円形闘技場。その歴史は長く、古くは古代ローマに端を発し、剣闘士達が己の自由を、命をかけ、或いは名誉をかけて闘った場所。
ここナザリック地下大墳墓に於けるそれは、第6階層にあたり、2名のNPCが守護者として侵入者を出迎えるのである。
らいかんは、手にしたハンマーをズシンと地面に置き、
「あ〜、これ地味に重いんだよなぁ。」
とぼやく。
「まぁ、でも似合ってますよ。」
と、モモンガはフォローを返す。
「ありがと〜。」とらいかんが軽く返すと、遠巻きに2人の人物がこちらを伺っている様子が見えた。
見知った顔に、安堵すると共にどうやら気を遣われている事が分かり、モモンガが声をかける。
「アウラ、マーレ、こちらに来てくれるか?」
よっ、と軽く発して、客席から飛び降り元気に駆け寄ってきた階層守護者のダークエルフの双子の片割れ、男装少女のアウラが不思議そうに聞いてくる。
「ご歓談中だったのではありませんか?」
「よい。ひと段落したからな。」
「うん。ちょっとここを使わせてもらいたくてな〜。お邪魔させてもらった。」
「そんな邪魔だなんて!」
アウラはあたふたと両手を振って、強く否定する。
「お二方はこのナザリック地下大墳墓の支配者。そんなお二方を蔑ろにしたり邪魔に思う者なんて、考えられませんよ。」
「そりゃぁありがたいやね。まぁ、支配者っぽいのはどっちかってぇとモモさんのほうだろうけどな。」
「あぁ、助かるな。それで、マーレはどうした?」
「あっ、そうでしたすみません。」
クルリと後ろを向くや
「マーレー!お二方に失礼でしょ〜!!」
「で、でもぉ。」
どうやら飛び降りるのを躊躇しているようだ。
しかし
「マーーーレーーー!!」
そんなん関係ないと言わんばかりに叫ばれてはマーレも堪らなかったようで、
「わ、わかったよぉ。」
観念したのか、少し躊躇いがちにえぃっと飛び降りた。
しかし流石は階層守護者なのか、着地は危なげなくできていた。
そして、姉と同じくタッタッと駆け寄ってくる女装少年。
そして、改めてと
「ナザリック地下大墳墓、第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ罷り越しました。」
「ぉ、同じく第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ罷り越しました。」
「うむ。先程述べたように、ここを使わせてもらいたくてな。」
すると、双子の視線がモモンガの手元に行く。
厳密にはそこに握られている杖にだが。
「そ、それが伝説のスタッフ・オブ・アインズウールゴウンですか?」
「うむ、その通り。先端部のこの蛇の咥えている宝石はひとつひとつがゴッズアイテムでな…………(ペラペラペラペラ)。」
「モモさん、触れてもらえて嬉しそうやね。」
「ん?ンッンーまあ、そう言うわけで、実験がしたいのでな。」
ハッとなって、咳き込んだ。誤魔化したな。とらいかんは思った。
「まぁついでに、オレっちも鈍った体動かしたいしな。」
それじゃあ早速と召喚魔法をやってみる。
「現れよ、プライマルファイアーエレメンタル!!」
炎を纏ったドラゴンのような頭を持った、巨人の上半身のようなモンスターが出てきた。
「プライマルファイヤーエレメンタル。レベルは85といったところか。」
満足げなモモンガに対し、らいかんはこっそりメッセージを送ってみる。
(モモさんノリノリだね。)
(まぁ、やってみたかったですからね。)
(そんで、やってみて分かったことあるかい?ヒントにしたい。)
(うぅん、そうですね。オレの場合杖に意識を傾けたら自然とやり方がわかったって言うか。)
(んじゃぁオレっちも、そんな感じでやるわ。早速で悪いんだけど呼び出したアレ、ターゲットにしていい?)
(え、今のめっちゃフワフワした情報でいいんですか?いいですけど。)
(大丈夫大丈夫なんとかなるなる。)
試しに意識を傾けてみて、そして感じる。
「カルバリン砲、用ぉぉ意!!」
肘が回転しながら曲がり、腕が周り、前腕部が収納されたとおもったら、ウィーンと機械音とともに見事な砲身が姿を現す。
急に叫び出したらいかんに、ちょっとマーレがビクッとなる。
そして、標的を捉え、ピピッと音がした。
らいかんはここだと直感的に理解するや。
「発射ァァァァァ!!」
ズズズドォォォン!!
「グオオオオ。」
呼び出されて早々に倒されるプライマルファイヤーエレメンタル。哀れ。
しかしその直後
「ふぉぉぉぉ!!なんですか今の!?」
アウラがらいかんに向かって、めっちゃ目をキラキラさせているのがわかった。