歩きながら、しばらく警戒を崩さない程度に三人が話しているとルクルットがピタッと足を止める。
「動いたな。」
と、ルクルットがいつになく緊張感のある声で言って、視線で森の一角を見やる。
ペテルがどこからかと尋ねるとチョイチョイと指差して場所を知らせる。
非戦闘要員のンフィーレアには下がってもらい、一同は警戒を厳にする。
やがてモンスターの群れが姿を表した。
ゴブリンとオーガ、合わせて二十いるかいないくらいだろうか。
一度に相手にするには少なくない数がこちらに向かってやって来る。
しばらくすると、彼らの視界にもアインズ達が入ったのか明確な敵意をもって走り出した。
「こりゃあ戦闘は避けられなさそうにないな。」
「みなさんはンフィーレアさんについていて下さい。丁度いい機会ですので私の実力を直接その目で見て知っていただきたい。オーガごとき容易く屠るって見せましょう。」
冒険者モモンの自信に満ちた声色にペテルとルクルットは頷く。
「分かりました。しかし、出来る限りの支援はさせて頂きますよ。」
その後、漆黒の剣は短めの作戦会議をその場で行い、所定の位置につく。
いつもの、という言葉が聞こえたことから、いくつかのパターンがあるのだろ
うことが分かる。
はじめにルクルットがわざと矢を手前に落としてゴブリン達の油断を誘う。
そうして遮二無二突っ込んできたゴブリンを今度は的確に射抜いていく。
ペテルはニニャに防御魔法で支援をしてもらい、ダインは植物を操る魔法で足止めを行う。
アインズその横を悠々と歩き、向かって来るオーガを両手に一本ずつ持ったグレートソードで真っ二つにする。
それにびくついたのか、アインズの目の前のオーガは最初の勢いはどこへやら、及び腰になりつつある。
ならばと、ペテル達の方のゴブリンが襲いかかるが、チームワークの違いかなかなか思うように攻めきれていない。
(いいパーティだな。)
とアインズは素直に思う。
互いの長所、短所、得意な武器やその適正距離、習熟している魔法など互いに互いを知り、理解しているからこそ安心して背を預けられる。
思えば自分たちもそうだった。
作戦立案を嬉々として行ってくれた人、とにかく突っ込むのが大好きだった人、作戦中だと言うのにケンカをやめない二人や、一撃必殺に全てを賭ける人、ヒャッハーと言いながらなかなか無茶な実験を始める人もいたっけなぁ、と。
ノスタルジーな思いが胸に去来するが、今は戦闘中。意識を目前の敵に向け、そうして再び敵を狩る。
オーガ達は自分たちの形成不利を悟ったのか、皆武器を捨ててなりふり構わず逃げ出す。
「ナーベ。」
「はい。」
短い応答を済ませ、ナーベラルは背を向けるオーガに指を向けてライトニングの魔法を放つ。
魔法はオーガを貫通し、前を走っていたもう一体も貫く。
それによって今度は完全にゴブリン達の戦意が失われたのか、モンスターは皆が皆我先にと駆け出す。
そうして初任務の初モンスター襲撃は、漆黒の剣とモモン、ナーベの勝利と相なった。
傷ついたルクルットとペテルをダインが回復させ、ニニャはゴブリン達の死体から耳を切り落とす。なんでもこれを組合へ提出することによってモンスター毎の報酬を得られるのだとか。
「しかしモモンさん凄いですね。」
「その剣はどっかの逸品?羨ましいねー。」
「噂に名高い王国戦士長並の強さであるなあ。」
「分かっては居ましたが、上には上がいると実感させられましたよ。」
漆黒の剣の一同は、みな冒険者モモンを称える言葉を口にする。
それにアインズは謙遜気味に
「皆さんもその内、あのくらいは出来るようになりますよ。」と言う。
その言葉を聞いて、ペテル達は苦笑いを浮かべるより無かった。