突然だが、ギルド・アインズウールゴウンメンバー、らいかん・す・ろうぷは右腕右脚が義手義足の工匠である。
元々は、前線で暴れるのが大好きな戦闘狂であったが、そんな彼が工匠に転身したのは、ある出来事が原因で失った自らの腕と脚の代わりとして、自分で義手義足を調整するため(と言う設定)である。
戦闘に参加するのも、あくまで自身の制作したアイテムやら武器、装備品のテストのためという意味合いが強く、まかり間違っても自らすすんで矢面に立つタイプではない。(というか、徐々に工匠の楽しさにズブズブとハマっていっただけだが)
しかし、その開発品は少なからず、自身の所属するギルドに利益をもたらして来たという自負がある。
カメレオンのような迷彩加工を施した偵察ドローンや、魔力感知地雷、気配をかき消す指輪や、ちょっとした火器類、範囲は狭いが簡単な探知魔法をすり抜ける小型ジャミング装置だって作った。通信機…はメッセージがあるから特に出番はなかった。
「モモさん。ドリルに爆発、機械は浪漫なんだよ。」とは彼の言である。
そんな彼の傑作たるは、アーティファクトと(彼に)呼ばれる代物達。
ただのアイテムとは明らかに一線を画する、高レベルプレイヤーの特権。
コスト度外視、燃費ガン無視、おまけに複製も自在ときた。
彼はそれらに動植物の姿をとらせることを好んだ。
そして必ず何かしらの仕込みを施すのである。
他メンバーは、新しい開発品を発表される度、フレンドリーファイアが無効になっていることに何度胸を撫で下ろしたことか。
さて、なぜ彼が自分の切り札とも言えるアーティファクト達をそういうカタチにしたがったのか。
答えは簡単。それはリアルの彼が極度の人間嫌いだから、その反動として幼い頃図鑑で見たような動植物に憧れがあったからだ。
リアルでの彼こと大神隼人はそれなりに売れっ子の作家だった。
さまざまな資源が足りないデジタルの世にあっても、もしくは、だからこそ紙媒体というのは貴重であり、元々中の上くらいの家に生まれた彼は両親がたまに買って来てくれる本が好きだった。
ただ、実際に仕事をして驚いたのは売れっ子でもあまり利益を得られないということ。
というか、材料費が高いのだ。
先程も述べたように、デジタルばかりの昨今紙というのは貴重だ。
だから、結果として売り上げの割には薄給なのだ。
(いわゆる、中世ヨーロッパに於ける金細工師のようなものか。)
と、誰に聞かれたわけでもないのに思った。
もともと他人が苦手で引きこもってできる仕事がしたかったというのもある。
何故苦手になったのかと聞かれても、そう育ったから。としか答えようがないのだが。
そんな彼にマッチし、且つ縁のあった仕事がたまたま作家業というだけで。
ただ、天職でもあったのだろう。
彼は良くも悪くも集中するとドップリ集中する人間だった。
だから今、ギルド長の部屋で正座をさせられているのである。
最初は筆が進む(話が進むとは言ってない)って本当ですね。