけである。

 

「だからといって、共も連れずに行くなどと。」

 

「ですから、御二方が危険と判断したら、加勢するよう我々にお命じになられました。」

 

「なんでも、恩を売って情報を手に入れるとかおっしゃってたっすよ。」

 

「ならそうシモベに言いつけて、御自身はナザリックで高みの見物をされていれば良いだけではないの。」

 

その言葉に、いつの間にかやって来ていた更にもう一人が言葉を投げかける。

 

「案外、御二方が直接出向くことに意味があるのではないかな?」

 

その正体はデミウルゴスである。

 

その言葉にルプスレギナが反応する。

 

「意味っすか?」

 

「そうとも。アルベド、君の懸念も理解できるが、冷静になって考えればすぐにわかることだ。」

 

「……。」

 

その言葉を聞き、アルベドは顎に手を当て考え出す。

 

「恐らく、まずは布石なのだろうね。御二方はご自身の力を示しつつ、こちらの世界での橋頭堡を得ようと言うお考えなのだろう。現にご覧よ。その気になればあっさりと皆殺しにできるだろう敵を前に色々と試すような事ばかりなさっている。きっと実験も兼ねているのだろうね。そして何より、我々を安心させたかったんじゃないかな?」

 

「安心…ですか。」

 

「そうとも、我々のあるじはこうも強大で偉大なるお力を持っているという安堵を得させようというご配慮だよ。無論、私としてはもっと我々を頼って欲しくはあるが。なに、その点は今後の働きで示せばいいだけのことさ。」

 

「では、どうしろと?」

 

「それをわざわざ言わずとも分かるだろう?守護者統括殿?」

 

 

 

さいどカルネ村

 

騎士たちは怯えていた。

 

その恐怖の原因である対象は今まさに自分たちの目前に迫る甲冑を身に纏ったアンデッドである。

 

村人たちを村の中心部に集め、誰を生かすか決めようと言うところで急に割り込んできたのだ。

 

しかも誰彼構わず襲っているのでは無く、明確に自分たちを狙っているのだからタチが悪い。

 

しかも剣は通じず、鈍重そうな見かけのわりに動きも速く、決死の覚悟で向かっていく騎士を何のこともないように、一撃で絶命させる。

 

完全に予想外の想定外。

 

これまでの任務と同じように、とある人物を釣り出すために幾人かを残して村人を屠るだけのはずだったのに。

 

隊長なんぞは最早勝機がないと見るや、自分だけ逃げる腹づもりを隠すことすらなく、部下を肉盾にしようとする。

 

しかし、皮肉なことにギャアギャアと喚いていたからか、次のアンデッドの標的がその隊長に向かい、あっさりやられてしまった。

 

そして混乱にざわめくなか、ひとつの声が響くのである。

 

「デスナイトよ、そこまでだ。」

 

上空に浮かぶ二つの人影に自然と衆目が集まるのであった。

 

「諸君、はじめまして。私の名はアインズ・ウール・ゴウンと申します。こちらは我が友人であるロウ、以後お見知り置きを。」

 

(人型形態とか何気に久々だわ。)

 

適当に肩のあたりで切られているボサボサの銀髪に顎の無精髭、だるそうな銀眼の姿は、設定上作った、本人もほぼ忘れていた人型時の姿である。

 

なお、服装は適当なレジェンド級防具を身につけ、義手義足を覆うような形となっており、かといって、変に膨らんだりしていない。

 

まぁ、これは見た目を変える課金要素である、所謂スキンのお陰といえるが(モンハ○で言う重ね着みたいなやつ)。

 

キャラクリエイトと、いくつかのイベントに参加して以来であろう人型の姿になんとも言えない感慨のようなものを感じるらいかんである。

 

ちなみにアインズは手甲をつけて、クリスマスに強制配布される通称嫉妬マスクを付けている。

 

さて、と続けるアインズ。

 

「お前たちには生きて帰ってもらう。そしてお前たちの飼い主に伝えよ。この辺りで騒ぎを起こすようならば、今度は貴様らの国に死を告げに行くとな。」

 

ほうほうの体、という様子で騎士は逃げ出す。

 

アインズは敵兵が視界から一人も居なくなったのを確認すると、村人たちの方を振り返り

 

「これで君たちは安全だ。」

 

と話す。

 

しかし村人たちは訝しむように二人を見るだけで、動こうとする様子がない。

 

無理も無い。突然よくわからない者たちに襲われた後、同じくよく分からない者たちがやってきて急にもう安全と言われても、その目的がわからなければどうしようもない。

 

関与すべきか、そうでないか。

明確に襲ってくる敵がいなくなった分、少し冷静になりつつあるのだろう。

 

狼の群れに襲われていたところを、より強い他の獣が撃退したとて、次は自分たちが標的にならないとも限らないのである。

 

「まぁ、流石にタダというわけにはいかんがね。」

 

と、らいかんが言えば利益目的と思ったのか割とあっさり警戒は解けたようだ。

 

(さて、まずは情報収集やね。)

 

(そうですね。今はかなり立て込んでいるので、質問することなんかはまとめておきましょう。)

 

(まぁそうやね。)

 

と、二人がメッセージで会話していると、再び騒がしくなっていた。

 

村長の話を聞く限りによると、先ほどとは違う鎧をつけ、武装した集団がこちらにやってくると言う。

 

(さて、敵の新手か、それともこの村に差し向けられた救援の軍か。)

 

(オレっちとしては前者であって欲しいがね。その分実験も捗るしな。)

 

(久々にスイッチ入ってますね。)

 

(ま、工匠だからねぇ。)

 

二人はそんな話をしつつ、まだ見ぬ人物がどのようなものか、少しばかり楽しみにしているのであった。

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