撃ってみて、思ったより反動が来なかったことに、らいかんは驚く。
最悪、腕があらぬ方向に曲がったり、体が吹き飛んだりしないかヒヤヒヤしたものだが、まずは上手くいって何より。と心の中で胸を撫で下ろす。
腕のカルバリン砲は戻れと念じれば元の義手に戻った。
ストレージには他にも仕掛け武器が幾らかあるが、それは取り敢えず後回し。
「す〜っごいです、らいかん様!」
「おぅ、喜んでもらえて何より。」
アウラから素直な賛辞を受けたらいかんは満更でもなく、
(おぉ〜、アウラにはこの良さが分かるんやねぇ。)
などと呑気に同志の誕生に胸を躍らせていたら、モモンガよりメッセージが来る。
(それで、この後はどうします?)
(この後?守護者達の集合を待てばいいんじゃ?)
(いや、体動かしたいって言ってたじゃ無いですか。)
(あ〜、そうだったそうだった。)
モモンガはこっそりジト目でらいかんを見ると、そう言えば、この人この状況でもほぼ素でいられるってすごいな。と今更ながら思った。
続けて二人はメッセージで会話する。
(んで、集合まであとどんなもん?)
(20分切ってるくらいですね。)
20分、待つとなると意外と長いが、かと言って何もしないと言うのも手持ち無沙汰である。
ならばと
(モモさん、近接武器っていまあるかい?)
(ちょっと待っててください、えぇっと……。)
モモンガは徐に空間に手を突っ込んでガサゴソしだした。
(あぁ~ストレージってそうなってるんだ。)
(えぇ、おれも驚きましたよ。)
(あぁ、一応剣士装備が一通り揃ってますね。)
(じゃあ、それで模擬戦でもしない?)
(うーむ、そうですねぇ、あ、ちょっと待ってください。)
(どしたの?)
(セバスからメッセージが来てまして、)
(あ、じゃあそっち優先で。)
(すみません。私だ。どうした?………。なるほど。草原に。人工物は?………。そうか。わかった。戻ってこい。20分後に第六階層の円形闘技場だ。そこで見たことを話せ。以上だ。)
(どうだったって?)
(現在、ナザリックの周囲には草原が広がっているそうです。)
(沼地じゃ無くて?)
(えぇ、はい。信じられませんが我々は今、未知の世界にいるようです。)
(えぇ〜なにそれ〜?)
(ロウさん……。気持ちはわかりますがまずは落ち着いて情報収集とその整理を………。)
(そりゃあ………。)
(?)
(面白そうだなぁ!!)
(え、いやいや俺たち右も左も分からないような場所にいきなり放り込まれたんですよ。不安とかないんですか?)
(なぁにいってんのよ。俺たちゃ四十一人でユグドラシルっつー天下をほぼほぼ取ったんじゃねーか。それが今やNPC達がいるとはいえ、プレイヤーはオレっちとモモさんの二人っぽっち。最後くらい綺麗に消えようって、しんみり思って気付いたら未知の世界にやって来たなんて、興奮しない方が嘘でしょうよ。)
あ、ダメだこの人。ハイになってる。
完全に徹夜明けのテンションです。どうもありがとうございました。
(じゃなくて!どう動くにせよまずは慎重になるべきでしょう。)
(そらそうよ。遮二無二突っ込んで自滅しましたじゃギャグにもならん。そら見たこともないマップを冒険して見たくないって言やぁ嘘になるが、オレっちはあくまで工匠よ。その辺弁えてるって。どっちかっつーとどんな素材があるのかなって言うワクワクがつよいのな。)
(ならいいんですが。)
(とにかく、今はセバスの報告待ちやね。いやぁ楽しみだ。)
結局、模擬戦の話はきちんと場を整えてからと相成った。
そして、間もなくナザリックの誇る守護者達が一堂に会するのである。
展開引っ張りすぎじゃね?(セルフツッコミ)