ズーラーノーンが拠点とする地下神殿。
重要な儀式で構成員はみな出払っているその奥深くで、らいかんは夕飯と洒落込んでいた。
とは言っても、ナザリック地下大墳墓にいる時よりは質素なものだが。
どこから取り出したのか、テーブルと椅子も完備されている。
モグモグ ゴクゴク ムシャムシャ
パッと見、線の細い少年がガツガツと料理を食べている様はある種シュールではあるが。
現在らいかんがすることは無いでは無いがしかし、生理現象には勝てないのでこればかりは仕方ない。
「ルプスレギナの料理は今日も美味いやね。」
らいかんは素直な賛辞を自身の専属メイドに告げ
「恐縮です。」
と、いつものように淑女然としたルプスレギナが答える。
敵地のど真ん中で悠長に味わっているあたり、肝が座っているのか暢気なのか。
(まぁ、少なくともここのズーラーノーンとかいう連中はどう転んでも詰みやね。)
普段は出不精な自分がここまで動いたのだ。
死の宝珠とやらが何の役にも立たないガラクタだったら、クレマンティーヌは処分すれば良い。
無論、アインズが彼女をナザリックに必要と判断し、勧誘すればそれには従うが。
何より、あのスティレットには契約不履行に際し、持ち主を数分ほど拘束する呪いが付与されていてどうせ逃げられない。
彼女には告げていないが、元よりすばしっこそうな奴に拘束具を付けますよ。と言って素直に従うはずも無い。
彼女自身も訝しむ様子をしていたから何かある、くらいには思っていそうだが。
だからこそ、何か使い道が無いかと思案、模索している内にボックスの肥やしになっていた訳だ。
ひとごこちついたらいかんは再び水晶梟の視覚を共有し、外の様子を見る。
「お〜ルプスレギナ、君の妹はここのお偉いさんを圧倒してるやねぇ。」
「プレアデスならば当然かと。」
「ま、そういうもんかいね。」
カジっちゃんとやらの取り巻きを魔法で一撃。
しかし、当の中心人物は生きていた。
「ふ〜ん。弍式さんに魔法特化されたナーベラルの攻撃を一発耐えるとはやるねぇ。」
するとカジっちゃんはおもむろに懐から何かを取り出す。それはゴツゴツとした黒い物体である。
「おっ、アレが死の宝珠かね?」
次いで、近くに転がっていた自分の部下をゾンビとして使役しナーベラルにけしかける。
そうして幾らか経った頃、死の宝珠は暗く妖しく光り出した。
面倒だと思ったのか、ナーベラルが動きを見せようとした瞬間、大きな影がカジッちゃんの上に出現する。
その正体は竜。厳密には純粋な竜種では無く、竜の姿をした人骨の塊だが。
名をスケリトルドラゴン。
正直それなりにレベルを上げていればそこまで強いわけでは無いが、魔法職には厳しい相手だ。
因みにカジっちゃんはイキイキとしている。やはり墓場が彼らにとってのホームグラウンドなのだろう。
手を貸しても良いが、これはアインズが冒険者モモンとして正式に受けた依頼。
冒険者組合の外部の者が手を貸せば、その実力を疑われかねないため迂闊に手助けはできない。
「まぁ、モモさんが放って置いてるってことは問題ないってことだろうけども。」
実際、両者は一進一退を繰り返しているもののナーベラルは危なげ無く事を運んでいる。
剣の鞘でスケリトルドラゴンを殴打してたのはらいかんも驚いたが。
一方でアインズの方は、ナーベラルを見守りつつ情報の収集に勤しんでいるようだ。
やはり一般冒険者と、それなり以上の実力者では持っている情報の質も量も違うのだろうか。
しばらくしてスケリトルドラゴンがもう一体現れた折り、そろそろか。とアインズが命令を発する。
どうやらお遊びの終わりの時が来たようだ。
ここからは冒険者ナーベでは無く、戦闘メイドたるプレアデスが一人、ナーベラル・ガンマの戦い、もとい蹂躙がはじまるのだろう。
ルプスレギナはそれを聞き、羨ましそうにしていた。
次回は50話記念に過去編(例の件)について書こうかなぁと思ってます。
…このままだと設定だけで出す機会無さそうとかそう言うんじゃないよ(聞かれてない)