翌朝、アインズはたまたま会ったと言う体でらいかんを漆黒の剣に紹介する。
無論人間形態である。
「しかし驚きました。まさかモモンさんのご友人とは。」
「ええ、少し問題児なところもありますが。」
「お〜ぅ、そう褒めんなって。たまたま近くを通りがかってなぁ。別にメシの匂いに釣られたわけじゃねぇよ。」
「ハハハ、で、アンタはどんな得物使うんだ?」
ルクルットが気になったことを問うと
「おぅ、これよ。」
そう言うなり、ズシンと音を立ててらいかんは背中の布から大型のハンマーを取り出す。
ちなみにオリハルコン製の物だと騒がれそうだったのでミスリル製のものである。
「これはまた……。」
「凄いですね……。」
「え、そう?」
「モモンさんといい、重い武器をぶん回すのが流行ってんのか?」
「知らね、けど長年使い込んだもんだからこれが一番しっくりくるってだけやね。」
まぁ、嘘はついていない。
「しかし、ロウさんという冒険者には聞き覚えがありませんが。」
ニニャが疑問に思ったことを口にする。
モモンといい、彼と対等に話している様子から、彼に引けを取らないであろうロウといい、冒険者の間で実力者の名というのは嫌でも広まるもの。
本人が黙っていてくれと頼んだとして、人の口に戸は立てられないものだ。
まして、名が売れるようになるのは冒険者にとって基本的にメリットなのだ。
「まぁ、冒険者じゃねぇかんね。」
「え、じゃあ普段は何を?」
「あぁ、それはーーー。」
時は前の晩に遡る
「良いですかロウさん。漆黒の剣に会っても、ポロッと言っちゃいけない事を言うのはやめて下さいよ。」
ナーベラルがうっかりミスをしたばかりのためか少しばかり神経質になっている冒険者モモンことアインズ。
ちなみに当のナーベラルは、念のため少し離れたところで漆黒の剣の動向を見張らせている。
「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ。」
それに対してらいかんはいつもの調子である。
「身内にはそれで良いですが、第三者、しかも現地の人間相手にナザリック地下大墳墓のらいかん・す・ろうぷの情報は劇薬過ぎますって。」
「まぁなぁ。」
そもそも彼がやって来て、腹を膨らましたのにそのまま居座っているのは話に聞いた森の賢王とやらを直接見たいだけで、その後はすぐに撤退する気満々なため、その時不自然すぎない程度に漆黒の剣と親睦を深めるか、逆に空気に徹しておいた方がよかろうというくらいの考えである。
それに、情報の重要さと言うのはらいかんも色々と理解してはいる。
例えばユグドラシルでもどの時間にどのマップでレアドロップするモンスターが沸くだとか、ギルド間の戦いでもどこを取れば有利になるとか逆に不利になると言うことは頭に入っているのだ。
その解決方法があまりにぶっ飛んでいるだけで。
ユグドラシル時代も
「あそこの丘の上が有利だって?じゃあそこに集まった敵を敵を丘ごとぶっ放せばいいじゃない!」
とか言って過剰火力を撃ち込んだり
「なあなあ、対人戦で囲まれた時とか敵が生理的に嫌なもんけしかけりゃいんじゃね。」
とか言って普通に恐怖公のカタチをした追尾爆弾作り出すという。
ちなみにどちらもウルベルトの協力があったのは余談である。
「そんじゃあ、どうやって口裏合わせるん?」
アインズはユグドラシルでもかなりの少数派であった工匠といっても通じないだろうことを想定し
「そうですねえ、まず普段の仕事とか聞かれたら鍛治職人とかいいんじゃないですか。それからーーー。」
という風にして夜はふけていったのだった。