AOGの狼人   作:ガラクタ山のヌシ

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またまた時間がかかってしまった…


監視

ナザリック地下大墳墓、第九階層にあるアインズの自室。

そこに現れたゲートより二人の人物が出てくる。

「で、モモさん話って言うのは?」

一人は至高の四十一人が一人らいかん・す・ろうぷ。

「ええ。実はカルネ村に関してのことなんですが………。」

そう言うのは事実上の此処の主人アインズ・ウール・ゴウン。

古い呼び名のモモンガから取って、友人のらいかんにだけはモモさんと呼ばれている。

「カルネ村…最初にオレっち達が行って今も比較的友好的な事実上のナザリック領ともいえる重要な場所やね。」

らいかんがそう言うと、アインズは満足そうに頷き「ええそうです」と返す。

「それで……」と続けようとするアインズに、らいかんは義手の方の手で待ったをかける。

「ちょっと待ってくれ。考えるやね。」

そう言うと、顎に手を当て思案顔になるらいかん。さほど長くは無い時間考え、やがて思い当たることがあったようで

「ああ、トブの大深林の件かい?」

そう言うと、アインズは頷き

「ええ。ハムスケが居なくなり、あそこは今不安定な状況と聞きます。」

「まぁ、アイツが居たところで争いが起こるのは時間の問題だったみたいだけどなぁ。」

確か『東の巨人』と『西の魔蛇』だったか。で、ハムスケは『南の大魔獣』だったとか。

「そこで、です。」

そう言うとアインズは本題に入る。

「ロウさんとルプスレギナにはカルネ村に滞在してトブの大深林の様子や、また他の国に狙われないか等の動向を探って貰いたいんですが…。」

重々しく言うアインズに対し

「いいよー。」

と、らいかんはいつも通りに軽く返す。

「相変わらずあっさりしてますねえ。」

若干呆れ気味にアインズは言うが

「まぁ、動かせる人員はそれくらいだろうしねぇ。」

「それなんですよねぇ。」

と、切実な現状を互いに認知し合う。

警護に回すだけならばモンスターの数自体は問題ないのだが流石に人型が取れる者で、かつそれなりに知性ある者となるとその数は一気に限定されてしまうのがナザリックの難点だ。

そして、そう言った者たちはナザリック内部、もしくは他の任務で出払っていることも珍しく無く、結果かゆいところに手が届かないもどかしさがあるのは否めない。

かと言ってイチから教育するにしても時間がかかり過ぎる。

小さな村とは言え、仮にもこの世界の足掛かりである親ナザリック領を手放してしまえばその損失は大きい。

それこそわざわざ二人が出張ってまで好感度を上げておいたくらいなのだ。

そこをモンスターの餌場であったり、他勢力の戦場とする訳にはいかない。

ナザリックの面子という点に於いても、実益的な面に於いてもだ。

「それと水晶樹の森も()()()()()いい?」

「ええ。バレないで下さいよ?」

「ヘーキヘーキ。テキトーに家でも作ってそこで暮らしますって言えばプライベートにまで口出しはして来んでしょ。そんな余裕も無いだろうし。なにより村の恩人様だかんねこっちは。後は空間を地下室にでも繋いでおけばバレる可能性もグッと下がるって。」

そういう幻術が得意な水晶獣に守らせれば地下室への入り口自体悟られることもないだろう。

「んで、いつから行けばいいのん?」

「可能ならば明日にでも。それとリイジー・バレアレの出迎えも頼みます。」

「おーう。んじゃぁ、ルプスレギナに声かけて来るやねー。」

そう言って、らいかんはアインズの私室から出て、自室へと向かった。

部屋の入り口には既にルプスレギナが待機しており、「お帰りなさいませ。」と声をかけてくれる。

「お〜う。ただいま〜。」

そう言って自室に入り、食事を済ませ話がある旨を伝える。

「な、なんでしょうか?」

ルプスレギナは何やら戦々恐々としていたが

「いや、別にルプスレギナを専属のメイドから外すとかそう言う事じゃ無いやね。」

苦笑しながらそう言うと、彼女は明らかにホッとしていた。

続けてらいかんは新たに出た指令について伝える。

「なるほど。かしこまりました。そういうことでしたら私の方でも準備を整えておきます。」

「おう。また後でなぁ。」

そう言うと足早に退室するルプスレギナ。

どこか浮かれているように見えたのはきっと錯覚だろう。

廊下の方から「やったっすーー!!」とはしたない声が聞こえたが、きっと幻聴に違いない。

「さて……。」

そう言うとらいかんは寝室へ向かい、ナイトテーブルから小さな鍵を取り出す。

「アイツら元気かねぇ。」

(まぁ、あそこの時間の流れは通常とは異なるし、週一度は顔を見せているから、変わりないとは思うけど)

そう思いつつ、らいかんは自室にある水晶樹の森へと繋がる扉へ向かった。

 

さいどルプスレギナ

 

指輪を頂いた上、今度は二人で一緒に自然豊かな場所にだなんて

しかもひとつ屋根の下〜〜!?

これはもう、ハネムーンっすか?

婚前旅行っすか〜〜!?

「でへへへへ。」

「ちょっとルプー?休憩中だからってだらしないわよ?」

ヤバ、ユリ姉のお説教長いんすよねー。

「でへー、ごめんっすユリ姉。」

「全く…。」

ユリ姉は呆れながらも背中を押してくれるから好きっすよー。

「しっかりなさい。」

それはドッチの意味なのか。

或いは両方なのか。

いずれにせよ、アタシはカルネ村でらいかん様の好感度爆上げしてやるっす〜!!

うぇへへへへ。




更新頑張るます!

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