待っていてくださった方々。すみません。
らいかんは水晶樹の森に足を踏み入れる。
そこかしこに魔力を宿した樹木の群れが赤や緑、紫に黄色などなど神々しく光る。
水晶樹というだけあって木々は皆水晶で出来ており、初見の者はさながら黄昏時のような不思議な感覚を覚えるだろう。
元々は、水晶獣達が元気に駆け回る姿が見たかったがためのジオラマ的要素が強かったのだが、どうせならと言うことでアインズウールゴウンのギルメン皆でちょっとしたダンジョンのように手を加えたのだが、こうして実際に見ると何度来ても感動を覚えるものだ。
ここの主人だというのにお登りさんのようにキョロキョロと見回すと、それに反応したのか木々の間から
「おーう、久しぶりやねぇ」
らいかんが明るくそう言うと水晶鹿は顔を寄せてスリスリと身を寄せる。
なお、モデルはヘラジカであるため結構大きい。
「アイツのとこに連れてってくれるかい?」
そう言うと水晶鹿は身を低くする。
どうやら乗ってくれと言っているようだ。
「そんじゃあ乗っけてもらうやね」
よいしょっ、と乗ると水晶鹿はのそのそと歩き出す。
「しっかし、いつ来ても壮観やねぇ…」
木々に紛れてギルドメンバーの像が立ち並び、岩や樹木、実際に水の流れる輝く川や湖。細部までこだわった橋や自然の再現にらいかんは改めて感動を覚える。
思えば仲間たちは皆センスの塊であった。
それこそ世が世ならその道で食っていけたろうと思えるくらいには。
まぁ、その所感には多少の身内贔屓もあるんだろうが。
アインズウールゴウンのメンバーは襲われないよう設定していたため呑気に出来ているが、しかし侵入者にして見れば貯まったものでは無いだろう。
のしのしと水晶獣たちが闊歩する道中であったが、らいかんに気づくと皆一様に寄って来る。
巨体を揺らす
やがて辿り着いた森の最深部。巨大な切り株の玉座とも呼べるそれに、一頭の水晶獣が寝そべっていた。
あるじに気づいたのか、その水晶獣はムクリと起き上がりらいかんを見つめる。
「ご主人、如何な御用向きで?」
低く、しかし透き通った声で彼は聞いてくる。
整ったたてがみにトパーズを思わせる瞳。全長にして五メートルをゆうに超えるだろう巨躯を誇り、頭上にはこの森を象徴した七色の冠を戴いており、また戦闘面においても全水晶獣内随一の実力を持つ。
その名を
美しくも雄々しき、知性持つ水晶獣達の王…つまりは記念すべき水晶獣第一号というわけだ。
「おぅ。実を言うとなぁ…」
らいかんがそう言い、続けて事情を説明する。
「ふむ。なるほど」
水晶獅子は相槌と共にひとつ頷くと
「ではあとで座標をお示しください。そこにポータルを開きますので」
と言う。
「おーう。あんがとなぁ」
「いえ」
水晶獅子は短くそう答えると再び寝そべる体勢になった。
「相変わらずストイックなヤツやねぇ…」
まぁ、そう作ったのは誰あろうらいかん自身ではあるが。
「そんじゃあ戻るとするかい」
らいかんが一言そう言うと、水晶鹿は再び身をかがめてらいかんに背を貸したのだった。
次はもっと早く上げられればいいなぁ…。