フレンドとのメッセージを終え、駆け出しの冒険者モモンもといアインズはため息をつく。
(まさかいきなりうっかりで先輩冒険者のポーション割っちゃったなんて言えないよなあ。)
アインズは頭を抱えていた。トラブルに巻き込まれた事に、ではなくそれをどう伝えたものかと言うことについてである。
エ・ランテルに到着し、冒険者組合で登録を済ませたはいいものの、組合に紹介された宿屋に泊まろうと店主に話しかけた際、ガラの悪い先輩冒険者に絡まれ、その対処をしていたところ、誤って他の絡んで来なかった(というかアインズが目に入っていなかった)先輩冒険者のポーションを割ってしまったのだ。
まあ、そのトラブル自体はもう解決したからいい。と思う。
絡んできた先輩冒険者は返り討ちにしたし、ポーションの件も所持していた治癒のポーションを渡す事で後腐れなく終わった。
(ただなあ、ロウさんだしなあ。)
言ったら面白がって揶揄われる事請け合いである。
或いはそう言うトラブルも良い思い出だとフォローをもらえるだろうか。
確率的には五分五分だと思う。
ただ、思わぬところで思わぬ助言をしてくれる友人を信用していないわけではない。
むしろかなりの部分頼りにしている。
(せっかくの外なんだし楽しんだ方が良い……か。)
元々冒険者となったのはユグドラシルプレイヤーと、この世界の更なる情報収集のため。
自分たちはまだまだ知らないことの方が多いのだ。
ただ、少し期待というか楽しみにしていたところがなかったかと言われればそんな事はないわけで。
ロウさんにはあくまでバックアップに徹してもらい、必要とあらばアーティファクトを借り受ける。若しくは、ある程度名が知られたのち、自身の紹介という形で、冒険者稼業を手伝ってもらうことも視野に入れている。
無論、当人からの了承も得ているからその点に関して何か言われることはないだろう。
周辺の地理を確認がてら散歩して気を紛らわそう。そう思い、プレアデスのひとりナーベラル・ガンマに告げる。無論、散歩の部分は省いて。
この時間ならば酒場もやっているだろうし、ある程度有益な情報もあるかもしれない。
「しかし、初日からメッセージを送ることになるとはなあ。」
夜の街を彷徨きながらひとりごちる。
「ん?」
キラキラと、青い光がアインズの前に現れる。
それは、魔結晶で作られた彼の友の傑作の一つ。
「これは、
現に、こうしてアインズが知覚するまでその目立つ蒼色の羽根は誰の目にも触れていない。
ふと、足を見ると通信筒がついている。
メッセージで伝えてくれれば良いのにと思わなくはないが、しかし、らいかん・す・ろうぷという友人はロマンを求める男だ。
というかこれはロマンなのか疑問に思って、アインズは深く考えるのをやめた。
ジッとこちらを見つめる
暗がりだが、暗視持ちのアインズには問題なく読めた。
『その子が行きたそうにしていたので、役立ててあげて下さい。』
「ロウさん……。」
確かにこの子ならば情報収集や、偵察にうってつけだろう。
なんやかんや言いつつ、結局フレンド想いな友人に感謝の念を覚える。
まして、我が子も同然の
なんなら少しジーンと来た。
しかし
『追伸』という文言を目にして「ん?」となる。
何かあったのだろうか。
『最近ルプスレギナがこっち見るたび、スキルの野生の勘(危機察知)が働くんだが何か知らん?』
アインズは見なかったことにした。
「こちとら二人相手にどうしたもんかと頭を悩ませてるってのに」なんて私情はきっと無い。
無いったら無い。
一方その頃、ナーベラルは
(でねー、らいかん・す・ろうぷ様ったらアタシの料理を今日も残さず食べてくれてー……)
(はいはい。)
いつも通り姉の惚気話を聞かされるのだった。