らいかんはあれから後始末が大変であった。
水晶化した地面は水晶猪を戻した時に元通りになりはしたが、あれだけの大質量が最大六体駆け回ったものだから地面はもうグチャグチャのしっちゃかめっちゃかになってしまっていた。
なんとかマーレの力を借り、不自然でない程度にまで修復を終えたのち、村まで引き返して状況が落ち着いたことから、やっと村長夫妻から聞きたいことが聞けた。
まず、ユグドラシルでの金貨は貨幣として流通していない事。
ただ、彫り物が見事なため芸術品としては高く売れるかもしれないという事。
次に、ここはリ・エスティーゼ王国の領土であり、周辺にはバハルス帝国や先程戦闘に至ったスレイン法国があるという事。
そのバハルス帝国とリ・エスティーゼ王国は毎年小競り合いを繰り返しているという事。
更に、冒険者と呼ばれる魔物討伐の専門家がいて、彼らのおかげで街道沿いは比較的安全であること等々。
当初の予定通り、なかなか良い情報ばかりであった。
さらに言えば、法国軍を退けたことにより、カルネ村は事実上の親ナザリック領となったと言っても過言ではなく、少なくともアインズとらいかんが通れば、皆が挨拶をしてくれる程度には馴染んだと思う。
それでこそ助けた甲斐があったというものだ。
欲を言えば、王国戦士長たるガゼフ・ストロノーフからも話を聞きたかったが、今回の襲撃のことを急ぎ国王に伝えねばならないのでと、あまり時を置かず村から出て行った。
他にも犠牲者を弔うために墓が建てられ、村の男手は村の復興のために忙しなく資材を運んでいた。
そうしてしばらく客分として滞在したのち、二人はナザリックへの帰還を果たした。
さいどらいかん
帰還してすぐに行われたのは守護者を玉座の間に集めること。
そして、皆を玉座の間に集め、今回の行動の詫びと名を改めた旨を伝えた。
アインズウールゴウンの名を、世に知らしめるということも。
ただ、オレっちには「ロウさんは変わらずモモさん呼びでお願いします。」といわれた。
「んで、話って何よ?」
玉座の間を後にしたオレっちはメッセージでモモさんの自室に呼ばれ、相談を受けていた。
「ロウさん、実はですね、俺冒険者というものをやって見ようと思ってます。」
「ほぉん、いいんでない?実力的にもバッチリだし問題ないやね。」
「え、怒らないんですか?仮にも組織の長が拠点を開けるなんてって。」
「まぁ、防衛とかその辺はアルベドやデミウルゴスがいるしな。プレアデスの誰かを護衛兼仲間役として同行させれば問題ないんでない?」
「それなんですがねぇ、どうにも適役を選ぶのが至難でして。」
「ってぇと?」
「何というか、その…当たり前ですけどウチって異形種ギルドじゃないですか?しかも極悪で知られた。」
「まぁそうやね。」
「で、同行する者を選ぶにあたり、戦闘にある程度以上優れ、人型でかつ最低限ことを荒立てない人選になるんですが…」
「まぁ〜そうなるだろうねぇ。」
ユリはプレアデス副リーダーであるためナザリックを離れられず、ルプスレギナはオレっちの専属、シズは武器がオーバーテクノロジー過ぎて目立ちすぎるし、エントマは食欲の面で不安が残る。
「ってぇなると、候補は今現在モモさんの世話役もやってるナーベラルか、ソリュシャンてとこやね。」
「ええ、そうなりますね。」
前者は専属ということでそのまま動かしやすいし、後者は索敵や探知が出来るので、冒険者っぽいと言えばぽい。
ただ、どちらも人間に対してどう反応を示すか分からない不安定要素がある。
反応を確認しようにも、この前の人間はニューロニストの元へおくり、もはや絞りカスの死体であるためどうしようもない。
極悪ギルドのNPCは、当然そう言うコンセプトの元作られることが多いため、明確なカルマ値などは反応を見て確かめるしかない。
結局二人は、ああでもないこうでもないと、うんうん唸って結論を翌日に持ち越したのだった。
アイテム説明
魔結晶
文字通り結晶化した魔力であり、作り上げるには例えるならば、色のついた水を色を混ぜずに攪拌するような器用さが必要。
らいかん・す・ろうぷ特有の技術であり、これをもってらいかんはアーティファクトの変態的性能を引き出すに至った。協力者はモモンガ様やウルベルトさんなどがいる。