AOGの狼人   作:ガラクタ山のヌシ

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いっときの平穏

果たしてやってきた集団は村人を喜ばせる存在。つまりは味方であった。

 

しかもその彼らを率いるのは

 

「私は王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフ。村を襲う賊の討伐に来た。」

 

「ストロノーフ……あの?」

 

村人が皆驚きの表情を浮かべているのでどうやら大物らしいと、アインズは少し警戒し、らいかんは少し残念そうにしながらも、その話に耳を傾ける。

 

やがて、二人の存在に気付いたガゼフは

「そちらの御二方は何者か?」

と村長に問うていたので

 

「はじめまして戦士長殿。私はアインズ・ウール・ゴウン。この村が襲われているのが目に入ったので、助太刀に入った魔法詠唱者です。アインズと呼んで頂きたい。そしてこちらは私の友人で……。」

 

「おぅ、ロウと呼んで欲しいやね。」

 

ガゼフはその言葉を聞き、驚いた様子で急ぎ馬から降り

 

「村の者達を助けていただき感謝いたす。」

と二人に頭を下げる。

 

「よして下さい。では、村長。いつまでも戦士長殿を立たせっぱなしというのも悪いので、椅子の用意をお願いできますか。」

 

「こ、これは気が利きませんで。ささ、こちらにどうぞ。」

 

と自宅に案内する。

 

とりあえず一息つこう、と少しばかり話したところで、今度はガゼフの部下が伝令にやってくる。

 

なんでも村が包囲されているというのだ。

 

壁に背をつけ、そっと窓から外を伺うガゼフは

 

「あれだけの召喚天使を用意できるのは、スレイン法国、その中でも選りすぐりとされる特殊工作部隊、六色聖典のひとつか。」

 

と言うと、アインズとロウの二人に目を向け

 

「御二方、よければ雇われないか? 報酬は望むまま、如何様にでも用立てる。」

 

と依頼して来た。

 

悪くない話だとらいかんは考えるが、アインズは

 

「お断りします。」

 

とほぼ即答する。

 

(え、意外。受けると思った。)

 

らいかんにしてみれば、それほど強くないと見られる敵を仕留めてこの世界の通貨がある程度まとめて手に入る好機でもあるうえ、うまくいけば王国戦士長という、それなり以上の地位であろう人物とのツテまでできる。正直受けない理由は思いつかなかったが、

 

(しかし、そうすると必然的にひとつの国を贔屓する形になります。まだ他国の情勢や、この人物の国内での明確な立場も分かっていない中で、報酬に飛びつくのは早計かなと。)

 

正直、いくらか話す中で彼自身の人柄は良さそうとは思う。

 

裏表なく、コキュートス辺りと話が合いそうなほどの生粋の武人であろうことも。

 

しかし、だからこそアインズには解せない。

 

それほどの人物が話を聞く限り辺境であろうこのあたりにわざわざやって来ると言うことが。

 

というのも、村々を荒らされているならば、まずそこの責任者で領主たる貴族が黙っていないだろう。権力者が面子を潰されたわけなのだから。

 

とするならば、領主はわざわざ見逃したか、他に問題が起きてそれに兵力を割いているなど、報復できない事情があったと考えられる。

 

しかし、ひとつふたつの領地ならばいざ知らず、複数の村々で襲撃があったとすれば、そんな偶然が重なり続ける事自体異常。

 

まさかとは思うが、自領を他国の兵に踏み躙られてなお、派閥闘争を繰り広げているとか。

 

あわよくば、実力者たるガゼフを追い落とすために。

そう考えついた途端に、流石にそこまで愚かではないだろうと首を振ってイヤイヤないないと思い直した。

 

話し合った結果、戦力不利は明白であるためガゼフは自身が敵を引きつける旨を伝え、村を出る。

 

その際、アインズは、とあるアイテムを預けた。

 

村から兵達が引き上げるように見えた村長が

 

「アインズ様、ロウ様何故兵士の方々はこの村から出ていくのですか?」

 

と、不安そうに問うのでアインズは先のガゼフの言葉を伝えて、然るのちに逃げる準備をする様にと促す。

 

そうして、避難先の村の倉庫でらいかんは気になったことをメッセージで聞く。

 

(で、何あげたのん?)

 

(課金ガチャのハズレアイテムですよ。持っているとお互いがお互いのいる場所に転移するやつです。)

 

(へぇ〜意外だねぇ、まぁたしかに色々と惜しい男には見えたけどもさ。)

 

(いや、俺からすれば、あんなに獣人フォルムにこだわってたロウさんが、まさか人型をとることのほうが意外でしたけど。)

 

(あ〜それ。まぁ確かに今でもイヤはイヤだけども、流石にこの状況で言えるワガママじゃねぇことは流石のオレっちでもわかるって。)

 

そう言いつつ、自然と腰のキセルに手を伸ばしそうになるが、流石に自重する。

 

お気に入りの丸サングラスを外し、キュッキュッと拭き始める。

 

少しばかり手持ち無沙汰を感じているようだ。

 

(で、戦況はどうだい?)

 

(……正直かなりキツそうですね。彼も、彼の部下達も天使型モンスターの前に劣勢の様子です。)

 

(は?モンスターって、ユグドラシルの?)

 

てっきり召喚天使というくらいだから、この世界にはそう言う神的な存在でもいるものと勝手に解釈していたらいかんだが

 

(ええ、どうやら何者かが彼らか、彼らの祖先に使役方法でも教えたんですかね?)

 

(そんじゃあ、最悪熾天使も警戒しといたほうがよさそうだなぁ。)

 

(そうですね。相手は選りすぐりの特殊部隊ですから、そのくらいの奥の手があると見るのが正解でしょうね。)

 

(モモさん大丈夫?熾天使相手って。)

 

(まあ、その時は選手交代してもらいますよ。)

 

(え、オレっち?ま、いいけどさー。)

 

そうして、頃合いになりアインズは言う。

 

「そろそろだな。」

 

「おぅ、いってらっしゃい。」

 

「だから、ロウさんも来るんですよ!」

 

「あれー」

 

ちなみにルプスレギナは人型のらいかんを見て、

 

「やばいっす!激レアっす!」

 

と、テンションを上げていたそうな。

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