AOGの狼人   作:ガラクタ山のヌシ

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ひとまずの帰還

 

「ふぅ〜、楽しかった。」

 

森の賢王に会うと言う目的を達成したらいかんは、あの後アインズにカルネ村からナザリック地下大墳墓の入り口までのゲートを開いてもらい、ホクホク顔で戻って来ていた。

 

「おかえりなさいませ。らいかん・す・ろうぷ様。」

 

声をかけて来たのは、らいかんが先に帰る旨を告げられ、入り口で帰還を待っていた専属メイドのルプスレギナ・ベータである。

 

ちなみに守護者一同はそれぞれアインズの命令によって、一部を除きここを離れているため、姿はない。

 

シャルティアは使えそうな武技を扱う者を探しに、デミウルゴスはスクロールに出来るような羊皮紙の確保、生産するために、アウラとマーレはトブの大森林の地理の把握や拠点の設営に、セバスとソリュシャンはリ・エスティーゼ王国を内部から情報収集するために王都へと言ったふうに、それぞれがそれぞれ己のこなすべきことをやっている。

 

「おぅ、ただいま。」

ルプスレギナはスタスタと優雅に歩み寄り

「お荷物をお持ち致しましょうか?」

と、らいかんに問う。

「おぅ、すまんね。」

 

トブの大森林で手に入れた薬草や石ころ、水、木の実や木材など、小さくまとめたとは言えそれなりに持ち帰って来ているため、らいかんの手は塞がっている。

 

ストレージにしまうのも良いが、どうせ帰りがてらに拾い集めたもの。手に持っていた方がすぐに実験に使えそうだと思って横着し、そのままにしておいたのだ。

「ではお預かり致しますね。」

ニッコリと微笑みながら手にした荷物を受け取るルプスレギナであった。

「あぁ、あとそうだルプスレギナ。」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「お前さんにはいつも世話になっているからな、仕事を円滑にするためにも合鍵を渡しておくなぁ。」

 

チャリ、と小さな金属音がして紐に通された小さな鍵と指輪がルプスレギナの首にかけられる。

彼女の手が塞がっていたため、らいかんは直接首にかけたようだ。

ルプスレギナは一瞬固まったが

 

「あ、ありがとうございます…。」

と、何やら緊張している様子だ。

「あ、いやすまんね。配慮のつもりだったんだが、恥かかせちまったかい?」

まずかったかと心配になるらいかんであったが

「い、いえそう言うわけでは…。」

とルプスレギナが言った事で安心する。

「そうかい。んじゃぁ、一番大きいのが部屋自体の鍵、中くらいのが工房の鍵で、小さいのが水晶樹の森の鍵やね。一緒になってる指輪はオレっちの部屋まで直通で行ける奴だから何かあったら使ってな。」

 

らいかんの部屋は入ってすぐ右手に工房があり、左手には水晶獣達の憩いの場である水晶樹の森と呼ばれる空間が広がっている。

トブの大森林ほどでは無いが、それなりに広いスペースを確保してある為窮屈さは無い。

ちなみに入り口から真っ直ぐ進めば休憩のための居間になっており、その奥がらいかんの寝室となっている。

 

そんな私室の鍵を預かると言うことは、絶対の信頼と期待の現れと言っても良い。

 

まあ、らいかんの部屋の鍵は専属メイドのルプスレギナが訪れる際はほぼ開けっ放しな為、形式だけの事となるのだろうが。

そうして、らいかんとルプスレギナはそのまま荷物を部屋に持って行った。

 

 

さいどルプスレギナ

 

うぇへへへへ、やったっすよ!また一歩前進っす!し・か・も!らいかん・す・ろうぷ様から直々に首にかけて頂けるだなんて、危うく昇天しかけたっすよ〜。

 

それに指輪まで頂けるなんて、お前はオレのものだってことっすか?

もう喜んで!

 

ハッ待て、待つっすよルプスレギナ・ベータ。

ここで事を急いでらいかん・す・ろうぷ様に引かれたら元も子もないっすよ。

 

それで嫌われようものなら、死んでも死に切れないっす…。

 

淑女は焦らない。メイドは慌てない。

 

プレアデスたる者ただ侍り、影に徹し、冷静で、あるじに尽くす。

であるならば、お相手に選ばれるのはあくまでも結果でなくてはならないはずっす!

 

ガツガツし過ぎて、却って膠着状態になってしまっている様な、アルベド様やシャルティア様の二の舞だけは避けねばならないっす!

 

べ、別にビビってる訳じゃないっすよ。

 

ただ何事にも順序があるってだけで…。

 

で、でも指輪をこっそりはめるくらいなら…。

 

 

 

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